希望とは 3
だいくんの祖母を見送ったあと、
皆また、当たり前に日常を送る。
僕と宮川は、漫画サークルへ加入
読み先だが、楽しい。
ゆーたは、こーきと軽音部へ。
バイトもそれなりに忙しい
でも
離ればなれにはならない。
以前ほど、会わなくなっても。
大学に入って長い夏休みが始まろうと
していた。
ゆーたから、グルチャに、
連絡が入る。
多国籍軍、夏の遠征合宿
場所など、詳細はむーんち会議室で
明後日、19時集合!!
遠征?どっか行くんか。
だいくんから着信。
「俺とスカイ、ちょっと遅れるけど
むーんちにいくわー」と言ってきた。
まずは皆僕んちへ、集合!!
いつもの仲間と、次の予定を立てる。
楽しみだな。
小さな希望は、こんな風に日常に溶け込んでくる。
多国籍軍の、合宿会議の日、
久々の集合の前に
皆で『 グリルハウス ミートミート』
で晩ゴハン。
「兄達3人には、連絡入れたから。
何か向こうもテキトーに、食べて来るって」
こーきが言った。
多国籍軍は、夏の合宿、
どこへ行くかというと…
ゆーたが、
『だいくんの祖父宅』と発表した。
最近皆バラバラだなぁと考えたゆーたが
だいくんと連絡を取り合い、
だいくんの祖父が了解し、すんなり決まった。
「ういっす。お疲れ様。俺今日もうあがったから」
と今田も来た。
ゆーたが
「今田くん、下の名前は?」
「おれ?今田 亮太」
「連絡先教えてー!」とゆーたは
スマホを出した。
多国籍軍のグルチャに招待して、
完了。だと思ったけど、
ゆーたが「よし、銭湯いこ!」
今田改め亮太が、
「え?おれ、何ももってないよウチ取りにいくのめんどい。」と言ったが。
僕にはわかる。
多国籍軍に正式入隊するなら
アレだ。アレしかない。
その後ブリーフ銭湯で
『今田亮太』と書かれた肌色のブリーフを
履かされた亮太が、薄い悲鳴をあげて
正式入隊の儀式を無事完了した。
皆の予定をすり合わせ、
バイトの休み希望の申請をすませた
僕たちは、
お盆休みに、だいくんの祖父宅へ、
2泊する事に決まった。
繁忙期に休むから、僕は
多田さんごめんなさい。と言ったけど
「気にすんな、むー、いっつもがんばってるからさ。ダイキのおじーちゃんに宜しく伝えてくれよー。」
と言って、当日に沢山お土産を
持たせてくれた。
多田さんは、やっぱり優しい。
だいくんの祖父宅につくと、
皆、まず最初に仏壇の祖母に
挨拶をした。
多田さんが持たせてくれた
果物やら、色々お供え物を
「おばーちゃんどうぞ」といいながら、
仏前に置いた。
宮川が、
「入浴についてですが、調べたら、ここから
割と近くに、スーパー銭湯があります
全員で行きましょう。」
と提案し、皆それに同意した。
今時の、スーパー銭湯。
サウナでトトノエたり、岩盤浴やら、色々ある。湯船も数種類。外には
露天風呂がある。
食事処と書かれた看板の下には
充実したメニューのPOPも。
ブリーフ銭湯で慣れていた僕たちは
舞い上がった。
そして楽しかった。
すっかり忘れていた。
全員、名前が入ったブリーフを
履くことを………。
僕たちは、焦った。
他にもお客さんがいる。
宮川が
「皆さん、諦めが肝心です。堂々と、履きましょう。」と、言い
ゆーたが、
「それもそうだな。」と言い
こーきも
「俺、パンツどうでもいいから
メシ食いたい」と神楽みたいな事を言い
新人隊員の亮太が
「おれまだ免疫ついてねえよ。」
とボヤきながら、しぶしぶブリーフを着用した。
小学生の、男の子が僕たちに、
「芸人さんの撮影ですか?」
と聞いてきた。
兄達3人爆笑
僕ら大学生は、絶句。
都会の風に当たった瞬間だった。
帰り道、また、だいくんと少し後ろを歩く。
だいくんが、「あれ、見てみ、ジーちゃん」
と言って少し前を歩く、ジーちゃんの
隣に、兄がいた。2人とも話をして
笑ってる。
おじいちゃん、楽しそう?かな。
「バチクソ喜んでんの、ジーちゃん。
ありがとな。」
いやいや、こっちこそ。ありがとうございます。泊まる人数も、人数だし。
そう言うと、だいくんが
「ジーちゃん、バーちゃん居なくなって
しょんぼりしてたんだよな。」
あー、寂しいですよね、きっと。
「だから、こうやって皆来るよって
話したら、布団レンタル申し込んだり、
掃除したり笑」
えー!申し訳ないす、僕ら負担かけてますよね。
「いや、ジーちゃん、
『若い人は、希望が沢山あるから
ジジイなりに、応援したい』とか言ってんの」
いやぁ、でも、ただうるさいだけっす。
「皆明るくて、賑やかだから
元気もらうって。ジーちゃん。」
そう言うと、だいくんは
ニカッと笑った。
僕は、だいくんと仲良くなれて
本当に良かったと思った。
だいくんち、2日目の夜は
みんなで、多国籍軍カレーを作った。
大丈夫。生ゴミじゃない。笑
帰るとき
だいくんの祖母の仏壇に挨拶をして
表に出てから
皆だいくんの祖父に
「お邪魔しました!!お世話になりました!」
と頭をさげ敬礼した。
この後、祖父宅の近所の人達が
自衛隊が集まる家、と噂になり
だいくん祖父がちょっと困惑した笑
帰り道、神楽から着信が入る。
お土産のおねだりか?
と思いながら、出ると
「むーさん!お母さん、階段から落ちて
救急車で運ばれて、いま病院!!」
神楽の焦った声が、頭に響いた。




