対面
「ただいまおじゃましまーす」
と、こうき
「突然の訪問ですが失礼します。」
と長田君も。
2人はまっつんの車で
我が家にやって来たのだ。
完全勘違いした母が長田君に
「あら!あらあらあらあら
ゆーたんの学校の先生がもう1人いらして!
せっかくですから、先生方、上がっていきませんか?」
長田君。すまない。僕はこころの中で呟いた。
ササセンがあわてて、
「至急の会議がありますので、
学校へ戻ります。お気遣いありがとうございます。」と言い
まっつんが
「夢生の明日の登校ですが、安全対策として
こちらから連絡をするまで
お休みする方向でお願いします。」と
頭を下げた。
状況が緊迫している。僕は額に汗が滲んだ。
だけど、慌ただしかったのも確かだ。
さすがに疲れていたので、しばらくの間、
皆とボーッと過ごしていた。
「ふうかちゃんと、さなちゃんいないの?」
神楽だ。
「あー!用事あるから今日来れなくて。」
ゆーたが答える。
「そか。」神楽がそわそわしている。
チラチラチラチラ皆を見ている。
宮川が気付く
「神楽さん、申し訳ない。急ぎで
来てしまって、手土産の用意ができませんでした。」
うわぁ。神楽おやつ待ちかよ
「そか。」神楽がションボリしている。
こちとら、緊急事態っすよ!!
「かぐ、パン食うか?俺のポケットに入ってたから、潰れてるかも、だけど」
とこーき。
ゆーたが
「てか、ケバブん時といっしょじゃん
でも何でポケットからパンなんだよ笑」
こーきが、コッペパンを神楽に
渡しながら
「帰り道で食うつもりでいたんだよっ」
と、言って笑った。
僕の高校には、パンの自販機が玄関入ったらすぐの場所にある。
こーきがそこで、あーこの学校
分かりやすいところにあるんだな。
「買おっと」と買っただけ。笑
笑っている最中、長田君のスマホが鳴った
ササセンからだ
「ミクが騒いでいた様ですが、保護者に連絡をいれて迎えに来てもらうようです。」
長田君は、静かに言った。
ミクに名指しされていた僕とゆーた。
だからこの後詳しい話が聞けた。
ササセンと原田先生から聞いた
内容だが、
僕の高校にたどり着いたミク。
校門の、門扉がしまっている。
ミクが着くより先に
校舎に戻ったかどうか分からないけど、
裏門から先生達は無事に校舎へ入った。
ミクは
僕の高校の、hpを検索し学校に電話を掛ける
佐上夢生にイジメられた。
本人と、話がしたいから連絡先を教えてほしい
教えてくれるまで、正門の前にいる。
といった内容だった。
通話を、スピーカーにして聞いていた先生達。
まっつんが、「いま、正門に向かいます。
ただ、すぐに門扉は開けません。お話だけ聞きます。」
といい、通話を終了。
ササセンも自分のクラスの子が
迷惑を掛けていたから、行こうとした。
だけど
「変に刺激しない方が得策だろう」
と職員室にいてもらった。
まっつんが教頭先生と校門まで行く。
バスケ、野球、バレーの、部活の
顧問が靴箱の影で身を潜める。
サッカー部顧問は裏庭から
中庭へ移り、の木の影へ潜む。
万が一の場合に備えた先生達。
ミクが手に負えない様子になったら
まっつんがホイッスルを鳴らして
周りに知らせる。
「まっつん、ホイッスル首に下げてただけなのに、判断託されて、苦労してんのな笑」
ゆーたが言う。
僕は僕で
明日からまっつんの首から
ホイッスルが無くなっててもおかしくない…よな?と返す
不謹慎だけどゆーたと目を合わせてクスッと
笑ってしまった。
吹奏楽部と、軽音部の顧問が
窓の影から様子を伺う。
ササセンは、黙っていられず
サッカー顧問がいる場所へそっと行き
固唾を飲んだ。
だけど、
この後、先生達はアゴが外れそうになったのだ。
正門までしっかりとした足取りで向かう
まっつんと教頭。
後ろ姿を各ポジションで
先生達皆が緊張した面持ちで見守っていた
………………!!!
