幕間 <LotJ>
(=ↀωↀ=)<書いておきたかった話
(=ↀωↀ=)<話の分類的には七章の後日談なんだけど
(=ↀωↀ=)<他のエピローグと違って勢力として大きな話でもないので幕間とします
(=ↀωↀ=)<あと昨日はエイプリルフールでAEの方も更新しているのでよろしくお願いします
□■皇都・<パレス・ノクターン>
ドライフ皇国は戦争に負けた。
アルター王国は戦争に勝った。
事実としては表裏一体の二つの結果だが、当事者たる国民の受け取り方には温度差があった。
王国は『ようやく終わったのか』という思いが強い。
何も得ることのない戦争だったのだから、喜びよりも安堵を覚える。
勝ったのならば尚更だ。
では敗戦した皇国はどうかと言えば、戦争どころではなかった。
首都でテロが起きて甚大な被害が生じ、国の象徴が奪われ、国民から慕われていた皇王も死んだのだ(公式発表)。
飢餓の脅威が去りはじめたという朗報も合わせ、国民はどこに感情を置けばいいのか分からない状態である。
とはいえ、参加した皇国の<マスター>は、一安心といったところだ。
世界派は最悪の事態は回避できているし、遊戯派も事前の規定通りの報酬は支払われているのだから。
しかしそれでも、今後の運営に関して以前と同じとはいかないクランもあった。
「ここも随分と広くなったもんだなぁ……」
皇国第三位クラン<LotJ>のメンバーの一人、【掻王】ドミンゴスは自分達の拠点であるパレスの食堂を見回しながらそうぼやいた。
かつてはここに多くの<マスター>や従業員、コンパニオンが集まっていたものだが、今は彼を含めて数人がいるだけだ。
戦争が終わり、パレスの人員と予算が削減されたためだ。
元よりパレスは王国との戦争のために遊戯派の<マスター>を飼っておくための場所。
戦争が終わり、王国の属国に近い今となっては予算が縮小されるのも無理はない。
人員にしても同様。人件費が減ったのに加え、皇国内での開拓と食糧生産が可能になった影響で国内の職業人口が動き始めたという事情もある。
そして、戦後の報酬を受け取った遊戯派の中には、条件の悪化を理由にクランを去る者も少なくはなかった。
結果として、パレスはティアンも<マスター>も最盛期の三分の一以下となっている。
「まぁ、元から短期だからこそ出来る大盤振る舞いだとは思ってたがなぁ……」
有料になった食堂で酒とツマミを注文しながら、ドミンゴスは溜息を吐く。
料理の味は変わらないので、それは良かったと一安心する。
「なんや、お前も残っとったんかドミンゴス」
「おぉ、ガンドールじゃねえかぁ。久しぶりだなぁ」
丸テーブルでドミンゴスの対面の席についたのはメンバーの一人、【竜征騎兵】のガンドールだ。彼もまた、まだこのクランに残っている準<超級>の一人である。
「露骨に顔触れが減ってもうたけど、知った顔があるとなんや安心するわ。それがお前の悪党ヅラでもな」
「まぁそういう顔で作ってるから褒め言葉だなぁ」
「オーナーがランダムで作った悪党顔に迫力負けてたのはちょっとショックだったがよぉ」と懐かしむようにドミンゴスは笑う。
「……そのオーナーやけど、いなくなったってホンマか?」
「ああ。クランの委任状を残してなぁ。戦争中には預けていったみてぇだ。エリートの奴もいねぇ」
「戦闘のトップと実務のトップがどっちもおらんなったんかい……」
『他の誰がいなくなるよりあの二人おらん方がキツいやろ……』と考え、ガンドールはこめかみに手を当てる。
「まぁ皇国も国としては残ってるし、今後の傭兵の受け皿としてこのクランは残したいらしいからなぁ。実務の方は誰かしらそういうのが得意なティアンでも派遣されてくるだろうよぉ」
「それはええけどな……。オーナーは何でおらんなったんや」
「知らねえよぉ。理由については何も書かれてなかったらしいからなぁ。戦争中に何かあったのかもしれねえが、俺っちは戦争自体参加できてねえからなぁ……」
ドミンゴスは戦争が始まる直前にフォルテスラと遭遇し、敗れて退場している。
戦争中のあらゆる事にノータッチで終わってしまい、消化不良なのも彼がまだここにいる理由かもしれない。
「まぁ俺もよう分からん奴にやられて終わったから知らへんけどな……」
ガンドールの方は<ウェルキン・アライアンス>との激戦を生き抜いたものの、最終日に戦争参加者でもない影法師に倒されている。
結局は彼もカタと同じ戦場に立ったことはないので、何があったのかは分からない。
いずれにしろ、今のこのクランはアタマを欠いている。
「ガンドール、お前さんは戦争中だけって話だったが、どうするんだ?」
「それなんやけどね、慰留されたわ。街の中もテロやら何やらの後始末で大変そうやし、皇国としても今後のために俺がおった方がええってことやろな」
今回のテロには天竜が絡んでいるとも言われている。
それゆえ、今後を考えると数少ない空中戦の猛者であるガンドールは、皇国としても国内に置いておきたいと願っている。
ガンドールとしても、自分……というよりワイバーンが強く求められていることは悪い気がしなかった。
