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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和3年10月第2週

10月4日(月曜)

 昨年は「コロナ新規感染者を(ゼロ)に抑えることに成功した一握りの国」の一角となり、以降も長期に渡って同様の状態を保って来た新西蘭(ニュージーランド)だったが、本年8月以降はデルタ変異株の感染が拡大して封じ込めに苦戦。本日会見でJacinda Ardern首相は「今回の感染拡大とデルタ株流行でゼロに戻すのが非常に難しくなった」。「何時(いつ)かは戦略転換が必要になると見込んでいた」が「デルタ株感染拡大で転換の時期が早まった」、「ワクチンが転換を支える事になる」と語り、「新規感染者をゼロに抑え込む戦略」を断念して、行動制限の一部を緩和する方針を発表した由。最大の都市、奧克蘭(オークランド)では(およ)そ五十日前から都市封鎖(ロックダウン)が実行されて来たが、同国の保健当局が発表した本日の新規感染者は僅か29人。しかも大半がオークランドで報告されている為、未だ制御可能な気がするものの、世界的趨勢(すうせい)や国民感情を考えると制限継続は得策では無いとの判断が妥当かも知れぬ。

 本日に開かれた臨時閣議で閣僚達から辞表が提出され、菅内閣は総辞職。(すが)義偉(よしひで)氏の総理在任384日間は福田(ふくだ)康夫(やすお)氏の365日を上回り、(もり)喜朗(よしろう)氏の387日には及ばぬ由。其の大半は緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)蔓延(まんえん)防止(ぼうし)(とう)重点(じゅうてん)措置(そち)(まつ)わる判断、コロナ()での東京五輪・パラリンピックの実施等とCOVID対応に始まり、COVID対応に終わった印象を受ける。菅氏自身も就任から一年を迎えた先月に「コロナに明け暮れた1年だった」と述懐しているが、実際は「温室効果ガス削減への取り組み」や「携帯電話料金の引き下げ」、「デジタル庁の創設」等の実績も残している模様。第二次安倍政権以降の8年9ヶ月間に渡って「(かすみ)()(せき)官僚(かんりょう)機構の事実上の頂点」と呼ばれる事務担当の官房(かんぼう)(ふく)長官(ちょうかん)を務め、「学術(がくじゅつ)会議(かいぎ)委員(いいん)(はず)しの張本人」と言われた杉田(すぎた)和博(かずひろ)氏も今回の内閣総辞職に伴い、(おん)(とし)80歳にして(ようや)く退任。政府の体質が変わるかどうかは怪しいが、一先ず(かお)()れだけは若返る事になりそうだ。

 新総裁の岸田(きしだ)文雄(ふみお)氏が「生まれ変わった自民党を国民にしっかり示す」と発言するも、岸田氏を麻生(あそう)太郎(たろう)氏、高市(たかいち)早苗(さなえ)氏を安倍(あべ)晋三(しんぞう)氏、河野(こうの)太郎(たろう)氏を菅義偉氏、野田(のだ)聖子(せいこ)氏を二階(にかい)俊博(としひろ)氏と党の長老が支援し、決選投票も「派閥の談合で勝ち馬の岸田氏に大勢が乗った」との結果に対し、記者(ジャーナリスト)青木(あおき)(おさむ)氏は「国民注視の総裁選は逆にこの党が何も変わっていないことを露呈した」と批判。就任後の人事に関しても、岸田氏の選対本部顧問を務めた甘利(あまり)(あきら)氏の幹事(かんじ)(ちょう)起用が「露骨な論功行賞」、2016年に発覚して閣僚辞任に繋がった建設業者からの金銭(きんせん)授受(じゅじゅ)問題(もんだい)に就いて「説明責任が果たされていない」との意見有り。甘利氏を安部氏、麻生氏と同格視して「3A」等と呼ぶ者も居るが、其処(そこ)(まで)の影響力を御持ちか如何(どう)かは疑問で、安倍氏や麻生氏に動かされる駒に過ぎぬと見えるは僻目(ひがめ)か。

 経済産業大臣となるも辞任に追い込まれた際、関係先の家宅捜索で「書類を保存していたパソコンが鑿岩機(ドリル)で穴を開けて破壊されていた」事に(ちな)んで「ドリル優子」の異名を持つ小渕(おぶち)優子(ゆうこ)氏も甘利氏と同様、組織(そしき)運動(うんどう)本部(ほんぶ)(ちょう)に返り咲き。批判が比較的少なく済んだのは「甘利幹事長のおかげ」。派閥を率いた竹下(たけした)(わたる)氏も先月に物故(ぶっこ)され、将来的には「嘗て竹下派を率いて総理総裁となった小渕(おぶち)恵三(けいぞう)氏」の娘で在る優子氏が同派を継ぐ事になり「組織運動本部長として着実に結果を残せば、次は党四役が見えてくる」。「飛躍の時は案外近いかもしれません」等と竹下派の関係者が語った旨の報道を目にしたが、此れが事実とすれば「自民党の本質は何ら変わらぬ」と断じざるを得まい。


