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PROJECT♾️HEART-X─その涙に宿る心と絆─  作者: 陽月勝也
【第二章: ◇─ 蒼月の伝説・空白の五年─ 】       ─鋼の心が人間の鼓動を取り戻すまで─               ─ LUNAEDGE編          
39/45

◇《第36話 鉄の間 ― 崩れゆく支配者》

【LUNA EDGE ─ 豪快な爆笑ヤロー】

挿絵(By みてみん)


オレはタカ!


おっ!

自己紹介か!


……まぁ難しいことはわかんねぇ!

だから思ったことそのまま言うぜ!


人生は楽しまなきゃ損だろ!


笑いたい時は腹抱えて笑え!


腹が減ったらメシ食え!


ヤバいことになったら……

まぁ、その時は気合いで何とかなる!


……たぶんな(笑)


でもよ、仲間が泣いてる時だけは話が別だ。

そんな時までヘラヘラ笑ってられるほど、オレは器用じゃねぇ。

オレにできることなんて多くねぇけど、

困ってる仲間がいたら、一緒に殴られてでも最後まで隣にいる。


それじゃ、細けぇことは抜きだ!

本編、思いっきり楽しんでいこうぜ!!

彼女の足元、ガラス床に映る番人の影は、まるで深淵の闇そのもののようだった。

互いに動かず、時間は止まったかのようだ。

だが、この静寂こそが、嵐の前の最も危険な瞬間であることを、ルミナは勘付いていた。


ルミナの右拳が静かに、そしてゆっくりと、意志の強さを示すように構えられた


そして、番人の刃が、血を求める微かな振動を発した、その瞬間…。


挿絵(By みてみん)


ガキン!!


ルミナの構えに反応した番人が、一瞬で距離を詰め、水平の斬撃を放った!

ルミナは紙一重で攻撃を避けるが、シルバーの華やかなロングドレスの裾が、刃の風圧によって一筋、鋭く裂ける。


(動きづらい……!くっ、この格好では)


ルミナは、戦闘開始直後の判断で、致命的な決断を下した。


ビリッ、ビリビリッ!!


ルミナは乱暴に、シルバーのドレスの長い裾を力任せにどんどん引き裂いていく。

さらに、戦闘に適した大胆な形へと変えて脱いでいく。


破いて残った生地は、腰回りで素早く固く結び、動きを妨げないミニスカート状にした。

その一連の動作は、あまりにも迅速かつ野生的な美しさを伴っていた。


挿絵(By みてみん)


「なっ、えーーーー高級なドレスが…」


ユーキは目が点になっている。


マキが、ルミナの姿を見て、思わず目を大きく見開いた。


「え!? ちょっ…ルミナ…(焦) 動きやすいようにしたいのはわかるけど、豪華なドレスを…ビリビリに…。しかも服の役割果たしてないよ…(恥)」


ルミナは、額に汗を浮かべながら、番人に視線を固定したまま、言い放った。


「ちゃんと、隠すとこは隠れてるからいいの!それに今、こんなとこで死ぬよりは、断然ましだわ」


ルミナの全身は、シルバーの生地が大胆に破かれたことで、引き締まった体躯が露わになり、女としての凄まじい色気と覚悟を放っていた。


ルミナの紫色の瞳が、番人の無機質な仮面を射抜く。


「さあ、いくわよ!」


ルミナは再び構えだした。

そして、ルミナは相手を翻弄するように左右に動き、側宙をして回転して上から攻撃に転じた。

ルミナの放った鋭い手刀が、黒い影の番人の無機質な仮面にめり込む。


番人は一瞬ひるんだが、すぐに血を吸ったような刃を振り下ろしてきた!


バク転とバク宙をきれいにこなしながら、刃を紙一重でかわすと、そのまま垂直の壁を駆け上がり、三角跳びで宙を舞う!

そして上空から体当たりで番人をフロアの壁に激突させた。


その瞬間…


ルミナの目付きが変わり片脚を上まで上げ、蹴りの体勢に入った。


常人には捉えることができないほどの速さの連続蹴りがマシンガンのように繰り出された。

それはまるで閃光のような蹴りの乱撃ラッシュが炸裂する。



「ハーーッ!! ヤーーヤヤヤヤヤヤッヤーーーー!!!!!」


挿絵(By みてみん)


ズドドドドドドドドドドドドドドォーン…!


