ライブスタッフのお仕事。
「じゃ、早速フロアいこうか」
また、バックヤードを歩く。
先頭にいた凪さんが
「君達、新鮮だね~。ライブハウスの
バイトって、ステージの出番ない子ばっかりだから。
良い意味でこだわりがあって、ひねくれてて、
たまんない。かわいくて。」
なんて、嬉しそうに言う。
えっ。じゃあ知識ゼロの僕達なんて
無理ですって!!
凪さんの足が止まる。
振り向いて、
「んー。そう?僕はさ、君達の目を見て
決めたからね。機材やケーブルをみて
いちいち、びっくりしてるでしょ。楽しそうに。あんな姿見たら、他の所に行かせたくないなぁ。」
うわ!これ、女の子に言ったらすぐ、
落ちる。沼だ。僕が女子じゃなくて
良かった。
「さ、まず開店準備の説明から。」
ライブ前
出演バンドの搬入を受ける
機材を運ぶ・配置する
楽屋の案内
タイムテーブル確認
音響スタッフと出演者の確認
リハーサルの進行
ドリンクカウンターの準備
チケット・受付準備
宮川が、スッとポケットからメモを出す。
さらさらさらさら、真顔で、記入していく。
「機材の搬入は、バンドマンの命だから
人だと思って扱ってね。」
なんて事までメモする宮川。
なるほど。これだけの作業で準備開始なんだ。
「次は、リハーサル。もうすぐだから。」
前髪をかき上げながら、フロアを覗く凪さん。
もう、どんな仕草もカッコいい。
「スタッフの怒号飛ぶけど気にしないでね。
皆真剣なだけだから。音響さんなんて、
もう、ビリビリだよ~。」
怒号。大丈夫。うちの父は酒乱だ。
家庭環境が良い意味で役に立った。
隣の宮川をみると
直角に立って緊張していたのが
おもしろかった。
ほっぺをつんつんしてみた。
ゆーたの真似だ。
微動だにしなかった。宮川は
真剣だ。




