全ての物語は大犯罪者との出会い
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異能力者という存在が認識されたのは小さな子供がものを浮かせることから始まった。広がっていく異能力、何年後かして異能力者が当たり前に存在する時代となった。
田中莉奈は無能力者であった。小さい頃から異能力がないことをバカにされてきた女性である。だが諦めきれなかった。能力がなくても生きていけると。
やっとの思いで刑事となった彼女は…雑用をしていた。書類整理からなんでも…便利屋程度にしか思われずにいた。
エリート刑事、高山湊はモテている。彼女にとっての憧れと言ってもいい。いつかは彼のように活躍する日を願って…だが無理があった。無能力者だとバカにされ、どんなに擁護されても無理なのだと諦めていた。
「……はぁ。」
その日は夜であった。彼女は残業で疲れ果ていた。莉奈は明日辞職してしまおうかと悩んでいた。空を見上げた時…誰かと目が合った。
白い髪、くせっ毛で長い髪、赤い瞳の200cmもあろう美丈夫。
唖然とすると腰に何かくっついていた。あれは確か…
「…日本刀だ!」
本来であれば芸術品として扱われてもおかしくない武器、日本刀はこの世界では武器として扱われていた…現在全ての刀は行方不明とされていた。その中でも情報を求めていたのはこの世でもっとも美しいとされる刀…天下五剣。三日月宗近、数珠丸恒次、童子切安綱、大典太光世、そして…鬼丸国綱である。
「…まさか。」
天下五剣の一振り、鬼丸国綱を所有する大犯罪者【ウルフ】。異能力は確か…と思い出そうとした時、一瞬にして近くによられた。
「お前、刀の名前知ってんのか。」
「は、はい。オタクなんで。」
「…へぇ。」
ニヤリと笑ったかと思えば抱き抱えて、飛び上がった。悲鳴をあげるしかない莉奈。
「ぎゃあああああああ!!!」
「おい騒ぐな。てめぇには仕事があるから…」
「そこまでだ大犯罪者!」
高山湊はウルフの前に立ち塞がった。炎を操る超能力である。やっと助かると思っていた…ウルフの超能力を知るまでは。
「全く…どいつもこいつも俺邪魔をしやがる。」
鬼丸国綱を鞘から抜く。芸術品とも言える刀を使いこなす存在は早々いない。かつて存在した侍か或いは日本の偉人たちだろう。
「今どき刀を使うなど!」
「だからなんだ。俺は使いたいから使ってるだけだ。」
「【大戒炎】!!」
「その程度で超能力者を名乗るとはな。」
空間が歪む、ありとあらゆる刀が出ていた。まるで空間の超能力のような。
「抜刀。」
二刀流どころではない。まるで百振り…いやそれ以上の刀を使い、戦っていた。
「奥義【鬼丸国綱】!」
炎を切り裂き、そのまま高山に傷を負わせた。致命傷とも言える傷。慌てて駆け寄ろうとしたが動けない。
「離してよー!」
「…お前、今のを見てどう思った。」
「刀は武器で芸術品!というか手当て…」
「…く、アハハハ!!!」
まるで意外と言わんばかりに笑い始める。何かおかしな事を言ったのだろうか。
「刀は古い武器だと思われている。この時代、この世界ではな。超能力が当たり前となった今、必要とされなくなった。だがお前は違う。こいつらの価値をしている。俺がもっと強くなるためには情報が必要だ。つまりお前が必要だ。」
「…はい?」
何を言っているのだろうか、刀は芸術品で…あれ、そういえば…いつから刀が無くなったのだろうか。
「世界の影響を受けてねぇ。」
「……世界?」
「超常現象の一つ、【世界変化】の討伐が俺の悲願だ。その為にはお前が必要なんだよ。」
「……そうなの?でも刀を盗んだのは貴方じゃ!」
「刀を盗んだ訳じゃねぇ、超能力として登録された結果だ。」
異能力として記録されたら物ならば消え去る。現象であれば象徴となる。実際炎という現象そのものはありはするがもし亡くなった場合。現象が消え去る。まるで司る神のように。
「情報って…」
「必要なのは知識だ。まるで人々からの認識がなければ存在しない。」
まるで神々のような力だとは思っていたがここまでとは思ってもみなかった。
「俺はまだ弱い。強くなるには刀の知識のあるお前が必要なんだよ。」
…初めてであった。必要とされたのは。必要とされず、弱いままの自分を変えたくて。それでも。変われなくて。
「…あの私刑事なんだけど。やめてからでいい?」
「…いいのかよ。」
「うん、もう未練ないし。」
未練がないと笑った莉奈は次の日辞職した。その日の夜、莉奈はウルフと合流した。
「お前マジで…」
「決めたことだから。」
「いいが…いいのか、てめぇまで追いかけられるぜ。」
「覚悟の上。そもそも私には家族いないし。」
「…着いてこい。」
共にバイクに乗ってバイクは走り出す。見上げれば綺麗な夜であった。
「そういえばウルフって本名?」
「知らん。」
「知らんじゃないでしょーが!」
「はん、まあいいだろうが。おら追っ手来た。」
莉奈は目を擦った、怪我してたのでは?!と思っていたら刑事の中に治癒を得意とする異能力者がいた事を思い出して納得していた。
「高山先輩だ。」
「しつけぇな。ファンか?」
「んな訳ないでしょ!」
「おのれよくも田中を…」
「いや勝てねぇからな?」
炎を操る異能力者VS刀の異能力者の戦いが始まろうとした時に空から人間が降ってきた。
後に高山は語る、あれは厄災だと。
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