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PROJECT♾️HEART-X─その涙に宿る心と絆─  作者: 陽月勝也
【第二章: ◇─ 蒼月の伝説・空白の五年─ 】       ─鋼の心が人間の鼓動を取り戻すまで─               ─ LUNAEDGE編          
35/45

◇《第32話 エクリプス・ホールの閃光》

【LUNA EDGE ─ チームの元気印・ムードメーカー】

挿絵(By みてみん)


私はマキ!


難しい話は苦手だけど、楽しいことなら誰にも負けないよ♪

私は楽しいことが大好きなんだ!


みんなで笑って、騒いで、美味しいもの食べて……

そんな時間が一番幸せ♪


落ち込んでる仲間がいたら?

もちろん放ってなんておけないよ!

本編では、私らしく思いっきり盛り上げちゃうから、楽しみにしててね♪


それじゃ、本編で待ってるねっ♪



夜中のトワイライト・メトロポリス。

遠くでパトカーのサイレンが一瞬だけ鳴り、すぐに闇へと溶けて消える。

その静寂を切り裂くように、LUNA EDGEのバイクのテールランプが、霧の中を一直線に走り抜けていく。


ムツミのバイクの後ろに乗ったルミナは風を受けながら、遠くに浮かび上がる巨大な建造物を見据えた。


かつて黄金時代のステージだったその劇場は、今では朽ち果てた闇の殿堂。

ガラスの破片が風に鳴り、崩れかけた看板のネオンが微かに点滅する。

紫と群青の光が交錯し、まるで廃墟自体が過去の亡霊を抱いているかのようだった。

LUNA EDGEのバイクが、古びた旧市街の廃墟街へと滑り込んだ。

バイクを止め、全員が息を殺して周囲を見渡す。

重苦しい空気。

どこからか、軋む鉄骨の音が響き、ルミナの髪が微かに揺れた。


「……ここね。ECLIPSE HALL。」


ムツミの声は、低く張り詰めていた。



──ECLIPSE HALL。


かつては華やかだったであろう巨大な劇場は、今やトワイライトの闇に飲み込まれ、無数のひび割れた窓ガラスが不気味に空を映している。


「あそこだ!」


アサヒが指差した先、劇場の裏口に、見覚えのあるユーキのバイクが、乱暴に倒れ込むように放置されていた。


「やっぱり罠だった!」


ムツミが声を上げた。



「チッ!あの馬鹿め!」


アサヒが吐き捨てる。

彼の表情は、怒りよりも仲間の身を案じる焦燥に歪んでいた。


アサヒがハンドライトを点ける。

光の輪が、朽ちた壁と埃の舞う階段を照らし出す。

ルミナの紫の瞳が、その光を反射して鋭く光った。


「ユーキは……きっと中にいる。」

その言葉に全員が頷き、静かにホールの扉を押し開けた。



──ギィ……。



音が響いた瞬間、街の喧騒は完全に遮断された。


中は闇。


わずかに残る月光が、割れた天窓から舞台を照らしていた。

内部は埃とカビの臭いが充満し、LEDのハンドライトの光だけが頼りだった。

埃が光の粒となり、ゆっくりと空中に舞う。

それはまるで、かつて拍手と歓声を浴びた記憶の残響。


ルミナが一歩、踏み出した。

靴音が静まり返った空間に反響する。

その音だけが、彼らが生きている証だった。

彼らはホールの裏口から漏れる荒々しい怒声を聞きつけ彼らはユーキの怒声が響く方向へ廊下を突き進む。


ユーキは、ヘイズと思われる6人組に囲まれ、ボロボロになりながらも、決して目を逸らしていなかった。


「お前ら!関係ねぇ奴は引っ込んでろ!」

ユーキが叫んでいる。


「ユーキの声だ。行くぞ!」

アサヒの号令が飛ぶ。


廃墟の裏口から、タカとヨシマサが先陣を切って突入した。


ドォンッ!


