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3.転移

「ナガト!大丈夫か!」

男の声が聞こえる。

「う...うん...」

理由もわからず返事をする。

「お前、敵の攻撃もろにくらったからな!もう無茶するなよ!」

「ん?どうゆうこと?」 

心の中で呟く。

「今日はもうあらかた敵もいなくなった。」

「俺らも一旦後方に下がろう。」

言われるがまま、荷台のような物に乗せられた。


ガチャッ

「回復魔法お願いします!」

「こちらに寝かせて下さいね〜」

さっき聞いた声と、女性の声がする。

「敵の攻撃もろにくらっちまって!」

「痛いところありますか〜?」

全然痛い所などない。ただ状況が分からなすきで不安だ。

「あの...目の前が真っ暗で何も見えません...」

「ワッハッハ。」

「アハハハ〜」

2人の笑い声が聞こえる。

「ナガト(笑)そりゃあそうだろ(笑)」

「あんな子供騙しの、目眩ましの魔法にかかったんだもんな(笑)」

俺は、超初歩的な低級魔法に引っかかったらしい。

「回復魔法かけたらすぐ見えるようになりますよ〜。」

女性の声もどこか楽しげだ。

「はい!どうですか〜?目を開けれますか〜?」


俺は言われるがまま目を開けてみる。

まだほんの薄っすらだが少しだけ見えるようになっている。

「数分あれば元通りになりますからね〜。」

「それまではここで休んでいて下さ〜い。」

俺はまた言われるがままベッドに寝かされた。

「ナガト!ちょっと夕飯取ってくるわ!」

男はそういうと部屋から出ていった。


言われた通りベッドの上で休んでいるオレ。

その間に記憶を整理してみる。


タロとジロと散歩行ってー。

石の前で目の前が真っ暗になってー。

低級魔法に引っかかってー。

回復魔法かけられてー。

なんか笑われてー。

「ん?」

「ん!もしかして俺...」

「異世界に転移した!?」


その瞬間あの声がした。

「その通りだ。」

「そなたは選ばれた。」

「この世界はいま均衡が崩れようとしている。」


俺はすくさま言い返す。 

「どういうこと!?」

「俺に何をしろと!」


あの声の持ち主が続けて言う。

「その目が治ったら、この世界について少しずつ思い出せるだろう。」


「思い出せるって!?」


ガチャッ

「ナガト!夕飯持ってきたぞー!」

夕飯を取りに行っていた男がちょうど戻って来たのだ。

あの頭の中の声の持ち主の気配は既にない。

俺はその頃にはすっかり周りが見えるようになっていた。

「ありがとう...」

そう言いながら男の顔を見た。

その瞬間、この世界の記憶が少しずつ浮かんできたのだった。




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