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PROJECT♾️HEART-X─AIでも人間でもない…その涙に宿る心と絆─  作者: 陽月勝也
【第一章: (表)☀️リア・ライラ─ 太陽に踊る波音】 ─太陽と月が交わる時─リア編
2/13

☀️《第1話 波に抱かれる少女》

【サウス・ベイサイドタウン】


挿絵(By みてみん)


遥か西に位置する最大の超大都市トワイライト・メトロポリスの巨大な都市から南へ下り、『シーサイド・ゲートウェイ』という長い海沿いの道を抜けた先に存在する、賑やかな海岸沿いの大きなリゾート地である。

夜はネオンと陽光が煌めき、活気あふれる巨大なウォーターフロントの繁華街。


ここは、サウス・ベイサイドタウン。


この街は、巨大な物流拠点である

『サウス・マリーナ』


挿絵(By みてみん)


『アクアマリン・ハーバー』(深港)

が経済の中心を担う、活気あふれる大きな港町である。


『クリスタル・ポート』の中心には洗練された超巨大なショッピングモールが並ぶ大型商業施設オーシャン・ギャレリアが賑わう。

陽光が降り注ぐ時間帯は、青く透き通った海に白い砂浜の美しいビーチとリゾート地だ。


この『クリスタル・ポート』と呼ばれるエリアに、多くの観光客やファミリーが集い、華やかで明るい顔を見せる。

しかし、夜が訪れると様相は一変し、

海岸沿いは夜の熱狂に包まれ、派手な女の子たちが集う歓楽街は『セカンドストリップ・アベニュー』と呼ばれる場へと変わる。


挿絵(By みてみん)


その熱気は常に危険と隣り合わせだ。

煌びやかな光の裏側、港の倉庫街や廃墟が広がるエリアは、ディープな裏社会へと変貌する。


錆びた貨物船と重機が並ぶ暗くて重い工業地帯の埠頭は『スチーマー・ドック』として機能し、『闇取引』『密輸』『危険地帯』闇の取引の匂いが染み付いている。


挿絵(By みてみん)


そして、この近隣のオフィス街を堺に『ウエストエンド・エリア』と呼ばれる区域へと変わる。

ウエストエンド・エリアは、別名『ディープ・ゴーストエリア』と呼ばれるもう一つの名前が存在する。


そこは強大なギャングたちの巣窟と化し、この街の裏側を支配している。

そして真の地獄は、この先から始まる。

この街の最深部、『ダークネス・サイドコースト』と呼ばれる区域は、三重の闇と言われる光と法が完全に死滅した別世界である。

『ラグーン・ストリート』

ここが、サウス・ベイサイドタウンの『表』と『裏』、二つの世界を隔てる境界線だ。

このストリートは、常に血と暴力の取引が行われる闇のストリートであり、この線を超えた者は、人間の尊厳を失うことを強いられる。

その先に広がるのは、

『ブラインド・ゾーン』

『デッドロック・エリア』

『ゼログラウンド』

と名付けられた、警察すら無介入の絶対的な無法地帯のスラム街である。

そこは、トワイライト・メトロポリスや他の大都市からの支配構造から見放された、『魔のトライアングル』と言われる地獄の三重スラムである。

サウス・ベイサイドタウンは、トワイライト・メトロポリスの支配の目から逃れた者たちが集う『居場所』でありながら、同時にその最深部には、最も危険な『裏の顔』を内包する、光と影の最前線なのである。


西暦XXXX年──。


人間とAIの境界が急速に曖昧になりつつある時代。世界の奥深く、誰も知らない場所に、秘密のベールに包まれた施設が存在していた。


地下150階にも及ぶその極秘研究施設で密かに進行するのは、人類の未来を左右する未公開プロジェクト──「Project H.E.A.R.T.(Human Emulation and Artificial Resonant Technology)」。


表向きは、AI技術を駆使した最新医療の開発拠点。

しかし、さらに地下へと潜る下層地帯へ進むと、そこには限られた者しか立ち入ることが許されない特別区域が存在していた。



そこにあるものこそが、このプロジェクトの『本当の顔』なのである。


その最深部、一際異彩を放つ天才的な頭脳を持つ男がいた。

プロジェクトの要たる彼は、しかし、誰にも明かせない『もう一つの秘密』を抱えていた。


男が個人的に、密かに開発を進めてきたプロトタイプ。

そのコードネームは──。


そして、その向かい側…。


男の背後、強固な防弾ガラスの分厚い人体カプセルの中に、人間のシルエットをしたなにかが眠っている。


人間?

いや、人の形をしているだけで、人間ではない何か……。

ロボット?

いや、ロボットでもない……!


