エルフ族
男はバミーラ大戦争において、大きな名誉を手に入れた。英雄やら、風のエルフやらと周りから騒がれた。エルフ族は戦闘を好まないが、いざ戦闘に入ると見た目とは裏腹な力で相手を倒してしまう。さらにエルフ族は生まれながら全員が異能を持つ天才型で、主に植物や風などに関連している異能が多い。しかし、彼は異能を使えなかった。エルフ族でなくても、異能を持っているのは人類の約3割と言われているため、異能を持っていない、しかもエルフ族が、という理由で仲間からは嫌われていた。
だから彼は力が欲しかった。力を欲した彼は独学で剣術を学んでいた。強力な異能を持つエルフはあまり剣を使用することはない。だから彼は独学で学ぶしかなかった。それを始めてから8年。彼が22歳の頃まで異能が開花することなく、バミーラ戦争が始まり、エルフ族も巻き添えを受けてしまった。しかし彼は風という単純な異能しかなかったため、その異能を熟知し、独学の剣術は今や最強とも謳われるほどだった。
ゲルバナティスの幹部達は何かを話していてこちらには聞こえない。突然の英雄の出現により戸惑う双方。どうやら味方のようだ。
「ガルエール様がどうしてこんな所に……?」
あれだけの戦闘から5分しかたっていないのに、ヒティアは整った息で話す。
「ただ近くを通りかかったら何やら物騒な話を聞いてしまってね。とりあえず前線に出たら君たちがいたってわけだよ。」
少し笑を浮かべたその顔は誰が見てもイケメンと言うだろう。特にあの衝撃波を止めた時は本当にかっこよかった。
「なんだい?ジロジロと……。そんなにエルフが珍しいのかい?まぁ、バミーラでほとんどのエルフが死んでしまった今では珍しいかもね。」
十分に珍しい。そして、この状況で出会えたのは奇跡だ。もしあの衝撃波が当たっていたら……考えるだけでも恐ろしい。
「君がヒティアで……君が……トト…OK、覚えたよ。改めて自己紹介。僕はガルエール・シルドレア・サナン。エルフ族で、英雄と呼ばれている。そしてこの場で出会えたのは奇跡だ。自分のためにも、この戦争を終わらせる。」