ヨシマサがその巨体で裏口の木枠を破壊するように壁をぶち破るように突入し、そのままリーダー格の男を体当たりで吹き飛ばした。


「オレたちの仲間に手ェ出すんじゃねぇ!」


挿絵(By みてみん)


タカが叫び、背後から迫る敵の拳を掴み、そのまま強烈なカウンターで沈める。


「ムツミ、マキはユーキをカバー!タカ、ヨシマサは残りを頼む!」


アサヒが冷静に指示を出した。

ムツミとマキは、素早くユーキを立たせて庇い、接近するチンピラの足元を払い、体勢を崩したところを肘で打ち込むなど、女性らしい速さと正確性で対応する。


ユーキは、ムツミに支えられながらも、自らの焦燥が生んだ状況に悔しさを滲ませていた。


その時、ヨシマサに吹き飛ばされたはずのリーダー格の男が、立ち上がり、タカとヨシマサの死角からユーキと女性陣に向かって突進した。


「テメェらから殺してやる!死ね、ガキ!」


その刹那、時間感覚が引き延ばされたかのように感じられた。

ユーキは振り向く間もなく、絶望的な一撃が背中に迫るのを感じた。

全てが停止したかのように感じられた。


ルミナが、ムツミの背後から動いた。

ただ、ユーキの命の危機という状況が、彼女の非凡な身体能力を強制的に覚醒させたのだ。

それは人間の反応速度を超えた、異常な加速だった。


ヒュッ――


誰も、ルミナがいつ、どう移動したかを視認できなかった。

まるで、一歩で十メートルを駆け抜けたかのように、

次に視界に映ったのは、ルミナがユーキとムツミを庇って立っている姿だった。

ルミナは、男の手首を、ただ掴んでいた。


彼女の淡い紫色の瞳は、照明の届かない闇の中でも、冷たい輝きを放っている。

ルミナは、掴んだ手首を、一切の躊躇なく、最小限の動作で捻った。


ゴキッ!!


鈍い音が、廃墟に響き渡る。


男は、悲鳴すら上げられず、白目を剥いて床に崩れ落ちた。

ルミナはそのまま男の手首を離し、何事もなかったかのように、ユーキの前に立った。


ルミナの一瞬の制圧は、残りの男たちの戦意を完全に喪失させた。

彼らは、人間離れしたルミナの強さに怯え、武器を捨てて逃げ出した。


廃墟と化したエクリプス・ホールに、LUNA EDGEの息遣いだけが響く。

タカとヨシマサが敵を縛り上げている間、アサヒは床に膝をついたままのユーキに駆け寄った。


ユーキは無事だった。


しかし、独断専行で仲間を危険に晒したこと、そしてルミナに命を救われたことへの自責の念で、顔を上げることができなかった。


「……すまない、みんな……ルミナ……」


ユーキの声は、震えていた。

廃墟と化したエクリプス・ホールに、重い沈黙が広がっていた。


「立て、ユーキ」


アサヒの声は、静かだが、強い怒りを含んでいた。

ユーキは、ゆっくりと顔を上げたが、その目には後悔と惨めさが浮かんでいた。


「……すまない、アサヒさん。みんな……オレが、焦って勝手に……」


ユーキは、恋人のユウラの情報に飛びつきたかったが、結果として仲間を、そしてルミナを危険に晒した。

アサヒは、ユーキの襟首を掴み、力強く立ち上がらせた。


「馬鹿野郎!わかってるなら、二度と独断専行なんてするんじゃねぇ!」


アサヒの怒声が、廃墟に響き渡る。

だが、その瞳は真っ直ぐで温かい。


「オレたちは、仲間だろ。誰一人欠けちゃいけねぇ。ユウラはみんなで必ず見つけよう。だが、そのためにお前が無駄に怪我をする必要なんてない。自分をもっと大事にしろ。それにオレたちを少しは信じろよ」