およそ100発を超えるほどの蹴りが炸裂し、番人は壁にめり込んで、動かなくなった。

空気が裂ける音が連続し、

まるで一秒の中に百の衝撃が叩き込まれたようだった。


ギチギチギチ……!


番人はガクガクした動きで、内部がショートしたような感じになっている。


マキとユーキはまるで時が止まったかのように放心状態だった。


マキがその沈黙を破った。


「す、す、スッゴーい!!!さすがルミナー!!」


マキはルミナの前に走って行き、抱きついた。


そして、台座の中央には、クリスタルの破片が、静かに光を放ちながら浮かび上がった。


ルミナはそのもう一つのクリスタル(ルミナ達にとっての一つ目のクリスタル)を手に取った。


その瞬間、迷宮化されたカジノフロアの床と壁が、再びおぞましい金属音を立てて歪み始めた。

カジノのネオンが激しく点滅し、周囲の空間が液体のように揺らぐ。


「な、なんだ!?また空間が動きだしたのか!?

ルミナ、またステージが切り替わるぞ!」


ユーキが叫ぶ。


「なに、まだなんかあるのー?」


ルミナにしがみつき、震えているマキを、彼女は抱き寄せる。


「今度はなんなのよ…?マキ、平気?」


バチバチッ!


強烈な光と電磁波が周囲を包み込み、視界が完全に奪われる。


次にルミナ達A班が足を踏みしめた場所は、光を無限に反射する、鏡張りの回廊だった。


A班──次のステージは

鏡の回廊《MIRROR STAGE》



────────────────────


エリサグループB班──




B9階のライブラリーで第1のクリスタルを回収したB班(エリサ、ムツミ、アサヒ、タカ、ヨシマサ)は、次のヒントである

『B3階...パイプオルガンの音色...』

を頼りに、カジノのメインルートへと急いでいた。


「このルートで行けば、すぐにB3階よ。イヨナは、私たちがラウンジに行くことを予期しているわ。きっと鍵は音の仕掛け」


エリサは、回収したクリスタルを胸元に抱えながら、冷静に分析する。

しかし、B3階へ続く通路に差し掛かった瞬間、

通路全体の赤い照明が狂ったように点滅し始めた。


バチバチバチ!


「な、なんだこれ!?」


アサヒが顔をしかめる。

エリサが即座に周囲の電磁波の異常を察知し、鋭く叫んだ。


「まずい!ステージの強制移動よ!」


(これ…ほんとにイヨナが…?まさか、別の誰かが、私たちの進行ルートを意図的に遮断した…)


通路の床が、おぞましい金属音を立てて大きく傾き、一行はバランスを崩す。



ガガガガガアアアアアアアァァン!!!


通路の四方八方から、巨大な分厚い鉄の壁が火花を散らしながら降りてきて、強制的に放り落とされた。


鉄の檻が閉じる。


彼らが立ち直った場所は、B9階の東側通路だった。

赤い照明の揺らぎが壁に影を散らし、まるで血流の中を歩いているかのような不気味さが漂っていた。

足音が吸い込まれ、空気が重く、湿っている。



「……なんか、空気が変じゃない……?」


ムツミが肩をすくめ、声が震えていた。


アサヒが周囲を見回しながら低く唸る。


「変だな……音が響かねぇ。まるで鉄の箱ん中みてぇだ。」


エリサが一歩前へ出ると、床にかすかな振動が走った。


「待って。この振動、ただの機械の音じゃないわ」


エリサの瞳が細く鋭くなる。


タカが鉄壁を叩くが、びくともしない。


「うっわ!? 完全に閉じ込められてんじゃねぇか!!」




ムツミは完全にパニックに入る。


「ど、どどどどーすんのよ!?もう無理!!なんとかしてー( ; ; )もう帰るぅうう!!」



「落ち着きなさい」


エリサの一言が響き、全員の呼吸が止まる。


「この部屋……重力制御が働いているわ。つまり、ここは『鉄の間(アイアン・ステージ)』。

私たちは次のステージに強制的に移されたみたいね」


アサヒが拳を握る。

「やっぱりイヨナの仕業か……!」


だが、エリサは静かに首を振った。


「……違う。これはイヨナの仕業じゃない。彼女が用意できるレベルの遊びじゃないわ。何かがおかしい……」


その直後、ズン、と床が沈んだ。

ムツミが悲鳴を上げ、タカが膝をつく。


「な、なにこれ……重っ……!」


重力が急激に増していく。

膝が勝手に折れ、胸が押しつぶされるような息苦しさに襲われ、手足が震えて持ち上がらない。

エリサだけが、なんとか奥歯を噛み締めて立っていた。


「重力が……倍になってる……ッ」



そして殺し屋・ガルドが降臨する。


ギィィィィィ……ン!!



