令和3年8月最終週~9月第1週
8月30日(月曜)
先週の27日木曜、JR渋谷駅至近の渋谷区立勤労福祉会館に、東京都若者ワクチン接種センター開設。「16~39歳の都内在住者と在勤・在学者」を対象とし、接種券と身分証明書を持参すれば予約無しでファイザー社製ワクチンの接種が受けられるとの情報を聞き付けた者達が前夜から集まるも7時半の時点で定員に達し、接種を受けられぬ者が多数発生。此の事態に対し、同日会見で責任者たる小池百合子都知事は「今日接種できなかった方は申し訳ありませんでした」と謝罪しつつも、「接種会場に長い行列と過密状態が作られた事は感染対策として本末転倒では」と問われても「密でしたね」「工夫して欲しいですね、現場で」と他人事の様に述べた由。
翌28日以降は受付方法が先着順から現地での抽選制に変更されたが、今度は抽選券を求めて長蛇の列が発生。本日のフジテレビ系情報番組に出演した社会学者の古市憲寿氏は「若者に対して、現場に来て貰って抽選券を配るって最悪の方法」。不要不急の外出自粛が呼びかけられている中で渋谷に若者を集めるのは「チグハグ」で「都知事の思い付きに東京都の職員が翻弄されているのかなって思いますね」と批判。明日も現地抽選制が継続されるも、都としては「回線接続抽選の早期導入」を検討している由。
本日に東京医科歯科大学が発表した所に依ると、今月に同大附属病院の患者から「デルタ株に特徴的なL452R変異」と「アルファ株に特徴的なN501Y」に類似した「N501S変異」を共に持つ新たな変異株が国内で初めて発見された由。世界的には8例の先行報告が存在するものの、感染力の強さ等は不明。患者に海外渡航歴は無く市中感染だった事から「此の変異は国内で起きた可能性が極めて高い」と推定されて居るそうだが、患者が急増した五輪後の日本に於いて全く新たな変異株が生まれ、残り僅かな希臘文字を冠する事となっても何ら不思議は無い。
ワクチン接種は進行すれども、緊急事態宣言発令中の21都道府県に於ける直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数は、昨日の時点で何処も25人以上。内閣官房の指標に当て嵌めればstage 4の「爆発的感染拡大」に相当。感染者数での判断に異論を唱える意見も有るが、病床使用率でも21都道府県中の20都府県が50%超でstage4相当。本日の厚労省発表で全国の重症者数は2075人で18日連続の過去最多更新となり、現時点で感染拡大が収束する見込み無し。再来週9月12日が緊急事態宣言の期限とされていたが、再延長も已む無しの情勢か。
8月31日(火曜)
8月30日の時点で週刊文春が行った「事実関係を確認する取材」に対し、本日に東京五輪・パラリンピック組織委員会が「未使用の医療物資の廃棄問題」を公表。合計9会場で「マスクは3万3000枚」「消毒液は380本」「ガウン3420枚」、金額にして500万円分が廃棄された事が「会場撤収の過程で判明した」として大会運営局長の山下聡氏が謝罪するも、文春に寄せられた内部告発に依れば「廃棄は意図的」との事。「五輪の日程がすべて終わり、会場の撤収作業に入った」時点で「救護室にある未開封の医療物資をすべて廃棄する」様に直属上司から指示され、「民間に譲渡できないと規約で決まっている」と言われるも「その規約は見せてもらえない」。
元来、組織委は有観客での実施に備えて「選手とスタッフ分、ゲスト分をまとめて発注していた」が、開会15日前の無観客決定で「キャンセルできなかった観客分が大量に余ってしまった」。「サージカルガウン200着、サージカルマスクやN95マスクがそれぞれ1000枚以上」と「大会のためにサイズを特注したリネン製タオルも数えきれないくらい」、「廃棄するものは最終的にミニバン4台ほど」に及んだが、「五輪の全日程が終わったのは8月8日」で以降も「会場撤収の現場では廃棄が続けられて」居り、文春記事に「小誌が問い合わせなければ、そのまま隠蔽され、さらなる無駄が生じていた可能性がある」と断じられたのも宜なる哉。此の件はRoiter通信等を通して海外にも報道され、五輪関連で生じた醜聞の目録に新たな一行が加えられた。