「そうか。ならオーナーやるかぁ?」
暫定で自分に預けられている委任状を取り出し、ドミンゴスは問いかける。
『オーナーに勝った者が新たなオーナーになる』のがこのクランのルール。
だが、自分では空中からの対地攻撃を得意とするガンドールと相性が悪いことはドミンゴスも分かっていた。
とはいえ……。
「戦闘相性はともかく人望ではドミンゴスの方がええやろ。俺はヒラか、やってもサブやな」
「そうかぁ。なら任されるとするかぁ」
両者合意の上で、次のオーナーはドミンゴスとなった。
「というか他に残る準<超級>は誰や? オーナーやりたい奴はおらへんのか?」
「結構抜けたからなぁ……。C tはそこでフランクリンから買った電気ネズミと遊んでるけどよぉ」
ドミンゴスが食堂から見える中庭の噴水を指すと、版権的に問題のありそうなモンスター達と戯れている<マスター>の姿があった。
【超獣師】C t。フランクリンのお得意様であり、最近はパレスの敷地内でペット用の家を建築し始めた動物好きである。
「……アイツ、戦争はどこで死んだんや?」
「急に首が落ちたらしいから多分カシミヤかヴォイニッチにやられたんだろうなぁ。従魔師系統なのに《ライフリンク》を使わねえからよぉ……」
Ctは『強いのになんかすぐ死ぬ』と評判の準<超級>である。
ちなみにクランオーナーの座を競う争いにも一切参加していない。ペットの購入費と餌代のためにクランに所属しているだけの<マスター>だ。
ゆえに次代のクランオーナー選びでも最初から選外である。
「あとは確認取れてないのが何人かいるが、最終的な準<超級>の人数は五人前後じゃねえかなぁ。俺の舎弟含めて上級職はそこそこいるがよぉ」
「激減やな。ま、それでもランキングには掛かるやろうけど」
皇国の変化に合わせてこのクランもやることは多そうだとガンドールは考える。
「人が減った分、俺らが頑張らねえとなぁ。方針も変わるし、エトヴァスの奴も誘うかぁ」
ただ、その仕事に対して、この悪人顔だが面倒見の良いドミンゴスはやる気のようだった。
オーナーという役割に関しては、前任のカタよりも向いていそうだった。
ただ……。
(……しっかし、ホンマにカタはどこいったんやろな)
今後の自分達の活動と同じくらいに、ガンドールは自分達の元オーナーの行方を気に掛けていた。
◇◆◇
□■皇国某所
カタ・ルーカン・エウアンジェリオンは皇国の荒野を、独り歩いていた。
どこに向かうとともしれない道行き。彼は自分の歩く先の東西南北すら把握していない。
「…………」
ただ、時折足を止めて、何かを探すように自分の周囲を見回す。
そうして何も見つけられず、何も言わず、また歩みを再開する。
その繰り返しだ。
今の彼に行く宛はない。
<遺跡>で彼に呼びかけた存在からの誘いは、デスペナルティからの復帰後もあった。
だが、彼はそれを無視して出奔した。
『ウルの蘇生』というかつての彼ならば何を引き換えにしても叶えたかった願いに、今の彼は背を向けている。
なぜそうしたかと言えば、<遺跡>でのことが心に残っていたからだろう。
『ウルを人殺しの理由にするのか』というレイ・スターリングの問いかけと、その後に確かに見たウルの泣き顔。
その二つが、カタの心に刺さって抜けない。
今の彼には……何を選ぶにしても選ぶ意味を噛み締める時間が必要だった。
曖昧に惰性で生きるのでもなく、眼前に垂らされた救いに暴走するのでもなく、彼自身が本当の意味で選び、考えなければならない。
『『…………』』
だから、彼女達は何も言わない。
彼の体内で共にあるニーズヘッグも。
ずっと彼の傍にいた……彼とニーズヘッグには見ることのできない一人の少女も。
ただ、思い悩みながらも前に進む彼を見守っている。
彼が答えを得る日は遠く、けれど……いつか必ず辿り着く。
To be continued
〇カタ
(=ↀωↀ=)<色々考え中なので水晶陣営入りせずに出奔
(=ↀωↀ=)<どこに向かうのかを本人すら知らない状態
〇<LotJ>
(=ↀωↀ=)<新オーナードミンゴスで再始動
(=ↀωↀ=)<国からの予算は減ったけど普通に強いランカークランとして今後も活動する
(=ↀωↀ=)<ちなみにエトヴァスくんは皇国が残ったのでカルディナ行かずに残留するし此処に入る
(=ↀωↀ=)<ついでにペールゼン姉妹も一緒に入る
○【超獣師】Ct
(=ↀωↀ=)<AEの『ある日の<ロウ・オブ・ザ・ジャングル>』にて
(=ↀωↀ=)<フランクリンからピ○チュウ買ってたポ○モン好きの準<超級>
(=ↀωↀ=)<ちなみに大体の人が考えるテイマーっぽい戦い方をする真っ当な従魔師
(=ↀωↀ=)<しかしモンスターは概ねペット枠で、自前の<エンブリオ>を強化して戦うスタイル
(=ↀωↀ=)<弱点は本人。奇襲されると大体死ぬ
(=ↀωↀ=)<あんまり関係ないけど作者は最近ぽこあポ○モンのストーリークリアしました
(=ↀωↀ=)<エンディングがすごい良かった……




