元彼と今彼へ行く
「そこの冒険者の方々。良い品物がたくさんあるので見ていってください!」
露店を開いている一人の冒険者が、青年の所属するパーティーを呼び止める。
「さあ。良い品物がたくさんありますよ! どうぞ。ひぃっ!」
客引きをしながら嬉しそうに笑っていた冒険者は、一瞬で体が固まり、言葉を止める。
冒険者の目に映ったのはボンヌだった。
「知り合い? 誰なの?」
ローレルが体の固まった冒険者とボンヌを交互に見ながら、興味深そうに言う。
「うん。元彼。元気そうでよかったね。」
魂の欠片一つも残っていないような言葉で、ボンヌが安否を尋ねる。
そしてボンヌは自然に青年の空いている腕へ腕を組む。
「なっ! 元彼!」
しかし意外にも、一行の中で青年が一番大きく反応した。
「紹介するね。今彼よ。」
ボンヌは冒険者が理解しやすいように青年をうまく紹介する。
「おお。そうか! 実に嬉しい彼だな! 元気にしているか? 元気でいてくれてよかった。感謝するし、ありがたい。」
ボンヌの元彼である冒険者が、申し訳ない気持ちで青年を慰める。
冒険者はまったく怒っておらず、その目はただ現在ボンヌの彼という役職に就いている青年への同情で満ちていた。
「それは僕に言うことじゃないでしょう。ボンヌの彼をいったいなぜ辞めたんですか。ボンヌのどこがどうだから別れたんですか!」
元彼に向かって、今の彼である青年が荒々しく心の声を叫ぶ。
「うぅっ。とても申し訳ない。でも、どうしようもなかったんだ。」
結局、お互いへの気持ちゆえに、元彼と今彼は抱き合い、ただ互いを慰めることしかできなかった。
「あっ。私が探していた物はまさにこれです!」
二人がどうしていようとお構いなしに、ローレルは二人を無視し、地面から指輪を一つ拾い上げて一行に見せる。
そうだ。他の者たちは青年と元彼の出会いにまったく興味がなかった。
「その指輪は何だ? 魔法アイテムには見えないが?」
エドが指輪を注意深く見たが、エドの目で見てもその指輪はただ普通だった。
指輪からはいかなる魔力特性も出ていなかった。
「えへん。はい。その通りです。一般人には何の意味もありません。この指輪は帰属装備ですからね。」
ローレルが親指と人差し指で指輪をつまみ、皆に見せる。
「何の能力もないなら、指輪に何の意味があるのですか?」
ベリアが役に立たない指輪なのではないかという意図で尋ねる。
冒険者と青年が抱き合い続けている間、本ヌを含む一行はそのすぐ横でローレルが見つけた指輪の話に集中していた。
「この指輪は鍵です。」
「鍵?」
ローレルの言葉にエドが再び尋ねる。
「はい。そしてその扉はまさに私です。」
この言葉とともにローレルが冒険者の方を向く。
「すみません。この指輪を買いたいのですが。」
だが冒険者は何らかの理由で忙しく、ローレルの言葉に関心がない。
「暗黙の同意ということにしておこう。」
ガードが冒険者の代わりに許可する。
「はい。それでは遠慮なくはめます。」
言葉とともにローレルは指輪を自分の左手薬指にはめる。
「おお。本当に扉と言えるな。」
エドが感嘆する。
「ありがとうございます。エド様。」
ローレルはエドの称賛を素直に受け取る。
「なるほど。これで青年のせいで生じた制約をある程度は克服できそうだな。」
ガードがうなずく。
「はい。そうなりそうです。ありがとうございます。ガード様。」
ローレルはやはりガードの称賛も素直に受け取る。
「見事なギミックですね。後に商業方面へ進出しても、悪い意味で成功なさるでしょう。」
ベリアはわざと皮肉っているわけではなかったが、性根そのものが悪かった。
魔王なのだから、ある意味当然のことだった。
「はい、ベリア。魔王学校の卒業証書に問題があるようですから、受け直してきてください。」
ローレルは口では笑っているが、目ではベリアをにらみつけていた。
気性のままなら荒い言葉も吐きたかったが、エドの立場を考えてぐっとこらえる。