新型コロナウイルス関連の経営破綻は、昨年2月に第一号が判明して以降、一年後の本年2月には1000件、5月に1500件を数えたが、以降も月間100件超の高水準で推移。昨今は全国的に感染者数の高止まりが続く中で緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置が合計33都道府県に拡大し、夏場の書き入れ時も苦しい状況が続いた結果、本日は遂に全国で累計2000件に達した由。業種別では「来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業」が最多で366件。「工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業」193件、「小売店の休業が影響した服飾関連」168件」「訪日観光の需要消失や旅行・出張の自粛が影響したの宿泊業」91件、「飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業」も同件数と続く。従業員数が少ない小規模事業者に破綻が集中する傾向も見られるが、「業績不振が長期化し、過剰債務の問題も浮上」する中で、今後も関連破綻は増加し続けるとの予測有り。
一昨日、愛知県常滑市の中部国際空港島内。感染対策の徹底を条件に、愛知県国際展示場で開催された日本最大級のHIPHOP・R&B野外音楽祭、“NAMIMONOGATARI2021”に8000人を上回る観客が参加。国の定める5000人を遥かに超過した上に、会場内ではhighballや檸檬焼酎炭酸割等の酒類が販売された。「数千人の観客が舞台前に密集し、マスク無しで歓声を上げる」動画が拡散するに及んで批判が殺到し、愛知県知事の大村秀章氏が主催者側に抗議する事態を招いた。
主催者側は公式サイトに「お詫びと経緯のご説明」を掲載するも、「過度な飲酒でなければお酒の提供も可能」と許可を得ていた旨の記述に対し、愛知県が「そう説明した事実はない」「自粛を再三要請した」と反論。「入場券販売の終了を求めた時期」にも齟齬が見られ、主催者側の説明が「事実をねじ曲げるもので、到底看過できない」として大村知事が改めて抗議の記者会見を開く等と火に油を注ぐ結果を招いた。開催に際して国から3000万の支援金を取り付けていた事も判明し、先々週に開催されたFUJI ROCK FESTIVAL以上に世間から糾弾されそうな雲行き。
菅義偉首相の任期満了に伴い、来月に予定されている自由民主党総裁選挙を巡り、同党所属の前政調会長、岸田文雄氏が今月26日の時点で立候補を決意した旨を発表。また岸田氏が「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」と任期を明確にする党改革案を打ち出した事に関しては「現幹事長の二階俊博氏を中心とする現行制度への挑戦」「在職5年を超えた二階氏に対しては党内に不満が渦巻いており、劣勢と目される議員票で切り崩しを期待できるから」との見方に加えて、予てから二階氏との不仲が噂される党内の実力者、安倍晋三前首相や麻生太郎副総理兼財務相の意向を伺った結果との見方有り。現政調会長の下村博文 氏も一時は総裁選立候補に意欲を示したようだが、昨日に菅義偉総理大臣から「立候補するならば政調会長として任せる考えは無い」と言われて断念。
菅総理や党執行部は当初「衆院議員の任期が10月21日に迫るなかで9月5日閉幕の東京パラリンピック後に衆院を解散」「衆院選を勝ち抜いた後に総裁再選を目指す」との計画を立てていたと言われ、また現総裁の菅総理は二階氏を含む党執行部に加えて、党内最大派閥の細田派に強い影響を与える安倍氏、第二派閥の麻生派を率いる麻生氏からも支持されている事から「派閥の数の論理から圧倒的に有利」と見られていた。しかし、菅政権下で衆参3選挙や東京都議選の低迷が重なった上に、今月22日に投開票された横浜市長選では「総理の地元で、総理が全面的に支援した候補が野党系候補に惨敗」の結果となり、党内の若手議員から不満が噴出した模様。形勢不利と感じた菅氏は、昨日午後に二階氏と会談。岸田氏改革案の御株を奪う形で「幹事長の交代」を切り出し、其れを二階氏が容認したと伝えられた。
更に本日、「菅義偉首相は自民党役員人事と内閣改造を来週行い、9月中旬に衆院解散に踏み切る意向」、其れに伴って「9月17日告示、29日投開票の予定だった自民党総裁選を衆院選後に先送りする」計画が存在する旨が一部で報じられた。此の人事断行で「政権浮揚を図り、衆院選を有利に進めたい」との思惑が有ると噂されるも、然うは問屋が卸すまい。