10月5日(火曜)

 昨日に総理大臣へ就任した岸田氏が本日8時過ぎから凡そ20分間に渡って、米国のJoe Biden大統領と就任後初の電話会談。「自分の内閣のもとでも、日米同盟が日本外交・安全保障の基軸であることに変わりはない」と述べた岸田氏に、バイデン大統領からは就任と政権発足への祝意が伝えられ、日米同盟の強化や「自由で開かれたインド太平洋」を実現して行く方針が一致。バイデン大統領からは日米安全保障条約第5条の沖縄県の尖閣諸島への適用を含む対日防衛コミットメントに就いて、詳細は不明ながらも「力強い発言」が得られ、「朝鮮による拉致問題の即時解決」に就いても「支持する考え」が示され、更に「新型コロナウイルスや気候変動」「核兵器のない世界に向けた取り組み」等の課題に於いても「緊密な連携を確認」し「対面での首脳会談」の早期実現を目指して調整を進める事も決まったそうだが、此れだけ多くの内容を僅か20分間で通訳を介して遣り取りするとなると、箇条書きを読み上げる程度で個々の話題を掘り下げる余裕は無かったと考えるのが自然か。

 更に午前11時から、豪州(オーストラリア)のScott Morrison首相とも「テレビ電話形式で会談」。20分間程度でが総理就任への祝意が伝えられ、「特別な戦略的パートナーシップ」や「自由で開かれたインド太平洋」、其の他諸々で協力を約束した辺りはバイデン氏相手の会談とさして異同も無いが、岸田総理大臣は豪州が英米と共に“AUKUS”と略称される新たな安全保障の枠組みを創設した事を歓迎する旨も伝えたとの事。総理大臣として輝かしい一歩を踏み出した岸田氏に対し、総裁選で敗れて党広報本部長となった河野太郎氏は一昨夜に(インター)(ネット)番組「たろうとかたろう」に生出演。

 視聴者から「河野さんはニックネームがありますか」「岸田さんは『ふみきゅん』だそうです」との質問が寄せられたのに対し、河野氏は「ふみきゅん」に失笑した後、自身に関しては「別に総理と呼んで頂いても構わないんですけど」と笑顔で話した。また総裁選を振り返って「今、党員が日本の人口、1億人の中で113万人しか居ない」が「残りの9900万人の中で100万人に党員になってもらって、河野太郎に入れてもらえば圧勝する」、「次の総裁選までに党員100万人新規拡大構想を遣って見ようかな」等と発言。昨日会見では、ワクチン接種推進担当としての自らの貢献度に関して「全人口の6割が2回接種、1回接種を終えた方が7割というのは非常に良かった」、記者から「一年の仕事ぶりを100点満点で自己採点すると何点か」と聞かれると「120点ぐらいは頂けるんじゃないか」と自画自賛。冗句(ジョーク)心算(つもり)ならば笑えぬが、本心ならば尚の事、痛々しいと言わざるを得ない。

 都知事の小池(こいけ)百合子(ゆりこ)氏が特別顧問を務める「都民ファーストの会」が国政新党「ファーストの会」を立ち上げたとの事で、一昨日に結党会見。小池知事は「関知していない」と語るも、ファーストの会代表の荒木(あらき)千陽(ちはる)氏は「党名は小池知事と共に決めた」と明言しており、党の運営も小池知事に相談しながら行う由。4年前に国政を大いに騒がすも、小池氏の「排除します」発言で尻すぼみに終わった希望(きぼう)(とう)を思わせる動きだったが、昨日に新総理が「此の岸田に御任せ頂けるのか御判断頂き、国民の信任を背景に政治を動かしたい」と述べて、国会の会期末となる10月14日に衆議院を解散、19日公示で31日投開票との意向を表明。衆議院選挙が早まって時間的余裕が無ければ、即席政党は候補者を揃える事すらも叶うまい。国政への野心を捨て切れぬ小池氏の暗躍も虚しく、今回は台風の目ともならずに終わるだろうとの世評有り。


10月6日(水曜)

 抗寄生虫薬Ivermectin。ワクチン不足に対する苦肉の策として印度(インド)、南阿弗利加(アフリカ)秘露(ペルー)を含む南米諸国や斯拉仏克(スロヴァキア)で異なる時期に使用されたが、既にペルーとインドの保健当局が治療指針の上でイベルメクチン推奨を中止。イベルメクチンを生産するMerck、北米以外ではMerck Sharp and Dohme/MSD を名乗る製薬会社は「COVID-19に対する治療効果の可能性を示す科学的根拠は何も無い」との声明を出した。有効性の根拠として屡々(しばしば)言及される「昨年に印度でイベルメクチンが使用された後に患者数が減った」件に就いても、爆発的に感染者が増えた後に頂点を超えて減少に転じたに過ぎぬ可能性が高いと思われるものの、依然としてワクチン接種に拒否感を持つ勢力を中心にイベルメクチン信仰が止まぬ状況有り。

