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反転術師は成長とともに  作者: ルーザー
1章 反転する運命

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28話 2つの戦い

「さて、リヒト。お前はどうする?」


燃え盛る集落の中、ノアは冷たい視線を俺に向けていた。


「……リアを離せ。」

「断ると言ったはずだ。」

「だったら、お前を倒してでも助ける!」


俺は腰に差していた剣を抜いた。

ノアはそんな俺を見て、わずかに目を細める。


「……やる気か?」

「ああ。」

「そうか。」


ノアはリアから手を離し、ゆっくりと俺の方へ向き直った。


「ならば、相手をしてやろう。行くぞクオン!ガルド!」

「………。」


あれ?さっき帰ってたような…。


「……、あいつらどこいった…。」

「リア! ゼノのそばにいてくれ!」

「リヒト……気をつけて!」


俺は一度だけリアを振り返り、すぐにノアへ視線を戻した。少し焦ってるな。


「ま、まぁ1人でも勝てるさ。来い。」


ノアが片手を軽く上げる。その瞬間、俺は地面を蹴った。


「うおおおっ!」


剣を振り下ろす。

――キィン!

しかし、ノアはそれを難なく受け止めた。


「……っ!」

「遅い。」


ノアが手を動かす。

次の瞬間、俺の身体は大きく後方へ弾き飛ばされた。


「ぐっ……!」


地面を転がり、なんとか体勢を立て直す。


「なんだよ……今の。」

「どうした? もう終わりか?」

「まだまだぁ!」


俺は再びノアへ向かって走り出した。

だが、ノアは一歩も動こうとしない。

――強い。

一撃を受けただけで分かった。

こいつ、今まで戦ってきた相手とは明らかに違う。

それでも、ここで引くわけにはいかない。

リアとゼノを助ける。そのために、俺は剣を握り直した。


◇◇◇◇◇


2人には見えぬ物陰。

「……ガルド。」

「あ?」

「今のうちに行きましょうカ。」


クオンが小声で話しかける。ガルドは一瞬だけノアの方を確認した。


「……あいつはどうする?」

「問題ありませんヨ。今はあの少年に夢中のようですからネ。」

「置いていっていいのか?」

「ええ。私たちまで付き合う必要はありません。」


クオンはいつもの笑みを浮かべた。


「それに、ここに長居するのは得策ではありませんからネ。」

「……チッ。結局何も分からなかったじゃねぇか。」


二人は周囲の様子を確認する。

理仁とノアの戦闘に意識が向いていることを確かめると、燃え盛る建物の陰へと移動した。


「まったく、面倒なことになりましたネ。」

「誰のせいだと思ってんだ。」

「ふふっ。私のせいですカ?」

「……お前は悔しくないのか。あの組織の手がかりが掴めなくて。」

「……。悔しいですヨ。」


二人はそのまま森の奥へと姿を消した。

理仁もノアも、二人が完全にいなくなったことには気づいていなかった。


◇◇◇◇◇


――森の中。


「……くそっ、煙がひどいな。」


レオンは倒れていた冒険者を安全な場所まで運び、再び森の奥へ向かっていた。


「リヒトのやつ、無事だといいが……。」


そのときだった。


「……ん?」


前方から二人の人影が現れた。一人は大柄な男。

もう一人は黒髪の人物だった。レオンは足を止める。


「お前たち……。」


二人もレオンに気づき、動きを止めた。


「……おい、クオン。」

「どうしましたカ?」

「あいつ……。」


ガルドはレオンを睨みつける。


「前に俺たちをぶっ飛ばした金髪野郎だ。」

「……なんト。」


クオンはレオンの顔を確認すると、いつものように笑った。


「これはこれは。奇遇ですネ。」

「……お前たち、あの時の。」


レオンの表情が険しくなる。


「こんなところで何をしている?」

「ちょっとした散歩ですヨ。」

「ふざけるな。そんなわけないだろ犯罪者どもが。」


レオンは剣に手をかけた。


「この火事と何か関係があるのか?」

「さぁ、どうでしょうネ。」


クオンは肩をすくめる。

その態度に、ガルドが苛立ったように舌打ちした。


「クオン、こういうときは平和的解決よりも殴って終わらそう。」

「…そうですネ。」


クオンはレオンから目を離さない。


「どうやら、通してはもらえないようですからネ。」

「当然だ。」


レオンは剣を抜いた。


「ここを通りたければ、俺を倒してからにしろ。」

「……チッ。」


ガルドも拳を構える。


「今度こそぶっ殺してやる。」

「ガルド、殺しはだめですヨ。」

「うるせぇ!」


ガルドが勢いよく地面を蹴った。


「死ねぇ!」


――ガキィン!!


レオンの剣とガルドの拳が激しくぶつかる。


「ぐっ……!」


ガルドが押し返される。


「何で拳で剣と殴り合えるんだ?」

「さぁな!」


レオンはすかさず距離を詰める。

だが、その瞬間。


「――そこですヨ。」


クオンの声が響いた。レオンの背後に、黒い影が迫る。


「……!」


レオンは咄嗟に身をひねり、攻撃をかわした。


「二人がかりか。」

「当然ですヨ。こちらも仕事がありますからネ。」


クオンは笑みを浮かべたまま、レオンを見つめる。


「さて……今度はどちらが勝つでしょうネ?」

「決まっている。」


レオンは剣を構え直した。


「お前たちが負ける。」


燃え盛る森の中。

ここに、二度目の戦いが始まった。


◇◇◇◇◇


そして、集落では――


「はぁ……はぁ……。」


俺は荒い息を吐きながら、ノアと向き合っていた。

何度攻撃しても、まともに当たらない。

それどころか、こちらの攻撃を見切られているようだった。


「……お前、なかなかしぶといな。」

「うるせぇ……。」

「だが、そろそろ終わりにしよう。」


ノアが静かに構える。俺も剣を握り直した。

まだ倒れるわけにはいかない。リアもゼノも、俺の後ろにいる。

絶対に守ってみせる。俺は大きく息を吸い込んだ。


「来いよ……!」


ノアの目が細くなる。


「……いいだろう。」


その瞬間、ノアが動いた。

――再び、剣と剣がぶつかり合う。

炎の音が響く森の中で、俺たちの戦いはまだ終わらなかった。

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