9月1日(水曜)
国内で確認された感染者数が、累計で150万人を突破。50万人から100万人を超える迄に要した期間は凡そ4ヶ月だったが、100万人から150万人超は1ヶ月足らず。急激な感染者の増加は「8月中の感染者は約55万人だが、此れは全感染者数の4割近くに相当する」事からも明らか。大阪府でも本日に新規3004人の感染が確認されたが、先月26日の2829人を上回り、一日当たりとしては過去最多。府内で30~90代の感染者12人の死亡が確認され、重症者数は230人、重症病床の使用率は39.0%。 軽症中等症病床の使用率は76.2%で宿泊療養施設の使用率は55.1%、自宅療養者は1万8061人を数えるとの事。
米国ではデルタ株の感染拡大に加えて「ワクチン接種を完了しても再び感染する」打抜感染の報告が増加。加州羅府郡に於いては、7月1日から16日の新規感染件数は1万3598件。そのうち約26%に当たる3592件がブレイクスルー感染だった。同郡に於けるブレイクスルー感染の割合は3月に新規感染者の2%だったが、6月には20%に増加、90%以上の感染がデルタ株に置き換わった7月終わりには、その割合は30%にまで高まった由。更にCDC(米疾病対策センター)の発表によると、馬沙諸些州Barnstable郡では7月6日から同月25日の間に陽性となった検体469例のうち、74%に当たる346例が接種完了済の患者から採取された検体だった由。
接種から期間が短く「ワクチンの効果が発現して抗体価が上がっている筈の時期で在るにも関わらず感染してしまう」症例と、接種を済ませてから時間が経過して「一旦は上昇した抗体価が下がって来た」症例が同列に扱われる事への懸念も有るが、ブレイクスルー感染者でも重症化する症例も散見され、ブレイクスルー感染後の後遺症が長引くことを示唆する研究結果も有る模様。ブレイクスルー感染への対策として、Stanford大学は「ワクチン接種の有無に関わらず、週に一回、COVID検査を受けさせる」体制を8月15日から導入。Harvard 大学やPrinceton大学等も同様の体制を採用し、更に「ロサンゼルス統一学校区に所属する約1000校」が「ワクチン接種を完了した生徒を含む全生徒、教師、学校職員に対する週一回のコロナ検査を義務化」した事が米国の雛形になるかも知れぬと見られている由。
先月29日開催の“NAMIMONOGATARI2021”で感染対策が遵守されなかった件に関し、31日の時点で主催者が愛知県庁に訪れて釈明。「過度な飲酒でなければお酒の提供も可能」と愛知県から話が有ったとのwebsite記載が「事実では無かった」と認め、「国が出した別の文書を県も同じだと思った」、酒類の販売に就いて「半分は解約したが半分は買い取りで売らないと損になる」為に「県からの強い要請は有った」と承知しつつも「売らなければいけなかった」等と陳述した旨が大村知事から公表された。愛知県は当該催事に参加した県民に行動自粛を求めると共に、希望者に対する無料PCR検査の受付を本日から開始。
SARS-CoV-2の変異株が続々と確認される中、昨日に世界保健機関が哥倫比亜で最初に確認されたものを新たな「注目すべき変異株」に分類。12番目の希臘文字を冠し、ミュー株と命名された変異株は「ワクチン耐性を持つ恐れ」が有り「更なる研究が必要」とされたが、本日の厚生労働省発表に依ると、6月と7月に空港検疫で感染が判明した女性2人から既にミュー株が検出されていた由。一名はアラブ首長国連邦、もう一名は英国に滞在歴を有するも共に無症状だった模様。
お笑い三人組「ジャングルポケット」の斉藤慎二氏とおたけ氏が新型コロナウイルスに感染。療養期間を終えるも所属事務所を通じて「ネタが出来るコンディションではない」との声明が出され、“King Of Conte 2021”準決勝は出場辞退。次点の男女コンビ「パーパー」が繰上合格となり、準決勝に出場する事が決定。日本相撲協会が本日に新十両、北青鵬の感染を発表。今月12日の秋場所初日迄に二週間も無く、横綱の白鵬や幕内の石浦、十両の炎鵬を含む宮城野部屋の力士18名全員が全休の可能性が出て来た由。先月29日の時点で名古屋市長の特別秘書を務める30代男性の感染が判明し、市長の河村たかし氏も自宅待機の上でPCR検査の結果を待つ事となったが、本日に河村氏も感染していた事が判明。金牌を噛んだ後で在った事は、氏自身も含めた関係者全員にとって不幸中の幸いと言えよう。
