戦場とリスク
ずっと下を向いて考えていた。この能力。これを教えた女性。死なない身体。あまりにも理解できない事が多すぎた。次第に銃声や叫び声、爆発音が近くなる。
「今は少しばかり優勢だ。が、その模倣能力ってやつはできるだけ使わない方がいい。その教えてくれた女、異能のリスクについては何も教えなかったんだろう。」
「リスク?クールタイム以外にも何か欠点があるのか?」
「お前そんなことも知らないで戦場に行こうとしてたのか。いいか、どんな力にもリスクはある。それも強い異能ならでかいリスクがあるんだ。才能型は特別無いがな。お前異能は今まで聞いたことがない。どんなリスクかもわからないで戦場に行くなんて無謀だろう。」
リスク。そんなものがあったなんて。相手に触るだけで相手と同じ異能を使える。さらに希。きっとリスクは大きいだろう。でも、今逃げる理由にはならない。俺はヒティアを助ける。もう自分の無力さで何かを失うのは嫌なんだ。
「ラーヤ。急いでくれ。」
ラーヤは特に止めるわけでもなく、ただ黙って馬車を走らせ続けた。
ゲルバナティスの軍は俺が到着していた頃には村に侵入していた。戦場と化したサイアリアにしばらく平和な日々は訪れないだろう。
「俺が送れるのはここまでだ。俺は急いで戻らなくてはならない。いいかトト。絶対に生きろ。」
頷いてすぐ走り出す。瓦礫や死んだフリをしながら少しずつ村の中心へと近づく。
ーーーーーゲルバナティスの兵士が1人で歩いている。さっきみたいに死んだフリで……。そう思ってうつ伏せになっていた。足音はすぐ側で止まる。心臓の音でバレないかと言うくらい心臓がドクドクと脈を打つ。その瞬間。頭に衝撃が走る。
「うわぁぁぁ!!!!!」
いつぶりだろう。こんなに叫んだのは。すぐ立ち上がり敵を見る。そして一瞬時間が止まったかのように身体が止まる。
「ちょっと蹴っただけじゃない。みっともない声出してないで。なんでトトがここにいるの?」
そこにはボロボロの鎧を来てこちらをじーっとみつめるヒティアがいた。




