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千年エルフ、ナドラへ行く

魔物たちが急襲したわりには、幸いにも冒険者たちの被害は大きくなかった。


初動対応が早かったためである。


Sランク冒険者による現場指揮によって、冒険者たちの組織的な行動が可能だったことが最も大きかった。


そもそも冒険者たちは集団行動に慣れていない。


パーティーといっても最大で10人程度だ。


それにもかかわらず、集団行動に慣れていない冒険者たちを統率して魔物たちに対抗し、押されない戦闘を行い、その間にレベルアップした冒険者まで現れた。


エドとガードが全体指揮をしたのは今回が初めてではなかったが、確かにエドとガードには並外れた面があった。


ナドラギルドの被害は軽微であり、皆が協力して迅速に復旧が行われた。


そのため、わずか一日で大部分の機能が再び使用可能になった。


「ロレラ。いや違うな。ロレル。いつまでいらっしゃるおつもりですか?」


ボンヌが意味深に尋ねる。


エドとガードはナドラ支部長に会いに行き、青年は被害復旧を手伝いに行ったので、二人だけが残っていた。


ガードは、ロレラという名前を使うと他の人々に混乱を与える可能性があると考え、ロレラの代わりにロレルという名前を使うようにさせた。


「さあ。まだ何の感覚もありませんけれど。」


ロレルは簡易テーブルの前に最も座り心地の良い椅子を持ってきて腰掛け、お茶を飲んでいる。


ロレルは自分のムライムの中から、古代より大切に保管してきた非常に希少で優れた味を持つ茶葉を取り出し、自ら茶を淹れてその味を吟味していた。


その香りがあまりにも良いため、お茶に関心のないボンヌでさえ茶葉の価値を見抜くほどだった。


「ほう。ずいぶん良さそうな茶葉ですね。」


「もちろんです。自慢ではありませんが、今では絶滅していて手に入れることもできませんよ。」


ボンヌの言葉に、ロレルは満足げな表情で自慢した。


「それはそうと、召喚された者がこのように長く留まるのは礼儀ではありませんよね。それも古代の存在ならなおさらではありませんか。」


ボンヌが言葉でロレルに先制攻撃を仕掛ける。


「おお。つまり、用事は終わったのだから、もう消えてくださいということですね。」


ロレルが余裕たっぷりに言い返す。


ロレルは索敵魔法でなくとも、ボンヌの気持ちくらいはとっくに察していた。


「ほほほ。ガード様の召喚魔法があまりにも素晴らしいからではありませんか。」


ロレルは笑いながら、とぼけたように答える。


「そしておそらく。」


「おそらく?」


「さあ。私の感覚では、召喚状態がしばらく維持されるような気がします。」


ロレルは少し顔を赤らめる。


「ハニーとの接触はほんの少しだけ許可したはずですが。」


言葉とともにボンヌの目が赤く光る。


「ですが十分な時間だったのでしょう。今の姿を維持しているのは他でもない彼の魔力。それもまた、ある意味では愛ではありませんか。」


「くっ……。」


ボンヌは悔しさのあまり足をばたつかせる。


ロレルはそんなボンヌの反応が面白い。


ある意味では、楽しんでいると言った方が正しいかもしれない。


「ギルド権限で今回の事件の調査を依頼したい。」


支部長の執務室で、支部長は拒否は不可能だという表情でエドとガードを見ていた。


わざと自分の机の上で組んだ両手を見せながら、相手には選択の余地がないことを明確にする。


「それをなぜ俺たちがやるんですか?」


エドが少し面倒くさそうな表情で尋ねる。


エドとガードは青年のクエストによってナドラ大森林に来たのであり、それ以外には関心がない。


しかし支部長の言葉のように、だからといって今さらナドラ支部を知らないふりするわけにもいかない。


魔物がナドラ支部を襲撃した時、現場にいただけでなく、現場指揮まで引き受けていた。


しらを切るには、あまりにも深く介入している状態だった。


「道義的責任だ。少なくともその良心は守らなければならない。他の冒険者たちの話では、魔物の襲撃が起こる前にカルニボアの牙収集クエストへ向かった冒険者たちが、ある魔物を見たそうだ。」