9月2日(木曜)
昨日に開かれた厚生労働省の専門家会合で、国立感染症研究所が「COVID用ワクチンの有効性に関する国内の解析結果」を報告。
本年6月と7月に東京都内5箇所の発熱外来を受診した1130人に就いて「COVID検査の結果」と「PfizerかModernaのワクチンを接種していたか」を調べた結果、検査で陽性を示したのは未接種914人のうち350人、1回のみ接種141人のうち46人、2回接種完了41人のうち3人。此の結果を基にワクチンの有効性を推定した所、「1回目の接種では48%」、「2回目を接種して2週間以上が経過した場合は95%」となった一方で「1回目の接種から13日以内の場合、効果は確認されなかった」由。感染の主体がデルタ株に置換されつつある時期に行われた調査で、今後はデルタ株の影響も調べる必要が有るものの、ワクチンの有効性に就いては海外からの報告と概ね一致。国立感染症研究所の所長で専門家会合の座長、脇田隆字氏は「今回は解析数も限られ、暫定的な情報で在り、今後も適宜評価して行く事が重要だ」と語った由。
東京都と大阪府で自衛隊が運営する大規模接種センターに関し、本日に政府が「設置期間を11月末迄、2ヶ月程度延長する」と発表。若年層の新規感染者が増えている現状を踏まえ、18~39歳を対象に約3万人分の予約枠も新設する由。現在の期限となっている25日までの予約枠のうち東京で約2万2000回、大阪で約6500回の空き枠を活用して、東京では明日から、大阪は機構の改修を経て来週後半に始まる予定。職域接種に於いて体調不良等の理由で2回目を打てず、1回目のみに留まっている者が東京と大阪で計1500人程度存在するらしく、此の集団に対しても同センターでの接種を行うべく、調整中。
8月29日開催“NAMIMONOGATARI 2021”の続報。各種報道で「密フェス」の通称が定着すると共に、出演者の発言にも批判の矛先が向けられる状況有り。出演者の一人、Zeebra氏は「県のルールに則ってると聞いていたので出演」したが「開けてみたら危険な状況」、「会場に向かう最中SNSで会場の写真を見て、すぐにスタッフに連絡」等の手を打ったが「ヒップホップシーンを牽引する立場として責任を感じてます」とtwitterで説明。「誠に申し訳ありませんでした」と謝罪するも「いい大人が言い訳ですか」「見苦しい」、「向かう最中に気付いたなら、出演前に変わってないのは分かるだろう」、「『この状態では出演出来ない』と断るのが大人の対応」等の反応有り。
同じく出演者のMC TYSON氏は「この様な状況下でLIVEをする事に対してリスクが伴うのも承知の上での出演」で「後悔はありません」、「日本中の皆が自分のことを叩くのはかまいませんし、批判されている事をしてしまっている自分に非があるので全てを受け止めます」等と主張。出演はしていないが、ラッパーのKダブシャイン氏も本件に関し、30日のTwitterで「怒るのは何か実害が出てからでいいんじゃないの」「若者の青春は一度きりなんだから」、「どうせ選挙のときは投票してもらいたいんでしょ」等と大村知事の抗議を嘲笑。更に「鬱憤たまってるんだろうけど叩きすぎ」等と批判するも、当該tweetは本日迄に削除された模様。
フェスに出演したラッパーの般若氏は、自身の公式サイトでラップを公開。「行ったらあんなんだった/物販やろうと思ったけどやめたよ/正しい判断だった」、「俺のセットリスト/バース以外/喋らねえ/煽らねえって決めてる/歌わさねえって決めてる」、「呼ばれたから行っただけ/ノーマスク密に酒/アーティスト吊るし上げ/俺はラップで言うしかねえ」、「質問したい/正解って何なの?/ヒップホップ癌なの?」、「気分わりいから/いらねえよギャラ/上、ちゃんとやって欲しかったっていうのが本音だわ」等と歌い、「思い伝わってきた」「出演者を責めるのは違う」と擁護の声有るも「自己保身ばかり」「コロナ禍で想定できた事態」と論難する者の方が多かった模様。
