厄災VS異能力者
空から何か降ってくる、丸い球体の何かだ。ウルフに抱き抱えられるまで見てしまった莉奈、高山もまたかわしていた。
「新たな敵か?!貴様の仲間か?!」
「んな訳あるか!あれが等々手段を選ばなくなっただけだ!」
「あれとはなんだ!」
「ふざけてるのかって言うから言わね!」
「あ、あれ何?」
「あれは異能力者でもなんでもねぇ。異能力とは異なる概念の集合体。厄災だ。世界改変が寄越した生きた現象と考えればいい。」
球体が割れて現れたのは人の形をしたマグマであった。一瞬、莉奈と目が合った。
「知識を持つ莉奈を狙ってるのか!」
「知識を持つことは悪ではないというのにか?!」
「奴らからしてみたら知識事態が強化の材料でしかねぇってこった!」
「…え、ひょっとして私狙われてる?!」
「俺ごと消そうとしてるってことだ。」
<あああああああああ!!!!>
厄災は叫び始め、空間を切り裂き、空間の裂け目から角の生えた生き物の大群が現れた。
「厄災の名を当てねぇと攻撃が当たらねぇ。」
「何?!あんな異能力は見たことがないぞ?!」
「(あれ…何処かで。確か昔でよく出てきた…)…鬼?」
ウルフの持つ刀【鬼丸国綱】が光り輝く、目を見開くウルフと高山。強化されたのだと異能力者ならば分かったからだ。
「…本屋の言う通りじゃねぇか。知識で強化される現象【叡智】。てめぇが指揮者か。」
「…指揮者って何?!」
「異能力者を強化する指揮者。それ以外何がある。」
「田中が知らないのも無理もない。指揮者は伝説上の存在だからな…だとしても指揮者になるのは危険すぎる。世界中から狙われることに。」
「んなもん知るか。俺のバディだ。」
「ぐ、具体的には?!」
「…どんな力か思い浮かべろ。それがてめぇの力だ。」
無能力者だとバカにされてきた、だが実際は無能力者だからこそ出来る存在…伝説の指揮者だということが分かった莉奈は想像する。炎は酸素で燃える。鬼丸国綱の伝承は鬼を切った逸話だということを。
「…はは、マジで強化されやがった。」
「これが指揮者か。」
「…鬼丸国綱。力を貸せ。」
<あああああああああ!!!>
鬼たちが襲ってくる、鬼丸国綱を抜き、斬っていく。まるで紙を切ってるような感覚に驚愕するウルフ。炎の火力も高まっているのを感じる高山。
「…確かに伝説にする必要があるな。」
「はは、すげぇな俺のバディは!」
脳内に本が出てきたような気がした莉奈は更にイメージする。するとどうだろう。莉奈の目の前に本が現れたではないか。
「…これは。」
ページには鬼丸国綱と書かれており、鬼丸国綱の効果が書かれていた。鬼丸国綱の効果は魔を切り伏せるというもの。
「文字と技の名を叫べ!」
「え、あ、うん!魔を斬る力を宿し、所有者の命を守り通せ!刀の名を…」
「奥義…」
「「【鬼丸国綱】!」」
莉奈とウルフが声が合わさる。それにより、効果が絶大になった鬼丸国綱は威力を増して、鬼を切り倒したのだ。だが厄災は倒れる気配がない。
「キリがない!」
「…あれの真名を突破しないと。」
「な、なんで?」
「それが弱点だからだ。とは言っても本屋の受け売りだがな。」
莉奈はふと空間の切れ目を見る。中から鬼が溢れているが…本で見た世界と同じだった。その本の題名は【地獄】。
「…地獄だ。」
<あぎゃ。>
「鬼がいて、罪人を裁く場所、地獄。それが君の名前だよね?」
<ぎゃあああああああああああ!!!!>
「はは…本当に知識は武器だな!」
「合わせるぞ!」
「ふん!奥義【鬼丸国綱】!」
「【大戒炎】!!」
<ぎゃあああああああああああ!!!>
叫ぶだけ叫んで消えていく厄災【地獄】、だが完全に消え去ったわけではないのだとウルフは説明する。
「…終わりじゃないの?」
「正確に言えば帰るべき場所に戻っただけだ。出てこようと思えば出てくる。」
「また名を呼べばいいのでは?」
「指揮者であるこいつでないと出来ないことだ。」
「…そ、うなのか。」
莉奈は複雑な気持ちになる高山先輩を見て辞めていたのだと思い出していた。だがそれでも戻る気はない。戻ったとしても居場所などないのだから。
「高山先輩。お世話になりました。」
「…田中。」
「んじゃ逃げるぞ。」
「え、ちょ!」
高山は捕まえることは出来なかったもしここで捕まえてしまえば厄災が溢れかえってしまうのではと感じ取ったからだ。
「……俺もまだまだ未熟だな。」
ウルフはバイクに乗り、その先は海だというのに走り続けていた。
「ちょっと!止めてーー!!」
「そろそろか。」
浮かんで来たのは巨大な潜水艦だった。バイクを全速力で飛ばし、勢いよく飛ぶとハッチが開いた。その中に入り込んで勢いよく着地する。莉奈は思いっきり鼻をぶつけた。
「着地成功。」
「…痛いんですが。」
「気にすんな。おーい帰ったぞー。」
「リーダー帰った!」
小さな可愛らしい小人たちが出迎えた。ヘルメットを渡すウルフ。
「え、小人がいっぱい!」
「お、こいつらの名前がわかるとはな。流石は指揮者だ。」
「…その指揮者ってやめない?」
「指揮者は指揮者だ。」
「…もー。」
拗ねていると奥から扉が開く音が聞こえる。黒髪黒目のミステリアスな大人の色気のある男がウルフを見たかと思えばウルフにのみタオルを渡した。
「リーダーおかえり。」
「おお、スナイパーサンキュ。」
「あの私のは…」
「…リーダー誰だこの女は。」
「指揮者。」
「…あの伝説の?」
物凄く睨まれて泣きそうになる莉奈、ウルフは莉奈の首根っこを掴み奥まで連れていく。いつの間にかハッチは閉じていた。
「ようこそ俺の組織…円卓へ。」
「……へ?」
「めっちゃスナイパーさん?に睨まれてますがあの。」
「あいつの事は気にすんな。」
「えぇぇ?!!」




