二十四話 俺の身体の75%は社蓄性でできている!
第3パートは次回からです。
俺は肩にマチを乗せて走る。
闘技場館内は現代的な作りとは言え、やはりリノリウム床とかはない。
金属と中世的な石造りが相まっている。
石畳が多いし、アスファルトとかはないのかもな。
「ところでオーカぁは、なにしてるの?」
マチが唐突に呟く。
そっか、こいつはただ闘技場で遊んでただけだから入学試験のことを知らないのか。
「お前、ここがどこかは知ってるか?」
どこから説明していいか迷いながら、俺は質問に質問で返す。
「さすがにそれは知ってるよ!第4王立学園ロア。ワタシ、そもそもここの学園長とさっきまで話してたんだから」
なんとこの妖精、羽虫のくせに学園長と面識があるのか。
「なら、今日がこの学園の入学試験ってことも知ってるんだな?」
俺はこの妖精と学園長の関係が気になりつつも話を進める。
「あー、そーいえばそんなこと言ってたなぁー」
どうやら脳の容積と知能が比例するってのは間違ってなかったようだ。
ほんとは身体の容積との比率とかだった気はするが……。
「で、まさに俺はその試験の真っ最中なわけ。お前のせいで危うく試験結果がとんでもないことになるとこだったよ」
学園長の判断で可否が決まったみたいだったが、こいつと面識があることも関係していたのか?
「さらに言うと、今から最終試験だ」
俺は肩の妖精にこれまであった試験とこれから行われる模擬戦について説明をする。
まぁ、親指サイズの脳みそでどこまで理解できたのかは分からんが、そこは魔法の力でなんとかしてるんだろう。
「そーなんだ!オーカぁはこの学園で何が学びたいの?」
俺は急いでいた足を少し緩める。
俺がこの学園に入る理由。学ぶ理由。
俺はそもそもこの世界に来た理由をはっきりと持っていない。
前世が嫌で嫌でその場のノリでこっちに来てしまった。
この五年は周囲にも恵まれできることも増えていき、あっという間に過ぎていった。
俺がこの世界に呼ばれた理由。それは薄々理解している。
しかし、俺にはどうすることもできない。
それを認めたくなくて俺はまたこの学園へ逃げようとしているだけだ。
「さぁな。俺はただオルダリエでここにいるだけだ」
口の中が妙に乾く。
「そーなんだ。せっかくがんばって入るんだから、オーカぁが夢中になれることがあるといいね」
無邪気に笑うマチ。俺はその笑顔をまっすぐ見ることはできなかった。
「ここか」
ぐるぐると考えていたことを頭の隅へと追いやる。
長い通路にいくつも扉がある。
通路には数名に悪魔がいる。
俺に気づいた一人が近寄ってくる。
「第3パートの受験生だね。第2パートは達成できてるかい?」
線の細い男性。この人もやはり先生なのだろうか。
「はい」
俺は周りを見渡す。
通路には13名の悪魔。
「自分の順位を尋ねてもいいですか?」
これだけの数が待機しているということは、ここは最終的にはかなり混雑する予定なんだろう。
そして、俺以外の受験生が見えないということは俺はまだそれなりに上位ではあると思うが、それでもやはり気になる。
「ああ、ここに来たのは君で四人目だね。」
っち、一人抜かれたか。
いや、そいつがすごく優秀なだけと思おう。
「聞いていると思うが、ここからは個別の模擬戦だ。体調等は大丈夫かい?」
ここの先生は皆いい人が多い。
「はい。大丈夫です」
「ワタシも準備万端だよーー!」
無駄に元気な声が耳元から聞こえる。おい羽虫、てめぇには聞いてない。
「おや、ピクシスですか。君は優秀な術者のようですね。一番奥の部屋で対戦相手が待ってます。それではがんばって下さい」
ん?ピクシスを連れていることと優秀な人材になんの関係があるんだ?
俺は疑問に対して深く考えずに支持された部屋へと入る。
「よぉ、待ってたぞ」
石造りの小部屋の中から聞こえたのは低い男の声だった。