 イベルメクチン推進派は多数の科学的研究を引用して「斯様(かよう)な証拠が無視、隠蔽(いんぺい)されている」と(いきどお)って見せるが、此度(このたび)、BBCが取材した所に依ると「COVID-19治療薬としてのイベルメクチンの使用に関する主要な治験26件」のうち、3分の1以上に「深刻な誤りや不正行為が有った」可能性が指摘されており、残る治験では「有効性を示す有力な証拠は得られていない」との事。

 研究の信頼性を調査した科学者集団の一人、Kyle Sheldrick博士曰く、イベルメクチンがCOVID-19による死を防ぐ事が示されたと主張する臨床試験の中に「明らかな捏造(ねつぞう)の兆候、或いは研究を無効にする程の重大な誤り」を含まないものは「一つも無かった」。有効性を主張する治験には「同一の患者のデータが、別人とみられる人々に対して複数回使用される」「被検者が無作為に選ばれていなかった事を示す証拠が有る」「自然には起こり得ない数字が含まれる」「誤って算出された比率(パーセンテージ)が含まれる」「各研究が行われた地域の保健機関が研究を把握していなかった」等の問題が含まれていた由。イベルメクチンに関する研究で最も規模が大きく、質が高いとされるのは加奈陀(カナダ)のMcMaster大学で行われた“Together trial”だが、其処でもCOVID-19に対する効果は何ら確認されなかったとの事。

 イベルメクチンが比較的副作用の少ない薬剤で在るのは事実で、米国でイベルメクチン中毒に関する電話が増えたと言えども、昨年の435件から本年1143件と大きな数字では無い。患者達は嘔吐おうと、下痢、幻覚、混乱、眠気、振戦を訴えるも軽症に留まる場合が多かった由。問題はイベルメクチンの効果を過信する余り、ワクチン接種を受けず、感染しても標準的な治療を拒む者達が存在する事だ。Facebookで一大勢力を為すイベルメクチン支持派は「何処でイベルメクチンを購入出来るか」等の質問に助言を与え、「イベルメクチンに関する情報は隠蔽されている」等の陰謀論を語り、「イベルメクチンを出さない病院からは去るように」と勧告する。其処へ出入りする者達の一部は、やがて連絡内容の暗号化が可能な application programの“Telegram”で過激派に入門する。其処ではイベルメクチンを処方しない医師、効果を否定する科学者への攻撃が組織化される。

 我が国でも個人輸入して予防目的に内服する等の熱心家は多い様だが、「イベルメクチンを開発し、Nobel生理学・医学賞を授けられた大村(おおむら)(さとし)氏が日本人で在る」事が一因かと思われる。氏の依頼が医薬品製造会社の興和(こうわ)北里(きたさと)大学(だいがく)を動かして始まった日本国内に於けるCOVID-19に対するイベルメクチン投与の治験は、軽症患者1000人を対象にした第3相臨床試験に突入。興和が本社を構える愛知県の愛知(あいち)医科(いか)大学、東京(とうきょう)()医師(いし)(かい)も協力して「発症から5日以内の軽症者」を対象に「体重1kg当たり0.3-0.4mg」のイベルメクチン、若しくは偽薬を「1日1回3日間」投与し、「臨床症状が改善に至るまでの時間の違い」を比較する予定だが、主要評価項目に重症化予防効果は含まれていない模様。

 最終的にイベルメクチン有効との結果が出れば喜ばしい事だが、諸状況を鑑みるに可能性は低かろう。(かつ)て世間で物議を醸した丸山ワクチンは未だに癌治療に対して認可を得られていない一方、有償治験との特例で日本医科大学や協力施設では使用出来る様になって久しいが、未だに「癌への有効性を明確に示す情報が揃った」との報告は聞かぬ。イベルメクチン騒動も同様の結論に終わる気がしてならぬ。

 日本を中心として活躍した大村氏とは異なり、今年のNobel物理学賞に選ばれた気象学者の真鍋(まなべ)淑郎(しゅくろう)氏は1931年に愛媛(えひめ)県で生を受け、1958年に東京(とうきょう)大学(だいがく)大学院の気象(きしょう)(がく)博士課程を修了した後に渡米。米国籍を取得してPrinceton大学で上席研究員として研究を進める中で、「人間活動が地球に及ぼす影響」を早くから予見した真鍋氏は、早期から電算機(コンピューター)を駆使して二酸化炭素濃度の上昇と地球の表面温度の上昇との関連を示した由。