実際、エドだけなら教養ある言葉まで使って我慢する必要はなかっただろうが、エドの隣にはガードもいた。
どんな理由があっても、ガードの前で非常識な行動はとてもできなかった。
たとえ怒りで白目ばかりになっても、ローレルはガードの前だけは自制心を失ったことがない。
「過去に存在した四大精霊王を召喚したのなら、現在存在する四大精霊王はどうなるのだ。精霊王の数が二倍になるわけではないだろう。」
エドが空に浮かぶ四大精霊王を見ながら尋ねる。
かなり大きな出来事がナドラ支部の空の上で起きているが、レベルの低い冒険者たちには四大精霊王を見る能力がない。
普通の精霊なら一般人でも見えるが、精霊王ほどのクラスになると契約当事者か高レベルの冒険者でなければ見えなかった。
だが精霊王そのものが見えなくても、空を包む巨大な魔力は本能的に感じ取ることができる。
「ご心配には及びません。以前の契約が今更新されたにすぎないので、精霊王の数は増えません。幸いにも精霊王たちは私を覚えていました。そうでなければもっと複雑な証明儀式が必要になるところでした。冒険者たちが動揺する前に精霊王たちをお帰しします。」
ローレルの言葉どおり、精霊王たちはローレルを覚えており、まもなく敬意を示して消えた。
そして次の瞬間、ローレルが着けている指輪がガラスのように透明になり、その中で赤色、緑色、空色、黄土色が混ざり合うことなく共に巡りながら光っていた。
「終わりました。」
ローレルが嬉しそうに言う。
「いやあ。精霊王たちを見るのは本当に久しぶりだ。」
「まったくだ。お互い生業で忙しいため、知っていても頻繁には会えない友人たちだ。」
エドの言葉にガードがうなずいて同意する。
「こちらもそろそろ締めの段階だよ。」
青年と冒険者を監視していたボンヌが振り返り、一行に状況を説明する。
青年と元彼の友情はこれまでになく深く、二人の笑顔はとても明るかった。
「この指輪を買いたいです。」
ローレルは自分の薬指にはめた指輪を冒険者に見せる。
「うん? ガラスの指輪なんてなかったが。」
青年と肩を組んだまま、冒険者はローレルが見せた指輪をじっと眺め、不思議に思う。
「元彼、もう老眼なの? まさか。ない物を値段交渉するわけ?」
するとボンヌが呆れたような目をする。
「いや、ボンヌがそう言っても、確かに銀の指輪だったんだが。」
冒険者が再び首をかしげる。
「あ、ははは。はい、その通りです。銀の指輪だったのですが磨いたらガラスの指輪みたいになりましたね。」
ローレルが少し慌てながら笑う。
「まあ、どこから来た品物かも分からず、管理もしていなかったからな。そういうこともあるだろう。ガラスの指輪だったのか。」
冒険者はあり得ることだという顔で簡単に納得する。
「それで、この指輪はいくらですか?」
ローレルが再び尋ねる。
「兄ちゃん。もう知り合い同士なんですから、安くしてくださいよ。」
その間に青年と冒険者は兄弟のように呼び合う仲になっていた。
「いや。それはできない。ただ持っていけ。それが私の最低限の礼儀だ。いや、これは私の気持ちだ。」
青年を見て笑いながら、冒険者はあっさり指輪を無料で譲る。
青年に対して責任感を覚えた元彼は、なぜかボンヌの今彼の助けになりたかった。
またローレルも指輪の本当の価値を知っていたが、わざわざこの事実を冒険者に知らせなかった。
「まあ。無料でくださるのですか。ありがとうございます。兄弟と呼び合う価値がありますね。大切に使わせていただきます。」
ローレルが心から喜ぶ。
青年と冒険者は友情の握手をもう一度交わし、一行は冒険者と別れた。
「強く大胆に生きろ! 私がいつも応援しているぞ!」
去っていく一行の後ろから、冒険者は大声で青年を応援した。
そして冒険者は去っていく青年の後ろ姿をいつまでも見送った、と言うには、次の客が来た瞬間、ぱっと体を向けた。
「そこのカップル冒険者の方々! 良い品物がたくさんあるので見ていってください。」




