令和3年9月第4週
9月20日(月曜)
世界的大流行が続く昨年中も感染拡大の影響を軽視する発言を続け、やがて自身が感染するも、未だに有効性の証明されぬ抗マラリア薬を内服。運良く回復した後もマスクを着けずに支持者の集会に参加し、ワクチン接種に反対して「Pfizerの契約書に『もし副作用で何かあっても責任は負いません』と書かれている」「もし接種後に鰐になったとしても関係無いと言っているんだ」 と発言した事でも知られる伯剌西爾のJair Bolsonaro大統領が、明日から21日から始まる国連総会一般討論を前に紐育入りを果たすも「店外の路上で立った儘で、pizzaを食べる羽目になった」と報じられた。
紐育市内では、店内での飲食に接種証明が必要。ボルソナロ氏は接種していないと公言しており、店内で食事する事が出来ない。同行者がInstagramに投稿した写真には、ボルソナロ大統領が閣僚達と店の前の路上でピザを手に立つ姿が写り、側近の一人は「ニューヨークで豪華な夕食だ」とTwitterに投稿。Roiter通信は「ワクチンに懐疑的なボルソナロ大統領は、国連に入る事は出来ても、ニューヨークの料理店には入れなかった」と諷した由。
加藤勝信官房長官が「不要不急の移動は極力控える」事を要請したのも虚しく、先週末から月曜祝日の本日に至る三連休は日本各地の観光地が大盛況。台風14号の影響による雨が降る中、18日早朝から大阪府岸和田市では二年振りのだんじり祭。運営側は交差点に幕を張る等の対策を取るも、其の間隙を縫って曳行を見物する者も居れば、路上飲酒者の姿も見られた模様。19日は全国的に台風一過の秋晴れとなり、高速道路は行楽地などへ向かう車で混雑。 神奈川県の箱根湯本駅前では多くの観光客が行き交い、20日も晴天に恵まれて静岡市の世界遺産、三保松原が富士山の姿を臨まんとする観光客で賑わった等と報じられた。
酒類業界では度数8から9%と酒精を多く含んだ酎ハイ等の缶入飲料、所謂「ストロング系」が一世を風靡するも、今年になって売上が大幅に減少。対して5~7%の中等度アルコール飲料や5%以下の低アルコール飲料が躍進したが、背景には「コロナ禍で高まった健康志向」が存在する模様。以前から「酒精度数の高い飲料を飲み続けると疲れる」との声は聞かれていたが、在宅勤務の定着や外出に伴って自宅で過ごす機会と飲酒時間が増えた結果、無視出来ぬ勢力を為したものと見える。世界保健機関(World Health Organization; WHO)が「アルコール有害使用の削減」を目標に掲げ、我が国でも今年3月に「第2期のアルコール健康障害対策推進基本計画」が閣議決定される等と云う社会の趨勢に棹差す事も難しく、此等の諸要因が重なった結果、「メーカーらは中アル帯の商品投入や訴求に注力」して「高アルの構成比が3割前後」に減じ、「中アルは6割前後に達した」由。
松本俊彦氏等がストロング系に関する危惧を表明していた件に関しては、昨年12月11日の項に記した。其の懸念に製造会社側が理解を示した訳でも無いが、結果的に「依存症やアルコール依存症を生み出す商品」が世間から減ったのは、賀すべき事に相違無い。
9月21日(火曜)
学校法人「森友学園」への国有地売却に於ける不当な値引きや財務省決裁文書の改竄が近畿財務局職員の自殺へと発展し、2018年に財務省が調査報告書を公表するも、今回の自民党総裁選で野田聖子幹事長代行が「多くの国民が納得していない」として再調査を行う考えを示した件に関して、本日閣議後の会見で財務大臣にして副総理たる麻生太郎氏が言及。再調査の必要性を問われた麻生氏は、「前の政権の話を聞くのにえらい時間を使っていた様に思いましたけど」「此れからの政権に前の政権の評価を聞いて読者の関心が有るのかねえ」と冷笑。「亜富汗斯坦の話とか回鶻の話とかに関する質問は一言も聞かなかったな」「何故かねえ」と無関係の話題で煙に巻こうとした挙句、「財務省は出来る限り調査を尽くした結果を示している」として改めて再調査を拒絶した由。