 瑞典(スウェーデン)王立科学学士院(アカデミー)から「彼の研究は、現在の気候モデルの開発の基礎を築いた」と称えられる真鍋氏がプリンストン大学で記者会見。「何故、国籍を変更したのか」の問いに答えて曰く「日本の人々は、非常に調和を重んじる関係性を築きます」。「御互いが良い関係を維持する為に此れが重要」で「他人を気にして、他人を邪魔する様な事は一切、()りません」。しかし米国では、対照的に「他人の気持ちを気にする必要が有りません」。「私も他人の気持ちを傷つけたくはありません」と思う反面、「他の人の事を気にする事が得意では無い」真鍋氏の様な研究者にとっては「米国での暮らしは素晴らしい」。「好きな研究を何でも出来るからだ」等の内容に関して、冗句を交えて語った真鍋氏は今や日本生まれの米国人で在り、「日本人のノーベル賞受賞者」では無い。

 日本社会の精神性に加えて「使いたいコンピューターは全て提供された」事も真鍋氏は語っているが、予算の潤沢な米国に比して、我が国の学界が資金不足に(あえ)ぐ傾向は、むしろ真鍋氏が日本を去った後に強まった感有り。


10月7日(木曜)

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会」は、感染状況を四つのstageに分類する為に「医療の逼迫具合」「療養者数」「PCR検査の陽性率」「新規感染者数」「感染経路が不明な人の割合」の5指標を示して居り、更に医療の逼迫具合は「病床使用率」「入院率」「重症者用病床の使用率」の3項目で判定。昨日の時点で内閣官房が纏めた所に依ると、緊急事態宣言が先月末まで出されていた19都道府県と蔓延防止等重点措置が適用されていた8県。合わせて27都道府県の一部では今も最も深刻とされるstage 4相当の項目が残る由。

 病床使用率20%以上がstage3の目安とされるが、此れに該当するのは滋賀(しが)県で22%。stage 4相当となる50%以上の都道府県は無し。入院率はstage 3が40%以下で東京(とうきょう)都の38%、兵庫(ひょうご)県の31%、stage 4が25%以下で京都(きょうと)府の14%、大阪(おおさか)府の22%、沖縄(おきなわ)県の11%が該当。他に滋賀県で62%。「全ての療養者に対して入院出来ている者の割合」が入院率と定められているが、「療養者数が人口10万人当たり10人未満」「新規陽性者数のうち入院を要する者が発生届の翌日迄に入院出来ている」等の自治体ではstageの判定を行わぬ旨の規定に依り、多くの自治体は「適用外」と報告されている。重症者の病床使用率はstage 3となる20%以上が千葉(ちば)県20%、東京都22%、神奈川(かながわ)県23%でstage 4相当と関東が続き、50%以上の都道府県は無し。

 人口10万人当たりの療養者数はstage3に入る20人以上が京都府24人と大阪府29人、stage4に入る30人以上は沖縄県で56人。直近1週間の検査陽性率でstage3tとなる5%以上は愛知(あいち)県の5.5%だが、stage 4の10%以上は無し。人口10万人当たりに於ける直近1週間の新規感染者数はstage 3が15人以上、大阪府の14.8を四捨五入して15人、沖縄県で17人。stage 4は25人以上だが該当無し。感染経路不明者の割合はstage 3、stage 4共に50%が目安となり、北海(ほっかい)(どう)で36%、茨城(いばらき)県で36%、栃木(とちぎ)県で51%、群馬(ぐんま)県で40%、埼玉(さいたま)県で44%、千葉県で52%、東京都で61%、神奈川県で59%、静岡(しずおか)県で54%、京都府で53%、大阪府で60%、福岡(ふくおか)県で56%、福島(ふくしま)県で52%。項目にも依るが、必ずしも大都市圏のstageが高いとも言い切れぬ模様。

 本年7月に承認され、主として軽症患者を対象にして2種類の抗体を同時に点滴で投与する抗体カクテル療法に関し、昨日の専門家会合で、厚生労働省が「一昨日迄に全国で凡そ2100箇所の医療機関に納品され、凡そ3万5000人に投与された」と発表。同じく抗体を用い、軽症患者に使用できる二番目の治療薬として先月27日に承認されたsotrovimabも、一昨日迄に約20箇所への納品と約40人への投与が実行され、入院限定の投与対象も遠からず拡大する予定との事。

