ただの部屋のはずなのですが……?
押し倒されます。
シャワーの水音が止み、暫くするとピンク色のパジャマを着たセイが出てきた。
セイは青が似合うと思っていたが、淡いピンクも意外と似合うんだな。
「シャワーどうだった?」
「そこそこ場所も広かったですよ。温度も丁度良い感じです。」
しかしシャワー終わりに相手が何のポーズもしてこなかったと言うことは、脈が無かったと言うことだろう。先走らなくて良かった。
このときだけは童貞の経験の無さ故の行動力の無さを褒めたいと思う。
さて、それでは俺は何の憂いも無くシャワーを浴びてくるとしよう。
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ジャワー室の内部は、セイの言ったとおり狭いわけでも広いわけでも無く丁度良い広さ。シャワーの温度も、さっきまでセイが使っていたからか最初から暖かい。水流も弱いわけでは無く、強いわけでも無く……。
丁度良いシャワー室だ。なかなかこの空間は安心できる。
シャワーを浴びていると、どんどんどうでも良いことが頭の中に現れる。
最近、あれやってないな。とか、
あの人って今何してるんだろう。とか。
大体その前まで考えていた事と全く違う方向で、例えば今日はディクさん今何してんだろうなぁと言う内容だ。
実は俺は図書館で働く前からディクさんと知り合いだ。俺が図書館で働くために勉強した場所も図書館だし、俺がガキだった頃に面倒を見てくれていたのもディクさんだ。
俺は孤児だ。
俺にはちゃんと両親の記憶がある。あるはずなのだが、そのことはぼんやりとしか思い出せない。それといったエピソードを思い出すことが出来ない。
顔だってぼやけて見えるくらいだ。でも何故かいるという事に疑問をいだいたことは無かった。
俺が道で野垂れ死にそうになっていた時に助けてくれたのがディクさんだ。だから、母親は別にいるにしたって俺はディクさんを母のように思っている。
シャワーは俺の一日の疲れを丹念にながしていくのだった。
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シャワーを浴び終え、脱衣所をに戻る。
少し荒いタオルで肌を拭くと少し痛かった。
横にある鏡は俺の顔を歪み無く映してくれている。俺の人間で無い姿を。
どう見ても人間なのに、俺は人間じゃ無い。
全く、俺が何だって言うんだ。口からは自然とため息が漏れた。
さってパーンツー、パーンツー♪と、心の中で歌を歌いながらパンツを探すが……。
無い、パンツが。
倒置法でパンツを強調だ。シャツとかならまだしも、パンツは男の最終防衛ラインである。そのパンツが……無い!?
憎々しいことに、その他のパジャマ類は全部ここにあるのだ。仕組まれたかのようにパンツだけ無い。
これがもし一人で泊まっているのなら、何も考えず部屋へ素っ裸で出てパンツを探しただろう。しかし、セイがいるのだ。俺が部屋に出るとセイにフルチン姿を見せてしまうことになる。
ならば手段は一つ!
「セイさーん、パンツとって貰っても良いですか?」
「わかりました。パンツですね。パンツ……パン……えええ!」
セイだったら反応無しで持ってきてくれるか、極端に慌てるかの二択だと思ってはいたが今回は後者だったらしい。
仕方ない、ここはゴリ押そう。
「そうそう、パンツパンツ。俺の鞄の中に入ってるから、一枚とって脱衣所に投げて」
もはややけくそだ。ここまで来たら止める方が気まずいだろう。
「あ、バックの場所判る?ベッドの頭側の左下の……そうそうそれそれ!」
頭だけ脱衣所から出し、助言をする。
セイは俺の鞄を開き、ゴソゴソとパンツをあさっている。何だか言葉にすると凄いな。
「こ、これでひゅか……?」
顔を真っ赤にして余り見ないように横を向きながら、摘まむように俺のパンツを胸の辺りまで上げた。
「それ!じゃあ脱衣所に入れて」
「ひゃ、ひゃい!」
そろり、そろりとパンツを前にしているので前を見えず抜き足差し足で進んで行っている。
「そうそう、そのまま前に、前に……あ!」
セイが脱衣所の扉の直前で足を引っかけたのだ!
これでせめて良かったことは扉がセイ側からしたら押しドアだったことだろうか。おかげで頭を強打したりしなかった。
しかし、悪かったことも勿論あった。
さて、取り敢えず俺とセイの位置取りを確認しよう。俺はどあの前で外側を覗くように立ち、セイはドアの少し離れたところでこけている。
結果的にセイはドアを──を俺を押し倒す。
ドアはそのまま横へ逃げるが俺は横には逃げれない。その結果。
「ぁ────────~~ッッ!!!」
俺の息子は倒れ込んだセイの目の前に、それはそれは頼りなさそうに鎮座していた。
柔らかい女の子の肌に触れたことで俺は劣情を催し、少しずつ血が下腹部へ流れ──って駄目だ駄目だ!
「ちょ、ごめん離れて下さい」
「い、い言われなくても離れます!!」
セイの行動は迅速だった。流石いつも鍛えているだけあるな、と半勃ちの息子と茹で蛸よりも赤いセイの横顔を交互に見るのだった。
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なんだかんだあり、ようやくどちらも寝る準備を終えた。
「んじゃあ俺は床で寝るからセイはベットで寝てくれ」
男として当然である。女の子に床で寝かせるなんて屑の所業だ。
さっきはあんなことをしてしまったが、俺は基本紳士なのだ。童貞だしな。
「え、いやいや。お金はブリキさんがお金を払ってるんですよ。ブリキさんが寝るのが普通ですよ」
「何言ってんだよ。女の子床に寝かせちゃいけないのは俺みたいな童貞でも知ってるんだぜ?」
いくらモテずヤれずの俺でも知ってるのだ。
「でもそれじゃ私が納得いかないです!どこか良い落とし所が無いか……」
「そうだなぁ。金払ってる俺が良いって言ってるんだから、ベットで寝てくれよ」
「でもそれじゃあ、私だけ甘い蜜を吸ってるだけじゃ無いですか!寄生虫みたいな事したくないです」
とはいってもだ。俺が女の子を床で寝させたら悪評が酷いことになるだろう。セキに何されるか判ったもんじゃ無い。
実は少し、期待しているのだ。一緒のベッドで寝ますか?と言われるのを。
「じゃあ間をとって二人とも床で寝ましょう」
そっち!?
その日の夜、部屋のベットは空なのに床で二人寝るという謎の構図が生まれたのだった。
押し倒されました、ブリキが。
いやー面白かったですね書くの。
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伸び悩み……うーむ。
定型文 是非この作品に対する批評等、良いのも悪いのもお待ちしております。