また今月末に期限を迎える19都道府県の緊急事態宣言に関して「医者の言う話もコロコロ変わって良く分からんね」「ほんとに大家なのか、我々、分からないですけど」等と前置きし、「外で飯を食う、人に会う等々の制限を何時までされる御心算なのか」「根拠は何なのか」「本当に其れが必要で効果が有ったもんなのか」「私等には、何となくちょっと違うんじゃないかなっていう感じ」「もう少しプロと言われる方々が正確な情報を出して頂ける事を期待してますね」等と発言したが、前政権から権力の中枢に留まる氏が語るべき内容では無かろう。報道に対して、電網上でも「宣言出してんのはお前らじゃんか」や「当事者が言うな」、「めっちゃ他人事ですやん」、或いは「舌禍事件多すぎ」、「この御人が自分に責任のあることについて悪態をついて他人面する醜悪な場面を今まで何度見ただろう」、「いやいや、最終的に決めてるのはお前らやろ!?」等の批判が殺到。16時半前後に「麻生財務相」の語がTwitterでTREND三位に入った由。
総裁選との関連では、「日本を安全で力強い国にする高市早苗を総理にする国民連合」なる団体が、高市支援を掲げた「国民大行進」を企画。今月19日に東京、25日に大阪、26日に奈良での開催がSNS等で告知、拡散されるも、緊急事態宣言下の蛮行に批判が殺到。今月14日の時点で高市氏当人がTwitterで「集会等の密になるような行動はお控えくださいますよう」支持者へ呼び掛けた事も無視する暴走に対し、遂に高市事務所より主催者へ要請。大行進は中止の已む無きに至ったが、前日の決定を把握していない四五十人程の参加希望者が集合場所の東池袋中央公園に集まり、「大半が60代以上とおぼしき高齢者」だった由。
別件でも懸念される支持者の行動が頻発して居た為か、今夜に高市氏が再びTwitterへ投稿。「悲しいこと」に「高市支持者」が「他候補への政策批判を超えた罵詈雑言」を発した旨の「多数報告を受けて」居るが「総裁選は議論していく場」、「例え正反対の意見であっても尊重しあう場」で「各候補者も、その支援者も決して敵ではありません」と極々、常識的な見解を記して「他候補への誹謗中傷や恫喝や脅迫によって確保される高市支持など私は要りません」と自制を求めたとの事。総裁に相応しい人物か否かは兎も角、色々と話題の多い候補で在る事は認めざるを得まい。
昨日に米国政府が「米国に空路で入国する外国人」に対し、「11月初めからCOVID用ワクチン接種完了を義務付ける」と発表。原則入国禁止とされていた欧州等からの入国がワクチン接種を条件に緩和され、航空機搭乗時に接種証明書を提示すれば入国後の自主隔離は不要となる。しかし、入国禁止対象外だった日本にとっては制限拡大となる措置。「ワクチン接種義務化を軸とした入国政策は、各国にも広がる可能性が有る」旨も報じられ、一連の動きは我が国の情勢にも少なからず影響するかと思われる。
9月22日(水曜)
東京都が今月2日に発表した所に依ると、第61回のモニタリング会議で専門家から「20代及び30代でも新たな重症例が発生している」が「肥満や喫煙歴を有する者は若年でも重症化の危険性が高い」との報告有り。海外からの報告に目を向けると、BMC Public Health誌に先月16日付で発表された論文“"Smoking is associated with worse outcomes of COVID-19 particularly among younger adults: a systematic review and meta-analysis"に於いても、「45歳未満の喫煙者でCOVID重症化が顕著に進行する」事が示唆されている。此の論文で云う病状進行は「集中治療室と人工呼吸器の使用」「呼吸数や酸素飽和度などによる重症化の指標」「死亡」等を指す由。
