嫌がっているはずなのですが…?
この四人でここまで絡ませるの、すっごい久し振りな気がします。
背中にごわごわとした車の革張り椅子の感覚を感じる。
だんだんと周りの音が聞こえ始める。車の音、外の風の音、何人かの寝息。
今何時だろうか、判らないがとにかく目は覚めた。眠気も何処かへ行った。
途中で邪魔された気もするが、この昼寝は大成功だ。
しかし、一つ良くなかった点と言えば寝具だろうか。
膝枕は特に問題ない。温かいし柔らかいし、最高の枕と言えるだろう。流石セイ。
問題は椅子だ。マットレスでもなく、座ることを考えられて造形された椅子はでこぼこが激しい。その上、設計上結構固いスポンジになっている。極めつけに革張りだ。正直腰が痛い。
さて、そろそろ起きなければ。俺は腹筋に多少の力を込め、上に上がろうとす──。
chu……。
俺の唇に何か柔らかい物が当たった。こう、言葉に表現するのは難しい。ふわふわ、やわやわ?みたいな。
心なしかふわりと甘い香りが辺りを舞い踊っている。さて、この感覚は何なのか……?
気になるが離れるのも勿体ない。もう少し、もう少しだけこの感触を味わいたい。
何と言い表せば良いのか、柑橘類のように瑞々としているのだが、葡萄のように柔らかく、何にも言い表すことの出来ないふわふわという感触。
っとそれはゆっくり動いた。そして、俺の口からそれを離した。
「え、えっ?」
ふと目を開けると。
顔を真っ赤にしたセイが目をまん丸くして、こちらを見ていた。
「え、待って俺が今までキスしてたのって……え?」
覚醒した頭で考えればキスをすると言う行為自体、忌避される物だ。特に俺らの年齢なら特に。
そんなことも頭からすっぽ抜けて、俺が起きてからずっとキスしていたのは……。
「わ、私の……唇です……」
運が良いと言うべきか、悪いと言うべきか。
とにかく今言わねばならぬ言葉は、俺の胸の中にある。
「すいませんでしたセイの唇が思った以上に気持ちよかったんです他意はないんですあのふわふわ、って感覚がどうにも癖になって──」
「い、いいい、言わなくて良いですから!」
赤い顔のまま睨まれた。はて、謝り方が悪かっただろうか。
「頂きましたー!お二人のラブラブキスシーン!始めに求めるブリキたん肉食ぅー!!!」
「妹の、何より大事な唇を……奪った?あ、殺すわ」
後ろの席の二人も起きてこちらを見ている。
コウは目をキラキラ輝かせてこちらに笑いかけ、セキは割とガチな殺意を纏いこちらを睨み付け、セイは相変わらず赤い顔のまま目を潤ませて可愛くこちらを睨んでいた。
兄妹なのに何でこんな睨み付けが違うの……?本当に同じ腹から出ときたかこいつら?
「いや、セイの唇だって知らなくて!」
「自然と唇と唇が重ね合ってしまったと!体が動いてしまったと!そういうことですな!」
「うるせぇよ無駄な情報増やさないで下さいお願いします!」
「まあ、何でも良いよ。これからお前、死ぬんだから」
「おいおい何で武器取り出してんの?何で鞘から刃を抜いてるの何で俺に向かって振り上げてるの──」
男三人がギャアギャアと騒いでいるが、被害者はセイである。
セイに助けを求めようと、そちら側に向くと……
「キス……キスしたのか、私。ふへへへへへ……」
何だか普通の状態では出しそうにない笑い声を上げて、達観したような顔をしていた。
「セイさーん、セイさーん!ヘルプ!ヘルプミー!」
「はっ!べ、ベベベベベベベ別に、う、嬉しいなんて思ってないですよ!?」
なにをそんなこと、わかっている。年頃の女の子のファーストキスを奪われたのだ。嬉しいはずがないだろう。本当はこの人、と決めた相手にあげたかっただろうに……
そう考えると申し訳ない、としか思えない。
「おいおい、お前の妹もまんざらじゃないみたいな反応してるけどそこら辺兄としてどう思います?」
「まさか、セイが恋をした……?ブリキに?もっとふさわしい奴がいるだろうに、なんでブリキ?」
「以上、解説席からでした!」
なんか後ろで二人が言ってるけど今の俺は謝罪をしようとしているのだ。聞こえてない。
「あの……今回は、本当に!すいませんでした」
「~っ!!……こ、今回は。今回は!許します……」
何とも絶妙な顔をして、俺を許した。
何というのが正解か、全く判らない。
女心って難しいな……。
PV9701件、ユニーク3488人、総合評価98ポイント、感想1です。
とある御方に批評を頂きました。
最初がものすごく読みにくいらしいです。だろうなぁ……。
直した方が良いんですかね。
多分、新規さんに読んで頂こうとするなら直した方が良いんでしょうけど……。
定型文 是非この作品に対する批評等、良いのも悪いのもお待ちしております。




