圧倒的な少女。
俺は無力だ。そんなの最初からわかってる。でも、女の子1人と俺とじゃ、闇の民数人と戦闘できるわけがない。
ゆっくりと姿を表した5人の闇の民。5人とも見覚えのある剣やらナイフを持っている。完全に囲まれていて、まず逃げる事は不可能だろう。いくら兵士であるヒティアがいると言っても性別弱さがある。この状況にたまたまヒティアの仲間2人が現れるわけもない。
ーーーーーー完全に不利だ。
ヒティアは剣を目の前の闇の民に向ける。
「バル・バラール」
何かの威圧感を感じた瞬間、ドン!!という衝撃波がヒティアを中心に放たれ、俺は反射的に目を瞑る。1秒でも気は抜けない。一瞬のうちに目を開き直すがほんの数秒、いや瞬きをする瞬間まで横にいたヒティアが既に消えていた。
空を斬る音と共に液体が吹き出る音が聞こえたと
思いきや、そちらを見ると白いオーラを纏い、さらに深く蒼い瞳になったヒティアと首より上がない闇の民、頭しかない闇の民が……
瞬時に状況を飲み込む。ヒティアが闇の民1人を瞬殺した。
その時のヒティアは、今まで何人も殺してきたような冷たい目をしていた。
他4人の闇の民は既にヒティアの行動を理解し、攻撃に出ていた。一斉にヒティアに斬りかかるが、全く当たらないどころかヒティアは次の攻撃を完全に見抜いている。
それに対しヒティアは1人、また1人と素早く鋭い一撃でヤツらを斬り殺していく。ヒティアが最初の1人を斬ってから20秒も経っていないだろう。闇の民5人が命を落とした。
ヒティアから白いオーラと共に威圧感が消える。血と首が離れた死体が辺りに落ちている中、ヒティアはゆっくりと深呼吸をする。
「ヒティア……?」
何がどうなっているのか理解できない俺は、とりあえず彼女に声をかける。その声はしっかり届いたようで、ヒティアはこちらに視線を移す。目も最初に会った時の目に戻っていた。
「あ、驚いた?」
理性を失ってないかという不安が消える。
ーーーーーーーーーーーー今、目の前で繰り広げられた殺し合い……いや、殺し合いと言うにはあまりにも一方的な戦闘はなんなんだ?
それはこの数秒後に声をかけてくる2人の兵によって解決する事となる。