当該の研究では昨年の1月1日から5月25日に至る期間に発表されたCOVID患者と喫煙の関係を調べた46の論文を収集し、対象患者2万2939人を比較分析。其の結果、対象患者の23.6%が重症化して居り、全体の12.7%が現在、若しくは過去に喫煙歴を有していた。喫煙歴を持つ患者は33.5%、非喫煙患者は21.9%との比較から、前者の方が重症化し易い傾向が示された。また重症化の危険性は、患者の平均年齢が上がるに連れて低下した。併せて考えると、「若年」の「喫煙者」こそ最も重症化が懸念されると言えよう。
別の調査では「若い世代の喫煙者は非喫煙者に比べて約2倍も脆弱」との報告も出ているが、我が国の喫煙率は20代で16.4%、30代で19.2%、40代で22.7%、50代で21.6%と未だに高く、特に男性は3割内外が喫煙者。女性に比して男性は感染や重症化、死亡の危険性が高いと言われており、「喫煙者はより一層の感染予防策を取るべき」との結論も宜なるかな。
若年層への接種に関して一家言を御持ちの人物と云えば、大分県臼杵市の市議会議員、若林純一氏。先月にマスク未着用で中学校へ突撃、ワクチン接種反対を主張する印刷物を生徒に配布して厳重注意を受けたばかりだが、再び氏の行動が物議を醸したとの報道有り。昨日の決算委員会に「マスクから鼻が出た状態」で現れた若林氏。市議会の委員長から「適切なマスクの着用の徹底が議会運営委員会で決定しております」「本委員会でも適切なマスク着用ルールの遵守をお願いいたします」と注意を受けるも直そうとせず、委員会は紛糾。「若林議員、マスクを正しく着用してください」と言われても「このままでお願いします」、「それでは発言の許可はできません」と押し問答が繰り広げられた。
自ら退席した後も若林氏に反省の色は無く、逆に「この進め方は、やはり議会としてまずい」「最終日の本会議において同じ対応をして同じことになるのであれば、法的手段を検討します」と不満を訴えた模様。しかし、此の一件を本日に報道した情報番組に出演していた弁護士の住田裕子氏の見解に依れば「鼻マスクはいけない」と云う規則が有り、また議場の秩序を守る目的で議長に大きな権限を与えた地方自治法が存在する事を鑑みると「其れに違反した為の懲罰」や「違反しているから発言させない」等の対応に関して裁判で訴えたとしても「地方自治の自律権の問題であるという形で棄却される可能性が高い」と考えられる由。
氏が先日に配ろうとした印刷物に就いて調べた所、署名と募金の両方を集めるサイト゛Voice”で十万人の署名を集めようとしている「岡山・倉敷新型コロナ感染対策市民審議会」が作成したものだと判明。同団体は一次締切分として7月15日に厚生労働省へ2万7272名の署名を提出し、9月3日の読売新聞全国版に意見広告を掲載する等と活発に活動を続けている模様。電網に散見するmRNAワクチンへの不信を書き連ねるばかりで、主張の内容は目新しさも科学的根拠も乏しいが、彼等が一定数の賛同者を得ているのは事実。
一昨日にPfizerとBioNTechが新たな臨床試験の結果を発表。「5歳から11歳の2268人」が参加した治験で「成人が接種する量の三分の一」に相当するワクチンを3週間の間隔で2回接種した所、「16歳から25歳の臨床試験結果と同程度」にSARS-CoV2感染を防ぐ抗体の産生が確認されると共に「副反応に就いても16歳から25歳と同程度」で重症のものは認めなかった由。ビオンテックの最高経営責任者、Ugur Sahin氏からは「学校に通う年齢の子供達の情報を冬が始まる前に示せたのは良かった」「5~11歳は少ない接種量だったが、安全性や免疫反応を引き起こす性質は、より多い接種量だった其れ以上の年齢の人達と一致していた」との発言有り。
