沈黙
それは、まだラーヤとヒティア、ヘカテーしか知らない答えだった。模倣能力。触れた相手の能力を模倣する事ができる。まだ知らない事も山ほどあるがこの能力は絶対に希少だ。だからこそ狙われたのだろうし、多くの人に言うべきではないのだろう。しかし、命を救ってもらった人物に対して何も言わないような事は出来ない。相手は英雄。警戒する必要もないのかもしれない。
「俺の、異能は…模倣能力、です。」
言ってしまった。しかし言わなければどうにもならない事だった。いつまた命を狙われるかわからない。そのためにはやはり知ってもらう必要がある。
「模倣能力…なるほど。めったに見られない能力だ。その能力についてトトはどこまで知っているんだい?」
「触れるとその人の異能が使えるようになるって事しか…… 」
「ふむ、やっぱりそうだよね。実はその異能には他にも説明しなければいけない事があるんだ。まず、触れるとその相手の異能が使えるようになるって点だけど、意識して触れる必要がある。この人の異能を模倣するってね。次に、模倣する能力は、その相手が使った異能を見なければならない。だから、1度相手が使わなければ模倣はできない。それと、その異能自体のクールタイムはない。でも、模倣した異能にはクールタイムがあるから気を付けてね。だから異能さえ模倣すればいつでも使えるんだ。最後に、1度模倣した異能は消えない。君の中にストックされる。ちなみにまだ君は使えないけど、リミッターの解除後の能力アップはその人次第だ。模倣した人と同じではないから、君自身が弱ければ、その程度の能力しか使えない。わかったかな?」
「大体は何とか」
しかしここで疑問が残る。希少だと言う割には異能の内容をなぜここまで知っているのか。身近にいたのか、もしくは元々知っていて接触してきたのか。それとも、
「まだ何かわからないことでもあるのかい?」
「顔に出てましたか?」
「なんというか、雰囲気だよ。」
「……なぜ、この異能について詳しいんですか?」
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沈黙。心臓の音さえ聞こえてしまうような沈黙が数秒間続く。その数秒は、時間の流れが遅くなったように錯覚させられる。
「前にも、いたんだ。もうこの世にはいないんだけど。」
この世にいない。もう亡くなっている人物で、この異能を持っている人間がいた。たしかに、死ぬと異能は次の人間に移る。才能型か、開花型として。
「懐かしいな。彼もまた、英雄の1人。僕の尊敬する人物であり、1番の友といえる存在だった。」




