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反転術師は成長とともに  作者: ルーザー
0章 異世界転生
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3話 ユニークスキル《成長》

ヴェルノクス様が俺の額へそっと手をかざす。

次の瞬間、暖かな光が全身を包み込み、体の奥から力が湧き上がってくるような感覚に襲われた。


「……これで終わりですか?」

「うむ。」

「え、もっとドカーンとかバーンとかないんですか?」

「何を期待しておるんじゃ、お主は。」


ゲームみたいに派手な演出があると思ったのに……。


「で、その《成長》って何なんです?」


ヴェルノクス様は髭を撫でながら話し始めた。


「《成長》とは、お主の成長速度を飛躍的に高めるユニークスキルじゃ。」

「経験値二倍みたいな感じ?」

「少し違うのぉ。」


ヴェルノクス様は指を一本立てる。


「職業レベルの上昇、技術の習得、魔法の熟練度……そういったものの成長が格段に速くなる。」

「おぉ……!」

「しかも本職だけではない。」

「え?」

「副職にも効果が及ぶ。」

「副職?」


初めて聞く言葉だ。


「この世界では、誰もが『本職』と『副職』の二つを持っておる。」


ヴェルノクス様が空中に文字を浮かべる。

【本職:剣士】

【副職:鍛冶師】


「例えばこの者なら、剣士として戦いながら鍛冶師として武器も作れる。」

「下手なゲームより自由度高っ!」


思わず声が漏れる。


「副職は教会などで変更できる。ただし、本職だけは一生変わらぬ。」


……つまり俺は、一生反転術師確定ってことか。


「やっぱりハズレじゃねぇか。」

「落ち込むでない。」


ヴェルノクス様は苦笑いを浮かべる。


「《成長》があれば、副職を変えるたびに通常より遥かに速く極められる。」

「じゃあ剣士にも魔法使いにもなれるってことですか?」

「副職としてなら可能じゃ。」


おぉ、それはちょっと夢がある。


「まぁ、本職が反転術師なんじゃがな。」

「最後に現実へ戻すのやめてもらっていいですか?」


ヴェルノクス様は小さく笑うと、今度は真面目な表情になった。


「次は、この世界の『レベル』について説明しておこう。」

「お願いします。」

「魔物を倒すこと、人助けをすること、善行を積むこと。そうした行いでお主のレベルは上がる。」

「なるほど。普通のRPGと似てますね。」

「じゃが、一つだけ大きく違う。」


ヴェルノクス様の声が少し低くなる。


「人を殺せば、レベルは下がる。」

「……え?」

「理由は問わぬ。善人でも悪人でも、人を殺した時点でレベルは減少する。」

「悪人を倒してもですか?」

「あぁ。」


それは……ずいぶん厳しい世界だ。


「さらに、レベルが0を下回るとマイナスになる。」

「マイナス?」

「レベルがマイナスの者は、水晶によって見抜かれる。」

「うわぁ、前科者みたいな扱いですね。」

「冒険者ギルドは利用できず、国境を越えることも難しくなる。そして犯罪職が解放される。普通の者では就けぬ、裏の職業じゃ。」

「社会的に終わるじゃないですか。」

「まぁ、その通りじゃ。」


俺は思わず頭を抱えた。


「つまり、人を殺さずに強くなれってことか……。」

「レベルとは、神々がその者の生き方を数値化したもの。じゃから、なるべく人を殺さず理仁にはこの世界で生きてほしいのぉ。」


なるほど。

異世界だからって、好き勝手生きられるわけじゃないらしい。


「よし。」


俺は拳を握る。


「せっかくもらった二度目の人生だ。今度こそ、ちゃんと生きてみせる。」


ヴェルノクス様は満足そうに頷いた。


「その意気じゃ。」


すると、神界全体がまばゆい光に包まれ始めた。


「どうやら時間のようじゃのぉ。」

「え?」

「理仁よ――異世界で、お主だけの人生を歩むのじゃ。」


景色が白く溶けていく。

俺は目を閉じ、ゆっくりと息を吸った。


「あっちの世界でも儂には会える。じゃから全力で異世界で生きるんじゃ。」

「ありがとうヴェルノクス様。今度こそ、俺は後悔しない人生を――。」


その言葉の途中で、俺の意識は新たな世界へと吸い込まれていった。

―――――――――――――――――――――――

やっと物語が始まります。

これからはなるべく投稿頻度を上げて皆さんが楽しめるように努力していきます。

見てくれてありがとう。

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