二社は米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)や各国の規制当局に此等の資料を提出すると共に、「生後6ヶ月から2歳」や「2歳から5歳」に対する臨床検査の結果も近日中に発表予定との事だが、未就学児への接種は成人以上に社会の反発が予想される。科学的には十分な根拠が示されたとしても、我が国では容易に受け入れられまい。感染への不安を減らして受験に専念出来る様にする事を目標に、千葉県の松戸市が約6万8千回分のワクチンを用意。「市内の中学3年生や高校3年生」を中心に接種の優先予約を明日と明後日に受け付けると発表。25日以降は「12歳以上で接種券が届いた全ての人」の予約を受け付けるそうだが、自ら希望して接種を受けようとする若年者への妨害が為されない事を望む。
9月23日(木曜)
今月17日に米国FDAの専門家委員会が、ファイザー製ワクチンの追加接種に関して「65歳以上や重症化の危険性が高い者」に対しては「接種の利益が危険性を上回る」との見解を発表。此の判断を受けて、昨日にFDAが「65歳以上」と「18歳以上で重症化リスクの高い」者、更に「感染の危険性が高い職場で働く」者等を対象に「3回目の接種を許可する」旨を発表した由。追加接種が受けられる時期に関しては、「2回目の接種から最短でも6ヶ月」が経過している事が必要。ファイザー製ワクチンは「16歳以上」に「2回接種する」用途に関しては正式承認済だが、3回目の接種になると扱いが異なり、緊急使用許可に基づいて行われる事になる由。FDAは今後、申請の出ているModerna製ワクチンに関しても、追加接種を許可するか否かを検討する模様。
昨日に福井県は41人のCOVID感染を発表。このうち32人は越前市の介護老人保健施設「シルバーケア藤」の入所者や職員だが、全員が「優先接種の対象となり、本年6月頃迄に2回のワクチン接種を完了済」だった事が判明するに至り、打抜感染に因る感染集団が発生したと考えられた由。更に本日、福井県は「此の施設関連で、感染が確認された職員の家族合わせて2人の感染が新たに確認された」と発表。此方の接種歴に関しては不明だが、やはり我が国でも追加接種の推進が必要な様に思われる。
今月3日に菅義偉総理大臣が退陣を宣言した後、涙を浮かべて「不出馬を進言した」と明かした小泉進次郎氏。同じ神奈川県からの選出で近しい立場だったのは事実な様で、8月30日から連日、菅総理と面談していたとの情報も出ているものの、一国の宰相が進次郎氏の言葉に左右されたのか否かは不明。事実だとすると菅氏も相当、精神的に追い詰められていたに相違無く、痛ましい事だ。4日から5日に読売新聞が実施した緊急全国世論調査に依ると、次期首相に相応しい政治家は一位が河野太郎氏で23%、二位が石破茂氏の21%、三位に岸田文雄氏の12%との結果だが、世論が党員の総意を反映しているとは限らぬ。9月10日に満を持して河野氏が出馬表明。同日夜に当選3回以下の議員達が回線接続で「党風一新の会」設立総会を開催する一方で、15日に石破氏が不出馬と河野氏支援を表明。
最終的に推薦人20人を揃えて立候補を宣言した河野氏、岸田氏、高市早苗氏、野田聖子氏が総裁選を争う事となり、17日に所見発表演説会。更に翌18日、四氏による討論会も行われたが、感染対策に関しては河野氏から「都市封鎖を含めた法改正を検討したい」との積極的発言が聞かれ、高市氏も此の件に関して「与野党合同チームを作り、備えとして法律を作る必要は有る」と述べた由。参院選広島選挙区での大型買収事件に関しては、22日に柴山昌彦幹事長代理が党本部で記者会見を開くも「河井克行、案里夫妻が党支部収支報告書等の訂正を同日付で届け出た」が「党本部から渡った1億5000万円が買収原資にならなかった事を裏付ける内容」と主張。「使途の一部はこの日も説明しておらず、真相解明には程遠い状況」と報じられるも、精査を求めた筈の岸田氏は「幹事長室として現状把握している所を報告したと云う事だと思う」と述べるに留まった。