 同じ専門家会合で、国際医療福祉大学教授の和田(わだ)耕治(こうじ)氏が「今年7月から先月の第五波に於ける札幌(さっぽろ)市と広島(ひろしま)県の情報を基に年代別の症状を分析」した結果を提示。札幌市で感染が確認された1万人余りのうち、酸素投与を要する中等症2は10代で0.7%、20代で1.4%、30代で5.1%、40代で9.8%、50代で18.0%、60代で21.2%、70代で32.6%。「1回のみのワクチン接種から2週間以上が経過した」群に比して、「2回接種を完了した群」は40代で0.1%、50代で0.3%、60代で1.1%、70代で5.0%と酸素投与を要する状態に陥る割合が低下しており、広島県でも同様の傾向が見られた由。和田教授曰く「中高年では酸素投与が必要になる割合は非常に高く、接種していない事が重症化リスクの一つとも言える様な状況」「気温が下がると感染拡大のリスクが有るので、今月中に接種を済ませて貰いたい」との事。

 Merckの日本法人MSD社長のKyle Tattle氏がNHKの取材に応じ、同社の開発した内服用の抗ウイルス薬、Molnupiravirに関して発言。日本国内でも承認申請に向けて審査当局と協議を進めて「承認が得られれば国と契約を結び、必要な分量の薬を速やかに供給出来るよう調整している」と述べて年内の供給を目指す考えを示したが、同社では年内にモルヌピラビルを1000万人分、来年には製造体制を拡大して2000万人分を世界中に供給できる見通しとの事。北欧神話のThorの持つ鉄槌Mjolnirから命名されたモルヌピラビルは「最終段階の治験で患者の入院や死亡リスクを半減させた」と報告されており、「雷神の一撃の如くウイルスを打ち倒す」効果が期待される反面、一部で「メルク社がイベルメクチン治験に非協力的なのは此の薬を売りたいが為」との疑惑を持たれる薬でも在る。Pfizerが海外で行われた治験の資料を厚生労働省に提出し、対象者や「2回目の接種からの間隔」に関する検討を要するものの、3回目の接種に向けた準備も進んでいる模様。

 感染状況や治療、予防の状況が移り変わる中で、経済や社会の情勢や如何に。公明(こうめい)(とう)の副代表にして、新しく国土交通大臣に就任したばかりの斉藤(さいとう)鉄夫(てつお)氏が昨日に報道各社の取材に応じ、感染拡大で停止中のGoToトラベル事業に関して「利用者が土日に集中していた」「比較的高級な宿泊施設に利用が集中し、中小の事業者に恩恵が無かった」等の課題に対して「然るべき解決策を盛り込んだ、新しいGoTo事業を提案したい」と発言。今月から旅行会社に実証実験を行わせる事で、感染防止策等の課題を検証するとの事。

 本日に日本銀行が三ヶ月に一度の支店長会議をオンライン方式で開催。総裁の黒田(くろだ)東彦(はるひこ)氏は、景気の現状に就いて「新型コロナウイルスの影響で引き続き厳しい状態だが、基調としては持ち直している」、先行きに関して「感染症の影響が徐々に和らいで行く(もと)で、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて回復して行く」と語り、現在は0%程度のな消費者物価は「エネルギー価格等の上昇を反映して、小幅のプラスに転じて行く」等の予想を語った由。

 今年は「NHK紅白(こうはく)(うた)合戦(がっせん)が二年振りに観客を入れて開催」との報道も目にする一方、東京都心5区で1階の面積が100坪以上の物件、凡そ2600棟の空室率や賃料を調査する大手不動産会社で事務所(オフィス)仲介大手、三鬼(みき) 商事(しょうじ)の調べに拠ると、先月の平均の空室率は前の月よりも0.12ポイント上昇して6.43%。区ごとの内訳は港区が8.68%、渋谷区が6.75%、新宿区が6.13%、中央区が5.60%、千代田区が4.61%で、いずれも前月より上昇。感染拡大に伴って遠隔(テレ)勤務(ワーク)が普及し、都心の事務所は解約して移転や集約を図る動きが続いている事が主たる要因の様で、空室率の上昇は19ヶ月連続。平均の賃料は先月迄に14ヶ月連続で下落し、1坪当たりの平均賃料は2万858円と前年同月より1875円下回ったとの事。当然の事ながら日本も世界も、良くも悪くも感染拡大前と同一の姿に戻る事は無いと云う事だろうが、未だ世界的大流行が収束した訳でも無い。

 仏蘭西(フランス)巴里(パリ)で開催されていた経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development; OECD)の閣僚理事会が、昨日に閣僚声明を採択して閉会。声明には「気候変動に対し、途上国を巻き込んで国際協調を進めて行く」「法人税の最低税率を15%以上とする」「世界的企業に対し、新たな課税規則を導入する」等の項目に加えて、「接種が遅れている途上国にワクチンを平等に分配し、途上国での生産を強化する」との内容が盛り込まれた由。加奈陀。(カナダ)では12歳以上の国民の82%が接種を完了しているが、更に昨日、Justin Trudeau首相がワクチン接種に関する新指針を発表。凡そ26万7000人とも言われる主要な政府機関や警察、政府機関に出入りする業者や在宅勤務の職員に対して「今月29日迄の接種完了義務を課し、「接種しない場合には無給の休職扱い」「宗教上または健康上の理由による例外措置も厳格に適用する」と宣言した由。


