閑話 《世界の神》ヴェルノクス
今回の話はヴェルノクス様の視点になっています。
理仁を包んだ光が完全に消えた。
静まり返った神界。
先ほどまで騒がしかった空間は、まるで何事もなかったかのように静寂を取り戻していた。
「……行ってしまったかのぉ。」
儂はゆっくりと息を吐き、職業の本棚へと視線を向ける。
「しかし、不思議な青年じゃった。」
本来なら死ぬ運命ではなかった。
それでも誰かを助けるために命を投げ出した。
だからこそ、せめてもの償いとして《成長》を授けた。
「少しは役に立つとよいのじゃが……。」
そう呟きながら、儂は一冊の本を探し始めた。
『職業の書』これにはこの世界にあるすべての職業のスキルなどが示されている。
「まぁ調べておいてやるかのぉ。」
反転術師のページを開く。
一ページ目。過去の就職者……4名。
二ページ目。最高到達職業レベル……5。
三ページ目。確認済みスキル……なし。
四ページ目。能力……不明。
五ページ目。魔法適性……不明。
六ページ目。現在の就職者……1名。
「……何度見ても分からぬ。」
ヴェルノクスはため息をつく。
「就いた者は四人。じゃが誰一人として能力を発現させられず、一生を終えた。」
だから神々も、『ハズレ職』として扱ってきた。
「じゃが……。あの青年だけは、何故かあの本に導かれておった。」
偶然なのか。必然なのか。何も分からない。
「理仁……。」
「お主なら、この職業の秘密を暴けるやもしれぬ。」
ヴェルノクスは静かに本を閉じる。その表紙には、今も変わらず《反転術師》という4文字が描かれていた。
閑話はたまに挟んでいきます。