世間で改革者と期待されるも実際は麻生氏に頭が上がらぬと見られる河野氏も含め、誰が新総裁になろうとも自民党も日本も変わりそうに無いのは残念だが。Samuel Smilesの著書“Self-Help”、邦題「自助論」には、広く世間に知られた“Heaven helps those who help themselves. ”。即ち「天は自ら助くる者を助く」の他に「政治とは、国民の考えや行動の反映に過ぎない」、「国民の質が其の国の政治の質を決定する」は「水が低きに流れるが如く当然」との一節が有る由。
9月24日(金曜)
本日にWHOがCOVID治療薬に関する手引きを更新。二種の抗体医薬、カシリビマブ及びイムデビマブを投与する抗体カクテル療法に関して「臨床試験の結果、一般的な治療を行った場合に比べて重症化して入院する危険性や回復迄に要する期間が減少した」事か「軽症患者等の治療に推奨する」との事。軽症患者向けの治療薬をWHOが推奨するのは今回が初めてで、此等の薬剤は高額、且つ供給量が限られる為に「感染拡大が深刻な途上国へ如何に供給するか」との課題も残るが、WHOとしては「薬を製造している企業に寄付を求める」等の交渉も進めている模様。
企業買収の仲介や助言を生業とする株式会社RECOFの調べに依ると、本年1月から先月までに日本企業が行った他企業の買収や出資の件数は2794件で、昨年の同時期と比して382件、率にして15%以上も多い。1987年設立の同社だが、情報蓄積は1985年以降の情報から構築されており、其の中で今回が最多となる由。最も規模の大きいのは「日立製作所が通信や金融、自動車等のソフトウエアを開発している米国IT企業を1兆円余りで買収した」件で、「コロナ禍で急速に進むデジタル化の需要を取り込む狙いが有る」ものと推定されている。また、回転寿司連鎖、スシロー等の運営会社が「コロナ禍で需要が伸びている持ち帰り寿司店を展開する」京樽を買収。「大企業が自社にない強みを持つ新興企業に出資する」等の例も多く、レコフ社は「コロナ禍で事業環境が急速に変わる中、多くの企業が此れ迄の事業の見直しを図っている事が買収等の増加に繋がっている」と分析した模様。
本日に東京都のモニタリング会議。都内の感染状況と医療提供体制をいずれも4段階のうち最も高い警戒レベルとの評価が堅持される一方、感染状況の総括は「拡大している」から「再拡大の危険性が高いと思われる」に変更。「22日時点で新規陽性者の7日間平均が572.4人となり、5週連続で減少している」件に関して、専門家は「ワクチン接種が進んだ」事や「多くの都民と事業者が感染防止対策に取り組んだ」事に依るかとの見解を示すも、依然として高水準で、職場や施設に家庭内等と多岐に渡る場面で感染例が発生している状況を踏まえて「再拡大が懸念される冬に備えて感染防止対策とワクチン接種を推進し、新規陽性者を更に減少させる必要がある」と指摘した由。
医療提供体制の総括は「体制がひっ迫している」から「通常の医療が大きく制限されていると思われる」に変更。22日の時点で都内の入院患者は2046人、重症患者は146人まで減少して、第5波頂点の半分程度となるも未だ多し。自宅療養中に亡くなる人も相次いでおり、「此の状況下で新規陽性者が増加に転じれば、医療提供体制は再び危機的状況となる」との事。8月1日から9月20日に都内で発生した感染に因る死者でワクチン接種歴が判明している412人のうち、1回も接種を受けていない者は325人。割合にして78.9%に上る事も公表された。2回接種後に感染死を迎えた者は412人のうち49人。率にして11.9%だが、うち45人は基礎疾患を有して居り、都の専門家ボードの座長で東北医科薬科大学特任教授の賀来満夫氏は「ワクチン接種は死亡の発生を抑える効果が有ると考えられる」と評したとの事。
