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反転術師は成長とともに  作者: ルーザー
1章 反転する運命
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15/19

9話 見習い剣士

教会を出ると、空はすっかり茜色から群青色へと変わっていた。


「終わったな。」


レオンが背伸びをする。


「ああ。」


俺はゆっくりと右手を握った。今までとは何かが違う。体が軽い。剣を握りたくなるような、不思議な感覚がある。


「どうした?」

「いや……。」


レオンに借りている剣の柄へ手を伸ばす。

スッ。

自然と剣が抜けた。


「おっ。」


レオンが少し驚いた表情を見せる。


「いい抜き方だな。」

「そうなのか?」

「初めて剣を持つやつは大抵引っかかる。」


そう言われて初めて気付く。確かに初めて剣を借りた時より、ずっと扱いやすい。


「これが副職の力か……。」


その瞬間。

ピコン。

見慣れた音が頭の中で鳴る。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【副職を獲得しました】

《見習い剣士 Lv1》

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【スキル】

・スラッシュ  Lv1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【能力補正】

筋力 +3

俊敏 +2

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「おぉ……。」


思わず声が漏れた。


「レオン! スラッシュってスキルを覚えた!」

「やっぱりか。」


レオンは嬉しそうに笑う。


「副職には専用スキルがあるからな。」

「便利すぎるだろ……。」

「ただし。」


レオンは人差し指を立てる。


「スキルを持ってても、使いこなせるかは別だ。」

「つまり?」

「練習しろってことだ。」


なるほど。ゲームみたいにレベルだけ上げればいい世界じゃない。ちゃんと鍛えないと強くはなれないんだ。


「そうだ。」


レオンが俺を見る。


「時間もあるし、少しだけ訓練するか?」

「今から?」

「ああ。」


レオンは村の外れを指差した。


「初心者用の訓練場がある。」

「そんな便利な場所があるのか。」

「冒険者の村だからな。」


俺たちは教会を後にし、村の外れへ向かった。そこには木で作られた人形や丸太が並び、数人の冒険者が木剣を振っていた。


「ここだ。」


レオンは木剣を一本持ってくる。


「本物の剣は危ないからな。」


一本を俺へ投げる。


「まずは振ってみろ。」

「こうか?」

ブンッ。

「違う。」


レオンは苦笑した。


「力任せじゃ長く戦えない。」


そう言うと、ゆっくり剣を構える。


「足は肩幅。」

「はい。」

「力を抜く。」

「はい。」

「そして――振る。」


シュッ。

無駄がない。速い。


「すっげ……。」


俺も真似して振る。

シュッ。

さっきより軽い。


「いい感じだ。」

「本当か?」

「ああ。」


レオンは笑う。


「筋は悪くない。」


その一言だけで、少し嬉しかった。ゲームの知識しかなかった俺が、この世界で初めて誰かに褒められた気がした。


「今日はこれくらいにしよう。」


気付けば辺りは真っ暗になっていた。


「腹減ったな。」

「そうだな。」


俺のお腹もグゥと鳴る。レオンは笑いながら歩き出した。

「宿に戻って俺は飯でも食うか。」

「俺は無一文だから今日は野宿か…。」


俺は夜空を見上げた。この世界へ来てまだ数日。それでも少しずつ、この世界で生きている実感が湧いてきた。

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