二十三話 美しき妖精は肩を舞う!
第2パート完結です。
「あばばばば」
あばばばば。
「オーカぁ、ごめんよー」
妖精が謝罪する。
「スフェールくん、ごめんなさいね」
お姉さんが謝罪する。
あばばばば……
あばば……
あば……
……
…
俺は前世の幼い記憶を思い起こしていた。
母親から貰ったお小遣い。少しでも安く済まそうと近くのスーパーに行った。
そこでとても美味しそうなクッキーの写真が載ったパッケージの箱があり、俺は意気揚々とレジに並んだ。
店員さんが何か言ったが、リトルでエレメンタリーな俺はよくわからずにお金をだした。
家に帰って開けた箱の中身は、
白い粉だった。
そう、ベーキングパウダー。
「あばばばば、ベーキングパウダーぁあああ!!」
「てい!」
「ぎゃふん!」
ぎゃふん。
脳天への衝撃に振り返ると、そこにはジト目の姉がいた。
「オーカ、大丈夫?叩いて直った?」
はっ!俺は何をしていた?!
なにか、トラウマに触れた気がしたが。
とりあえず、リスケだ。
えと、俺が捕まえたのは採点対象にならない魔獣だった。
なんでだよ!
その時点で意味不明だよ!
今からもう一匹捕まえるか?
魔力を半分使って、後続の組が来ているのに?
ろくな魔獣は無理だな。
とにかく手近で簡単そうなのを……。
てか、なんでこいつは採点対象外なんだよ!
「オーカぁ、なんか魔獣がいっぱいいて楽しそうだったから、たまたまここにいただけなんだ。ごめんよ」
つまり、俺は通りすがりの妖精さんを捕まえてしまったのか。
なるほど、仕方あるまい。
「わかった、マチよ」
俺はマチに笑顔を向ける。
「オーカぁ!」
マチの顔に笑顔が戻る。
「お前が代わりの魔獣を捕まえろ!」
「「「え?」」」
マチとお姉さん、アルカが揃って間抜けな声をあげる。
俺のトラウマを蘇らせた罪は重い。
身体で払え。
「スフェールくん、ちょっと待ってね」
ここで慌てたのはまさかのボンテージお姉さんだった。
すると、頭のコウモリの羽をパタパタとさせながら耳元に手を当てる。
「……わたしです……はい……」
なにごとかをぶつぶつと言っている。
魔法で通信しているのか?まぁいい。
ふと傍らのアルカを見ると、すでに縄に縛ったアルパカみたいな魔獣と、例の3mはあるデカい鳥を連れている。
我が姉よ、余計に焦るからやめてよね。
「スフェールくん、今学園長と相談したんだけど、そのまま地下へ行ってもいいわよ」
おお!
時間は多少食ったがなんとかなった!
「ありがとうございます」
俺は焦る気持ちを抑えて礼を言う。
「よかったね。オーカぁ!」
うるさい黙れ羽虫。顔と体つきが前世の俺好みなところが余計にムカつく。
「それじゃ、アルカちゃん先に行ってくる」
俺はアルカに手を振る。
「うん、私もすぐに追いかける」
アルカも俺に手を振ってくれる。すこし寂しそうだが、俺の焦りを悟ってくれたようだ。
さすが姉。あんなジト目でも見るものは見ている。
俺は踵を返すと、地下へと続く門へと向かう。
「オーカぁ、ワタシも付いて行くよ」
そう言ってマチは俺の肩へと留まる。
ほぅ、後悔の念に苛まれて俺に尽くしてくれる気になったか?
だが……
「断る。退くも勇気だ。森へ帰れ」
「えー。いいじゃん!それにワタシ別に森から来たわけじゃないよ」
どうやら強制同行のようだ。
次の第3パートは模擬戦だっけ?
この羽虫が何かの役にたつとは到底思えない。
俺は改めてピクシスのマチを見る。
妖精は鼻歌を歌いながら、俺の肩で足をパタパタとさせている。
きらきらと光る透明な羽は、やはりどこかセミを思い浮かべる。
なんだか知らんが、仲間ができたのか?
「よろしくな」
俺はぶっきらぼうにマチに声をかける。
やはり、トラウマをえぐられたことは腹に据えかねるが、礼儀は礼儀だ。
「!!!……うん、よろしくね!」
少し驚いた顔をした後、マチは満面の笑みを向けてくる。
残りの魔力は半分を切った。
このお子ちゃまボディーでどこまで戦えるか分からないが、とにかくがんばろう。
あぁ、つい手を抜けないのが悪いくせだなー。
社蓄の性質ってのは死ぬくらいじゃ治らないのか。
時間なかなか取れなくて、投稿時間ばらばらで申し訳ないです。
死なない程度にがんばります。