支部長がまず自分の知っている情報を語る。


「どんな魔物なんですか?」


エドが尋ねた。


「分からない。ただし、この冒険者パーティーのレベルは30だ。彼らが分からないと言った以上、その魔物のレベルは最低でも30レベル以上だ。」


支部長の言葉にエドがうなずく。


「それで、その冒険者たちはどうなったんですか?」


「幸い慎重なパーティーだった。正体の分からない魔物がいる状態だったので、無謀に挑戦せず、とりあえずナドラ支部へ戻ってきて私に状況を知らせたのだ。」


「それは本当に良い判断でしたね。」


「称賛に値することだ。」


ナドラ支部長もその言葉とともにエドに同意する。


「では、まずモラリスツリーに現れた魔物の調査からしなければなりませんね。魔物のレベルも知る必要がありますし。」


エドが調査の糸口を引き出した。


「聖神魔法専門家のガードも一緒ではないか。ガードの鑑定魔法の呪文なら、正体も容易に分かるだろう。いつ出発するのだ?」


支部長がガードの方を向いて尋ねる。


「今すぐ出発します。のんびりしている時間はなさそうですね。」


エドがそう言って立ち上がると、ガードも特に何も言わずに立ち上がる。


「頼む。結界を破った存在が、復旧された結界を再び無力化させる可能性も残っている。」


支部長は魔物の再襲撃の可能性を心配する。


「俺たちがいない間、ギルドの防衛はどうするつもりなんですか?」


エドが少し心配そうに尋ねた。


「すでにプラムスギルド本部へ神殿騎士団の派遣を要請した。そしてナドラ支部の冒険者たちも離脱せず、ひとまず防衛戦に力を貸すため残る。君たちがいないことが気掛かりではあるが、それも君たちが早く事件を解決してくれることを願うしかないだろう。」


