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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和3年11月第4週

11月22日(月曜)

 我が国で本日に全国で確認された新規感染者は50人で、今年に入って最少。60人未満となるのも昨年6月23日以来で、昨日の重症者は63人と四日連続で70人を下回り、感染に()る死者も2名に(とど)まった由。対して仏蘭西(フランス)は新規感染者数の7日間平均が約3ヶ月振りの高水準、感染による死者数の7日間平均も約2ヶ月振りの水準に悪化。更に同国では本日、首相府が「首相のJean Castex氏がCOVID検査で陽性反応を示し、自主隔離に入った」と発表。更に「白耳義(ベルギー)の首相、Alexander De Croo氏を含む閣僚4人も自主隔離に入った」と報じられたのは、陽性反応を示す前のカステックス氏と彼等が会っていた為で、彼等も近く新型コロナ検査を受ける由。

 PfizerがBioNTechと共同開発して世界的に使用されているCOVID用ワクチンに関して、本日にファイザー社が「12-15歳を対象とした後期臨床試験で強い長期的な免疫効果を確認した」「2回目接種から4ヶ月超を経ても有効率は100%だった」と発表。当該ワクチンは5月に12歳から15歳に対する緊急使用が米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)から許可され、8月に16歳以上への接種が正式承認されているが、更に同社は12歳以上に対する接種の正規承認を申請する予定との事。

 本年7月の東京都議会選挙の期間中に無免許運転で人身事故を起こした事が判明した都議の木下(きのした)富美子(ふみこ)氏は、問題発覚後の7月下旬に一度目、9月28日には異例の二度目の辞職勧告を受けるも出頭にも応じぬまま、3ヶ月分の議員報酬と政務活動費を受給。既に木下氏は除名済と言えども、古巣の地域政党「都民(とみん)ファーストの(かい)」も集中する批判に耐え切れなかったのか、9月末に「長期欠席した議員の報酬を半減する条例改正案」を提示するも、他会派からは賛同が得られずに終わった。木下氏が議会に説明を行う場として設定された11月18日の議会運営委員会は前日午後に木下氏が電子郵便で欠席を宣言した為に24日に延期、と膠着状態が続いていた。

 斯様(かよう)な情勢に()いて、都民ファーストの会の特別顧問で木下氏の選挙応援に足を運んだ間柄の小池(こいけ)百合子(ゆりこ)都知事が、11月21日に自宅療養から公務に本格復帰した直後、木下氏に関して「彼女自身が決する事を私は確信している」等と発言。そして本日、木下氏が東京都庁で記者会見。「小池百合子都知事と直接御話をさせて頂き」「また支援者の方々にも改めて御相談」した上で、(ようや)く議員辞職の意向を表明した由。記者会見で木下氏は免停中の無免許事故に就いて謝罪すると共に、議員報酬は寄付に回し、政務活動費は都に請求していないと説明するも「法律による議員の身分保障は民主主義の根幹」「仕事がしたくて議員継続を望んでいるにも関わらず仕事をさせて貰えない」「()()(じん)な現実に悩みました」等と自身の行動を棚に上げて不満を訴えた。

 本日会見で木下元都議は「小池知事と10月中旬から連絡を取り、同日午後にも面談」、小池氏から「此処は一旦退いて、今回の交通事故の解決に専念したらどうか」「人生が終わるわけではない」「今回の不祥事を反省し、再出発する時には相談に乗る」等の助言を受けた事も語ったそうだが、少なくとも都議会議員としての再起は不可能だろう。「12月1日まで都議でいれば、12月10日に204万5022円の賞与(ボーナス)が満額支払われる」、「選挙日から3か月以内に議員を辞めれば、次点の自民党の候補が繰り上げ当選となってしまう」との状況が背景に存在した事から、小池氏は療養期間を利用して「10月中旬」と云う時期から連絡を取り合い、木下氏を説得した上で、此の時期に「引導を渡す」事になったか、との世評有り。

 立憲(りっけん)民主(みんしゅ)(とう)代表選に出馬した4人の候補者達が、本日に日本記者倶楽部(クラブ)主催の討論会に出席。政府の経済対策「18歳以下の子どもへの10万円相当の給付」について「見直すべきだ」等と揃って批判。そして「枝野(えだの)幸男(ゆきお)前代表が先の衆院選で共産党と結んだ閣外協力等の合意」に就いても、四氏全員が見直しの必要性に言及した由。各自に相応の言い分は有ろうが、今の所、誰が頭一つ抜けたという者も居ない様に見える。


11月23日(火曜)