シューーーッ……。


耳鳴りのような凍りつく高周波の駆動音が暗闇に響く。

厚い硝子の向こうのカプセルの内部、深淵そのもののような漆黒の影。

格納フレームに固定されていたのは、医療の枠を遥かに踏み越え、人型フレームをベースに、極秘裏に転用された恐るべきテストタイプ。


……トクン、と。


闇の奥底から、静かな、けれど確かに世界を震わせるような脈動が響く。


それは、本来この世界に存在してはならない、禁忌のテストタイプ。


人工肉体と最新の駆動ユニットが融合したその漆黒のシルエットは、感情など一切持たず、ただ標的を抹殺するためだけに生み出された『脅威』そのものだった。


不気味なエネルギーラインと、暗闇の中で深紅にぎらつくセンサーの眼。

最高峰の科学が組み上げた、冷酷にして無慈悲なシステムが、静かに覚醒の時を待っていた。


世界のため、世の中のためと謳われたその技術は、知らぬ間に牙を研ぎ、世界の破滅へと向かう『悪夢の序章』を奏で始める。


これこそが、のちに世界を震撼させる、すべての始まりとなる。




────────────────────



遥か西に位置する最大の超大都市トワイライト・メトロポリス。

その巨大な都市から南へ下り、シーサイド・ゲートウェイという長い海沿いの道を抜けた先に存在する、賑やかな海岸沿いの繁華街。

ここは、サウス・ベイサイドタウン。

この街は、巨大な物流拠点であるアクアマリン・ハーバー(港)が経済の中心を担う、活気あふれる海沿いの大きな港町だ。

そして、海が綺麗な洗練されたリゾート地でもある。


そして今日も1人の少女が浜辺で大好きなサーフィンの練習で

励んでいた。

彼女の名はリア・ライラ。

プラチナブロンドに淡いエメラルドグリーンのメッシュの元気で明るい女の子だ。


挿絵(By みてみん)


朝焼けに染まる水平線が、ゆっくりと金色にほどけ、夜の闇が少しずつ薄れてゆく。

朝の海は、まだ眠っているかのように静かだった。

潮風に混じる塩の匂い、打ち寄せては消える波のリズム。

それはまるで「今日も挑んでこい」と背中を押されているようで、リアの胸を高鳴らせる。

リアは一人、サーフボードを抱えて浜辺を歩いていた。

健康的な小麦色の肌に浮かぶ笑顔。

プラチナブロンドの髪を高く結い上げ、緑のメッシュが朝日を浴びて揺れる。

それはまるで海に映る光の粒のようにきらめく。

彼女の目は、まだ眠たげな海の彼方を真っすぐに見据えていた。


「よしっ、いっくよー!」


誰に聞かせるでもない声。

胸の奥のエンジンを、そっとかける合図。

ボードを砂に立てかけ、髪をゴムで結い直す。

海に飛び込んだ瞬間、冷たい潮の感触が足首を洗い、胸の奥に火が灯る。

沖へ向かってパドリングし、波を待つ。


パドル、パドル。

腕と背中で水を裂くと、眠そうだった身体に血が巡る。

寄せては返す白いうねりが肩を越え、顔を濡らしていく。

やがて、背後から力強いうねりが押し寄せるのを感じた。


セットの三本目。

角度、呼吸、心拍、全部が合う瞬間は、音が遠のく。


テイクオフ。

重心を前に置き、膝を沈め、視線は先。

ボードの下で海がひとつにまとまり、彼女を押し上げる。

右へ切る。

朝日が水面で弾け、頬に明滅の粒が跳ねる。

ターンは滑らか、ラインは細い。


寄せては返す波は、まるで彼女の迷いを映すように、ときに優しく、ときに厳しく身体を包み込む。沖へ向かってパドリングする腕は、水面を裂くたびに、過去の記憶を洗い流していくようだ。


「よし!今度こそ」


だが…

サーフボードに乗り、波をつかもうとした瞬間、大きなうねりにバランスを崩し、派手に海に叩き落とされた。


「わっ、うわぁぁぁ!!」


ドボンッ!