10月8日(金曜)

 今日も我が国では18時半の時点で全国の新規感染827人、死亡46人。東京都に於いても感染者が138人で死者が18人と今年で最も少ない水準に留まった。PfizerとBioNTechが開発したワクチンに対し、米国では「16歳以上は正式承認」「12歳から15歳には緊急使用許可」の扱いとされて来たが、臨床治験で抗体価上昇と副反応の程度が確認された事を踏まえて、昨日に両社が「新たに5歳から11歳も両者が製造したCOVIDワクチンの接種対象とする」事を米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)に申請。専門家委員会が開催された上で最終判断が下される予定だが、ファイザー社は「感染する子供の数が高い水準となる中、今回の使用許可の申請は感染対策の重要な一歩だ」との声明を出したとの事。

 当該ワクチンに関しては、厚生労働省が「新たに1億2000万回分のワクチンの供給を受ける」前提で協議を進めて来たが、昨日に「来年1月から供給を受ける」との正式契約が成立した由。3回目接種にも早速使用される見通しで、来年以降はModernaからは5000万回分、「開発に成功すれば」との条件付きでNovavaxからも1億5000万回分の供給を受ける契約が交わされたそうだが、モデルナ製ワクチンに関しては「若年者、特に若年男性への接種で(ごく)(まれ)にだが心筋(しんきん)(えん)心膜(しんまく)(えん)が生じる」との問題が指摘され、瑞典(スウェーデン)が「接種によって影響を受ける危険性は非常に小さく、予防的な措置だ」と強調しつつ「30歳以下の人への接種を当面、中断する」と発表。此の世代に対してはファイザー製ワクチンを接種して行く事になるが、同じく北欧の丁抹(デンマーク)も「18歳未満への接種はファイザーに一本化する」、芬蘭(フィンランド)も「30歳未満の男性へのモデルナワクチンの接種を中断する」と他の北欧国家も追随。新任のワクチン接種推進担当大臣たる堀内(ほりうち)詔子(のりこ)氏は、閣議後会見で「現時点で新型コロナウイルスに因る危険性(リスク)と比較して、接種に依る利益(ベネフィット)が上回る」「若年男性も含め、接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められない」と語るも我が国に於いても影響は不可避と見られ、ファイザー一人勝ちの情勢が更に固まる見込み。

 厚生労働省が承認した医療用として承認した抗原検査キットのうち15製品に関し、先週から薬局での販売が開始され、一般人の購入や使用も解禁。(あらかじ)め購入して置き、感染が疑われた際は「鼻腔から2(センチメートル)程度、綿棒を挿入」。「鼻腔内側に沿わせて5回程、回転させた後に取り出した綿棒を付属容器に入れ、検体抽出液を加える」等の操作を自宅で行った後に結果を確認。「陽性ならば医療機関を受診する」等の利用法が想定されている。しかし、ウイルス量が少ない場合は感染していても陽性とならない場合が有る故に「無症状の者の使用は推奨されない」事、PCR検査と比べて感度が低く、感染しているにも関わらず陰性と判定される()陰性(いんせい)の恐れも有る事から「COVIDを疑う症状が有る場合は陰性と出ても医療機関へ受診すべき」等の問題有り。万人(ばんにん)に適正使用が容易とは言い難く、確実に感染者を見つけ出す為には「PCR検査の拡充こそ本筋」と云う気もするが、其処(そこ)から国民の視線を逸らす意図が潜んではいないか。

 今年6月から7月に東京都内5箇所の発熱外来等を受診した成人のうち「ワクチンを接種していなかった753人」を対象に、直近2週間の行動を比較して感染の危険因を解析した結果を国立(こくりつ)感染(かんせん)(しょう)研究(けんきゅう)(じょ)等が公表。会食や飲み会に於いてマスクを外していた者は、会食をしなかった者に比して「感染の危険性が3.92倍上昇」するも、飲食の最中以外はマスクを着用する所謂(いわゆる)「マスク会食」の実践者ならば、会食非参加者と比べても感染危険性に大差無し。材質別に見ると、ウレタン製のマスクは不織布に比べて1.87倍、布やガーゼも1.82倍高くなって居たとの事。かなり早い時点で予測、或いは模擬実験を踏まえて推測された内容と合致している様だが、臨床に於ける証明には大きな意義が有る。今月23日に千葉(ちば)市の幕張(まくはり)メッセで催されるL’Arc~en~Cielの演奏会(コンサート)を利用して、政府が実証実験。「ワクチンが接種済み」又は「検査で陰性」を証明する事に依る「ワクチン・検査パッケージ」を活用した上で、現在の指針で1万人と定めた観客数上限が5000人だけ上乗せされるそうだが、観客を増やす為の方便(ほうべん)に終わらせず、此の結果も厳密に検証して頂く事で文字通りの実証実験となる事を望む。

