ようやくご飯のはずなのですが…?
私が当初考えて無くても、物語は勝手に進み出す……!
頭のてっぺんをギラギラと照らしていた太陽はもうすっかり赤くなって沈もうとしている。
魔国までももう少しだ。あと三〇分もしたら着けるだろう。
俺は、かわりばんこと俺の膝枕(男の膝枕なんて固いし、良いことないと思うんだが)でぐっすり寝ているセイを起こす。
「セイ起きろー。もう後少しでも魔国に着くぞ」
「んー……もう、夕方ですか。ありがとうございます」
寝ぼけ眼を右手で擦りながら体を上げた。
太股から重みが消えた代わりに、来ることがなかった風がまだ体温で温い太股を優しく撫でた。
オレンジ色に染まっている緑色だった草は、涼しげな風を柔らかく受け止める。
もうすぐ夜だ。俺も王国から出たことは一度もないので、これが初めての外国への旅行だ。行商とかだったら色んな所を回っているんだろうけど、俺は公務員。今だって有休を取って来ているのだ。そんな易々と旅行には行けない。
それにしたって、最近はコウ関係で有休を取ることが多くなった。今まで余り休まなかったから、有休はたんまりと余っていたのでむしろ丁度良いくらいだが。行かないは行かないでちょっとむずむずする。
いや、別にブラック企業とかではない。有給だって言えばもらえる。俺がもらってなかっただけだ。
もったいなくて使えない、ゲームで言う所の初心者ログインボーナスとかで貰った最高の回復量の薬とかそういうのが使えないのと同じ感じだ。
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門から少し離れたところで降車する。
ようやく魔国に到着。明日も同じ様に聖国に行く。
流石に一日ずっと車に乗ると腰も首回りも痛い。それはみんな同じなようで、各々でストレッチをしている。
「一日目、お疲れ様でした。明日もよろしくお願いします」
車の運転手が挨拶をしてきた。
そういえば、この運転手さん。幽霊が出ても一言も発さず、俺のセイが、キスしてしまったときも反応はなかった。
ここまでプロ意識が高い人は、そういないだろう。
「ありがとうございました。明日も、お願いします」
運転手さんと別れ、壁伝いに門を目指す。
石造りの壁は時間が経っているにもかかわらず頑丈なままで、魔力的な何かをきっと使っている事が判った。
ボコボコと岩の形が残っているから、自然のまま使うとかが鍵なのかも知れない。知らないけど。
検問を受け、門を潜り抜けるとようやく街に入る。
王国の夜とは違い、少し落ち着いた大人な雰囲気がある。
そこの扉を開けたら、バーテンダーがシャカシャカとシェイクしてそうなまである。
「ここら辺に、ご飯食えるとこあるかなぁ?」
「雰囲気的になさそうだよな……腹減った……」
「お前らあんだけ食べて何でこんなすぐ腹減るんだよ。本当にブラックホールなんじゃねぇの?」
サンドイッチ大食いコンビがなんか言っているので、反論した。
コウは大体二人前、セキも一人前と半分ぐらい。俺とセイで半人前を食べたのだ。
少なくとも、二人とも俺の六倍は食べているのだ。こっちの方が腹減ってるに決まってる。
因みに一人前の基準は俺だ。コウはいつも同じくらいだし、セキが多くてもセイがあんまり多くないから丁度良いくらいかと思ったが大誤算だった。
「まあ、ちょっと歩いてみるか」
少し探すが、それらしい看板も無い。
「全然無いですね」
「良い時間だから看板の一つぐらいあっても良いと思うんだけどなぁ……」
一度門まで戻って聞くべきか……と話し合っていると、
「総員、黙想。呪」
その放送が流れた瞬間にこの国にいる俺を含まない全員、コウもセキもセイも、一斉に城がある東に向かって自我が消えた様な顔をしながら土下座をし、何かを唱え始めた。
こんな事、当初考えていなかったんですが……。
別に今回魔国で何かあるわけではありません。
前回は、予約のミスで一日も遅れてしまいました。すいません。
以後こういうことが無いように気を付けていくので、今後ともどうぞよろしくお願いします。
10235PV、ユニーク3622人、総合評価98ポイント、感想1です。
定型文 是非この作品に対する批評等、良いのも悪いのもお待ちしております。




