作戦決定のはずなのですが……?
「待って待って勝手に話進めんなよどゆことー?」
困惑した声を上げるコウ。よく見ると赤青兄妹も何が何だか判らないようだ。
そりゃそうだろう。こんなのを思いつくのは、普通じゃ無い。俺だってブリキが正解と言ってくれなければ恥ずかしいただの妄想として俺の脳内に埋葬していただろう。
しかし、それが正しいと判ったのならばドヤ顔で説明できるというものだ。
教室で「わかる人ー?」って先生がいくら聞いても誰も手を上げないのに、答えが出た瞬間小声で「……やっぱそれだったか」って言うのと同じだ。
間違えるのは恥ずかしい。
これに限っては心の問題だ。誰かが言っていたように他の人は失敗を笑うことは無いだろう。しかしメンタルがそれを許さないのだ。
「出来る」か「出来ない」かで言えば、「出来る」。
恥ずかしさを必死に隠して色んな人の前でキョドりながら正しいか判らない答えを言うことは──出来る。
ただ、「やれる」か「やれない」かで言えば「やれない」。
自信満々で正しいか判らない答えをわかりやすく説明するなんて出来ない。
──と、話がズレたな。
「えっとだな。まず、何でミリィはハクを攫ったんだと思う?」
「そりゃあ……何でだろう。超好きだから、とか?」
……まあ、確かにそれはあるだろうけど。
「正解は、己の弱体化を解除するためだ。ミリィたちの弱体化を解除するためには一つの大きな壁があるんだ」
「壁?……条件みたいなもんか?」
「そうそうそれ、条件。その条件が『ハクと旧魔王四天王が集まってローウェンの前に来ること』だ。ここまで来ると何だかローウェンもきな臭いが、この件に関しては間違いないだろう。だとしたら、ハクとジントと後そのパーカー──つまりは、五分の三を近くに置いている俺らは邪魔でしか無いんだよ」
「邪魔か?別に話してくれたら協力すんのにな」
「相手はお前が一般人じゃ無いことを知らないだろ?多分あいつはお前のことをいきなりハクに取り憑かれた者だと思っているはずだ。そんな奴が取り憑かれた奴のために協力するわけ無いだろ?だからこそ力業でまずはハクを攫った。まあここまでで相手の誤算は俺がジントと話せたことと、コウと俺が弱体化を解除するのに賛成派だって事だ」
「うーんなるほどな」
こいつ判ってんのか?まあいい、続きを言っていこう。
「しかし、ハクを攫ってもこちらに来ないジントとパーカーにミリィは疑問を覚えた。まあそうだろうな、ミリィはハクがいるからジントがいると思っていたわけだから。ジントもそういう側面はあったんだろうが、今回はありがたいことにこちら側に付いてくれた。ジント達がこちら側にいる以上、力で俺らを消そうとすると、ジントとパーカーから反感を買って弱体化解除に協力してくれなくなる。それはまずい。だからこそ、これからするのは話し合いだ、と」
「ナルホドナー」
絶対判っていないことが判った。うーん、どうしたら判りやすく出来るだろうか。
「あのー、要は私達側と同じ様な疑心暗鬼状態に相手も陥っている、と言う認識で正しいですか?」
「概ね正解だな。俺らとの違いは選択肢が有るか無いかだけだ」
セイが聞いてきた。相変わらず物わかり良いな。俺自身もごちゃごちゃして判りきってないのに。
「コウさん、判りやすく言うと社長に謝りに行かないと行けないのに、一緒に謝るべき同僚が上司を連れているから、話し合いで解決するしか無い、みたいな感じですよ」
現代社会の闇だろうか。何故こんな年のセイがこんな悲しい例文を言うのか判らないが、例文自体は判りやすかった。
「あ、判りやすい!ないすーせっちゃん!」
「いえいえ、判ったなら良かったです」
どうやらコウも判ったようだ。
「じゃあ、結局どうするんだ?時間はあんまり無いぞ」
セキが聞いてきた。ここまで来たら分かっても良いものだが……まあ、良いか。俺としてはここまで考えるのが苦手なセキが大丈夫か心配だ。
「丸腰で行く。作戦決定だ。……改良案はあるか?」
「……。」
「それじゃ、そういうことで。外れたらごめんなさい」
「「「おー」」」
うだつの上がらない声が、テーブルを囲んで三つ響いた。
さて、作戦会議も終わり、今はおしゃべりタイムだ。
と言っても俺は大人数で話すのが下手なので、ずっと黙っている訳なんだが。
しかし、会話に参加せずとも聞くだけで面白い。特に言葉間違えたときとか、自分で変な言語を作り上げたときとか、「なんだよそれっ!」ってなって吹き出しそうになる。
コウがそれを良くやるのだが、セキも多い。セイはあんまりしない。
『性格悪い楽しみ方ですね』
『うるせいやい』
ジントが話し掛けてきた。性格悪い楽しみ方だと言うことは認めるが、性格の悪さ自体はジントの方が絶対に上だと俺は思うね。
『……それより、先程は見事な推理でしたね。どこぞの名探偵もびっくりなお話しでしたよ』
『想像と現実が一致しただけだよ。所で名探偵って誰?コ〇ン君?』
『毛利〇五郎ですかね』
事件現場乱した後眠らされてるだけじゃねえか。
『おいおい、流石にそのキャラは酷くないか?事件を解決するのに殆ど役に立ってないじゃないか』
『そうですか?稀に無駄な行動でコナ〇君が閃くこともあるので、私は意外と好きですよ。駄目なところも踏まえて。後、ごく稀に素晴らしい閃きをする事があるじゃ無いですか。コナン君も驚くような』
『まあ、確かに』
あいつたまに推理上手いよな。現場について話をちょっと聞いた直後とかに解決することあるもんな。
『私は毎回それを見て思うんですよ。実は名探偵に成り得る力があるのに、無意識に自制してるんじゃ無いかと。まるで自分を駄目人間だと周りに見せつけて自分を守っているような気がするんです』
確かにそうは捉えられるかもしれないが、そこまで深く考えることだろうか。
まあ、物語には様々な捉え方があって然るべきだろう。この表現はこういう意味だ、と縛られている作品ほど面倒くさい物は無い。
たかだか文字列に共通の思考を持てという方がおかしいのだ。
だから、この話については、ここで止めにしておこう。
ジントォー!勝手に無駄なことを言うんじゃ無い!使わなくちゃいけないじゃ無いかこの意味深なシーン!
どう使えって言うんだよ!
PV12595件、ユニークアクセス4510人です。
最近ユニークの伸びが良いですね。それに比例しないPVはまあ、あれですけど……。
定型文 是非この作品に対する批評等、良いのも悪いのもお待ちしております。