 本日は全国で113人の新たな感染が発表されるも、26の県で新規感染者は皆無。東京(とうきょう)都の新規感染者は17人で、先週火曜日より2人増えるも、12日連続で30人を下回った。全国の重症者は60人で昨日より3人減り、五日連続で70人以下。死亡は2人で、北海道内の感染は14人との事。

 コロナ()(とどこお)った経済活動の再開に伴い、中国や東南亜細亜(アジア)から欧米に運ばれる荷物が急増した結果、複合一貫輸送用の船荷容器(コンテナ)が世界的に不足。先週18日に国連貿易開発会議(United Nations Conference on Trade and Development; UNCTAD)が海上輸送に関する報告書の中で「昨年後半からコンテナ運賃の高騰が始まり、労働者の不足もあって各地の港が混雑」「輸送の遅れに繋がっている」と指摘。更に「コンテナ運賃の高騰が続けば2023年までに世界の輸入価格が10.6%上昇」「輸入品の価格上昇を通じて消費者物価を1.5%押し上げる可能性が有る」と試算し、「世界経済の回復に影響しかねない」と論じた。発展途上国のうち海上からの輸入に頼る島国への影響が最大となり、輸入価格の上昇幅は24.2%に上るとも言われるが、 「世界的な物流網の混乱に伴う港の混雑」は露西亜(ロシア)極東の浦塩斯徳(ウラジオストク)にも影響。従来は蘇士(スエズ)運河経由の海上輸送で運ばれて来た貨物が「コンテナ不足や運賃高騰」を背景に「西比利亜(シベリア)鉄道を利用して陸路で欧州に輸送」する需要が増えて連日、中国等から入港する貨物船の荷物を捌き切れず、何艘もの船が沖で待機を余儀無くされている由。

 感染再拡大が続く欧州。新規感染者数が6万人を超える日も出る等、過去最悪の水準となった独逸でも、一部地域では冬季恒例の降誕祭(クリスマス・)市場(マーケット)を開催。西部の哥羅尼(ケルン)では接種完了者と感染後に回復した者のみを入場可能とし、当局の監視員が会場を回って接種証明の提示を要求。其の一方で世界的に有名な南部の紐林堡(ニュルンベルク)、600年近い歴史を有する東部の徳累斯頓(ドレスデン)のクリスマス・マーケットは、感染対策の強化を理由に中止された由。

 墺太利(オーストリア)が、来年2月から「ワクチン接種を義務化」する方針を決定。伊太利(イタリア)も「警察官や小売店従業員等の不特定多数と接する職業」を対象に「ワクチン接種の義務化」を検討。独逸では、首都伯林(ベルリン)等の感染状況が深刻な地域で「ワクチンを接種していない者の飲食店利用を禁止」し、希臘(ギリシャ)でも本日から同様の措置を開始。仏蘭西(フランス)では、飲食店等の利用に「ワクチンの接種証明」若しくは「PCR検査等の陰性証明」を提示する事が必要だが、接種優先の方針で無料だった検査は先月から有料化。。オーストリアやドイツでは「ワクチン接種を済ませた人の割合が全人口の60%台で頭打ち」となっており、「伸び悩む接種率をいかにして上げるか」が各国の課題との事。

 今月に感謝祭、来月のクリスマスとholiday seasonが近づく米国でも、感染者の増加傾向は続く。同国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)に依ると、一日当たり感染者数の平均は22日時点で9万2000人以上と前週より18%増加。運輸保安局は「今月19日から21日までの3日間に全米の空港を利用した人は645万人余り」で「一昨年同時期のおよそ9割に回復」した事から、「感謝祭の時期は旅行者数が感染拡大前とほぼ同じ水準になる」と予測。昨日会見で政府高官は「ワクチンの追加接種が進む事等で経済活動を制限せずに感染拡大を抑えられる」「状況はコントロールされている」と述べ、都市(ロック)封鎖(ダウン)は回避可能との見解を示しつつ「追加接種、子供への接種を終えた上で休暇を過ごす」事を要請した由。

 原油価格の高騰に対し、本日に米国のバイデン政権が「石油の戦略備蓄を市場に放出する」と発表。此れを受けて、日本も「国家備蓄のうち目標日数を超える余剰分を売却して流通させる」案を検討。9月末時点で国家備蓄は「国内消費量の145日分」で、更に民間備蓄分を含めれば計242日分を確保。中東の政情不安や災害に対して民間備蓄が放出された先例は有るが、日本に於いて「価格抑制を目的として、国家備蓄の一部を売る」のは初。「緊急時の供給確保に影響しない」との政府見解だが、「石油製品の大幅な値下がりに繋がるか(いな)かは未知数」との声有り。