ムツミが優しくユーキの肩に手を置いた。


「ユーキの気持ちは痛いほどわかるわ。でもね、ユーキ。焦りが判断を狂わせる。ルミナが危険を察知してくれて本当に良かったわ」


マキも頷く。

「私たちを信じて。ね?」


ユーキは、仲間の絆の温かさに、ようやく理性を呼び戻した。

彼は、深く息を吐き、改めてメンバー全員を見た。


「……ありがとう、みんな。もう、勝手な真似はしない」


タカとヨシマサが、意識を失っている男たちをロープで拘束する。

ルミナは、誰も座っていない客席を見上げながら、冷静に状況を分析していた。


「この場所には、待ち伏せの気配しかなかった。マスターの情報通り、イヨナが仕掛けた中継地点ね」


「チッ、本当に厄介な女だぜ、イヨナってやつは」


ヨシマサが吐き捨てる。

その時、ルミナに手首を折られたヘイズのリーダー格の男が、床で呻きながら、薄っすらと目を開いた。

その目には、敗北者の憎しみが宿っている。


「ネズミが7匹ひっかかったな。バカな奴らだ。

罠とも知らずに」


その時、逃げ帰った奴らが仲間を引き連れて中からゾロゾロと大人数が集結してきた。

出入り口も塞がれいつのまにか囲まれていた。


「お前ら、イヨナ様が流した餌に、まんまと食いつきやがったな」


男は、嘲笑を浮かべる。


「だが、本命はそこじゃねぇ……イヨナ様は、お前らの探してる奴らに繋がる手がかりを、知ってる。オレたちはその邪魔をさせない為の足止めだ。

そしていつもの事ながら、殺すなと言われている。

だから殺しはしないが動けないくらいに痛ぶってやるぜ」


総勢30人近いヘイズの男たちが、ホール内を埋め尽くす。

アサヒたちは、その数に戦慄した。


「オレ達を倒さないとイヨナ様のところに行けないぜ、諦めな」


リーダー格の男が、血走った目で叫んだ。

その瞬間、ルミナが一歩、前に出た。


ルミナは、全員を見渡し、余裕綽々の笑みを浮かべる。

その淡い紫色の瞳は、敵の数を全く意に介していない。


「へえ。あんたたちを全員倒せば、ここを出てイヨナって女のところに行けるのね?なによ、簡単なことじゃない」


ルミナは、二人にだけ聞こえる優しい声で言い放った。


「ムツミ、マキ。危ないから後ろに下がってて」



そして、ルミナは男性陣(アサヒ、ヨシマサ、タカ、ユーキ)に振り返る。


「みんな、ムツミとマキをお願いね」


アサヒは驚愕し、止めようとした。


「おい、ルミナ!お前…」


ルミナは、それを冷たい瞳で一蹴した。

ルミナは、敵の群れに向かって、挑戦的な笑みを浮かべる。


「ざっと数えた感じ30人くらいね。相手は私1人よ。面倒だから、全員でかかってらっしゃい」


敵の男たちは、一斉に嘲笑した。


「何だこの女は、頭イカれてんのか! 1人でオレらを何とかできると思ってんのか!」


30人近い男たちが、一斉にルミナに向かって殺到する。

ルミナは、突進してきた男の鉄パイプの下を、驚異的な柔軟性で潜り抜ける。

その勢いのまま、男の胸部に肘打ちを打ち込み、体勢を崩した。

敵の攻撃を受け流すのではなく、空間ごと支配するような動きを見せる。

彼女は、崩れた男の背中を支点にして、後方に向かい宙返りで飛び上がり、頭上から迫る二人の男の顔面に両足をヒットさせる。

着地したルミナは、床に倒れ込むように体を沈ませ、敵の足首を連続で払い、数人をバランスを崩させる。

バランスを失い、無防備になった男たちに対し、ルミナはまるでバレエのステップを踏むように、素早く地面を滑りながら接近。


パキン!!


甲高い音と共に、敵の手首の関節や膝裏を、素手で正確に打ち抜く。

彼女の一撃一撃は、急所を捉え、相手の戦闘能力を完全に奪うことに特化していた。


特に、マキとムツミに迫ろうとしていたリーダー格の男に対し、ルミナは無表情のまま、凄まじい勢いで接近。

ルミナは、男の背後に回り込み、片膝を地面につけ、背筋を伸ばしたまま、身体全体をバネのように使い、男の背中に飛び乗った。


「あ…!」


男は、重みと恐怖で息を詰まらせる。

ルミナは、男の首に腕を回し、そのまま体重と遠心力を利用して、床に叩きつけるのではなく、壁に叩きつけた。


ドゴォン!


