一瞬の闘い
魔女と英雄の戦闘は一瞬だった。ヘカテーはガルエールの剣を異能で錆らせようと一瞬の内にガルエールの懐へ入ったと思ったが、ガルエールはそれを予測していたかのように風の異能で後ろに飛び、またすぐに風で勢いを付けヘカテーに斬りかかった。完全に間合いに入っていたのだが、斬ったと思った瞬間、風景が変わり、ガルエールとトトの体勢が不自然に変わり、2人はただただ立ち尽くす。
「異能が終わったのか。」
冷静に対応するガルエールと、何が起こったのかいまいち理解出来ていないトト。隣を世間話をして通り過ぎる街人。ガルエールのその言葉をようやく理解したトトは、どこかホッとして、殺されたラーヤの事を思い出す。彼はあの世界でヘカテーによって殺された。もしかしたら生きていて、この世界に戻ってきているというのは無いだろう。トトは体勢は違うが、ヘカテーの異能によって飛ばされる前にいた場所と全く同じ場所に立っている。数メートル先にいるガルエールは、その場所で途中から来たのだろう。方法は知らないが。ヘカテーは何度か戦闘中にこちらに戻ってきているため、もしもの時のために場所を変えたのだろう。そして、いたはずのラーヤがいない。
込み上げる怒りと安心感が混ざり合って不思議な気持ちになる。そんなトトの肩を、ガルエールがポンと叩く。
「もうヘカテーはいないようだ。話を聞きたいから、どこか休めるところに行こうか。」
「それなら、借りていてる宿が傍に…」
「そこはヘカテーに知られてしまっているから、新しい宿を探そうか。」
2人は少し離れた所まで適当に歩き、近くにあった宿に入った。外観からして高そうな雰囲気だったが、ガルエールは紙を1枚ロビーで渡すだけで宿を借りることができた。どうやらガルエールや他の英雄達は基本的に衣食住が無料らしい。英雄だけあって優遇されているのだろう。
2人は部屋に入り、腰を下ろした。
「トト。率直に聞くが、君は何の異能を持っている?」




