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反転術師は成長とともに  作者: ルーザー
1章 反転する運命
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13/18

7話 副職に就こう!!

フィルネ村へ戻る頃には、空は夕焼けに染まり始めていた。


「結局、何も倒せなかったな……。」


俺は苦笑しながら頭をかく。


「まぁ、仕方ないさ。」


レオンも肩をすくめた。


「あんなゴブリンの集落があるなんて、誰も想像しない。」

「そうだけど……依頼は失敗だよな。」

「ああ。」


二人でため息をつきながら、冒険者ギルドの扉を開けた。

カラン――。

昼間ほどではないが、ギルドの中は相変わらず賑わっている。受付嬢は俺たちを見ると、笑顔で声を掛けた。


「お帰りなさいませ。ゴブリン討伐、お疲れ様でした。」


その笑顔が少し心に刺さる。


「あの……。」


俺は少し申し訳なさそうに頭を下げた。


「依頼…、失敗しました。」


受付嬢は少し驚いた表情を見せる。


「失敗……ですか?」


レオンは横で頭を下げる。

「俺がついていながら…、申し訳ない。」


受付嬢は少し考え込んだあと、優しく微笑んだ。


「リヒトさんにとっては初めての依頼ですし、お二人とも無事に帰って来られたことが何よりです。」

「ペナルティとかは……。」

「ありません。」


その一言で肩の力が抜けた。


「ただ、依頼は未達成という扱いになります。」

「やっぱりそうですよね。」

「はい。これからも未達成が続くようでしたら。冒険者をやめていただくことになってしまいます。」


受付嬢は依頼書に何かを書き込む。


「では、この依頼は他の冒険者へ回します。」

「分かりました。」


俺は素直に頷いた。まぁ、もう村の近くではゼノ達は姿を見せないから安心していいだろう。一段落着いたので帰ろうとした時だった。


「そういえば。」


受付嬢が俺を呼び止める。


「リヒトさんは、副職はまだ取得されていませんよね?」

「副職?」


そういえば、ステータスにも『副職 なし』と書かれていた。


「副職って、そんなに大事なんですか?」


俺が尋ねると、隣のレオンが笑った。


「リヒト、副職はめちゃくちゃ大事だぞ。」

「え?」

「本職だけで戦ってる冒険者なんて、ほとんどいない。」

「そうなのか?」

「副職には、それぞれ能力補正や専用スキルがある。戦士なら剣術、弓使いなら弓術、僧侶なら回復魔法って感じにな。」


なるほど。だから副職があるのか。ヴェルノクス様が言っていたがあまり気にしていなかった。受付嬢も頷いた。


「副職を取得するだけでも、戦いやすさは大きく変わります。」

「どうやって副職に就けるんですか?」

「この村の教会です。」

「教会?」

「はい。副職は教会で授かります。」


俺は少し驚いた。


「ギルドじゃないんですね。」

「ええ。職業は神から授かるものという考え方ですので。」


なるほど。だから教会なのか。


「初めて副職を授かる方は無料です。」

「無料!?」


思わず声が大きくなる。受付嬢はクスッと笑った。


「ですが、一度取得した副職を変更する場合は副職によって費用が必要になります。」

「危ない……。」


危うくまた適当に決めるところだった。レオンは俺の肩を軽く叩く。


「安心しろ。悩むのはみんな同じだ。」

「レオンは何なんだ?」

「俺か?」


レオンは少し胸を張った。


「副職は《剣士》だ。」

「やっぱり!」


見た目そのままだった。


「じゃあ行くか。」

「どこへ?」

「教会だよ。」


レオンはギルドの出口へ向かって歩き始める。


「今日はもう依頼も終わったし、せっかくなら副職を取っちまおう。」

「そうだな。」


俺も後を追う。

ギルドを出ると、夕日がフィルネ村を赤く照らしていた。


「ていうか村なのに宿とかギルドとか、教会とかがあってほんとに村なのか?」

「まぁ教会、ギルド最低限ないと大陸の村として認められないからな。」

「ちなみにこの俺たちがいる大陸の名は?」

「ルミナス大陸だな。」

「そっか。」


やっぱりここは異世界だ。大陸はいくつもあるんだろう。しばらく歩くと、村の中央近くにある白い石造りの建物が見えてくる。色鮮やかなステンドグラス。入口には大きな神の像が立っていた。それが筋肉が異様に盛られているヴェルノクス様だった。

俺は何も見ていない。


「ここが……教会。」


思っていたよりずっと立派だ。扉を開けると、中は静かだった。木製の長椅子が並び、祭壇には大きなヴェルノクス像が建てられている。その前に立っていた白い法衣の女性が、俺たちに気付いて微笑んだ。


「ようこそ、フィルネ教会へ。」


優しい声だった。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」


レオンが一歩前へ出る。


「君、初めて見る顔だね?前、副職を変えてもらった時の人と違うね。」

「はい。私は代理です。あの人は今休業中で休んでいます。」

「そうか、まっとりあえず今日はこいつが副職を授かりに来た。」


女性は俺を見ると、穏やかに頷く。


「承知いたしました。」

そして祭壇の奥へ歩いていく。

レオンが小声で言った。


「前の神官だったらお前問答無用で金取られてたぞ。あいつは男女で対応が違うって言われているからな。」


心の底から今の神官で良かったと思った。

しばらくすると、一冊の古びた本を大切そうに抱えて戻ってきた。


「これが、《職業の書》です。」

「これが……。」


俺は思わず息を呑む。ここで選ぶ職業が、これからの冒険を大きく左右する。そう思うと、自然と手に汗がにじんだ。


「この職業の書は特別で選ぶ人によって書かれていることがかわります。あなたは初歩的な職業が多いと思いますよ。それでは、職業の書に手を置いてください。」


俺は静かに一歩前へ出る。

職業の書にはこう書いてあった。

【副職を選んでください】


《見習い剣士》 《見習い弓使い》 《斧使い》 《見習い魔術師》 《薬師》 《商人》 《料理人》


うん、どうしようか。かなり悩む。


「レオンは何がおすすめだ?」

「俺も最初はそうだったが見習い剣士がオススメだぜ。」


なるほど。ここはレオンに従っておいたほうがいい気がする。


「じゃあ見習い剣士になりたいです。」

「分かりました。」


神官さんはその場で神に願うように上を向いた。

その瞬間光がオレを包み込―――



━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「お、久しぶりじゃのぉ。」


…え?なんでヴェルノクス様が?


「あの、俺死んでないですよね?」

「なぜそう思ったのじゃ。」


ヴェルノクス様が呆れてように少し笑みを浮かべながら言った。

副職を変えたらなぜかヴェルノクス様のいる神界にまた来てしまいました。

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