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相対性『僕とAI的』理論  作者: コラソン


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初めてのまきまき


フロアに出ると、

「じゃ、これ触ってみる?」

凪さんが、床に置かれていた黒いケーブルを一本持ち上げた。


「これ?ですか!」

宮川が覗き込む。まるで社会科見学だ。


「そう。マイクとか楽器を、音響機材につなぐやつ。ライブハウスでは、これがいっぱいあるからね」


凪さんが先端を見せてくれた。


銀色のコネクター。

「抜くときは、コードを引っ張らない。ここを押して抜く」


カチッ。簡単に外れた。


「へぇ……」


僕も手に取ってみる。思っていたより重い。


「これ、全部覚えるんですか?」


「全部っていうより、扱い方を覚える感じかな。あと、巻き方も大事」

凪さんが慣れた手つきでケーブルをまとめていく。


「こう。ねじれないように」


「……」


宮川がメモを取る手を止めてじっと見ている。


「やってみる?」


「はい」


即答だった。


宮川は受け取ったケーブルを、真剣な顔で巻き始めた。

一周。

二周。

三周。


「……」


僕には、ただ黒い輪っかが増えていくようにしか見えない。


「夢生もやってみる?」


「えっ、僕も?」


「スタッフ見学なんだから。触ってみないと分からないでしょ」


渡された。


僕も真似して巻いてみる。


……あれ?


なんか変だ。

「これ、合ってます?」


凪さんが僕の手元を見る。


「うん。ちょっとねじれてる」


「やっぱり?」


「最初はそんなもん」


宮川が横から口を挟んだ。

「佐上氏。ケーブルを巻くにも才能が必要らしい。

これはここでしか出来ない経験だ。」


「黙って巻けー」凪さんが失笑する


その横で、宮川は相変わらず真剣だった。


「佐上氏。我々は音楽に疎いです。ですが

ここでの経験が必要だと自分の勘が

働いている。」



ああ、宮川これでここのバイト決まったな。


さて、次は…


「リハーサルはじまるね~僕達も、混ざろうか」


「先ほど巻いたケーブルの出番ですね?」


宮川の言葉に

「拓海。その気持ち大切にしてね。」

と言って笑った凪さん。


言われた宮川は、ほえ?と意味が

わからなかったようだ。


「機材ひとつ。ケーブル1本。音楽の為に

それぞれ大切な出番があるんだよ。


小生意気な子も良いけど、

その純粋さも良いね~」


凪さんの顔が綻んだ。


次はリハーサルだ。

好奇心が出る。






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