鈍い衝撃音が響き渡り、男は壁からズルズルと崩れ落ちた。

ルミナは、壁を蹴って優雅に着地した。


その間、わずか3分。


彼女の姿は、武術や格闘技と言うより優雅なアクロバティック・ダンスのようだったが、その結果はあまりに異次元レベルだった。


「な、なんだ、今の動きは……!」


アサヒは、ルミナの動きを目で追うことすらできなかったことに、戦慄を覚える。

その光景に、LUNA EDGEのメンバーは、言葉を失っていた。

ムツミとマキは、感激と尊敬と、そして恐怖が入り混じったような、涙目の表情を浮かべる。


「ホント……この子、毎回毎回凄すぎて…なんなのよ……」


ムツミが、震える声で絞り出す。


「ルミナってどれだけの強さ、隠し持ってるの……」


マキは、両手で顔を覆った。

男性陣は、あっけに取られて、言葉が出ない。


「綺麗な脚だと思っていつも見てたけど、もう見惚れるのは辞めよう…あれはもはや脚ではなく、恐ろしい凶器そのものだ…」


ヨシマサは思考が停止し、1人で頷いていた。


ルミナは、淡い紫色の瞳に、一瞬で冷静さを取り戻した。


「ほら。終わったわよ。全員、ここから出られるようになったわ」


彼女は、何事もなかったかのように、乱れた髪を直す。

ルミナは、倒れた敵の群れを跨いで、すぐさま走ってムツミとマキの前にきた。


「マキ、ムツミ、大丈夫?もう終わったよ」


そしてルミナは振り返りそのままユーキの前に来て手を差し出した。


「さぁユーキ、立てる? 勝手に突っ走ったら危ないでしょ!少しは心配してたみんなの身にもなって!

あなた以外みんな罠ってわかってたのに、あなたの為だけにここまできたのよ!」


ツンとして怒った口調だが、安堵と優しさが混じっている。

ユーキは、ルミナに命を救われ、そしてその圧倒的な力の前に、言葉を失っていた。


アサヒが、男に詰め寄ろうとした、その刹那。

男は、懐に隠し持っていた小型の起爆装置を押した。


「これでもう、終わりだ!」


シューッという音と共に、男の体の周辺から濃密なガスが噴出する。


「な、なんだ!まさか毒ガス…みんな逃げろ!」

タカが叫び、ムツミが悲鳴を上げた。


アサヒは、とっさにルミナとムツミ、マキの3人を庇う。

だが、ルミナはその時ガスの中に立ち尽くす男の、手元に視線を落とした。

男が手に握っているのは、起爆装置ではなく、ホログラムデバイスだった。


「違う。これはガスではなく、目眩ましだわ」


ルミナは、男の傍に転がったホログラムデバイスを拾い上げ息を整える。

ガスが晴れると、ヘイズの男はすでに消えていた。

逃走のための目眩ましだったのだ。


「チクショウ、逃げられたか!」


ヨシマサが悔しがる。


「待って」


ルミナは、手に握ったホログラムデバイスを起動させた。

カチッという音と共に、淡い紫色の光が夜の闇に浮かび上がる。


挿絵(By みてみん)


そのホログラムには、ある画像と、その下に奇妙な暗号、そして


『スカイ・カジノ B-17 Sky Casino – Area B9(119階)ゲスト招待枠。コード:NX-117』


という座標が映し出されていた。


「ここにきっとユウラが…」


ユーキが、画像に飛びつく。

アサヒが、座標を睨む。


「やっぱり、マスターの情報は正しかった。カジノが本命だ。ここに来いって事か。」


ルミナは、ホログラムを見つめながら、強い予感を抱いていた。


(イヨナ……この女は、おそらくユウラだけでなく、私の失われた記憶に繋がる、決定的な鍵を持っている……!)


ホログラムが消え、再び闇に包まれた廃墟の前で、ユーキは深く頭を下げた。


「みんな……本当にごめん。オレの独断専行で、全員を危険に晒した。深く反省している。もう二度と、勝手な真似はしない」


アサヒは、無言でユーキの肩を叩いた。


「まぁ、仕方ないさ。オレたちは、お前の焦りを理解してる。みんな心配してたんだぞ」


ユーキは顔を上げ、強い決意を瞳に宿した。


「わかっています。冷静にならなきゃ…。みんなで行きましょう。『スカイ・カジノ』へ!」


LUNA EDGEは、再びバイクに跨り、トワイライト・メトロポリスの中心部、スカイ・カジノを目指して前に進もうとしていた。


ムツミのバイクの後ろに乗り込んだルミナは、風を受けながら、静かに状況を整理した。


「カジノの裏手にあるプライベート・サロン、『B-17』。ヘイズの幹部がいるということは、イヨナはヘイズの庇護下にあるか、あるいは彼らと取引をしているわね」


そしてアサヒが、無線でメンバーに呼びかける。


「スカイ・カジノは、トワイライトで最も警備が厳重な場所なのは間違いない。警備も服装規定も、かなり厳しいはずだ。ドレスコードを用意して、明日の夜、早速乗り込もう」


ヨシマサが不安げに言う。


「このままの格好じゃ、裏口にすら近づけねぇぞ。ヘイズの奴ら以前に警備員に止められるのがオチだ」


「マジかよ。ドレスコードか。オレたちに、そんな小洒落た格好ができるのか?」


「そこが問題だ。カジノに潜入するには、上流階級の客に見えるように、完璧に変装する必要がある。紳士淑女の装いと、それに見合うだけの情報も必要になる。クソッ…どうすりゃいいんだ……」