教頭の、後ろポケットに刺さっていたのは
『交通安全』の黄色い旗。
先生たちだって人間だ。笑いたくないんだ。
でも、あの旗はズルい。
笑ってはいけない状況で、
堪えるため、呼吸が苦しかったそうだ。
僕とゆーたは、話を聞いていただけでも
「それは、ダメなやつー笑笑笑」
アゴが外れそうになるほど爆笑した。
ただ、その後状況が緊迫してくる。
ミクが
「開けて!」と門扉を掴む。
まっつんが、
「開けません。W校の制服ですね。
名前と学年を教えてください。」
ミクが、まっつんを睨みながら
「は?マジキモいんですけどー
あんた誰目線で何聞いてんだよ?」
と言いながら門扉を軽く蹴る。
まっつんは
「n校 生徒指導主任の松本です。」
教頭が
「同じく。本校の教頭 相川です。」
ミクは「は?だから何よ。佐上夢生は?
連絡先ワカンナイし、困ってるんですけど」
と門扉をコンコン叩く。
まっつんが、
「こちらの取り決めで、正当な理由がない限り、生徒の情報は、お答えできませんよ。こちらからはお話する事はありません。なので帰りなさい。」
ミクが、
「だったら何でウチの名前とか聞いてんの??
頭悪すぎ!!通報してやるから!
名前しつこく聞かれたって、言ってやるから!!」カナキリ声で叫ぶ。
教頭が、
「記録撮ってますよ。防犯カメラ。
通報するなら、どうぞ。」
まっつんも
「緊急性と判断して、念のため動画も撮ってます。」とスマホを掲げた。
ミクは
「コッチは悪い事、してないんですけど
あんたの所の佐上が、迷惑かけてきてるっていってるのに!!」
夢生は何もしていないと、皆言っていたけど
この子にしてみたら、何かあったか可能性も
否定できなかった。
まずこの、ミクとも話をしないといけない。
だが。今の彼女の精神状態は
良くない。
そう判断したまっつんは
いよいよホイッスルを口元へ。
鳴る前に
ササセンが飛び出した。
サッカー顧問も並んで走る。
ミクが驚いて「ササ先!何で?」
ササ先が、
「とにかく中へ。場所お借りします。
相川教頭と、松本先生、
お二人とも、こちらの生徒の面談の同席
お願いします!!」と息を切らしながら言った。
ミクが
「は?n校の先生なんて関係ないじゃん!」
と言ったが、
「関係あるだろう。佐上君は、こちらの生徒だ
とにかく、ミクも入りなさい。」
とササ先。顔は真顔だった。
先ほどまで、ワイワイ賑やかだった
図書室。
さっきまで皆が使っていた長い机。
ミクが座り、その向かいに
僕の担任、原田先生と
ミクやゆーた達の担任、ササ先が座る。
黒板前の教壇には、相川教頭。
その近くで、まっつんがパイプ椅子を置いて
座った。
ササ先が立ち上がり、
「本日は、私共にお時間を下さり
ありがとうございます。また、こちらの生徒である、佐上くんの名前が出ておりますので
話の内容によっては、佐上くんの同席を
お願いするかもしれません。
どうか宜しくお願い致します。」
と言って頭をさげた。
ミクはつまらなさそうに、
自分の髪の先をくるくるいじっていたが
「ミク、こちらの学校にお世話になっているんだ、キチンとしなさい。」とササ先が
低い声で言った。
「えー、では、面談始めましょうか。」
と教頭。
ササ先が、「本校教頭から、ミクの
母親の職場に連絡を取りました。後ほど
到着します。」
ミクが
「ちょっと!!ウチの親呼ぶって何よ?
悪いのは佐上なんだから!!呼ぶなら佐上じゃなくて?」と怒ったが、
ササ先は、静かに
「ミク、ゆーたにコロスって
メッセージいれただろ。それから
フーカとサナに、佐上くんの連絡先おしえてって何度も聞いたみたいだな。」
ミクは、「仕方ないじゃん!ミク悪くないし!!
こんなのミクが悪いみたいで納得できない!」
とさらに、怒る。
「どっちがいい、悪いの話を決める前に
先生達もまずみくから事情を聞かなければ
いけない」とササ先。
原田先生が
「佐上の担任の原田です。
そちらの生徒の田口君から
佐上に連絡が入り、事情は聞いております。
一概に、佐上が悪いとは、言いきれません。
まず、双方の、話を聞き、見極めます。」
ミクが
「はぁ?佐上とゆーた何やってんのよ!!」
と切れていたが
「失礼致します。宮本ミクの母親です…」
と、申し訳なさそうに頭を下げて入ってきた。
ゆーたの学校の教頭先生も一緒に。
さて。ミクに何があったのか。
なぜ僕がこんな目にあっているのか。
先生達がどうやって解決の方向へ進めるのか
こんな事になってしまった、
原因を探る時間が始まった。




