コード譜
夢生が、急いで一人暮らしのアパートの
ドアを開ける。
さっき見たあの、ギターケースの
裏地。
ケースを丁寧に開ける。
ギターを優しく取り出すと、
やっぱりだ。1度自分で裂いた跡にみえる。
経年劣化じゃないな。
ギターネックを支えるクッション。
ネックの脇の裏地が少し浮いている。気になって指で触れたら、隙間から紙の端が見えた。
紙?あぁ、ギターの説明書?いや…違う。
ギターケースの中にはポケットがあるから
よし。凪さん大切な紙だったらごめんなさい!!
ゆっくりゆっくり、ほつれた裏地を開く。
するする開いていく。
やっぱりわざと、裂いたんだろう。
スムーズに開いた。
雑に小さく畳まれた紙がでてきた。
また、丁寧に、紙を開く。
コード譜!!
『Sin and Justice』
作詞 海原 凪
作曲 海原 嵐
えっ?これって…
コード譜の下の余白には、
凪へ
ごめん。約束を果たせなくて。
これを見つける頃には
凪の夢が叶ってるといいな。
嵐
夢生は、大変な物を見つけてしまったと
焦った。
唯一わかるのは、凪さんが
「夢生は、僕のオリジナルを弾けるように
なってね。」
と言っていた事で、思い出した
今見つめている、コード譜は
凪さんのオリジナル曲だ。
考えるより、僕は立ち上がった。
ギターをケースに戻し、
それを持って、玄関をとびだした。
これを見て、僕がどうこう考える場合じゃない。
凪さんが、このコード譜をみて
考えるべきなんだ。
街灯の中へ、僕は息を切らしながら走る。
まだ店に居て!凪さん!!




