目が覚めたらスープを
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眠りから覚め、周りを見渡すと寝かされていたベッドの隣の椅子にラーヤがいた。ラーヤは、ようやく目覚めたかと言うと机に置いてあるスープをこちらに渡してきた。
「取り敢えず飲め。意識はしっかりしているんだろうな?」
「あぁ。俺はなんで……」
「戦争が終わるなり、お前は意識を失ってぶっ倒れるもんだからここに運んだ。ここはサイラルの知り合いの宿だ。深い傷もないようだから、軽い手当だけしておいた。」
「……ありがとう。」
少し冷めているスープをゆっくりと口へ運ぶ。久しぶりに物を胃に入れたような気がする。
「そういえば……俺はどれくらい眠っていたんだ?」
「そう長くはない。お前が倒れたのが昨日の夕方で、今日はまだ昼だ。」
当たり前だった食事が数回無かっただけでここまで久しぶりな気持ちになるのか。そんな事を思いながらスープを口に運んでいると、ラーヤが質問をする。声のトーンが少し下がったような気がする。それほど大事な質問だったようだ。
「んで、トト、その、異能の話なんだが……。」
そうだ。そういえばラーヤはこの事を少し気にかけていた。
謎の女。謎の木。そして模倣能力。まぁ兵士として謎が深い怪しい人物を気にかけるのは当たり前なのだろうが、何か少し違うようにも思えた。
「前に話した通り。知らない女性に話しかけられて、言われた場所に行ったら木が生えていて、それに実っていた果実を食べたらまた女性が現れ、模倣能力が……って。」
「その女性の特徴はどうなんだ?」
「特徴……長い黒髪ってくらいしか……」
顔をしっかりと見たような気がしたが、どうしても思い出せない。考えれば考えるほど薄れていく気がする。
「とりあえずその話だけで分かることは、それを俺以外の人間に話すことは禁止だということだ。」
「どうして?」
「今は……まだ話せない。」
しばらくの沈黙が続く。話せない、と言われては、返す言葉が見当たらない。それにもうヒティアにも話してしまっている。
「ヒティアに教えた。」
「そうか……ヒティア、か。まぁ、ヒティアなら、そうだな。きっと大丈夫だ。」
「そう……か…。」
「とりあえず動けるようになったら隣の俺の部屋まで来てくれ。部屋番号は103だから、部屋を出て右側だ。……それじゃ、またな。」
「あ、あぁ。日が暮れる前にはなんとか行くよ。」
ラーヤはそのまま部屋を出た。あの巨体だと、普通の部屋が狭く見える。
ーーーーーーーーーヒティアはどこへ行ったのか。この異能、あの女性は一体なんなのか。死ねないこの体は一体なんなのか。なんなのかなんなのかなんなのかーーーーーーーーーーー
なんなのか考えている内に、浅い眠りに入ってしまった。




