夢生が弾く
日々凪さんのコード譜とともに、
練習に励んだ夢生。
「明後日の、ゆーたがライブ終わったら
夢生、一緒に弾こうか。外部客は
多田くんだけだよ~楽しみだね。」
何度か通して弾いたけど、
凪さんの昔のバンド仲間が来てくれていたから
やっぱり凪さんは好かれているんだな
と感心した。
「その日はさぁー、
なんと。昔からいるスタッフも残ってくれるから~心強いよね、夢生。」
昔から?って事は小野寺さんいるな、
僕のギターの音を支えるのか…
ヤバイぞ。緊張するなぁ。
なんて、ぐるぐる考えているうちに
当日になってしまい、僕は
ステージに、凪さんと立っていた。
フロアには、多田さんだけ。
何故か泣きそうな顔をしていた。
マイクの前には凪さん。
「多田くん、待たせたね。宜しくね。
それから、小野寺さん!ただいま!!」
音響の小野寺さんが
「凪!!お帰り!!
夢生!!たくみんも残ってる!!
あと…嵐を連れてきてくれてありがとう!!」
え?
ドラムスティックが、カツカツカツと鳴った
始まる合図
ええい!鳴らしてやる。
僕は弾きたかったんだ。この曲を!
この曲は、いきなりギターのストロークから
始まる。
ギュイィィー!!
『Sin and Justice』
作詞 海原 凪
作曲 海原 嵐
♪正しさなんて 知らなかった
お前が笑えば それでよかった
何もできない 何も変えられない
伸ばした手の先 届かない明日
俺が背負った この罪の名前を
お前は最後まで 認めなかった
「お前が俺を想ってる」
それが正義だと 笑っていた
Sin and Justice
交わした約束が まだ胸を刺す
Sin and Justice
お前のいないステージで
俺は何を歌えばいい
書きかけのコード譜
最後の一行は 空白のまま
いつか二人で鳴らすはずだった
あの音だけが 終われずにいる
お前がいない それだけのことが
こんなに世界を 変えてしまうのか
許されたくて 歌うんじゃない
忘れたくなくて 音を鳴らす
Sin and Justice
果たせなかった約束を
Sin and Justice
今もこの手で抱きしめる
お前の正義を 裏切らないために
罪は消えない
時は戻らない
それでも俺は ギターを持つ
お前が残した コード譜を開く
空白の先を 俺が鳴らす
Sin and Justice
聞こえているか この音が
Sin and Justice
お前のいないステージで
俺はまだ お前と歌ってる
ここで、楽器演奏が止まった。
凪さんが付け足した歌詞を
歌う。
♪正義なんて わからないまま
それでも約束だけは 終わらせない♪
僕は歌い終わりに自然と
ギターを鳴らした。
曲が終わる。ドラムの人が立ち上がる。
ベースの人も。
凪さんを抱き締めるためだ。
「夢生!!ありがとう、さぁ、かたずけたら
約束の話をしようか。」
フロアから多田さんも
「俺もいくからー!!」
と泣きながら叫んでいた。
そうなんだ。
弾けるようになった僕に
凪さんが話してくれる。
何があったのか。
何故僕にギターを託したのか。