 岸田首相が「新たな経済対策策定と今年度補正予算案の編成を指示」、「小池都知事と会談して感染対策等での連携を確認」等と存在感を見せる一方、本日発売の月刊「文藝(ぶんげい)春秋(しゅんじゅう)」に財務(ざいむ)(しょう)事務(じむ)次官(じかん)矢野(やの)康治(こうじ)氏が寄稿。新型コロナウイルス後の経済対策に関する議論は「バラマキ合戦のような政策論」に過ぎぬと断じ、「10万円の定額給付金のような形でお金をばらまいても」「日本経済全体としては死蔵されるだけ」と痛烈に批判。更に先進国の経済対策には財源を巡る議論が必須と指摘した上で「この期に及んで『バラマキ合戦』が展開」されるのは「欧米の常識からすると周回遅れどころでなく、二周回遅れ」と訴え、此の(まま)ならば国家財政の破綻か、国民負担の著しい増大か、経済対策に就いて「本当に巨額の経済対策が必要なのか」「そのコストや弊害も含めて、よく吟味する必要がある」と主張した由。

 現職の事務次官に依る斯様(かよう)な意見表明は極めて異例だが、今回寄稿に関しては「麻生(あそう)前財務大臣の了解を得て」居り「手続き上は問題が無い」旨を、現大臣の鈴木(すずき)俊一(しゅんいち)氏が閣議後会見で言明。今の所、岸田総理は「然う云った記事が出たと云う事は承知している」が「中身をまだ、じっくり読んでいない」ので「しっかり読んで考えたいと思っている」と此の方らしい、()たり(さわ)りの無い回答を出すに留まっているが、選挙が近づくと色々な事が起こるものだ。


10月9日(土曜)

 ワクチン接種を終えた国民が人口の83%に達して、今年8月に行動制限が緩和されるも(ブレイク)(スルー)感染が広がり、先月下旬から再び行動制限が強化された新嘉坡(シンガポール)。昨日に過去最多3590人の感染が確認されるも、同国首相の李顕竜/Lee Hsien Loong氏は本日のテレビ演説で「感染者の98%以上は無症状か軽症者」で「新型コロナウイルスは最早(もはや)、我々の多くにとって危険ではない」と語り、都市(ロック)封鎖(ダウン)を行使せずに「新型コロナウイルスとの共存戦略を推進しなければならない」と国民に呼び掛けた由。今週月曜の項に新西蘭の転向に就いて記したばかりだが、各国政府は感染拡大防止と経済活動維持を両立すべく、「(むずか)しい(かじ)()り」を迫られる事になる模様。

 斯様な(しん)潮流(ちょうりゅう)に対し、果たして「ゼロリスク」に(こだわ)る我が国は乗り遅れずに済むだろうか。との懸念も生まれるが、古人(こじん)曰く「(かい)より(はじ)めよ」。職業的(プロ)野球のORIX Buffaloesが、今月21日に京セラドーム大阪で行われる西武Lionsとの本拠地最終戦で「行動制限緩和に向けての課題などを探る実証(じっしょう)実験(じっけん)」を行う事が決定。「ワクチン2回接種から2週間が経過」若しくは「試合前72時間以内にPCR陰(いん)(せい)」を条件に「上限の1万人とは別に5000席の入場券を追加(ついか)販売(はんばい)」するが、入場時は「ワクチン接種証明書」や「PCR陰性の証明書」等を提示させる由。

 同じく職業的野球の話題なれども、読売(よみうり)巨人(きょじん)(ぐん)は別方向からの介入として、本拠地の東京ドームで行う今月12日の試合から、条件を満たした者ならば「(ビジター)(チーム)を含めて特別許可応援団の活動を再開する」と発表。応援団のうち「ワクチン2回接種から2週間以上経過」、(ある)いは「応援活動をする試合の3日前から当日迄にPCR陰性」若しくは「応援活動の当日に球場で受けた抗原定性検査で陰性」の何れかが条件となり、更に応援時は飛沫を避ける為に「喇叭(トランペットを使用しない」「大声を出さない」「一般の観客にも大声を出させない」等の指針を厳守する事が求められる由。

 本日に大分(おおいた)県大分市で開催された自転車の路上(ロード)競走(レース)大会「三菱地所おおいたいこいの道クリテリウム」でも、「大分市ワクチン・検査チェック」を試行的に導入。沿道での観戦を希望する者に「任意で協力」を得て、市の担当者が「ワクチンの接種を2回受けたか」「抗原検査で陰性だったか」の(いず)れかを確認。「接種済証等の書類」や「其れを写した写真」の提示を求める。

