二十七話 少なくとも俺には……!
第3パート一応完結です。
ピクシスという生き物について、俺は全く知識がない。
だから、俺に今起きている現象がピクシスとしてのマチの能力なのか、マチ固有の能力なのか判断がつかない。
しかし、この感覚は第1パート終了間際の、あの短いトンネルと同じ現象だと理解できる。
失われた魔力のほとんどが一瞬で回復する。
「オーカぁ!オーカぁなら、いけるよ!」
マチが俺に微笑みかける。
!!!
羽虫のくせに、前世の俺なら勢いで惚れるとこだった。
「魔力が戻ったところで、俺は負けねーぞ!」
マチに礼を言う暇もなく、カインが再びこちらへと高速の接近をする。
【魔眼発動】
【INSERT INTO eden VALUES (alter times)】
【ALTER TABLE eden ADD ( katana nvarchar (80)), ADD ( shadow nvarchar (max) ) after katana】
再度、魔眼により魔術阻害と「影」の生成。
動きの鈍くなった蝕義手ではなく自らの足で連撃を繰り出してくる。
間合いを詰めさせないようにするあたり、ほんと大人気ないなこのオッサン。
だが、それだけ余裕がないということだ。
回復魔法は身体の活性化を促すことで傷を癒す。代償として大量の魔力と疲労感が襲う。
……らしい。俺はまだ使えないからわからん。
俺は「影」で攻撃を防ぎつつ、タイミングを見計らってスライディングで背中へと抜ける。
ファーストとの特訓がそのまま役に立った。
「っち!」
振り返りざまのカインを、俺は背中から日本刀で切りつける。
「影」とのコンビネーション。これを避けれるヤツはいない。
「【アルト】」
短い詠唱。いや、俺と同じでこれは固有能力の発動だ。
かまうかよ、世界が震撼した日本刀の切れ味舐めるな。
ガキンと嫌な音する。
「おいおい。オッサン、大人気ないだろそれは……」
「言っただろ?俺は大人気ないって」
その顔は見えないが、口元を憎たらしく歪めているのが想像できる。
顔が見えない理由。
「黒い……鎧?」
マチがカインを見た感想をつぶやく。
そう、一見すれば全身を覆う黒い鎧。
しかし、俺はすぐに理解できた。これが、蝕義手ブラスノイルによって作られた鉄壁の鎧だということが。
おそらく先ほどのは緊急用の詠唱。魔力を急激に流すことでマチがしたように魔力阻害すら振り切ったのだろう。
「こいつまで、出させるとは……末恐ろしいガキだ」
先ほどまで余裕を持っていたカインの声とは違う。
表情は見えないが嫌な予感がする。
「あばよ。次元よ!【ラオム】」
やばいと思った時には遅かった。
何かに気づいたマチが俺に警鐘を鳴らすよりも先に、俺の身体が意識ごとぶっ飛ぶ。
意識が完全に消える前、地面に這いながら見た光景。それは俺が立っていた空間から無造作に生えた腕だった。
なんだよそれ、やっぱチートじゃねえかよ。
マチが耳元で騒ぐ声が段々と遠ざかる。
少なくとも俺にはチートもハーレムも程遠いみたいだ。くそ!
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