11月24日(水曜)

 本日は全国で77人の感染が発表。2人の死亡の発表。東京都は24日、都内で5人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表。22日の6人を下回り、今年最少となり、先週同曜より22人減少。1日の感染確認が50人を下回るのは39日連続、30人を下回るのは13日連続。24日までの7日間平均は14.3人で、前の週の67.8%です。都基準で集計した24日時点の重症患者は、昨日と同じ8人で、本日に死亡が確認された者無し。道内では新たに10人が感染するも、死亡者なし。

 対して、昨日に(かん)(こく)で確認された新規の感染者は4115人。過去最多とされて来た今月17日より800人以上増え、重症者も586人で過去最多を記録した由。集中治療室病床の使用率が80%を超えた漢城(ソウル)を中心とする首都圏に対し、同国政府は5段階で最高位の「非常に高い」危険度と発表。接種完了者の割合が79.1%に及び、今月から感染防止目的の規制が緩和されて人の動きが活発化した韓国だが、其処で「早い段階で接種を終えた高齢者」や「未だ接種が進んでいない子供達」の間で感染者が増えているらしく、首相の(キム・)富謙(ブギョム)氏が「首都圏では、いつでも非常計画の発動を検討しなければならない切迫した状況だ」として規制再強化の可能性にも言及する事態に陥っている模様。北海道と同様、我が国の本州以南に起きる事態を先取りしている可能性も懸念される。

 (きた)るべき感染第六波に備えて来月1日から始まる3回目のワクチン接種を前に、ワクチン接種担当大臣の堀内(ほりうち)詔子(のりこ)氏が本日、日本歯科医師会の(ほり)憲郎(けんろう)会長と面会。従前と同様の接種協力を要請し、堀会長は応じる意向を伝えた。また堀内大臣は閣議後会見で、「日本薬剤師会の山本(やまもと)信夫(のぶお)会長とも22日に会談」「予診や接種後の経過観察等で協力を得る事を確認した」と述べた由。

 3回目接種に関し、先週21日の全国知事会で「2回目との間隔が原則の8ヶ月以上から6ヶ月に短縮可能となる具体的な判断基準を示す」事を求める意見が相次いだ。対して厚生労働大臣の後藤(ごとう)茂之(しげゆき)氏は、記者会見で「来月1日から追加接種が開始される事を踏まえ、なるべく早く要望に応えられる様に」「近々に具体的な基準を示し、きちんと説明出来る様になると思う」と述べる一方で「医療機関等で感染集団(クラスター)が発生するとか、地域で感染集団が複数発生し急激な感染拡大が見られる様な例外的な場合に、厚生労働省に相談した上で、と云う話」で在って「地方の自由な判断や、其々(それぞれ)の事情に依って前倒し出来る基準では決して無い」と述べ、飽く迄も例外だと強調した由。政府は先週に決定した新たな経済対策を実現すべく、裏付けとなる今年度の補正予算案の編成作業を進めており、計上する経済対策追加の歳出額は一般会計で31兆5600億円余りとなる模様。政府は12月6日にも召集する臨時国会に補正予算案を提出し、速やかな成立を目指す由。

 国家公務員の賞与(ボーナス)について、人事院は今年8月、民間との格差を解消するため「0.15か月分引き下げ、年間で4.3か月分にする」よう勧告。政府は、24日給与関係の閣僚会議を開き、「勧告どおり引き下げる」方針を決める一方、新型コロナで打撃を受ける経済や民間の給与などへの影響を考慮する必要があるとして「来月支給する冬のボーナスには引き下げを反映させず、来年6月まで先送りする」事も併せて決めた。これを受けて総務省は、全国の地方自治体に対し、地方公務員のボーナスについても、国家公務員の取り扱いを基本として対応するよう求める通知を出した。人事院勧告で示されたボーナスの引き下げを年度を超えて反映させるのは初めてとの事。


11月25日(木曜)

 欧州での感染拡大に対し、昨日に欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control; ECDC)が、欧州医薬品庁(European Medicines Agency; EMA)と合同で会見。欧州連合(European Union; EU)の域内では人口の凡そ65%がワクチン接種を終えたものの「感染の広がりを抑えるには明らかに不十分」と指摘し、各国に「18歳以上を対象に追加接種を検討」「中でも40歳以上については早期に検討すべき」との見解を示した。「接種完了者が人口の80%以下の国」に於いては、入院や死亡の危険性リスクを抑える為に「来月からの2ヶ月間、人と人との接触を大幅に減らす」事が推奨される一方で、墺太利(オーストリア)で行われた接種義務化に関しては「人々を一層ワクチンを拒否する方向に向かわせる可能性も有る」「解決策とは言えない」とECDCとしては慎重な姿勢が示された。

