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反転術師は成長とともに  作者: ルーザー
1章 反転する運命

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閑話 カレンの冒険2

◇◇◇◇◇





「……なんにもないじゃないですかぁ……。」


テイムしようとかなり歩き回ってみたけど生き物は見つけることができなかった。あるのは同じような景色だけだ。


「ここほんとに序盤の場所?」


行くら歩いても村もないし可愛いモンスターもいない。ましてや運がいいような感じもしない。


「あの神様今度出会ったら絶対に怒ってやるんだから…。」


何かを見つけないとそもそも生きれないかもしれない。水、食べ物特にこの2つがないと……。


「とりあえずもう少し歩いて周りを探索しますか…。」





◇◇◇◇◇

何日経っただろう。運動音痴の私には歩くのはもうきつい。足つりそう。


「はぁ…はぁ……。」


幸い変なモンスターにも会わなかったし気温が高すぎず低すぎずの温度だったからなんとか耐えていた。


「マジでもう限界か…も…。」


足が動かない。少しめまい?がする。あ、これマジでヤバいヤツかも…。

ドタッ。

あれ、私倒れた?ちょっと意識がとおの…い…て……。


【幸運の加護が発動しました】


頭に直接言葉が届いてきた。


「寝てる…場合じゃ…ないよね。」


幸運の加護が発動した。だから発動した場所とか見つけないと…。水とかないかな…。

立ち上がって重い足を前に動かす。一歩一歩が重い。

少しずつ、少しずつ進む。

少しでかい洞窟があった。中に何かあるような気がする。洞窟に入ろうとしたら何かが奥から出てきた。洞窟の奥から現れたのは――。

狼だった。ただし、普通の狼じゃない。


「…………。」


私はその場で固まった。大きい。私の腰くらいまである。鋭い牙。太い脚。白い毛皮。

そして、こちらをじっと見つめる青い瞳。


「…………。」


私は一歩後ろへ下がる。

狼は一歩前へ出る。


「…………。」


もう一歩。狼も一歩。


「……えっと。」


私は引きつった笑顔を浮かべる。


「お互い、仲良くしません?なんてぇ……。」


当然、返事はない。


「……ですよね。」


次の瞬間。


「グルァッ!!」

「ひっ!?」


狼が地面を蹴った。


「うわぁぁぁぁぁ!?」


私は反射的に走り出した。


「ちょ、待って待って待って!」


足が痛い。何日もまともに歩き続けたせいで、もう限界に近い。それでも走る。走らないと死ぬからね。


「こいつ速すぎ!!」


後ろから足音が迫ってくる。

ドドドドドッ!


「来ないでくださいぃぃぃ!!」


振り返る。

狼がすぐ後ろまで迫っていた。


「食べられる!!」


私は必死に走る。すると前方に大きな岩があった。


「これだ!」


私は岩の横を通り抜ける。狼も追ってくる。


「よし……!」


少しだけ距離が開いた。そう思った瞬間。


「――グルァッ!!」


狼が跳んだ。


「えっ!?」


私はとっさに横へ飛ぶ。

狼の爪が目の前を通り過ぎる。


「きゃっ!」


顔に何かが当たった。私は地面を転がる。


「痛っ……!」


慌てて起き上がる。そして――。


「…………。」


地面を見る。そこには。私の眼鏡が落ちていた。

レンズには大きなヒビが入っている。


「……あ。」


私は眼鏡を拾う。


「……割れちゃった。」


片方のレンズが完全に割れている。落ちていた小さな石にやられたらしい。


「……。」


なんだか、急に悲しくなった。中学生の頃。

いじめられて。誰にも話しかけられなくて。

眼鏡をかけて、本ばかり読んで。

そんな自分を変えようとして。

少しずつ服装も変えて。

髪型も変えて。頑張って。

それでも――。この眼鏡だけはずっとつけてきた。


「……。」


私は眼鏡を握る。そして、目の前のぼやけている狼を見る。狼がゆっくりと近づいてくる。


「……もう。」


足が動かない。逃げられない。

戦えるわけもない。魔法だって使えない。武器もない。


「……私、ここで死ぬのかな。」


狼が唸る。


「……。」


怖い。怖いけど――。もう走れない。


「……だったら。」


私はヤケクソになって両手を前に出した。


「『テイム』!!」


光が一気に流れ出す。


「どうせ死ぬならやってやる……!」


光の粒子が狼を包み込む。


「仲間になってよぉぉぉ!!」


――パァァァァッ!!強烈な光が洞窟を包む。


「ふぇ!?」


狼の身体が光に包まれる。


「な、なにこれ……。」


光が少しずつ薄くなっていく。

そして――。


【テイムに成功しました】


「…………。」


私は固まった。


「…………え?」


狼も固まっている。私も固まっている。


「…………。」


狼が首を傾げる。


「…………。」


私も首を傾げる。


「……仲間になった?」


狼が――。


「ウォン。」

「…………。」


私は目を丸くする。


「……ほんとに?」

「ウォン。」

「…………。」


私はその場にへたり込んだ。


「……助かったぁぁぁ……。」


全身から力が抜ける。


「死ぬかと思った……。」


狼が私の隣まで歩いてくる。そして――。


「……。」


私の顔を舐めた。


「ひゃっ!?」


私は思わず後ろへ下がる。


「ちょ、何!?」


狼は尻尾を振っている。


「…………。」


私は恐る恐る狼の頭に手を伸ばす。撫でる。


「……。」


狼は大人しくしている。


「……可愛い。」


さっきまであんなに怖かったのに。

今は、なんだか可愛く見える。


「……そっか。」


私は少し笑う。


「今日から私の仲間なんだね。」


狼は嬉しそうに尻尾を振る。私は首を傾げる。

そして、狼を見つめる。


「……どんな子なんだろう。」


私は気になったからスキル《魔物知識》を使った。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【名前】フェンリル

【危険度】SS

【状態】テイム済み

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「…………。」


私は固まった。


「危険度……SS?」


目の前の狼を見る。


「……。」


尻尾を振っている。


「…………。」


私はもう一度ステータスを見る。


「……。」


そして、ゆっくり笑った。


「……私。もしかして、とんでもない魔物を仲間にしちゃった?」

一言 ぶっ壊れ。

なんか書いてて楽しいからもう少し叶恋編を描いて一区切りついたら理仁に戻します。

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