しかし、登壇した人々の内、俳優にして波乗師、ラッパーとしても活動する真木蔵人氏は臆する事無く「マスクは付けてくんねえ?」、「御前達が、御前達の手で、御前達の催事、ブッ壊してどうすんだよ」と言い放ち、酩酊して気勢を上げる数千の観衆を叱責。「マスク位、してやってくれよ」「何でしねえんだよ」。「色んな破落戸が一杯居る」し「不良も一杯居る」が、マスク着用は「皆で唯一」出来る事じゃねえか」等と語りかけた胆力は尊敬に値するが、其の声が彼等を動かす事は無かったのは遺憾。接種も行き渡っていない我が国で数千人規模の催事を許可する国の方針が、抑々誤っていた様にも思える。
9月3日(金曜)
様々な報告から「時間経過やデルタ株の感染拡大に伴い、ワクチンの効果が低下する」懸念が示唆された事を踏まえて、米国政府は「2回の接種を終えてから一定期間が過ぎた者に対し、3回目の接種を行う」方針を検討。首席医療顧問を務めるAnthony Fauci氏も、本日会見で「3回目の接種を開始した以色列で、感染や重症化の危険性が大幅に下がるとの資料が示された」と述べ、「追加接種は合理的な判断だ」「長期的に高い効果を維持する為に3回の接種が標準となる可能性も有る」との見解を示した由。ワクチンの追加接種は既に一部の国々で始まっている反面、世界保健機関(World Health Organization; WHO)は「世界的なワクチン供給に影響が出る」と実施を遅らせる様に求めて居り、また欧州連合が「現状では明確な効果が示されておらず、一般の人に急いで行う必要は無い」とする等、議論の余地も有る模様。医療従事者として比較的早期に接種を済ませた自分も他人事では無いのだが、我々への追加接種に関する具体的な計画は寡聞にして知らぬ。
先月末に「9月中旬に衆院解散」「自民党総裁選を衆院選後に先送り」が計画されている旨の一部報道が出た件に関し、菅総理大臣は今月1日の時点で解散を否定。「今のような厳しい状況では、解散が出来る状況では無い」「総裁選挙の先送りも考えてません」と述べるも、実際は「総裁選から逃げた事になる」「延命の為の解散だと思われる」等と周辺から反対された事、特に安倍前総理から「党内の反発を抑える事が出来ない」と言われた事が大きかった様だが、一部では「幹事長を退く事を請われた二階氏が暗躍した結果か」とも囁かれた。
更に本日の自民党臨時役員会で、菅総理が「総裁選挙への不出馬」を宣言するに至って、事態は急展開。表向きは「コロナ対策と選挙活動、斯うした事を考えた時に実際、莫大な精力が必要」で「両立は出来ない」との理由が語られるも、直前まで立候補の方向で動いていた事を考えれば、矢張り負け戦を避ける為の撤退と見るが妥当か。総裁選は改めて今月17日告示から始まる事になり、目下の所は「岸田前政調会長が立候補を表明」して「高市前総務大臣が意欲を示している」との情勢だが、「菅総理が出ないなら立候補を検討する」と語る河野太郎氏への注目が高まり、立候補は「白紙」と語って来た石破茂氏も「全く新しい展開になったので、同志と相談しながら然るべき時に結論を出したい」と発言。一時は菅氏の無投票当選かと思われた総裁選も俄然、混戦の様相を呈して来た。
9月4日(土曜)
本日は全国で1万6012人が感染、60人が死亡した旨の発表有り。人工呼吸器や集中治療室等を用いた治療を受けている重症患者は2223人となり、前日から2人増加して三日連続で過去最多を更新。東京都では10歳未満から90代に至る2362人の感染が確認されるも、先週土曜日より1219人減り、13日連続で前週の同じ曜日を下回った。感染経路が判明した1072人の内訳は「家庭内」が最多の722人、「職場内」が55人、「施設内」が72人、「会食」が28人等。年代別では二十代の639人、三十代の472人が目立つ。入院患者は前日より12人増えて4351人で過去最多となり、確保されている病床に占める割合は68.9%。総じて言えば「感染拡大は幾らか和らぐも、重症者や死亡者は暫く減りそうに無い」との状況か。