顔を出したリアは咳き込みながらも、空を仰いで大声で笑った。


「っはははは!またやっちゃったー!」


その笑顔は、太陽みたいに眩しかった。

失敗と笑顔の理由

ほんの一瞬だけ、眉間に影が差す。


「どうして…こんなに下手なんだろう」


「なんで、思うようにできないんだろう」


そんな悔しさが、胸の奥でちくりと疼く。

昔、『センスないね』と言われた言葉が

頭の中をやまびこのように何度も行き渡る。

誰にも見られていない海辺で、リアは今日も転び、砂まみれになる。


派手に海に叩き落とされ、全身びしょ濡れ、砂まみれで浜辺に這い上がる。

ふと、波打ち際に流れ着いたコンビニのおにぎりを拾い上げた。


「あーー!私が買ってきたおにぎり…!うそぉ〜波に流さられそうだっのかぁ…」


砂がついていないか確認して、躊躇なくかぶりつく。

塩辛い海の味と、ほんのり甘いお米の味が混ざり合い、彼女の頬が緩む。


「はは、これもう、塩むすびじゃん」


誰も見ていない浜辺で、彼女はまた一つ、失敗を笑い飛ばした。


「げほっ…うゎぁ〜しょっぱ〜!……ははっ!」


顔をしかめながらも、すぐに笑顔に変える。

それは「笑うことで心を守る」癖だった。

泣きそうになると、口角を上げる。

苦しくても、ふざけてみせる。

本当は悔しくて、胸がきゅっと痛むのに。


「私が太陽みたいにいつも明るく笑ってるのはね……泣かないためなんだ…」


小さく呟いた言葉は、波にさらわれて消えていった。

何度も転んで、砂まみれになり、膝をすりむき、そして髪はぐちゃぐちゃになった。

その度に無邪気に笑い、立ち上がった。

そうして繰り返した数えきれない失敗が、彼女をここまで連れてきた。


再び沖へ出て、波を待つ。

今度はさっきよりも落ち着いてボードを操る。

うねりが背を押し上げた瞬間、足を踏み出して立ち上がる。

今度はなんとかできた。

風が頬を撫で、波が背中を支える。

ボードの先端が海面を切り裂き、飛沫が虹を描く。

リアは声にならない歓喜をあげながら、一直線に波を駆け抜けていった。


「やったぁぁぁぁ!」


砂浜まで乗り切り、波が静かに引いていく。

息を弾ませながらボードを抱きしめる。胸の奥にじんわりと熱が広がる。

けれど、その達成感の後に押し寄せるのは、どうしようもない孤独だった。

輝きの裏にある孤独…


まだ朝の海辺には誰もいない。

彼女の勝利を称える拍手も歓声もない。

ただ波と風だけが、彼女の笑顔を見ていた。

海から上がり、砂浜を歩く。

びしょ濡れで、足元には砂がべったり。


「うわ、最悪〜!砂まみれじゃん!」


笑いながら手でポンポン叩くけど全然取れない。

天然なおっちょこちょいぶりに、自分自身に呆れてしまう。

リアは空を見上げる。

太陽が顔を出し、彼女の髪を照らした。

だが、その光に目を細めながら、彼女はまた頑張って笑った。


息を弾ませながらボードを抱きしめる。

胸の奥にじんわりと熱が広がる。

誰もいない静かな海。

彼女の勝利を称えるのは、ただ波の音だけ。

風が頬を撫でる感覚は、まるで誰かがそっと頭を撫でてくれているようだった。


笑顔は、孤独を隠す仮面。

でもその仮面があったからこそ、いつも元気でやってきた。そして今日も波に挑む勇気を持てた。

今日も頑張ったけど、だけど…


「なんで私はこんなに下手なんだろ…」


彼女はボードに座り込み、砂まみれになった膝を見つめた。


「でも、笑っておけば、どうにかなるか」


誰にも聞こえない声でつぶやき、そしてまた笑う。

まるで自分に言い聞かせるように。

海から上がった後、彼女は濡れた手のまま、カバンからスマホを取り出す。

そして、今日の反省を、誰にも見られないメモアプリに書き留めていく。

歩きながら、スマホのメモに短く打つ。


《今日のライン:焦らない/笑う/呼吸で曲げる》


海で覚えた小さな発見は、そのまま夜のステージに連れていく。

リアのもう一つの顔。

それはステージで歌って踊る、太陽の女神と言われるほどの

チョー人気の女の子でもある。

観客が見ていない朝の積み重ねが、ライトの下でやっと光に変わるから。

街へ近づくほど、車の音、人の気配、現実の温度が戻ってくる。

角を曲がると、ガラスに映る自分と目が合った。

プラチナブロンドに緑のメッシュ、健康な小麦肌、笑うと目尻が少しだけ下がる。

鏡越しの彼女に、リアは指でピースを作ってみせる。

足取りが軽くなった気がした。

そして胸の内側で、次のビートが鳴り始めた。

夜のリズムが彼女を待っている。

次は、音のなかで跳ねよう。


彼女はこの時点ではまだ知らない。

この孤独な朝が、未来で誰かとつながり、かけがえのないものを取り戻す始まりになることを。


そして、その祈りを知るのは、まだまだ先の物語。

そしてリアは今日も必死で明るく元気に光の階段に駆け上がろうと努力する。

☀️【第2話 夜のリズムに溶けて】


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