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雷鳥


「とりあえず、索敵はおわったから、みんなから集めた情報を伝えていくぜ」


 るんるんは紙とペンを用意すると、そう言って俺たち全員をテーブル周りに集めた。

 俺にだけ伝えるならイメージでなんとかなるらしいが、俺以外だと意思の共通ができないためペンで書いて伝えるらしい。

 るんるんは素早く線を引くと、そのまま紙に一つの絵を完成させていく。最初の勢いから、絵の才能という隠れた才能を持っているのかと思ったがどうやらちがったようだ。

 るんるん自身は描ききったと言わんばかりのやりきった表情をしているが、肝心な絵の方は何の絵なのかさっぱりわからない。


「あひるか? これ」


「ちげーよ!! サンダーバードだよ!」


 名称言われてもさっぱりわからんが、上位種がまとめてある本にそんな名前のやついたっけ。

 本に載っていないとなると、まだ人の目に触れていない相当警戒心の強い種族ということになる。

 フェンリルの力がなければ一生会えない種族だと思うと、なんだろう、すごく勝ち組な気がしてきた。


「で、えーとアヒルにしか見えないけど、この上位種の場所が最も近いってわけか」


「そもそもこの短時間で上位種の居場所を探るってこと自体頭がおかしいってこと理解してんのかご主人様。……まあここから1日かからないくらいの位置らしいぜ」


 オオカミの走る速さと人間の歩く速さでは圧倒的差があるからな。るんるんのらしいって言い方は、人間の歩くスピードに完全には置き換えれないからということだろう。

 俺は近くの棚にあったここの世界地図をテーブルに広げる。

 そして、それをるんるんが見やすいように向きを整えると、赤いペンをるんるんに渡した。


 リコルノとキュリアは初めて世界地図を目にしたのか、目を輝かせ、覆い被さるようにそれを凝視した。

 るんるんの邪魔になるので、とルナに二人を引き離させる。


 るんるんは狼が辿った道のりをペンでたどり、道のりと居場所を赤ペンで記した。


 これで道と居場所の共有は完了である。


「早速だけど、準備は万端! 戸締りをしっかりして! 出発するぞォ!」


 るんるんが記した地図を丸めて持ち、俺は一人だけ気合を入れ玄関へと向かった。

 急なテンションに周りはついてこれなかったのか、ポカンとしたまま俺のあとに続いた。


 なんやかんやで全員を連れての長旅は初めてだ。というか俺自身初めてである。

 家を出た後に、玄関の鍵がちゃんと閉まっているか入念にチェックし、それが終わって初めて進行方向を確認する。


「なんかやけに緊張してませんか? その先道ありませんよ……」


「え、あ、そうね。こっちだったわ」


 少し気を入れすぎたのかもしれない。山の中に数歩踏み込んだあたりで自分が変なところを歩いていることに気づき、ルナに道を修正された。

 二度三度同じことを繰り返したところで地図はルナに渡り、俺が最後方ルナが先頭にたつ形で道を進むことになった。

 キュリアから「にぃはまいごさんよくなるもんね!」と言われたのが心にくる。ちょっと気合を入れすぎて空回りしただけでそこまで方向音痴ではないはずなんだけどなぁ。


 山を越え、谷を越えたあたりで、るんるんの様子が変わった。

 しかめ面であたりの匂いをくんくんと嗅ぐと、異変に気づいたかのようにあたりを見回す。


 「ここで仲間の匂いが一人途切れてる」


 るんるんがそう言った瞬間、るんるんの下についていたオオカミが地面の中から飛び出し、勢いよく地面に叩きつけられた。

 謎の振動で動きを制限されるも、これを危険と判断したるんるんと俺は前方に立ち3人を守る姿勢をとる。

 3人には避難するよう指示し、ルナが二人を連れ岩陰まで隠れにいく。


 狼はダメージを受けつつも重傷ではないようで、なんとか立ち上がるとるんるんの側までかけよった。


 振動により地面のひび割れた部分から、雷が漏れる。やがてそれが大きくなると、ひび割れから1匹の青と赤と黄で彩られたカラフルな猛禽類の魔物が飛び出してきた。

 雷の威力でなんとなくわかる。こいつとまともにやりあうのは俺じゃ不可能。一発でもくらうと即死の可能性だってある。

 るんるんの部下狼は、衝撃はうけつつも電撃をまともに受けた痕跡はパッと見なさそうだった。


「クゥーンクゥーン」


「我を見失ってる……、だから近くに仲間もいねーんだ」


 雷が身体中から発せられているところから、たぶんこいつが探していた上位種サンダーバードだろう。そして、比較的温厚と聞いていたがこいつはどうみても獰猛。

 るんるんが警戒して臨戦態勢に入ってるとこからして逃げる術はなさそうだ。目の前のサンダーバードは完全に俺たちを標的に身構えていた。


 俺が絡んでも戦闘態勢のままのところを考えると、このサンダーバードは完全に我を見失ってるか、性別雄のどっちかだな。おそらく後者だと思うけど。


 正直俺らじゃこのサンダーバードに太刀打ちできそうもないし、唯一可能性があるとしたらキュリアの一発にかけるしかない。

 それに俺らは喧嘩を売りにきたのではなく交渉あわよくば友好関係を築きにやってきたというのに。ここで同族を殺すわけにもいかない。


「とりあえず俺とるんるんで注意を引くしかないが……、なんとかこいつを大人しくする方法はないかね」


「リコルノの幻惑にかけるしかねーよ! ユニコーンの角には対象を選んで幻を見せる効果があったはずだ!リコルノ!!」


「そんな知識どこで手に入れた。俺の頭ん中勝手に覗いて勉強しただろ」


「そういうの今はいいからご主人!!」


 るんるんがリコルノを呼び叫ぶと同時に、サンダーバードの雷が俺とるんるんの順で交互に落ちてくる。

 間一髪で避けつつ、遠くに避難していたリコルノが近くまでやってくるのを待つ。


「リコルノが能力を使ってるとこ見たことないけど、本当に大丈夫だよな?」


「……たぶん」


 俺とるんるんが相手を引きつけながらそんなことを話している間に、避難していたリコルノが俺らの元は到着するのであった。

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