東京の新宿ヒロクリニックが保健所から依頼を受け、先月に自宅療養者273人を継続的診療した状況を分析。年代別では40代が87人、30代が75人、50代が42人、20代が33人で、働き盛りの20代から50代で86%に上った。重症度別では、血液中の酸素飽和度が93%以下となり入院に依る酸素投与が必要な「中等症2」が99人で最多、肺炎の所見を認めて入院を要する「中等症1」が51人、軽症が98人。原則入院とされる「中等症」が全体の半数以上に上り、先月だけで酸素濃縮装置94台を貸し出した由。英裕雄院長は「第5波では中等症2の方も少なからず入院出来ない」が「適切な医療に掛かれない異常な事態だった」。「保健所、病院に任せきりにするのでは無く、安心して療養出来る為には、地域が関わらないといけない」と語り、新宿区では今月上旬、保健所や地元の医師会、薬剤師会の幹部がオンラインで会議を持ち、区から「地元の医師の協力を得て、救護所のような臨時施設の設置を検討している」との意向が語られた由。
十代の感染が相次ぐ状況を踏まえて、東京都が設けている大規模接種会場では都内に住んでいるか、都内の学校に通学している「12歳から15歳」を対象に加える事を決定。都庁の北展望室と南展望室、立川市の立川北ワクチン接種センターの三箇所を会場とし、何れもModerna製ワクチンを使用する由。政府が東京と大阪で運営する大規模接種センターに於いても「16歳と17歳も接種の対象に加える」旨を防衛省が決定し、来月3日から「16歳から18歳を対象とした優先枠」を設けて、7日を目処に接種を始める予定との事。此等の動きが、全国的に十代への接種が本格化する先駆けとなるか。
先月26日迄の1週間に於いては、全国の新規感染者数が前週比1.13倍と9週連続で増加を認めたが、今月2日に0.84倍と凡そ2ヶ月振りに減少に転じて以降は9日迄に0.64倍、16日迄に0.55倍、23日迄に0.50倍と四週連続で減り続けた。一日当たりの新規感染者数は凡そ3424人で先週の半分程度、約2ヶ月振りに五千人を下回り、東京でも5週連続で減少が続いて緊急事態宣言発令前の7月初旬と同水準に復帰。
減少の要因に関し、政府分科会の構成員で東邦大学教授の舘田一博氏は「これまで5回の感染の波を経験する中で、一人一人がどういう状況、環境で感染しやすいのか正しく判断できつつあり、リスクを下げる行動を取れるようになった効果も出ているのではないか」「対策への努力やワクチンの効果が重なる中で感染者数の減少につながってきている」と語るも、発令前後で国民の行動が其処まで変容した様に見えず、今一つ合点が行かぬ気もするが、減った事は間違い無い。依然として「市中にはウイルスが潜んでいる」状況は続き、今後も反跳への警戒を怠ってはならない事は論を俟たない。
毎年、日本語の用法等の変化を調べている文化庁が、今年は初めて「新型コロナウイルスの影響」を調査。感染対策のため調査方法は郵送として3月に実施した結果が発表されるも、マスクを着用すると「声の大きさに気をつける」「はっきりした発音で話す」等に気を付けるようになり、「ビデオ通話やウェブ会議、オンライン授業に参加した」事が有るのは46%で、10代の80%と最高等の変化は想定内か。コロナ禍で頻用される様になった用語に関して、67%が「そのまま使う」と回答したのが「不要不急」と「コロナ禍」、「3密」と「ステイホーム」が61%、「濃厚接触」が59%。「クラスター」を「そのまま使う」のは51%、「ウィズコロナ」は30%に留まり、「ソーシャルディスタンス」は全体では57%が「そのまま使う」と答えるも、10代は81%だが70代以上は34%と世代間で乖離を認めた由。