 同じく昨日、世界保健機関(World Health Organization; WHO)事務局長のTedros Adhanom Ghebreyesus氏は「ワクチンの接種に依って、誤った安心感が広がっている」と警告。「多くの国や地域でワクチンが世界的大流行(パンデミック)を終わらせ、接種した人は他の対策をしなくても良いと云う誤った安心感があることを懸念している」と述べ、接種で重症化や死亡の危険性は下がるものの「感染したり他者を感染させたりする危険性は依然として存在する」「接種完了者もマスクを着用して人混みを避ける等の対策を続ける事が肝要」と強調した由。

 日本国内では本日に119人の新規感染と2人の死亡。東京に於ける新規感染は27人で、14日連続で30人を下回り、都基準で集計した重症患者は前日と同数の8人で死亡者無し。本日に開催された東京都のモニタリング会議で、医療提供体制の警戒水準(レベル)が4段階のうち最下位に引き下げられ、先月に引き下げられた感染状況の警戒水準も維持された事で、初めて「感染状況と医療提供体制の両方が初めて最も低いレベル」となった由。北海道内でも本日の新規感染12人で死亡者無し。

 本日に厚生労働省の諮問(アドバイザリー)委員会(・ボードが会合。会合で示された厚労省資料に依ると、昨日迄の1週間に於ける新規感染者数は前週に比して全国では0.68倍と減少。今年に入って最も低い水準が続き、14の県で1週間のうちに感染者の報告が皆無。首都圏では東京、千葉、埼玉が減少、神奈川(かながわ)が1.00倍で(よこ)()い。関西でも大阪、京都、兵庫が軒並み減少。中京圏では愛知、岐阜が減少して、三重(みえ)県が1.00倍と(よこ)()い。沖縄で0.64倍と減少が続く一方、群馬(ぐんま)で1.36倍、福岡(ふくおか)で1.28倍等と「感染者の数自体は少ないものの(やや)増加している地域」有り。

 人口10万当たりで直近1週間の感染者数を見ると、最多が北海(ほっかい)の1.98人、次いで岡山(おかやま)の1.96人、大阪(おおさか)の1.32人が続き、全国では0.62人との事。斯様(かよう)な現状に関して、委員会は「新規感染者数は去年の夏以降で最も低い水準が続き、療養者数や重症者数、死亡者数も減少が続いている」と評する一方、一部地域では「夜間の人出の増加が続き、飲食店や施設などでクラスターが発生する等、一時的な感染者数の増加傾向が見られる」と指摘した由。

 会合では筑波大学教授の倉橋(くらはし)節也(せつや)氏に依る「(だい)(ろっ)()に於ける新規感染者数の試算」も提示。「緊急事態宣言解除後」で「繁華街に於ける19時の人流が25%増」、「ワクチン接種率が全人口で80%」等と仮定した場合、「ワクチン追加接種」、「接種証明、又は検査による陰性確認」、「証明確認による入場制限」の全てを行わない場合、東京都の新規感染者数は1月22日の時点で一週間平均2182人と頂点に達するが、全てを実行すれば763人と約3分の1に減った。何れにしても第五波が記録した4923人に遠く及ばぬ数値では在るが、三つの対策で感染拡大を大きく抑制出来ると結論付けられた由。

 会合後に座長の脇田(わきた)隆字(たかじ)氏が記者会見。3回目接種を受けるべき時期に就いて「ワクチンの感染予防効果は2回目の接種以降、徐々に減って行く」が「発症予防効果や重症化予防効果は保たれ」、「6ヶ月経つと全員の効果が無くなる訳では無い」。「社会全体が守られている状況を継続する」為に、現時点では「8ヶ月経った人から、順番が来れば追加接種をしっかり進めて行く事が大切だ」と説明。欧州や韓国での感染再拡大に就いて「ヨーロッパはワクチン接種の開始時期が日本より早かった」「mRNAワクチン以外に別のワクチンも多く使われた」「ヨーロッパは寒くなるのが早く屋内活動が増えた」「規制緩和もかなり早くから始まっている」等の「様々な要因(ファクター)が有る」が、ワクチンに因る免疫が未だ上昇しつつ在る日本では状況が異なると指摘。「ブースター接種の最終的な目標は流行を大きくせずに、医療逼迫(ひっぱく)を防ぐ事」「其の為にはワクチン接種だけでなく、様々な感染対策を総合的に進める必要が有る」と述べた由。