最初に聞こえたのは靴音。

壁が裂けるように開き、暗闇の奥から何かが歩いてくる。

次に金属が擦れる鈍い音。

そして最後に、呼吸のない沈黙。


チタン合金の義肢で身体を補強した巨体の男。

鉄槌は人間の胴ほどの重さ。

そして、表情も呼吸も無い。

ただ機械のような殺意だけが存在した。


挿絵(By みてみん)


「……任務開始。対象:ヴェスパー令嬢、及び同行者。」


「ひぃぃぃ……なにアイツ、絶対勝てないやつじゃん!!」


ムツミが青ざめて涙ぐむ。


「オレ……今までの人生の中で一番ヤベェ気がしてきた……」


タカは半分自分の人生を諦めたように言った。


ヨシマサは目が点になっている。


「おい!なんだこのデカブツは…。イヨナお姉さん、こんなの出してくるって、そりゃねーぜ」



アサヒも焦りをにじませ、エリサに問いかける。


「……エリサ、あいつはなんなんだ!?」


エリサも焦りを隠せない。


「私が知るわけないでしょ。ただ、イヨナが雇うような相手じゃないのだけは確かね」



「じゃあ、一体誰が……?」




───────────────────


同時刻。VIP監視室。



何十面ものモニターが瞬間的に切り替わり、

鉄の間の異常信号が点滅する。

イヨナはモニターの前で立ち止まり、

笑顔のまま、その瞳だけが揺れた。


「……誰?なにあれ?…。あれは何者?」


指先は震えてはいない。

だが声は冷え、凍えるように静か。


「これは私のゲームじゃない。私の檻じゃない。

なぜ……?」


その瞬間、イヨナの美しい笑みが、かすかに崩れた。


(……あれは…人間型破壊ロボティクス。こんなの…私は知らない。どういうこと…誰が?)


照明が、イヨナの影を切り裂くように揺らめき、

イヨナは椅子に腰掛け、脚を組んだ。


「いいわ。誰が主導権を握ってるのか……はっきりさせましょう?」


イヨナの後ろにいる黒服達もみな動揺している。


「すべてのモニターを映し出しなさい」


イヨナは冷たく指示した。



───────────────────


鉄の間へ戻る──B班、激突。




ガルドの攻撃が床にめり込み、火花が散った。


アサヒとヨシマサは無我夢中で鉄パイプを思いっきりぶん回す。


「おらぁあああああ!!」



エリサは、ふと壁の制御パネルを見つけ、その光を見て息を呑んだ。


「あれは…?…ステージの重力制御装置……ッ!あれを操作できれば……!」


エリサが小さく頷く。

その瞬間、ガルドが突進し、地鳴りのような衝撃に鉄槌が振り下ろされた。


「ムツミ、伏せろッ!!」

アサヒがムツミを突き飛ばす。


「ひゃあああああ!!」

ムツミは、すでにパニック状態だ。


エリサは鋭く叫んだ。

その声は、重圧の中でも研ぎ澄まされていた。


「タカ!ヨシマサ!チェーンを探して!こいつを倒すための、いい方法を思いついたわ!この重力と、頭上のシャンデリアを使うのよ」


ヨシマサとタカが焦りながら振り向く。


「ほんとに、なんとかなるのかー(半泣き)」


その時、ガルドの鉄槌が再び振り上がり、エリサへ向けて狙いを定める。


「エリサ!!危ない!」


ヨシマサが飛び込んでエリサを抱きかかえ盾になる。

瓦礫が飛び散り、エリサの腕に鋭い破片が突き刺さり、血が滲んだ。


エリサは血を拭いながらヨシマサを見た。

エリサの顔の距離がわずか10センチ。

しかもヨシマサはエリサの上に馬乗り状態で、抱いたままの状態だ。

ヨシマサは一瞬、時が止まって痛みを感じない。


(……近っ……このお嬢様、マジマジと近くで見るとメチャクチャ可愛い………)


