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屍人と異能と  作者: ばーたのん
22/35

殺気と仲間と裏切りと

ガルエールとバイフィールの戦闘は終わりを感じさせない。2人の戦闘に目が追いつかない。


「そういえば、聞くタイミングが無かった。」


何かを思い出したかのように、ヒティアの話が突然に変わる。


「トトはどうして異能を使えるの?」


「実はーーーーーーーーーーーー。」


あの時の状況を説明する。謎の人物が現れ、ある場所を指示されそこにあった果実を口にした、と。


下を向いて話をしていたトトは、ヒティアの表情が激変している事に気付か無かった。驚きと冷静さが入り混じったその顔に。


「トト…。加勢しよう。1時間はとっくに過ぎているから、また模範すればいい。」


そういってヒティアは手を差し出す。戸惑いながらもトトはゆっくりと手を伸ばし、2人の手と手が合う。


「でも、加勢って……」


「トト、何も考えずにバイフィールへ殴りかかって。その後は必ず何とかする。信じて。」


誰がどう考えても意味の無い作戦。そんなの瞬殺されに行けと言われているようなものだ。しかし、手と手が重なっているからなのか、信用しかできない。


「ーーーーわかった。やってみる。」


「じゃあ行って!」


ヒティアが手を離した瞬間、トトは飛び出す。


ーーーーーーーーーーもう少し、合わせていたかった。

そんな想いを残して。


「うぉぉぉぉぉぉああああああ!!!!!」


叫びと共に、全身の力が溢れてくる。ヒティアの異能を借りて、バイフィールに突っ込む。


バイフィールはトトの無謀な行動に一瞬戸惑ったようにも見えたが、実際に戸惑ったのかわからないくらい一瞬だった。氷の刃が、トトに向かって発射される。


ーーーーーーーーヒティアーーーーーーーーーーーーーーーー


氷の刃は目の前で真っ二つになる。


「ヒティ……」


氷を止めたヒティアの名を呼ぼうとしたトトの目には、ヒティアではなく、英雄・ガルエールの姿が写った。ガルエールはとっさの判断で、トトを守るために向けられた氷を止めに来たのだ。しかし、その英雄の姿には、余計なものが足されていた。左肩に赤く染まった鋭い氷の刃が突き刺さっていた。


「トト…君は何を……っ」


「お、俺はヒティアの言う通りに……」


そう言って振り向いた先にヒティアの姿は無かった。このスキをついて、バイフィールに攻撃を仕掛けたのかと思い、バイフィールの方を見直すが、バイフィールは不敵な笑みを浮かべている。そして英雄の方に目をやると、英雄の後ろに、ヒティアはいた。


彼女の名を呼ぼうとした瞬間、彼女は英雄の顔面を蹴り飛ばす。英雄は吹き飛ぶが、すぐに体制を立て直す。


「ヒティア……?」


「ちっ…大したダメージには不意をついたはずなのに…っ!!」


「まさか……元騎士さんが敵に回るとは……正直驚いた。」


勝手に進む物事についていけない。トトはヒティアを、英雄を、バイフィールに目を何度も泳がせる。


「ヒティアは……仲間で、一緒に戦争を……」


「彼女の目を見てもまだそう言えるのかい?」


トトは驚きでいっぱいの目をヒティアの目に向ける。その目からは殺気で覆われていた。この状況で、なぜヒティアが英雄を攻撃して、なぜ殺気を向けているのか。


ヒティアはその殺気を英雄からトトへ向ける。


「ごめん。でも、悪いのはトト。いや、悪いのはあなたじゃない。でも結局はあなたなの。」


「ヒティア…言ってる意味がわからない。どうして……どうしてこんな…」


「……きっとトトにはわからない。わからないまま死んでいく」


そうしてヒティアは近くに落ちていた剣を拾い、トトの首を確実に狙い斬りかかった。

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