12話 ホーンビット討伐
フィルネ村を出ると、朝の澄んだ空気が森を包んでいた。
「ホーンビットはこの辺りによくいる。」
レオンは周囲を警戒しながら歩く。
「見た目は可愛いけど油断するなよ。」
「そんなに強いのか?」
「Fランク魔物だ。初心者が油断してケガする相手としては有名だ。」
俺は腰の剣を軽く握る。今日は絶対に討伐を成功させる。しばらく歩いていると、草むらがガサガサと揺れた。
「止まれ。」
レオンが小さな声で言う。
草の中から飛び出してきたのは、一匹の白いウサギだった。しかし額には一本の黒い角が生えている。俺がスライムの後に戦った魔物だった。
「こいつのことだったのか…。」
「なんだ、戦ったことがあるのか?」
「あぁ、一回だけな。運よく勝てたんだ。」
「その時剣無かったんだろ?よく勝てたな。」
角兎で『ホーンビット』か、予想はできる名前だったな。
「ギィッ!」
こちらに気付いたホーンビットが地面を蹴る。
「来るぞ!」
一直線に突進。
「うわっ!」
俺は慌てて横へ飛び、なんとか避ける。ホーンビットはすぐさま体勢を整える。前回は木に当たって怯んでいた、だから簡単に倒せたんだ。運が良かった。
レオンは動かない。無言で俺を見るだけだ。
そうか……今回は俺がやるんだ。
ホーンビットが再び距離を取る。また突進してくる気だ。落ち着け。
昨日教わった構えを思い出す。肩の力を抜く。剣を正面に構える。瞬間、ホーンビットが地面を蹴った。
「ギィィッ!」
一直線。今だ。俺は一歩だけ横へ踏み込む。
「はぁっ!」
剣を振る。しかし、
ガキン!
角に弾かれた。
「くっ!」
勢いを殺せず俺は尻もちをつく。ホーンビットはすぐに向きを変えた。
「ギィ!」
二度目の突進。
(まずい……!)
このままじゃやられる。倒れたままじゃ今の俺は受け流すこともできない。途端に叫び声が聞こえた。
「スラッシュを使うんだ!!」
レオンが叫ぶ。そうだ、俺にはあるじゃないかこっから勝つ方法。
剣に魔力を込めるんだ。剣を俺は強く握る。自分の中の力を剣の先に…。剣が淡く光った。ホーンビットがすぐ目の前に来る。
「『スラッシュ』!!」
青白い光をまとった斬撃が放たれる。
ザシュッ!
ホーンビットは切られた瞬間に光となって消えた。
「倒せたか、リヒト。」
【レベルが上がりました】
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レベルアップ
斎藤 理仁 Lv4 → Lv5
経験値 0/200
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能力上昇
HP:130 → 140
MP:95 → 100
筋力:20 → 23
魔力:22 → 25
俊敏:16 → 18
器用:18 → 20
精神:30 → 33
幸運:6 → 7
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【本職】
反転術師 Lv3
職業経験値 250/1000
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【副職】
見習い剣士 Lv1
副職経験値 30/100
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【ユニークスキル】
《成長》
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「おぉ……!」
思わず声が漏れる。
「レベルアップしたのか?」
レオンがこちらへ歩いてきた。
「ああ! Lv5になった!」
「初討伐でレベルアップか。なかなか順調じゃないか。」
やっぱり《成長》のおかげなんだろうか。普通よりも成長が早いんだろうな。
「そうだ。」
レオンは倒れたホーンビットを指差した。
「討伐したら、角を回収しとけ。」
「角?」
「依頼達成の証明になる。それがないと報酬はもらえないぞ。」
「あっ、危なかった……。」
俺は慌ててホーンビットの角を折り、袋の中へしまった。
「?」
「どうした?」
「前倒したときはなんにも落ちなかったな、と思って。」
「ああ、それはだな…。」
レオンがポケットから何かを取り出す。
「これのおかげだよ。」
それは冒険者カードだった。
「一見ただのカードだがこれの力で素材がドロップするんだ。」
そうだったのか。だから前は落ちていなかった。
ていうか……。
「お前のカード木製じゃねえじゃん!!」
「あ…、やっちゃった。」
俺のカードは木製でできたものだった。つまりFランクより上のランクなのは確定だ。あ、レオンがカードを隠した。
「見せろぉぉぉ。」
「いやだね。絶対に見せねーよ。」
レオンにしがみついてポケットからカードを奪った。
「あ、ちょっとまっ――」
………。Bランクだった。全然俺よりすごいじゃねぇか。
「すげぇ…。」
「くそ。秘密にして驚かせてやりたかったのに。」
「いや、十分驚いたわ。」
レオンはすごいな。駆け出し冒険者とか言いながら全然強い。
最初はこんな奴とは絶対に仲なんて良くならないと思っていたけど、今はほんとに仲良くなっている。
こいつなしじゃ俺はこの世界で絶対生き残れなかっただろう。
「俺のことは置いといてこれでとりあえず角は1本目だな。」
そうだ、一本目。これであと四本だ。
「よし。」
俺は剣を鞘へ納める。
「次も俺が倒してやるさ。」
レオンは小さく笑った。
「その意気だ。ただし無茶はするな。危なくなったら俺が助ける。」
「ああ!」
こうして俺たちは、残る四匹のホーンビットを探すため、さらに森の奥へと足を進めた。
ちゃんとした戦闘が始まってきました。