 本日に国立がん研究センターが「昨年に全国の癌診療連携拠点病院等で新たに癌と診断された人は、一昨年に比して6万人減った」と発表。1施設当たりの減少割合は4.6%だが、 癌患者の診断数が減ったのは2007年の集計開始以来、初めての事。増加傾向を示して来た癌患者の実数が減じたとは考え難く、「コロナ禍の影響で、検診や受診を控える人が増えた」結果と推定される故に、今後は「癌の発見が遅れ、進行した状態で見つかる患者が増加する」事が懸念される由。癌治療は早期に始めるほど生存率が上がる傾向があり、厚労省は「癌検診等の受診は、不要不急の外出に当たらない」として、受診を勧奨しているとの事。間接的では在るが、見逃せぬ世界的大流行の影響と言えよう。


11月26日(金曜)

 (いま)だ接種完了者が24%に留まる南阿弗利加(アフリカ)で、国立伝染病研究所等が「SARS-CoV2の新たな変異(へんい)(かぶ)が検出された」と発表。

 今回の変異株「B.1.1.529」には「特異な変異の集まり」が見られ、英国で最初に特定されたB.1.1.7系統、即ちアルファ変異株、印度(インド)で特定されたB.1.617.2系統、デルタ変異株等、過去に流行した他の変異株とも「非常に異なる」模様。「全体で50の変異」が有り、うち「30以上の変異がスパイク蛋白質」で「アルファ株等で感染力を高める働きが有ったと見られるN501Y変異も含まれる」、「受容体結合ドメイン(receptor-binding domain; RBD)にはデルタ株で2箇所だった変異が10も確認された」等の情報有り。

 今年の初めには「免疫機構を回避するベータ株」が最も懸念されていたが、「免疫系を回避する能力しか無かった」ベータ株は然程の問題とならず、実際には「感染力と若干の免疫回避能力」を兼ね備えたデルタ株が世界を席巻した実例有り。一概に変異箇所が多ければ多い程に危険とも言えぬものの、既に広く知られた事実としてSARS-CoV2、所謂(いわゆる)新型コロナウイルスの表面に存在するスパイク蛋白質は「人体の細胞に入り込む鍵」の役割を有し、現存する(ほとん)どのCOVID用ワクチンは此のスパイク蛋白質を標的としている。其の部分に著しい変異が生じている事実は感染力増強の可能性に加えて「現存のワクチンが全て効かない」、或いは「効果が大幅に低下する」可能性も示唆している。

 此等(これら)の情報を受けて我が国の官房長官、松野(まつの)博一(ひろかず)氏が、臨時閣議後の記者会見で「当該変異株を水際(みずぎわ)対策(たいさく)上、(とく)対応(たいおう)すべき変異株に指定する」と宣言。南阿弗利加に加えて周辺のEswatini、Zimbabwe、Namibia、Botswana、Lesothoの合計6ヶ国に対して「水際対策を強化し、明日0時から入国後10日間、国が指定する宿泊施設に留める」措置を執る旨を発表するも、3回目接種の日程や明日から入国者数上限を一日当たり5000人に増やす方針には変更無し。

 英国が南アを含む前記6国の直行便乗り入れを明日から禁止。28日朝が過ぎれば運航を認めるが、入国者は10日間隔離。以色列(イスラエル)でも「1名に新型変異株への感染が確認された」との事で、アフリカ南部7ヶ国から外国人の新規入国を禁止。伊太利(イタリア)捷克(チェコ)新嘉坡(シンガポール)も南ア等からの入国規制を決定。欧州連合の執行機関たる欧州委員会も「南ア等からの直行便乗り入れ禁止」を加盟国に呼び掛ける等、諸外国も入国制限を強化。

 現時点で感染者の大半は南アフリカ国内のハウテン州で確認されているが、隣国のボツワナで4件、香港では1件確認されて居ると聞いた矢先、香港(ホンコン)の症例は2件に増加。「南アから入国した印度(インド)国籍の男性」が隔離用の旅舎(ホテル)で滞在中に陽性と判明し、五日後に「向かい側の部屋で隔離を受けていた中国籍の男性」の感染が確認された由。南アの一日当たりの新規感染者数は今月中旬から増加傾向で、昨日は2465人に及んだが、「新たな変異株が要因」との可能性も指摘されている模様。