9月25日(土曜)
本日は18時台迄に全国で2674人が感染、33人が死亡との発表有り。国内での感染確認は空港の検疫やクルーズ船の乗客乗員を合わせて169万3350人となり、死亡者の総計は1万7478人に到達。厚生労働省の発表では、本日にCOVID感染で人工呼吸器や集中治療室等で治療を受けている重症者は1185人。一昨日の速報値で、一日に2万4827件のPCR検査が行われた由。我が国では感染者の減少傾向が見られるも日本海の向こう側、韓国では、昨日に一日当たりの感染者数が初めて3000人を超え、二日連続で過去最多を更新。同国では「今月22日迄が旧盆の連休で、帰省や行楽に伴う人の移動が大幅に増えた」との背景が有り、保健当局は「今後、一二週間に感染者数が更に増える可能性」も指摘している模様。
昨日に米国は紐育のLasker財団が、同国で最も権威の有る医学賞とされるLasker Awardsの臨床分野に於ける受賞者として、今年はBioNTechの上級副社長を務めるKarikó Katalin氏とPennsylvania大学教授のDrew Weissman氏を選出した旨を発表。カリコ氏等は「人工的に作り出した遺伝物質のmRNA」を「ヒトの体内で異物と認識されないようにして機能させる」方法を発見した事で、mRNAワクチンの開発に貢献。ビオンテックとファイザーが短期間のうちに有効なCOVID用ワクチンを開発する事を可能とした事が評価された模様。Nobel賞候補としても期待されるカリコ氏は「実験は失敗したとしても何かを私達に教えてくれる」「私は治療に適したRNAを作り出したが、世界的な大流行に打ち勝つためのワクチンの開発に活用されるとは想像して居なかった」等と喜びの弁を語ったとの事。
今後の感染状況に就いて、理化学研究所計算科学研究センターの三好建正氏が率いる研究者集団が新機軸を打ち出したとの報道有り。COVIDを含む感染症の模擬実験では従前、数理模型が用いられて来たが、三好氏達は此の手法に電算機を使った天気予報に活用される「データ同化」の技術を組み合わせて感染動向を予測する機構を開発した。データ同化は「過去に出した予測値」と「実際の値」の差を比較して、其の後の模擬実験で誤差が少なくなるよう修正し、より正しい予測を導き出す技術。研究者達は此の機構を使って「感染が増加に向かっているのか、減少に向かっているのかを表す実効再生産数」や「入院を要する患者の人数」等が「対策の違いによって今後どう推移していくのか」を予測し、結果をwebで公開。三好氏からは「始めて間も無い取り組みだが、システムを高度化して、参考になる情報を提供出来る様にしたい」との抱負が語られた由。
経営の改善が課題となっていた15の都立病院や公社病院等に関して「来年度中に設立する独立行政法人の東京都立病院機構に依る一体的な運営に移行」させると共に、「感染症の流行や災害の発生といった緊急時」には「病床確保や医療者の派遣等を都知事が指示出来る」様にする方針を発表。斯様な権限を盛り込んだ新法人の定款に就いては、9月28日に開会する都議会での手続きを経て決定を目指すとの事。新潟県の三条市では、今月22日の時点で64歳以下の市民は75%程度が接種を完了するも更に若年層の接種率を高めるべく、市内に住む12歳から15歳を対象とした集団接種を計画。市内の結婚式場を用いて2028人が接種を受ける予定で、初日の今日は凡そ900人が接種を受けた由。行政も手を拱いてばかりは居ない様で、喜ばしい事だ。
米国の首都、華府を訪れている菅総理大臣は、日本時間の午前3時過ぎから同国のバイデン大統領、豪州のモリソン首相、印度のモディ首相との首脳会談。“Quad”に出席した後、記者団に「新型コロナや気候変動、新しい技術、更には地域情勢等、印度太平洋地域が直面する重要課題に就いて首脳間で率直な意見交換を行い、我が国の立場をしっかりと発信した」等と述べた。