「あ、ありがとう…あ、あの…どいてもらえる?私、動けない…」


ヨシマサはハッと我に返った。

そしてタカが叫んだ。


「エリサ!!手から血が出てるぞ!?」


タカとヨシマサは、倍の重力に耐えながら、必死に周囲を見回した。

彼らの身体は、重圧で軋んでいる。


「あったぞ!シャンデリアの昇降用のチェーンだ!」


タカが壁のフックに固定された重いチェーンを見つけた。


「よし!ヨシマサ!オレが奴を引きつける!お前はそれをシャンデリアから外して、奴に引っ掛けるぞ!」


「わかった!くそっ、体が重てぇ……!」


タカとヨシマサは、ガルドの猛攻を避け、倍の重さになったチェーンを、悲鳴を上げながら無理やりシャンデリアから外した。


その間、エリサは壁の制御パネルまで走り、重力制御装置に素早く指を走らせた。

パネルを開き、次から次へと複雑なコードを打ち込んでいく。



「あと、10秒……タカ!ヨシマサ!チェーンを奴の足に巻き付けて!!」


挿絵(By みてみん)


タカとヨシマサは、ガルドの鉄槌をギリギリでかわし、チェーンを足元に滑り込ませることに成功した。


「巻き付けたぞ、エリサ!」


タカが叫ぶ。

もう限界だ。

エリサは、最後のコマンドを叩き込む。


『重力制御――解除!!』


ドンッ!!


重力が一気に軽くなる。

タカとヨシマサは、急激な解放感で跳ね上がるように軽くなった。


「今だ!!思いっきり引っ張れ!!」


アサヒが倒れたまま叫んだ。


チェーンは、解除された重力で元の重さに戻ったシャンデリアと、ガルドの足に繋がっている。

タカとヨシマサは、軽くなった身体を利用して、チェーンを一気に引き絞った!


それに合わせて、エリサはまた重力を瞬時に倍に戻した。


ガシャアアアアアアン!!


重力が重くなった重厚なシャンデリアが、ガルド目掛けて一気に落下するとガルドの巨体が沈み、動きが止まった。


重力制御装置のパネルがゆっくりと開き、その奥から、青白い光を放つクリスタルの破片が浮かび上がった。


エリサは深い息を吐き、重力を0に戻し、クリスタルの破片を丁重に手に取った。


「これで……2つ目の鍵(フラグメント)……」



「エリサ!さっきの、あれ……」


ムツミは心配そうに聞くと、エリサはクリスタルを胸元に収め迷わず言った。


「後で話すわよ。ただ、コンピュータとか得意なだけよ。さぁ今は、前に進みましょ。ルミナがあなた達の事、心配してるはずでしょ。早く合流しなきゃ」



───────────────────


A班──鏡の回廊《MIRROR STAGE》



ルミナ、ユーキ、マキの3人は、鏡張りの迷宮で足を止めていた。

鏡の迷宮は、赤い光を反射して無限の世界を作り出している。

天井も、床も、壁もすべて鏡。

ルミナは鏡を睨みつけた。


(ここ……ただの迷路じゃない。)


その中心に立つルミナの姿が、何百にも増殖していた。

その瞬間、鏡から何かが現れた。


ルミナと同じ髪型。

同じ瞳の色。

ただし……その表情には怒りも憎しみもない。

空っぽのルミナ。


鏡の奥、微かに誰かの声が響いた。

『……ルミナ……?』


「え!? 今なんか聞こえなかった!?」


マキが震える声でルミナの腕を必死に掴む。


(……誰……?違う……これは幻覚……

でも、この温度、この響き……本物みたい……)


鏡の奥に手を伸ばすと、

別の自分がそれを掴もうと伸ばしてきた。


その瞬間、鏡が砕け散り、無数の自分が、無音で滑るように突進し迫ってきた。



「キャー!ちょっと!!!増えてるじゃん!!!」


マキは泣きそうな顔で、恐怖のあまりルミナにぴったりとしがみついた。


「無理だろこれぇぇぇぇ!!」


ユーキも焦り気味だ。



分身は無表情のまま次々と攻撃を繰り出してくる。

痛みを恐れず、感情もないからブレない。



ガンッッ!!