 そして本日に世界保健機関(World Health Organization; WHO)が、当該変異株をデルタ株等に比肩する「懸念すべき変異株(variant of concern; VOC)」に分類すると発表。名称には希臘(ギリシャ)文字の15番目、Omicronが用いられ、「オミクロン株」との事。懸念すべき変異株の指定は系統 B.1.1.7のアルファ株。系統 B.1.351のベータ株。系統 P.1 のガンマ株。世界を震撼させた系統 B.1.617.2 のデルタ株に続き、5番目となる模様。

 VOCよりは危険性が低い「注目すべき変異株 (VOI)」が5種、VOIから「監視すべき変異株 (VUM)」に分類が変更された型が4種、一旦はVOIとされるも外された2種と云うWHO分類の変異株では13番目にも関わらず、第13字nuや第14字xiが使用されなかった理由は「ニューが英語のNew」に、クサイ若しくはクシーの英語表記Xiが「一般的な中国の姓と混同しやすい」為と発表される一方、後者に関しては「中国共産党総書記の習近平/Xi Jinping氏の姓との重複を恐れたのではないか」との(こう)(せつ)も伝わった。


11月27日(土曜)

 新たな脅威と目されるオミクロン株に対し、米国も「阿弗利加(アフリカ)南部8ヶ国からの外国人の入国」を「29日から原則禁止」する方針を決定。昨日に大統領のJoe Biden氏が「新たな変異株の報道」は「世界中でワクチン接種が進むまで此の世界的大流行(パンデミック)は終わらない」事を「より明確に示した」と語り、世界的な接種推進の為に「ワクチン関連の特許権等、知的財産権の一時停止」に賛同する様、各国に呼び掛けた由。

 感染症専門医の忽那(くつな)賢志(さとし)氏が整理された「現時点でオミクロン株について分かっていること」のうち、昨日の項と重複(ちょうふく)せぬ内容を以下に抜粋する。後にオミクロン株と命名される変異株は本年11月11日、「ボツワナで採取された検体」から初めて検出された後、南阿弗利加で同月14日以降に採取された検体からも確認された。南ア国内でもGauteng州と云う地域で多数の症例が見つかり、11月12日から20日の間に検査された77例全てがオミクロン株への感染である事が確認された。ハウテン州ではデルタ株感染が広がっており、学校や若者の間で感染者が急増していたが、「現在検査されている検体の半数以上がオミクロン株」で、ハウテン州では既にオミクロン株が感染の主流と推定されると共に「オミクロン株はデルタ株よりも感染力が強い」可能性が示唆される。

 香港でオミクロン株感染2例が報告された事は昨日の項に記したが、1例目は2回接種完了済で、10月下旬から11月に南アフリカへの渡航歴を有するも無症状。もう1例も2回の接種歴が持ち、カナダからの帰国者で、前述の症例と同じ検疫隔離用旅舎で向かいの客室に滞在していた事から「南ア帰国例がサージカルマスクを着用せずに部屋の扉を開けた際に感染したのではないか」と推定される由。以色列(イスラエル)でも「Malawiからの渡航者だった1例の確定例と2例の疑い例」が、白耳義(ベルギー)から「埃及(エジプト)渡航歴の有るワクチン未接種者」からオミクロン株が報告され、既にアフリカ以外にも広がっている可能性有り。

 しかし、オミクロン株に就いては(いま)だ不明な点が多く、「南ア一部地域でデルタ株から置き換わった」事のみを(もっ)て「デルタ株より感染性が強い」と断じる事は出来ず、特定の集団に偏っている可能性も有る。しかし、スパイク蛋白に「32もの変異」が見つかった事、このうち「H655Y、N679K、P681Hと云う3箇所の変異」は「スパイク蛋白2箇所の開裂部位(S1/S2)の近くの変異」で在る事から、やはり「感染力の増加に関わっている可能性」は有る模様。現状で「オミクロン株感染者は特に重症度が高い」との報告は無く、むしろ南アフリカからの報告に依れば「特徴的な症状は無く、無症状の人も居る」との事。

 30を超える変異、特に「スパイク蛋白に20の変異」を持ち、「約2年間の新型コロナウイルスの流行の中で、最も分岐した変異株」で在る事から「ワクチンの効果を低下させ、再感染のリスクを高める可能性」も懸念されるものの、「ワクチンの効果やブレイクスルー感染にどの程度の影響を与えるか」を評価する為には「さらなるウイルス学的調査やワクチン効果を検証する研究が必要」。

