26話 よし、レベルを下げよう!!
――次の日。俺は冒険者ギルドへ向かっていた。
今日もレオンは大兎討伐だ。
「レオン、今日も頑張ってるな……。」
俺はギルドの扉を開ける。
すると、昨日と同じように――。
「昨日の女、知ってるか?」
「エレナ・スカーレットだろ?」
「教会の神官からスキルを奪ったらしいぞ。」
「しかも犯罪職って話だ。」
「一体何者なんだろうな。」
「…………。」
俺は黙って聞いていた。
「噂になるの早くないか……?」
昨日の今日でここまで広まるとは思わなかった。
「まあ、正体が俺だってバレてないならいいか。」
今日は別にやりたいことがある。俺はギルドを出て人のいない場所まで移動した。
「さて……。」
今日はエレナとしてやることがある。
それは――。レベル上げ。いやレベル下げか。
現在のエレナのステータスは――。
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【LV】-2
【本職】テイカー Lv-2
【副職】暗殺者 Lv-2
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「でも、一つ気になることがある。」
俺は腕を組む。
「そもそも、魔物を倒したら本当にエレナのレベルって下がるのか?」
俺はまだ実際に確認していない。
「いきなり大量に倒して、全然下がりませんでした……なんてことになったら最悪だ。」
なら、まずは実験だ。
「一匹だけ倒してみよう。」
俺は周囲を確認する。そして――。
「性反転。」
光に包まれる。
身体が変化し、髪が伸びていく。
「……よし。」
エレナ・スカーレットになった。
「アタシのレベルが本当に下がるのか……試してみよう。」
森へ向かう。
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少し歩くと、一匹のゴブリンを見つけた。
「いた。」
エレナはゴブリンを倒す。
そしてすぐにステータスを開いた。
【LV】-2
【EXP】ー50/-400
「……減ってる。」
もう一匹ゴブリンを倒す。
そして――。
「……経験値は動いてる。」
さらにもう一匹、そしてもう一匹。
「……。」
エレナはステータスを確認する。
その瞬間――。
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【LV】-3
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「……下がった。」
エレナは目を見開く。
「本当に下がるんだ。」
これで分かった。
魔物を倒すことで、エレナの負の経験値が溜まり、一定量に達するとレベルが下がる。
「なるほどね。」
エレナは剣を構える。
「だったら――。」
ニヤリと笑う。
「今日は、とことんやりましょうか。」
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そこからのエレナは凄まじかった。
「ゴブリン発見。」
一体。
「《スラッシュ》。」
また一体。
「次。」
さらに一体。
「まだいるわね。」
次々とゴブリンを倒していく。
十体。五十体。百体。
「……まだまだ。」
気がつけば、ゴブリンの群れをいくつも壊滅させていた。
【LV】-6
「まだ一つ……。」
エレナは休むことなく森を進む。
そして――。
「……あら?」
今度は見覚えのある魔物が現れた。
「ホーンビット。」
理仁として何度も戦った魔物だ。
「ちょうどいいわね。」
ホーンビットを倒す。
また一体。さらに一体。
「《スラッシュ》!」
十体。五十体。百体。
ホーンビットも次々と倒していく。
【LV】-8
「いい感じね。」
それでも止まらない。
ゴブリン。
ホーンビット。
ゴブリン。
ホーンビット。
ひたすら魔物を倒していく。
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昼を過ぎても。夕方になっても。
エレナは狩りを続けた。
「……多すぎない?」
自分で始めたことなのに、エレナ自身が呆れるほどの数だった。
この一日だけで――。
ゴブリン数百体。ホーンビット数百体。
合わせれば、軽く300近く。
それでも負の経験値はまだ溜まっていく。
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【LV】-10
【本職】テイカー Lv-7
【副職】暗殺者 Lv-10
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「本職は……やっぱり遅いわね。」
副職に比べて、本職のテイカーはなかなかレベルが下がらない。
「まあ、これはこれで面白いわ。」
さらに狩る。
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そして、日が沈み始めた頃。
最後のゴブリンを倒した。
「……。」
エレナはステータスを開く。
【LV】-18
【本職】テイカー Lv-10
【副職】暗殺者 Lv-10
「…………。」
エレナはしばらく画面を見つめる。
「……やった。」
今日一日で、エレナのレベルは――。
-2から-18。
本職は――。
テイカー Lv-2からLv-10。
そして副職は――。
暗殺者 Lv-2からLv-10。
そして新しいスキルも手に入った。
【暗殺者】から『忍び足』と『状態異常耐性』、『暗殺』を覚えた。テイカーは何も覚えてくれなかった。
暗殺以外は常時使用できてるらしい。
「副職はレベルマックスになったらしいわ。」
さっきアナウンスさんが教えてくれた。
エレナはステータスを閉じる。
「でも……これで準備はできた。」
昨日奪ったスキル。
副職転換。
これを使う時が来た。
「副職転換。」
すると、目の前に職業の一覧が表示される。
【副職を選択してください】
【剣士】
【魔法使い】
【僧侶】
【盗賊】
【狩人】
【鍛冶師】
【薬師】
【鑑定士】.....
「……。」
エレナは一覧を眺める。
そして――。
「これにしましょう。」
【魔法使い】
【副職を変更しますか?】
【YES/NO】
「YES。」
――ピコン。
【副職を変更しました】
【旧副職:暗殺者 Lv-10】
【新副職:魔法使い Lv-1】
「成功ね。」
エレナは自分のステータスを確認する。
【LV】-18
【本職】テイカー Lv-7
【副職】魔法使い Lv-1
「これで自由に副職を変えられる。」
エレナは少しだけ笑う。
「……今日は疲れたわ。」
エレナは人目につかない場所へ移動する。
「性反転。」
光が身体を包む。次の瞬間。
「うし、戻った。」
俺は自分の身体を確認する。
そしてステータスを開く。
【LV】15
【本職】反転術師 Lv10
【副職】見習い剣士 Lv10
「……エレナのほうが強くなっちゃった。」
俺のステータスは何も変わっていない。
当然だ。
今日、戦っていたのは俺じゃない。
エレナだ。
「エレナはエレナか…。」
俺はステータスを閉じる。
「ま、俺は俺だ。」
そして俺は、フィルネ村へ戻っていった。
――その頃。
森には、ゴブリンとホーンビットを大量に倒した痕跡が残っていた。
そして翌日。
冒険者ギルドでは――。
「昨日、森で何があったんだ?」
「ゴブリンとホーンビットが……大量に倒されてたらしいぞ。」
「誰がやったんだ?」
「分からない。」
「……まさか。」
一人の冒険者が呟く。
「エレナ・スカーレットじゃないか?」
――また一つ。
エレナの噂が広がっていくのだった。
スキル説明コーナー
『忍び足』・走ったりしても足音がしづらくなる。
『状態異常耐性』・毒や麻痺などのものに耐性がつく。
『暗殺』・自分より弱い相手の背後から一撃入れる技。




