大罪人
「ガルエールぅ!君は才能に恵まれないエルフ!開花の風で僕の異能に勝てるのかーい?」
「何も戦闘は異能が全てじゃないさ。僕には剣術があるからね。」
開花型とはいえ、ガルエールの使う風は才能型にも劣らない程の威力だ。もし才能型として産まれていたら、と誰もが思うだろう。しかし異能にも相性がある。風の異能に対し、バイフィールの異能は氷だった。空中で無数に生み出される氷の刃が、ガルエールに向けて飛んでゆく。ガルエールは風を纏い、余裕を持って避け続ける。しかしガルエールの攻撃は、氷の柱によって避ける以前に当たらない。
完全にガルエールの方が不利だ。それにしても、バイフィールの強力な異能のクールタイムはどれほどなのか。クールタイムを感じさせない戦いだ。
「リミッター解除。そもそも異能にもクールタイムがあるのは、異能の使い過ぎで体が異能に侵食されるのを防ぐため。クールタイムを過ぎてもリミッター解除の仕方さえ覚えれば戦い続けられる。その分体力の消耗が激しくなって、異能の加減も難しくなる。そして体力が尽きてもなお戦闘を続けると……自分の異能に侵食されるのよ。」
まるでトトの心を呼んだかのようにヒティアが答える。
「……ヒティアも、できるの?」
「まあね、滅多に使わないけど。」
「侵食されるから?てか侵食ってどういう事?」
「…………異能は持ち主の中で生きている。それは英雄の内の1人が証明しているわ。」
「異能が……生きている……。」
「英雄の1人が異能という生き物を具現化した事によってその時初めて異能は生きている事が知れ渡った。ただし、その英雄にしか具現化は出来なかった。」
「その英雄って……」
「ガルエール様じゃないわ。その英雄の本名は分からない。人は彼を、理の大罪人と呼んだ。」
「大罪人?」
「異能を限りなく極限まで知ってしまった罪……人にはできなかった事を、やってはいけないことをしてしまった人……。」