 本日の時点で「日本国内のゲノムサーベイランスではオミクロン株は検出されていない」が、「引き続きゲノムサーベイランスで検疫・国内での監視を行う必要」有り。我が国に「オミクロン株が出現した」としても「私たちにできる感染対策」に変わりは無く、「今後予定されているブースター接種」を「時期が来ればぜひご検討」の上で、追加接種の前後も「手洗いや3つの密を避ける」「マスクを着用する」等の基本的対策を継続する事が推奨される由。


11月28日(日曜)

 ボツワナや白耳義(ベルギー)に続き、昨日に英国でもオミクロン株感染2件を確認。Boris Johnson首相は、英蘭土(イングランド)に於いては「店内や公共交通機関ではマスク着用」、全ての入国者に対して「到着後2日以内のPCR検査」や「陰性が確認される迄の自主隔離」、オミクロン株感染者と接触した者に対しては「10日間の自主隔離」を義務付ける方針を発表。独逸(ドイツ)では南ア発ミュンヘン着便を利用した乗客2件。伊太利ではモザンビークからの渡航者。丁抹(デンマーク)でも2人からオミクロン株感染が確認されたが、阿蘭陀(オランダ)では26日に南アから到着した航空機の乗客計約600人のうち61人がCOVID陽性と判定され、其のうちの13人でオミクロン株感染が確認された由。

 感染者世界最多の米国では昨日迄にオミクロン株の感染者は確認されていないが、国務省は一昨日の時点で、南アを含むアフリカ南部8ヶ国から米国へ外国人が入国する事は「29日から原則禁止」と発表。更に昨日、当該地域へ米国人が渡航する事に関しても、警戒水準(レベル)を4段階で最高位の「渡航中止」に引き上げた。

 世界の対応に対して、南アフリカ政府は昨日、「渡航制限は優れた検出能力を持つ南アに与えられた懲罰の様なものだ」と批判。同国が不満を抱くのは道理なれども、他国が警戒するのも道理と云う所で、同じく昨日に米国の国務長官、Antony Blinken氏が南アのNaledi Pandor国際関係・協力相と電話で対応を協議。ブリンケン氏が「南アの科学者らが迅速に新たな変異株の確認に成功した」事や「南ア政府の情報共有に関する透明性」を称賛して同国の立場に理解を示しつつ、「米国や阿弗利加連合(African Union; AU)が協力し、ワクチン接種を促進して行く事が重要」との認識で一致した模様。

 また米国の首席医療顧問、Anthony Fauci氏は昨日のNBC newsで「此れ程の感染力を持つウイルスが存在する場合、ほぼ必ず最終的には世界中に広がる」と述べ、いずれ米国で確認されても「私は驚かない」と語った由。我が国では、一昨日の時点で国立感染症研究所がオミクロン株を国内基準の「注目すべき変異株/VOI」に指定していたが、欧州等の状況を踏まえて三段階のうち最も警戒度が高い位階を与える事となり、今夜に「懸念される変異株(VOC)」へと変更。変異株以外で最近に世界の()(もく)を集めた報道と言えば、「中国で女子庭球の有名選手が前副首相から性的関係を強要された」と告白した後に安否不明となった一件だろう。

 11月2日の時点で、彭帥/Peng Shuai氏を名乗る人物が中国のSNS、微博/Weiboに1600字を超える文章を投稿。「凡そ三年前、張高麗副首相は退職し、天津網球(テニス)中心(センター)の人を通じて、再び私に連絡」を取り「午前中にテニスをした」後で「私を部屋に引き入れ、十数年前の天津の時と同様、私と性的な関係を結んだ」。「あの日の午後、私はとても怖かった」「あんな風になるとは思っても見なかった」。「七年前」にも「私達は性的関係を持った」が「その後、貴方(あなた)は政治局常務委員に昇進して北京へ行き、私との連絡を絶った」「私は全てを心の中に仕舞(しま)った」。「あの日の午後、私は全く同意していなかった」「其れでずっと泣いていた」「私は例え様も無い程、惨めな存在」で「自分は人間だろうかと自問し」、「まるで自分が歩く屍の様だとも感じていた」。「地位の高い張高麗副首相」から「恐れてはいない」と言われても、「例え石にぶち当たる卵」や「火に飛び入る()」の(ごと)く自滅するとしても「貴方との間に在った事実を明らかにする」。

