圧倒的大軍のはずなのですが…?
最初は兵隊さん視点。
後半からブリキ視点に戻ります。
戦争は量である。
町に来ている盾を持った大男一人。対するは街の兵士を掻き集めた総勢17562名。
さて量で見れば圧倒的に兵士が有利なこの状態。
そんな我々がなぜ蹂躙されているのだろう、とその兵士の一人は考えた。
もはや激痛で立っていられない。呼吸すら難しいほどに身体はひしゃげている。
ああ全く、笑えない。悔しさを地に叩きつけるべく、剣を持っているときより重く感じる己の右腕を想いきり振り上げ。
そのまま地に落ちていった。
もう、その地に生物はいなくなり、代わりに出来た物は。
ミリィ・アズレンのおもちゃ。
肉がある物は腐死者に、肉の無い者は浮遊死者となって一斉に街へ這いながら向かっていく。
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「ふうん、物騒なもんだな」
「ん?どうしたんら?」
浅い眠りから覚めたコウは俺に聞いてきた。
目は半開きでよだれの跡だってついているし、テーブルに突っ伏していたからデコと鼻が赤くなっている。
「なんか、凄いのが街に向かってきてるってよ」
「凄いのってなに?モンスターとか?」
「そんな感じだろうな。なんか町中の兵が集められているからかなり重大なんだろうが…どうも情報が少ないな」
とは言え、今までこういうことが起きていたわけではない。前例がないので余りよくわからないが…妙な感じだ。
「フ、フフフ。ここにスラリス様の匂いが…スラリス様、スラリス様待ち望んでおりましたわ。貴方が戻ってきて頂けるのを」
なーんか妙な女がやってきた。ドレスで着飾るその姿はまるで貴婦人だが目が普通じゃない。判りやすく言うと目がイってる。
てかスラリス様匂いで判断されすぎだろ。
『スラリス様ー新客が着てるけど』
『うっせえなおれはハクだ。さっさとフード被せろよ』
「んぁ?!なんか髪の毛がウニョウニョしてる?!おい、ちょ、何すんだよぶりぶ…」
なんか騒いでるコウの外套の上の部分を無理矢理頭に引っかける。
「んだよ人の平穏を荒らしやがってこのドレス女が」
ハクは初っぱなからアゲアゲである。
「スラリス様、ですわよね?判りますわよ。ようやく、ようやく戻ってこられたワタクシのスラリス様が…」
恍惚とした表情でハクを見続け続ける女。
「さあ、スラリス様?ワタクシにいつものそのかわいらしいお顔をお見せいただけませんか?」
「ちょ、ちょっと待て…」
ハクが気圧されるほどの女に少しビビっているとハクの顔が寄ってきた。
「…こいつやばくね?」
「うん、それさ、俺も今思ったんだ。この女いわゆるヤンデレ…?」
これがあの…!?と二人して驚愕する。いやマジ怖い。これが本物のスラリス教…!?
「どうしました?スラリス様。顔色がよろしくないご様子ですが。それにぱっと見ストレスを感じていますね。この男のせいで所為でしょうか?もしそうであれば即殺致しますが」
「あ、いや、結構だ。あとストレスはお前の所為だから」
ハクは顔を青くしてスリスリと足を少しずつ後ろを持って行き逃げようとしているが、それよりも速いスピードで女がにじり寄ってきている。
かくいう俺ももう2メートルくらい離れた。怖いわ女って。
「ワタクシの所為ですか?フフ、面白いご冗談ですわね。そんなお茶目なところも154年と130日と7時間42分34秒経った今でもお変わりありませんのね。フフフ」
スラリスが封印されてから154年と130日と7時間42分34秒経っていることを判っているのはこいつだけだろう。何で秒まで正確に測れるのか普通の人間だったら疑問しか残らないが、この女どう考えても思考回路が普通じゃない。
ただハクの言っていることに間違いがあるな。
「ハク、こいつはヤンデレじゃない」
「あ?てめぇ目大丈夫か?どう見たって病んでんじゃねえか」
いや、まあ確かにそれは否定しないけど…。
「どちらかというと狂信だろ」
「失礼なことをおっしゃらないで下さいます?スラリス様の考えを否定するだなんて…わたくしの事を何も知らない人の分際で。ワタクシのことが判るのはスラリス様たった一人だけ…。スラリス様のことが判るのもワタクシたった一人だけ」
「すいませんでした」
勝手に口の身体が動いたわ。肯定しないと俺みたいな有象無象はすぐ殺されてしまう気がする。
「それではご挨拶もすんだところで、ではスラリス様ワタクシ達の愛の巣へ行きましょう?」
「「え?」」
ハクと心が通い合うのはこれが初めてな気がした。
投稿が止まってしまってすいません。
卒業だの部活だのでもうしばらくわちゃわちゃしております。
それはそうと、この小説の人間関係をパッと暇な時間に書いてみましたが見れば判ると思うのですがブリキに繋がってるのがコウだけなんですね。
あと全部ハクからのつながりで近づいて来てるので。
是非この作品に対する批評等、良いのも悪いのもお待ちしております。