支部長が防衛プランを説明する。


「もし第二次魔物襲撃が発生するなら、最初よりさらに慎重に対処しなければならないでしょう。」


エドが忠告する。


「魔物たちが誰かによって操られている状況なら、二度目の襲撃ではもっと慎重に戦いを仕掛けてくるでしょう。」


エドが言わなくても、冒険者として長年経験を積んできた支部長は、二度目に襲ってくる魔物は最初より手強いだろうと覚悟していた。


この世界の名前はトラニアである。


そして、トラニアで最も古く、またトラニアで最初に建国された王国の名前もまたトラニアである。


早朝、トラニア王都ウルから、不死鳥に乗ったライダー一人がプラムスに向かって飛んでいた。


夜明けの光を受けて輝く不死鳥の光は、早朝から仕事に出た人々に、めったに見られない見事な壮観を見せていた。


ただし、空を見上げる人々が不死鳥を見て朝の希望で輝いている時、当の不死鳥に乗るライダーは嫉妬の光で輝いていた。


「この野郎。ロレラ。」


不死鳥に乗ったライダーは、嫉妬の対象を頭の中に思い浮かべる。


昨日の夕方、水晶玉を通じてロレラが投げた一言が事件の発端だった。


ロレラとは、水晶玉を通じて時代を超越した魔法で互いに連絡を取り合う仲だった。


言ってみれば悪縁だが、また友人でもある。


だから悪縁の友である。


「えっ!? 聖神様がお呼びだ。リレイア、また後で会おう。じゃあね!」


「ロレラ! 待って! 聖神様は生きている私を差し置いて、なぜ死んでいるお前を呼ぶの!?」


リレイアと呼ばれた女性が、水晶玉の向こう側へ嫉妬に満ちた不快感をあらわにする。


「それは私も知らないよ。あなたは駄目で私はできること? なんというか、昔からそういうこと多かったじゃない。」


この言葉とともにロレラの通信が切れる。


「バキッ!」


怒りが頭のてっぺんまで達したリレイアは、自分の剣で水晶玉を叩きつけ、二つに割ってしまった。


「ロレラ。」


リレイアがロレラの名前を噛みしめる。


「ムライム!」


リレイアが呼ぶと、リレイアのムライムが召喚されて彼女の横に立つ。


リレイアは視線を窓の外へ向けたまま、手だけを伸ばして隣に現れたムライムの中へ手を入れた。


やがて目当ての物をつかんだリレイアが、水晶板を取り出す。


「魔法呪文。エルフ魔法。位置探索。ロレラ。」


エルフ魔法の位置探索は、水晶板に記憶させた存在が現在生きているなら、その位置を表示してくれる魔法である。


リレイアが水晶板の上で呪文を唱えると、水晶板が光り、光の矢印がくるくると水晶板の上を回転した後、11時方向で止まった。


水晶板の端の縁には、その位置までの距離が数字で表示される。


「ううっ。」


リレイアは結果に絶望し、現実に打ちのめされる。


「やはり聖神様がロレラを召喚されたのか。この私を差し置いてどうして。これは本当にあり得ないじゃないか! いや、待て、もしかして。」


リレイアは何となく嫌な予感がして、再び呪文を唱える。


「魔法呪文。エルフ魔法。位置探索。聖神ガブリド様。」


そして結果を受け取ったリレイアの目がつり上がる。


「ううっ。聖神ガブリド様よ。なぜ私をお見捨てになったのですか。」


水晶板の上で回転していた二本の針が重なると、リレイアは大きな失望の中、手に持っていた水晶板を力なく机の上へ落とした。


「あなたは駄目で私はできること? なんというか、昔からそういうこと多かったじゃない。」


しかしロレラの最後の言葉が頭に浮かび、精神攻撃によって壊滅していたメンタルが再び新たな力を得る。


「ロレラ。」


怒りの単語噛みしめとともに、怒りもまた三秒間にわたってアクセルジャンプしてアップグレードしながら、リレイアの身体と心を再び立ち上がらせた。


「ありがとうございます、聖神様。あなたはいつも私に力をくださり、再び立ち上がらせてくださるのですね。ユー・レイズ・ミー・アップ。」


ひざまずいていた精神が再び力を得て、精神的衝撃の中にあった身体も再び立ち上がる。


「聖神様がお呼びになるなら、いついかなる時でも駆けつけなければ。」


聖神が呼んだのはロレラだったが、もはやそれはリレイアの眼中にない。


気持ちとしては今すぐ出発したかったが、リレイアの身分ではウルでの外出手続きは非常に複雑だった。


そこでリレイアは翌日の未明、朝食前の逃亡を強行する。


リレイア。


彼女のもう一つの名前は千年エルフ。


エルフは超長寿種族であるだけに、千年以上生きることができる。


しかし人々がリレイアを千年エルフと呼ぶのには別の意味があった。


つまり千年とは時間の意味というより、トラニア王国の永遠の守護者という意味の方が大きい。


聖神ガブリドは、トラニアの世界が始まった時、世界を管理する最初の存在として超長寿種族を作った。


その種族がエルフである。


そしてある程度時間が過ぎた後、異世界召喚によって異世界人たちがトラニアへ来ると、初めて見るエルフをエルフと呼ばず、別の名前で呼んだ。


それがエンジェル、すなわち天使だった。


整理すると、エンジェルとエルフは同じ意味なのである。


それがいつの頃からか、人々はエルフは肉体を持つ種族であり、エンジェルは聖神ガブリドの精神伝令体であるとして区別して呼び始めた。


今となっては人々はリレイアを単にエルフと呼んでいるが、突き詰めればリレイアはガブリドの伝令、つまりエンジェルでもあった。


そのような理由から、聖神に仕えるリレイアの立場では、ロレラがたとえ何も考えず軽く流した言葉であったとしても、リレイアにとっては自分の存在理由を問われるのと同じほど大きな意味になっていたのである。


朝食前に逃げ出さなければならないほど切迫して、リレイアは聖神ガブリドから直接真偽を聞くため、急いで旅路へと出た。

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