 実名を挙げて告発された張高麗/Zhang Gaoli氏は、2012年から2017年に中国共産党の政治局常務委員会の一員を務めたが、同委員会は国家主席にして総書記の習近平を含む7人で構成される中国の最高意思決定機関。構成員の動静や内部での発言は極秘扱いで、秘匿事項の多い中国政界に於いても特に不可侵の聖域とされて来たが、其の構成員に関する醜聞(スキャンダル)(おもて)沙汰(ざた)となる事自体が前代未聞。更に「大国の権力者に依る性的関係の強要の疑い」は、2017年にHarvey Weinstein氏が“#MeToo”運動に因って米国映画界を追われた件と同様か、其れ以上に問題とされている。

 女子庭球協会(Women's Tennis Association; WTA)の情報が示す所では、彭選手は湖南省出身の35歳。2013年にWimbledon選手権の女子二人組戦(ダブルス)、翌年には同じく全仏自由参加(オープン)大会の女子二人組戦で優勝して北京(ペキン)倫敦(ロンドン)里約日内路(リオデジャネイロ)と3回の五輪に中国代表として出場。此の有名選手が投稿したとされる文章は短時間で削除されるも、瞬く間に世界中に拡散された。

 問題の投稿が行われた11月2日は、北京で中国共産党第19期中央委員会第6回全体会議。19期「6中全会」と略称される重大会議が開催される直前で、習主席にとっては「自らが主導する歴史決議の採択に向けて、政治的に重要な時期」で「此の決議で更に権力基盤を固めようとしていた」との背景有り。来年の党大会で党の指導者として異例の3期目に入ろうとする習主席が「江沢民元国家主席と関係が深く、習主席と敵対する派閥に属する」張高麗前副首相の力を削ごうとしたのではないか、とも言われるが、真偽は闇の中。

 WTAや世界の庭球選手達が上げた懸念の声に対して、11月17日に国営放送の「中国環球電視網(China Global Television Network;CGTN)「が「彭氏がWTAに送ったとされる電子郵便(メール)画面(スクリーン)撮影(ショット)画像」を公式twitterに投稿。「今回の告発は真実で無かった」、「今は自宅で休んでいて何も問題は無い」と記されていたが、WTA会長のSteve Simon氏は「私達が受け取ったメールは彭が書いたものとは思えないし、内容に関しても真実とは思えない」、「私は何度も彼女に連絡を取ろうとしたが無駄だった」「WTAを始めとする世界中の人々は、彼女が安全で在ると云う独立した、検証可能な証拠を必要としている」との声明を出した。電網(ネット)上でも「何故、本人が発信出来ないのか」等と情報の信憑性を疑う声が相次ぎ、国連人権高等弁務官事務所の報道官が「透明性の有る調査」を要請し、米国政府が中国に対して「彭選手の所在や安否を証拠を示して明らかにする」事を求めた。

 中国政府にとっては「(むし)ろ火に油を注いだ形」となった後、11月20日から中国共産党系報道機関「環球時報/Global times」の編集長が「彭選手の近況」なる写真を投稿。環球時報の別の記者も「彭選手が大会の会場で笑顔で署名(サイン)に応じている」動画を投稿したが、動画投稿後もWTAは「彼女が自由の身で圧力や干渉を受けず、自らの意思で判断や行動する事が出来ているかは依然として不透明」で「彭選手の健康と安全について、引き続き懸念している」と揺らがなかった由。

 其の後、11月21日に国際五輪委員会(International Olympic Committee; IOC)の会長、Thomas Bach氏が「彭選手と30分間、テレビ電話で対話」して「彭選手は北京市内の自宅で暮らし、無事でいる」と発表。北京冬季五輪が来年2月に迫る中で批判が強まり、「中国の人権状況」を懸念した米国が「選手団以外の政府関係者を派遣しない外交的参加拒否(ボイコット)」を検討するに至った事態を打破する為に「中国とIOCは五輪成功に向けて協調している」事を世界に示す狙いが有った様だが、「バッハ氏は中国に利用されただけ」との批判を浴びる結果に終わった模様。

 中国は海外に対して動画の配信等で情報発信をする一方、中国本土では報道を制限。共産党系報道機関が伝えた彭選手の写真や動画は(いず)れもTwitterを介した英語の発信だったが、Twitterは中国では利用が制限されて居り、国民の閲覧は困難。NHKの海外向けテレビ放送が伝えた本件関連の報道も遮断される一方、中国外務省の報道官は記者会見で「一部の人は悪意のある宣伝をやめ、政治問題化しないよう望む」と述べた。事の始まりに共産党内の政局が絡んでいたとしても、今は早期に幕引きを図りたい意向の様だ。常に胸を張って「日本に生まれて良かった」と言える訳では無いが、「中国に生まれなくてよかった」とは思う。

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