変化と、攻略
神楽からの連絡で、急いで自宅に戻り、
荷物を置き、兄と病院へ。
多国籍軍の皆は動揺し、心配していたけど、
宮川の、
「大人数で病院に行くのは避けて、
落ち着いて、佐上氏の手が空いたら連絡して下さい」
と言い、皆帰路についた。
母の病室には、入れなかった。
面会の時間と、人数に制限があり、
父が病院の正面入口付近の長椅子に
座っていた。
神楽が隣に居て、泣いていた。
「ケガの原因は、後で。かーさんの状態、説明して。」
兄が父に静かに言った。
「その、階段の途中から落ちて、骨折した。」
父がボソボソ言う。
「骨折、どこ。」
「肋骨、背中。2本」
父が気まずそうに、ポソっと言った。
あー。これ、階段の途中で
父が母に何かやったな。と僕はピンときた。
兄が「詳しい話は後で。帰ったら
かーさんの荷物纏めたいから、
神楽、下着とか、たのむ。」
「わ、わかった。」
と、いいながら、神楽のお腹が鳴り響いた。
「こんな時にごめんなさい。」と神楽。
しょんぼりしている
兄が少し笑って
「ラーメン食ってから、帰るぞ」
と言いながらスタスタ外にむかって歩き
始めた。
僕は流石に胃がキリキリして
ラーメンもやっと流し込んだのに、
神楽の食欲は、普通だった。
ラーメン、チャーハン、餃子。
こいつは、きっと食べ物さえあれば
色々乗り越えられるに違いない。
家に着くと、神楽が
母とメッセージのやり取りを始めた。
必要な物を纏め始める。
ダイニングテーブルには、
僕と兄が並んで座り
向かい側に父が座る
「で、何があったか、お父さん、説明。」
と、兄。
話の内容は、
僕たちが、だいくんの祖父宅を
出た夕方ごろ、母と父が揉めた。
きっかけは、些細な事。
母が、「私は神楽と2人で外に食事に行く」
と言い、2階へ服を着替えに行った。
父が追いかけて2階へ。
母が、全く構わず、着替えを済ませて
階段を降りた。
父が何か言って追いかけて降りる。
残り3段位で降りきる時に、
父が母の腕をつかんだ。
弾みで母の体が後ろの父に向いた。
掴んだ手を振り切った時に母が
落ちた。
兄が長いため息をついてから
「とにかく、退院の目処が立つまで
家族で役割り分担。」
と、言った。
改めて、僕の胆が冷えた。
肋骨は、内臓に刺さったら
手術になるが、母はそこまでには
ならずに済んだ。
問題がなければ、退院もすぐ出来るけど
母は、発熱したり、血圧が一時的に上がったりで、一週間程度の入院が決まった。
兄は父を責めなかった。
お父さんに何か言うことないの?
と僕が聞いたら、
「あの人、自分気まずくなると
話噛み合わないし、
逆ギレしてめんどくさいから。」だそうで。
とにかく、『佐上家、母が入院する』が
僕たち兄妹のストレスと共に、
幕を開けた。
母とは少し面会する時間があったり
メッセージでやり取りをしたりと
それなりに母の様子がわかっていた。
母のお見舞いから帰ると、
ゆーたが、こーきと来ていて、
神楽とキッチンで夕飯を作っていた。
宮川は、掃除機をかけている。
亮太もやって来た。
手には、差し入れのチキンが沢山。
兄と、だいくん、イツキにぃは
まだ仕事。
神楽
「うちら、家族だけだったら
家の中暗くなるから、皆来てくれて
良かった~」と言いながら
亮太が持ってきたチキンを受け取る。
兄が先に帰宅した。
だいくんとイツキにぃは、少し遅れて
来たんだけど、理由が
「おれとイツキから、ママさんに選んだ。」
と言って、帰りにカーディガンを買って来てくれた。
陰キャだったモブの僕の周りには
こんなに良き仲間が出来た。
だれも、やってあげたなんて思ってない。
各自自然に集まって行動していただけ。
明日母にはカーディガンを届けよう。
喜ぶだろうな。
その前に、僕はスマホの画面に問いかける
「チャッピー、肋骨はどのくらいで
くっつくの?」と、聞いた。
『お母さんの具体的な状態は、担当の先生に確認するのが一番だよ』
「いやー、何か心配で。
カルシウムとかサプリ、なんか買うかな?」
『心配なんだね
でも、サプリは勝手に増やすより、病院で確認したほうがいいよ』
「明日カーディガンを届けるついでに、看護師さんに聞いてみるかな
ありがと、チャッピー!」
いつ、何が起きるかわからない。
でも。
周りに友達もいる。
調べる事が必要になればチャッピーに聞く。
僕の周りは以前より賑やかになった。
その分心強くなった。
ブブっ、と、母からの通知。
『あと、3日で退院するよー!!』
多国籍軍の皆に連絡をした。
『退院祝いの作戦会議』
で、皆また集まった。
ゆーたが
「ママさん退院して落ち着いてからだよな」
と言えば
宮川が
「そうですね。お祝いは落ち着いてから。
それから、ママさんの好きなメニュー教えて下さい。」と、『多国籍軍 議事録』のノートを
出す。
こーきは
「皆で作るんか?俺たちカレーしか
作れなくないか?」という。
そうなんだよなぁ。
悩むわ、食材揃えてーレシピみてー
うーん。
その時、襖が
スッパァァァァァンと開いた。
神楽だ!!!
「おかーさん、離婚したいって……
さっき病院で。落ち着いたらおとうさんと
話すって。」
!!!
いやぁ、そうかぁ。
僕は頭をかきむしり、
友人達は呆然としていた。