アサヒは引き締まった声で言った。


トワイライトのネオンが、彼らが目指すスカイ・カジノを煌々と照らしている。

遠目に見ても、その威容は圧倒的だ。

カジノに近づくにつれて、ルミナの淡い紫色の瞳に、再び強いざわめきが走る。

その感覚は、エクリプス・ホールで感じた微かな違和感とは比べ物にならない、強い磁力のようなものだった。

ルミナは、胸のざわめきを静かに受け止める。


(このざわめき……まるで、私の一部が、あそこに呼ばれているみたいだわ)


ルミナは確信する。


「あそこには、私が忘れてしまった大切な記憶に繋がる、何か決定的なものがある……」


その予感は、ルミナにとって、単なる情報収集ではなく、失われた自分自身を取り戻すための、運命的な旅の始まりを告げていた。

そして明日の夜、ルミナ率いるLUNA EDGEのメンバーは煌めく空の闇の宮殿『スカイ・カジノ』を目指し、夜のトワイライトを疾走する。


エクリプス・ホールの出来事が終わり、みんなゲストハウスに戻った後…

ルミナたちは資金と衣装の課題に直面し、ユーキの焦りで仲間内に緊張が走っていた。

そしてその日は皆、疲れ切っていつのまにか眠りについた。


みんなの寝息がする中、1人眠れず、横になりながら天井を見つめ、考え事をしていた。


ルミナの目の前に、フワッと歳上の1人の男とポニーテールの歳下らしき女の子の2人のシルエットが浮かび上がる。

だけど、影だけでそれが誰なのか、わからない。


「この2人はいったい、誰?。思い出したいのに……なのに…思い出せない…2人は私にとって大事な誰かなの?………わからない……思い出せない。私はどうすればいいの……レイトって誰なの……誰かわからないのに、なんでだろう。…会いたいよぉ…………うっ…グスッ…」


ルミナは弱々しい、か細い声で1人呟いた。


そして、涙が勝手に頬を伝って流れ落ちる。

部屋の中は時計の秒針の音とルミナの泣き声だけが静かに響き渡っていた。


挿絵(By みてみん)


アサヒは反対側を向き、寝たふりをしていたが、

しっかりとルミナの涙を流しながら1人で呟いた言葉を聞いていた…


(ルミナ……お前。やっぱり何か人に言えない切ない出来事を1人で抱え込んでるんだな。どんなに心では強がってても、女の子だもんな)


そしてルミナの泣き声にムツミとマキも目を覚ました。


(えっ……ルミナ……? ルミナが泣いてる……?)


二人は暗闇の中で息を呑み、そっとルミナのいる方

を見つめた。

次回

《PROJECT∞HEART-X 第33話》

( ── LUNAEDGE編 第9話:天空の檻 ― スカイ・カジノ・B9)



─── 作者のクリエイターズ・ノート ───


第32話をお読みいただき、本当にありがとうございました!


圧倒的な強さで30人をねじ伏せたリーダーのルミナ。

しかし、夜の闇の中で隠れて見せた涙と、思い出せない大切な二人のシルエット……。

彼女が一人で抱え込む過去の切なさに、胸が締め付けられる結末となりました。


そして、真の本命である舞台『スカイ・カジノ(119階)』。

ですが、立ちはだかるのはトワイライト・メトロポリスで最も厳重な警備と、上流階級しか許されない過酷なドレスコード……。

服装規定どころか、裏口に近づく資金すらまともにない今のLUNA EDGEに、あの天空の宮殿へ潜入する術はあるのか…?


アサヒの「どうすりゃいいんだ」という言葉通り、チームはかつてない高い壁に直面することになります。


『ルミナの涙の理由が気になる!』

『この絶望的な状況から、一体どうやってカジノへ潜入するの!?』

と思ってくださった方、ぜひ次回をお楽しみください。



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よろしくお願いします(*´∇`*)


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