挿絵(By みてみん)


拳がぶつかり火花のような破片が宙に舞う。



(こいつ……私の癖を全部読んでる……正面からは無理……なら…)


ルミナは頭の中で一瞬で作戦を組み立てるが、背中にものすごい力で密着している温もりを感じて、ふと動きを止めた。

ルミナはちょっと困ったような顔をして、背中を振り返る。


挿絵(By みてみん)


「ちょっ……ねぇ、マキ?? 後で、いくらでもしがみ付いていいから、ちょっと今は離れて下がっててもらっていい?」


マキはハッとなり、顔を真っ赤にして慌ててルミナから離れた。


「え? あ……、ご、ごめんルミナ(恥)」


ルミナは苦笑いをすると一瞬で鋭い眼の顔に戻った。


「大丈夫よ。あいつらは私じゃない!」


分身の拳が目の前に飛んできた瞬間、ルミナは深く重心を落とし、鏡の壁を強く蹴って、真上へと高く跳んだ!


「ハァーー!!」


分身の動きがピタリと止まる。

空中から見下ろすルミナの声が響いた。


「人間は完璧にはコピーできないのよッ!!」


ルミナは空中から、偽ルミナの体のバランスが最も崩れている場所へ、狙いを定め、回し蹴りを叩き込んだ。


バキィィィッ!!!



ルミナの回し蹴りが分身の頭部を砕き、鏡が粉々に散らばった。


ルミナは右足を強く踏み込み、鏡の世界全体に振動の波紋を走らせた。

鏡の床が揺らいだ瞬間、偽ルミナたちの立っている床だけが沈む。


(本物の重心だけ見ればいい……

本物の呼吸だけ聞けばいい……

本物の私は……ここにしかいない。)


ルミナは一瞬、笑みを浮かべた。



「見つけた……本物の影。そこね…!!やぁーーーー!!」


彼女は反射光の中へ飛び込み、分身の本体を打ち砕いた。



ズドォンッ!!!


最後の分身を打ち砕いた瞬間、鏡の迷宮全体に亀裂が走る。


台座に浮かび上がった2つ目のクリスタルを、ルミナは素早く手に取った。


「ルミナあぁぁ!!!」


マキが叫ぶ。

足元の床が崩壊を始めていた。



ルミナはマキとユーキの方に振り向いた。


「2人とも走って!!」


「ヤバい、崩れるぞ!!」

ユーキがマキの腕を掴み走り出す。


鏡の迷路が崩れ落ち、

三人は光の向こう側の薄暗い廊下へ転げ落ちるように飛び出した。


「はぁ……はぁ……マジ死ぬかと思った……!」

マキが息切れする。


ルミナが睨んだ廊下の先には、次のステージの名前が、青白いネオンで浮かび上がっていた。


「……まだ続くの……?(泣)」


マキはまたルミナにしがみついた。



A班──次の舞台へ。


《ABYSS STAGE (深淵の回廊)》


「大丈夫。さっきだってなんとか乗り越えてこれたじゃない」


ルミナはマキに向かって笑みを浮かべながら言う。


そしてルミナの紫色の瞳が、闇の奥で静かに光った。




───────────────────


B班──次の舞台へ。



鉄の間を突破したB班。


ムツミは常に半泣き状態だ。


「もう無理ぃぃぃ!!こんなの命がいくつあっても足りないよぉ!!」


アサヒが息を整えながら言う。


「で?エリサ、時の間ってどんな場所だ?」


エリサが静かに説明する。


「制限時間付きのパズル迷宮よ。失敗すれば、たぶん天井が落ちるわ」



「安心しろムツミ!オレたちはエリサお嬢様のワンちゃんだからな!!」


「よし、帰るか!」


タカとヨシマサは誇らしげに言うが、エリサは呆れ顔になっている。


「これで帰れるなら苦労しないわよ!!バカな事言ってないで、なんとかするのよ」


エリサたちは、次のステージの扉へ向かう。


扉には、薄く青い光。

《CLOCK STAGE : ACCESS PERMITTED(時の間)》


エリサは一度だけ振り返った。


(ルミナ。あなたの方は今どうなってるの……必ず無事に合流しましょうね)


そして扉が開いた。



次回

《PROJECT∞HEART-X 第37話》

( ── LUNAEDGE編 第13話:刻の迷宮と深淵の闇 ― 試される絆)

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