また日本時間の午前4時頃から国連総会、一般討論演説。感染状況を鑑みて国連本部の議場での演説では無く、事前収録の動画を流す形式を選択した菅氏は東京五輪とパラリンピックに就いて「様々な意見も有った」が「招致した開催国として責任を果たし、遣り遂げる事が出来た」。感染対策を巡っては「切り札となるワクチンへの公平なアクセスが世界中で確保される事は極めて重要」で、各国や地域に供給してきたワクチンを追加し、合わせて6000万回分を目処に供給すると改めて表明した由。総理大臣として最後の晴れ舞台を飾って、或いは本望かも知れぬ。
9月26日(日曜)
東京都内に於ける本日の新規感染者は299人。11日連続で1000人を下回り、日曜日としては今年3月21日以来の300人以下となった事は重畳。33日連続で七日間平均が前週より少なく、都の担当者曰く「都民の皆さんの御協力で確実な減少傾向が続いている」が「未だ緊急事態宣言中なので気を緩める事無く引き続き感染防止対策に御協力をお願いしたい」との事。
東京、埼玉、千葉、神奈川に発令された緊急事態宣言が期限を迎える今月30日が近づき、1都3県の知事が本日に政府へ要望書を提出。新規陽性者数は「継続して下落傾向」だが、医療への負荷は改善傾向を認めるも「依然として厳しく」「予断を許さない」。感染拡大の反跳に伴う再度の医療逼迫を避ける為に「柔軟かつ強力な感染防止対策を引き続き推進」する必要が有り、宣言解除で現在の対策が見直される場合は「段階的な緩和の内容に就いて、政府が基本的対処方針に明記する」事を要請。具体的には「飲食店に短縮を要請する営業時間」や「行政が認証した店の取扱」、「対策の実施期間」等が挙げられ、継続されて来た「強力な対策」の緩和に際して政府にも明確な関与を求めたそうだが、第六波が到来した際に生じる責任を押し付け合っている様にも感じる。
沖縄では県知事の玉城“Denny” 康裕氏が「宣言の解除や蔓延防止等重点措置への移行は政府の判断に委ねたい」と語るも、解除後に重点措置が適用されない場合でも「県独自の措置として営業時間の短縮要請は継続する」意向を表明。先月に柏市で「COVID感染の為に自宅療養中だった妊娠女性の入院調整が間に合わず、早産で産まれた新生児が死亡した」事件を踏まえて、千葉県は「自宅療養中の妊婦の容体を遠隔で把握出来る機器を50台導入する」事を決定。腹部に装着した検知器から胎児心拍数と陣痛の強度や頻度を測定し、送信された情報を離れた場所で確認出来ると云う機器が使用されれば、入院病床に一歩近づいた環境で経過観察を受けられると評しても過言では在るまい。周産期母子医療センターが掛かり付け医の依頼で妊婦に機器を貸し出し、分娩の兆候や異変を認めれば早急に入院調整を始めるとの体制で、10月中に運用を始める予定。
本日に東京都渋谷区に聳える日本最大級の回教寺院、東京ジャーミイ/Tokyo Camiiにて食品の無料配布が行われた。豚肉等を使っていない即席麺や豆の缶詰等と回教の戒律に即した食物が用意され、コロナ禍が長引く中で生活が困窮する中東や中央亜細亜出身の留学生に頒布されたとの事。昨日に国連総会で演説した印度のモディ首相は「インドは人類に貢献する義務を理解し、ワクチンが不足する国への供給を再開する」と述べ、国内での爆発的な感染拡大から4月以降は途絶したワクチン輸出を旧に復する旨が宣言された。国家や人種の壁を超えた助け合いで世界的大流行の苦難を乗り越えようとする者達が存在する一方、モディ首相や菅総理の国連演説、両氏も参加したQuadの会合では「印度太平洋地域で海洋進出の動きを強める中国」や「アフガニスタンで再び権力を掌握したイスラム主義勢力タリバン」への非難や危機感が語られたそうだが、此れも世界の現実。




