二十九話 繋がる血脈があるのです!
「オーカ!!!」
目を覚ます。
視界に飛び込んできたのは、涙で濡らした姉たちの顔だった。
「よかった!治癒魔法をかけても起きないから、私……」
身体を起こすと、ナナカが抱きついてくる。
「えっと……俺……」
記憶が混濁していて、思い出せない。
「オーカぁ!」
「ふべ」
マチが俺の鼻に抱きつく。
マチ……。……そーだ。俺はカインに負けたんだ。
頭を振ってマチを追い払うと共に、試験の記憶が蘇る。
クソ。また、父に負けた。
俺は、敗北感に苛まれながらも心配してくれている姉たちを見る。
ナナカ、アルカ共に魔力のほとんどを使い切っている。
アルカの魔力総量を考えるとかなりの無理をさせてしまったみたいだ。
「ナナカねーさま、アルカちゃん。心配させてゴメン」
俺は泣きつくナナカと、そばに立つアルカをゆっくりと見つめる。
「オーカ、良かった」
アルカも俺をゆっくりと抱きしめてくれる。
「オーカぁ!ワタシもワタシも!」
羽虫妖精も、俺の鼻へ再度抱きつく。
「わぷ。だから、やめぃ」
「ふふ、それだけ元気なら大丈夫そうだな」
声の来し方を辿る。
執務机に座っていたのは、薄紫色の肌をした大女だった。
たしか、カトラス先生だっけ?
「そーいえば、ここは?」
俺は改めて周囲を見渡す。
白っぽい部屋。簡素なベッドが左側に3つ並べられている。右側はカーテンで閉ざされている。
けど、その先には人の気配がする。ん?この魔力どこかで……。
「学園の医務室だよ。お前、どこまで記憶がある?」
俺の思考を遮るように、カトラス先生はデスクから立ち上がると俺の顏を覗き込む。
男勝りな言葉遣いにカトラス先生の顏を正面から凝視してしまう。
左目に大きな傷があるが、前世の基準で言えばキツそうな目も含めて美人の分類。
「カイn……リュシフェルさんと模擬戦を行なって、惨敗したとこぐらいまでは」
リュシフェル家にはこれで親子二代で負けたのか。
しみじみと悲しくなる。
「そのことなんだが、どーやら学園長とお前の親父でなにやら密約があったみたいだ。例年であれば、怪我人すら極稀なのに……今年は2人も意識不明者が出る始末だ。全く、どーなってんだが……」
2人?
俺以外にも模擬戦で意識不明者が?
そもそもエデムって、大抵は俺みたいに丈夫なはず。
だからこそ、実技試験も「エデム」用にハードなものも含まれている。
それなのに、2人も?
おそらく、右側のカーテンの向こう側で寝ている人物がそうなのだろう。
「やはり、そちらもか」
ザッっとカーテンを開ける音。そこに立っていたのは、黒の長髪に額から伸びる一本の角。
「……ジン、やっぱりあんただったか」
ミキシ国の王子。俺よりもよっぽど優秀なこいつが気を失っていたという事実に多少驚く。
「すまないが少し話を聞かせてもらった。オーカ、貴様の父上と学園長との間柄は知っているか?」
唐突な質問。
第4王立学園「ロア」。俺のご先祖、「智のサルマージ」が作った学園。
俺はその程度のことしか知らない。
「……そうか。なら、よく聞け」
俺の表情から読み取ったのかジンが言葉を切り出す。
「お前の父上レーベン氏、この学園「ロア」学園長ラヴィー氏。そして俺の父ミキシ国王ビータ。この三人はかつてこの学園の級友だった」
思っていたより話が逸れそうです。(書いてるのは俺のはずなのに、ジンが勝手に裏設定しゃべりだしたんだよ!)
もう少し続きます。