 拒否されれば終わり等の問題は残るものの、確認が済んだ観客には(リスト)(バンド) を装着する為、感染対策を遵守している観客で在る事は一目瞭然。会場には「抗原検査の出張所」も設けられたとの事で、一地方都市の実践した内容としては評価すべきか。一連の「OITAサイクルフェス」なる一連の行事として、明日に開催される「三菱地所おおいたアーバンクラシック」に於いても同様の感染対策が実施される模様。


10月10日(日曜)

 昨日午前に総理大臣の岸田氏が、就任後初の現場視察で墨田(すみだ)区の都立(とりつ)墨東(ぼくとう)病院(びょういん)を訪問。体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation; ECMO)を使った治療の説明を受け、医師や看護師と車座で意見を交わし、苦心談や要望を聴取した後の会見で「自らの危険(リスク)(かえり)みず、大変なストレスの中で頑張って居られる皆さんの切実な声を聞かせて頂き、感銘を受けた」と語り、内閣の最重要課題として「新型コロナウイルス対策」や「公的病院の専用病床化や医師や看護師らの処遇改善」に取り組む意向を示した由。

 同じく昨日に神奈川(かながわ)相模(さがみ)(はら)市での街頭演説。立憲(りっけん)民主(みんしゅ)(とう)枝野(えだの)幸男ゆきお氏は、岸田総理大臣の所信表明演説を「言葉だけは踊っているが、中身が全く伴ってない」。「我々は4年前の衆議院選挙から、介護士や保育士の賃金を底上げをすると言って来た」が、「此れから議論すると云う仮免許の岸田内閣」と「準備万端の枝野内閣」の「どちらを選ぶのか決めてもらいたい」と今回の衆議院選挙での政権交代を訴えた模様。多少なりとも「枝野内閣」なる言葉が現実味を持って国民に届く情勢ならば、との無い物強請(ねだり)は止めて置こう。同日に公明(こうめい)(とう)代表の山口(やまぐち)那津男(なつお)氏は都内、日本(にほん)共産(きょうさん)(とう)で書記局長の小池(こいけ)(あきら)氏は大阪(おおさか)市、日本(にほん)維新(いしん)の会の副代表と大阪府知事を兼任する吉村(よしむら)洋文(ひろふみ)氏も同じく大阪市で、国民(こくみん)民主(みんしゅ)(とう)代表の玉木(たまき)雄一郎(ゆういちろう)氏は香川(かがわ)宇多津(うたづ)町で各々(おのおの)、支持を訴えたとの事。

 来週以降も続く衆議院選挙戦の事は、また後日に書くとして。江戸落語の(おお)看板(かんばん)にして、落語界で3人目の重要(じゅうよう)無形(むけい)文化(ぶんか)(ざい)保持者。所謂「人間(にんげん)国宝(こくほう)」の(やなぎ)()()(さん)()師が、今月7日の時点で心不全の為に(せい)(きょ)されていた旨を、本日に落語協会と柳家小三治事務所が公表した由。享年81歳。落語家として初の人間国宝、()(だい)()(やなぎ)()()さんから共に教えを受けた、立川(たてかわ)談志(だんし)(おとうと)弟子(でし)。芸に厳しい(ろく)(だい)()(さん)(ゆう)(てい)(えん)(しょう)が協会会長を務めていた時期に認められた僅か三人のうちの一人で、(なお)()つ十七人抜きと云う記録的な真打(しんうち)昇進。(はなし)の導入部で語る身近な話題だけでも十分に面白いので、人呼んで「まくらの小三治」。41歳で免許を取って自動二輪車を乗り回し、落語家仲間で結成した旅行(ツーリング)部隊(チーム)を「転倒(てんとう)(むし)」と命名した等と逸話は尽きない。

 ()()(ぼう)に見える表情に時折浮かぶ微笑、飄々(ひょうひょう)とした語り口が思い出されるも、長くリウマチを患い、多剤大量の服薬で疼痛を抑えつつ、今月2日迄は高座に上がっていた由。()(かい)の名門たる柳家の総帥、(とめ)()となる「小さん」の(みょう)(せき)は「此の人こそが継ぐべきだった」と(いま)だに納得が行かぬ反面、先代の実子だが技量の劣る弟弟子に六代目を譲って()()い、最期まで「小さんにも事務員さんにもなる名前」で在り続けた所も「また小三治師らしい」と思ってしまう自分が可笑(おか)しい。西の()(じゃく)、東の()(ちょう)も物故して久しく、彼以上の噺家が今後に現れるとは思われぬ。

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