2話 初の勝利
スライムから逃げ続けて数分。
「はぁ……はぁ……。」
木にもたれかかりながら、荒い息を整える。
「なんとか……撒いたか。」
周囲を見渡す。さっきまで追いかけてきていたスライムの姿はもうない。
「危なかったぁ……。」
異世界に来て一時間も経ってないのに、もう死にかけるとか聞いてないぞ。
「ゲームだったら最初のスライムなんてチュートリアルだろ……。」
この世界、難易度高すぎないか?そんなことを考えていると。
ガサッ。
また茂みが揺れた。
「ま、またスライム!?」
俺は慌てて木の棒を構える。すると草むらから現れたのは、小さな四足歩行の生き物だった。
茶色い毛並み。丸い耳。子犬ほどの大きさ。
そして額には、小さな一本角が生えている。
「……。なんだこいつ。」
ウサギ……いや違う。犬でもない。鹿でもない。
「まぁ、異世界だから当たり前か。」
生き物は俺を見ると、一歩後ろへ下がった。しかし次の瞬間。
「キュイッ!!」
勢いよく飛びかかってきた。
「うおっ!?」
間一髪で横へ転がる。その生き物は勢い余って木へ激突した。ゴンッ!!
「今だ!!」
俺は木の棒を両手で握り締め、思い切り振り下ろした。
バキッ!!
木の棒は真っ二つに折れた。
「え?」
だが、その一撃は効いていたらしい。生き物はふらつきながら数歩歩き、そのまま地面へ倒れ込む。やがて体は淡い光となって静かに消えていった。
「……勝った?」
恐る恐る近づく。何も残っていない。その時だった。
ピロン。
どこからともなく軽い音が鳴る。目の前にステータス画面が現れた。
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レベルアップ
斎藤理仁
Lv1 → Lv2
経験値 0/20
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能力上昇
HP:100 → 110
MP:80 → 85
筋力:10 → 12
魔力:10 → 12
俊敏:10 → 12
器用:12 → 14
精神:20 → 22
幸運:5 → 5
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「おぉぉぉ!!ちゃんと強くなってる!!」
思わず声が出る。
さらにもう一枚の画面が開いた。
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【本職】
反転術師 Lv1 → Lv2
職業経験値
0/100
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「本職まで上がった!?」
そうか。ヴェルノクス様の言っていた《成長》のおかげだ。
「これなら……ハズレ職でも何とかなるかもしれない。」
俺は少しだけ笑みを浮かべた。
「……それにしても。」
さっき倒したあの魔物?
「あいつ、何だったんだ?」
名前も分からない。どれくらい強かったのかも分からない。この世界では、ゲームみたいに魔物の名前が表示されるわけではないらしい。
「まぁ、そのうち誰かに聞けば分かるか。」
そう呟くと、俺は再び歩き始めた。しばらく森の中を進むと、木々の隙間から細く立ち上る煙が見えた。
「あれって……。」
煙。つまり、人がいる。
「村か!?」
俺は自然と足を速めた。森を抜けた先には、木の柵で囲まれた小さな村が広がっていた。
「助かった……。」
異世界で初めて見る、人の暮らし。その光景に、俺は心の底から安堵した。
戦った魔物の名前はまたいずれわかります。




