2話 反転術師
「さて、お主を異世界へ送る前に、一つだけ決めてもらうことがある。」
ヴェルノクス様はそう言うと、ゆっくりと立ち上がった。
「決めること?」
「うむ。この世界では、生まれた時に必ず『職業』を授かる。お主も例外ではない。」
職業……。ゲームでいうジョブってやつか!俺のテンションは一気に上がった。
「勇者とか魔法使いとか、そういう感じですか!?」
「うむ。似たようなものじゃな。」
ヴェルノクス様が杖を軽く床に突く。
ゴォォォ……。
何もなかった虚無空間に、無数の光が現れた。
光は次第に一冊一冊の本へと姿を変え、果ての見えない本棚を作り出していく。
「な、なんだこれ……。」
「ここにある本、一冊一冊が職業じゃ。」
「全部!?」
見渡す限り本棚しかない。
一体何冊あるんだよ……。
「あのぉ、全部で何個くらいあるんですかね?」
「数えたことはないが……数千、いや数万はあるかのぉ。」
「多すぎるだろ!!」
異世界って勇者とか剣士とか魔法使いだけじゃないのかよ!
「好きな職業を一つ選ぶがよい。」
「えっ!? 自分で選べるの!?」
「本来はランダムじゃが、少し早く死なせてしまった詫びじゃ。」
神様、意外と太っ腹だな。
「ただし、選んだ後に変更はできん。よく考えて選ぶのじゃ。」
俺はゆっくりと、本棚の間へ足を踏み入れた――。
何にしようかほんとに迷ってしまう。『賢者』、『魔法使い』『ギャンブラー』『漫画家』『ケモナー』………
なんか変な職業あったけど気にしない気にしない。
俺は一つの本の前で足を止めた。
「反転術師?」
なんだこれ、なぜか気になる、なってみたい。なぜかこの本だけすごく輝いているように見える。
「言い忘れておったが」
俺はヴェルノクス様の言葉を聞き切る前に反転術師の本を手に取ってしまった。
「本は気軽に触るでないぞ」
………ヴェルノクス様と目が合った。
「「あ…」」
今まで生きていたなかで一番情けない声が出てきた。
本が急に光りだす。オレを包み込むように
「ちょ……ちょっと待ってくれぇぇぇ!!!」―――――
―――俺はどうやら反転術師になってしまったらしい。
最悪。マジなえた。
「ほんとに反転術師ってなんですか?ヴェルノクス様…」
「さぁ知らんのぉ。」
「なんでですかぁ、神様も知らない職業なのぉ?」
なんかもう声が泣きそうだ。がむしゃらにとりあえず声を出して聞いている。
「儂も知らないわい。反転術師はな、まず職業レベルが全然上がらないのじゃ。過去に奇跡的に就いたものはおる、じゃがそいつらも一生をかけて上げれたレベルがたった5じゃ。しかも今まで儂が知っとる中でも就けたのはたった4人じゃ。儂も何もその職業については知らぬ。」
「つ、つまり?」
「まぁハズレ職だ」
「言うと思ったよコンチキしょぉぉぉぉぉ!!」
とりあえずこの何もない地面に向かって拳を振り下ろし手が痛くて叫んでおいた。
「せっかく異世界に強くなって転生できるって喜んでいたのに…俺は結局どこに行っても無能なままなのか…」
「流石に可哀想じゃのぉ。」
俺に慈悲をください。どうかお願いします。神様。近くにいるけど。
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「本来、神が人間に力を授けることは禁じられておる。じゃが、これは儂の責任じゃ。せめてもの詫びとしてこのユニークスキル―――《成長》を授けよう。」
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神様の慈悲が俺の元に届いた。
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