未だ感染が目立つ若い世代に接種を促す目的で、滋賀県は大津市の大規模接種会場に「若年層専用の予約枠」を確保。妊娠中の感染に関して「特に妊娠後期は重症化しやすく、早産の危険性も高まる」等の懸念が指摘されている事から、群馬県前橋市では「妊娠中の女性や配偶者等への優先接種」が始まる等の方策が実行に移される一方で、職域接種を巡ってはワクチン供給の遅延等の理由で申請を取り下げる会場が続出。1000人程度の接種を行える企業や大学等を対象に本年6月から始まった職域接種に於いて、全国5202会場から申請された約1820万人分の受付が為されるも、先月24日の時点で凡そ2割に当たる1088会場が申請を取り下げるに至り、凡そ560万人分の接種が中止となった。其の分のワクチンは別会場へ送られる等と転用の手筈も着いているらしく、申請を取り下げた側は一旦確保した医師や会場に関して解約費用の補償を求めるも、国は応じぬ模様。
京都市上京区の北野天満宮では、本日に北野御霊会を執行。千年以上前に始まったとされるも応仁の乱以降は途絶えていた神仏習合の儀式が、昨年に至って凡そ550年振りの再興。今年は本殿に北野天満宮の神職と比叡山延暦寺の僧侶、総勢二十人程が集い、北野天満宮の宮司、橘重十九氏が祝詞を上げた後、僧侶が法華経を読み上げ、延暦寺の水尾寂芳執行が玉串を捧げる等、神道と仏教が協働して世界的大流行の終息を祈願した由。神も仏も無い世界に絶望するよりは「困った時の神頼み」の方が建設的と言えよう。
9月5日(日曜)
今日は到頭、東京パラリンピックの最終日。男女の持久走が新宿区の国立競技場から始まり、中継画面を通して浅草や銀座、東京電波塔と都心の名所を巡る選手達を眺めて居ると、観戦自粛の呼び掛けも虚しく、競技後半の沿道には鈴生りの観衆が見受けられた。悪びれる事も無く取材に答える彼等の言い分は「無観客になって会場で見られなかった」「朝ならそんなに人も居なくて密にはならないと思う」、競技場で観戦する予定だったが「無観客で見られなかった」、「せめてマラソン位は生で見たい」或いは「少しでも雰囲気を感じたい」等と笑ってしまう程に利己的だった。
五輪と同様、現代日本の実相を余す所無く映し出してくれた東京パラリンピックも、遂に閉幕。162の国と地域、難民選手団の約4400選手が参加した今大会は13日間で22競技、539種目が実施され、日本選手団は金13、銀15、銅23。総計51個の賞牌を獲得した由。国立競技場で行われた閉会式には、墨西哥生まれで亜爾然丁育ち、太鼓打兼歌手で女優や流行雛形としても活躍中のシシド・カフカ氏が、音楽集団“el tempo”を率いて参加。アルゼンチンの音楽家、Santiago Vazquez氏が開発した百種を超えるhand signを用いて、指揮者のカフカ氏が指示を出す事で成立する即興演奏が、SNS上でも話題になった。
五輪の閉会式では和装姿を披露した小池都知事は、袖無しで淡灰色に黒の柄が入った独創的な洋装で登場。2024年の巴里大会へと引き継ぐパラリンピック旗を小池氏が両手に旗を持ち、左右に振るのに連れて、三宅一生が意匠を凝らしたドレスが柔らかに揺れた。世人から「優雅さを醸し出した」等と褒められて、小池氏の自尊心は大いに満たされた事だろうが、生中継で映し出されたパリの特設会場、Trocadero庭園には三色旗を手にした大勢の仏蘭西人が密集。マスクも無しに声を張り上げて大燥ぎしていたのが気になったが、事情も異なる他国に干渉も出来まい。此処で「英弗塔を支える四脚の一本を板発条義足に置換した」画像を見せて来る辺りは、流石に仏蘭西ならではの敏感と脱帽の他無し。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長、橋本聖子氏が「長い旅路の最後となった東京パラリンピックは、全ての会場が笑顔で溢れて居ました」。「東日本大震災の被災地で育てられた花」から賞牌獲得者に捧げる花束が作られ、「被災地の食材を使った和食」が選手村で振舞われた事を語って「共に困難を乗り越えた人達の不屈の精神が込められているからこそ、此の舞台で一層、輝いた」「此の輝きを復興の道を照らす光として、更に前へ進めて参ります」等と演説するも、皮相上滑りの言。個人的に違和感ばかりが目立ったが、総じて言えば五輪閉会式以上に好評に終わった模様。
しかし、政権浮揚の足掛かりにしようとした五輪とパラリンピックが終わるよりも前に自身の不出馬が決まり、菅総理の胸中は如何ばかりか。犬猿の仲とも言われる小池都知事の隣に座らされ、閉会式に於ける菅氏の憔悴した表情は、支持者では無い国民からも同情を誘った。意外に親しみ易い「パンケーキ総理」として順風満帆の船出を致した事も今は昔、栄枯盛衰は世の常か。




