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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和3年8月第5週

8月23日(月曜)

 神奈川(かながわ)県では11日連続で二千人超の新規感染者が確認された上に、本日の2579人は東京(とうきょう)都の2447人を上回った。首都圏でのCOVID蔓延が続き、十代以下の感染者が5月に比して4倍に増加した状況を踏まえて、東京都知事の小池(こいけ)百合子(ゆりこ)氏は感染拡大防止を目的に、修学旅行の中止や延期を都立学校に要請。()の一方で「都教育委員会の委員5人のうち4人」(まで)が「テレビ観戦でも教育効果は有る」と反対したにも関わらず、明日開幕の東京パラリンピック競技を都内の小中高生に観戦させる「学校(がっこう)連携(れんけい)プログラム」に固執(こしつ)して批判を浴びた。

 ()の件は昨日に中国の新華社通信/Xinhua News Agencyでも「感染状況の悪化にも関わらず、東京五輪・パラリンピック組織委員会は約13万人の学生をパラリンピック観戦に迎える用意が有る旨を公表した」、組織委員会側が「此の計画は間違い無くパラリンピックの価値を若い世代に教える事が出来る」と述べて「小中学生の入場準備」を整備中で在る等と報道され、同国で広く用いられるSNSの(ウェイ)(ボー)等で「信じられない」「此れが日本の教育か」「頭がおかしい」「1日何万人もの人が感染しているのに、まだ足りないの」との感想が並んだ模様。東京都は「大会競技会場を臨時医療施設に転用する」事を検討しているとも報じられているが、実現するとしてもパラリンピック閉幕後で、目下(もっか)病床(びょうしょう)逼迫(ひっぱく)は止められぬ。

 表敬(ひょうけい)訪問(ほうもん)()ける(ゴールド)(メダル)汚染及びsexual harassment事件に関して、20日時点で名古屋(なごや)市に1万5千件近くの抗議や苦情が殺到した事に対し、市長にして騒動の張本人たる河村(かわむら)たかし氏が、市職員に向けて「この度は、私がひきおこした金メダル事件により、皆様にお詫び申し上げます」「数多くの電話メール手紙等よせられ業務にめいわくをかけております」「すべて私が悪かったことでございます」「つつしんでお詫び申しあげます」「以上」等と書かれた直筆の謝罪文を作成。幹部を集めた今朝の会議で配布し、現場の職員にも共有するよう要請するも平仮名や略字が多用され、誤字を二重線で修正との原本が公表されると、(インター)(ネット)上で「小学生でも怒られるレベルの走り書きと、書き間違いのぐちゃぐちゃ訂正で笑った」「何が大切なのかが分かっていないことだけはわかった」「殴り書きで反省してるようには思えない」等の声有り。部下に作らせた文面を清書するだけでも斯様(かよう)醜態(しゅうたい)は避けられる筈だが、市長職を自ら辞める心算(つもり)は毛頭無いとの意向だけが犇々(ひしひし)と伝わって来る。


8月24日(火曜)

 昨日の時点で海外からの来日選手1名、選手村滞在の選手団関係者3名を含む13人の感染が判明。組織委が今月12日から発表しているパラリンピック関連の感染者は総計144人となり、7月1日以降の五輪関連も含めると国内外で547人。此の状況下で昨夜に東京五輪・パラリンピック大会組織委員会が、国際パラリンピック委員会(International Paralympic Committee; IPC)会長、のAndrew Parsons氏の歓迎会を開催。都内の旅舎(ホテル)にて、(すが)義偉(よしひで)総理大臣や丸川(まるかわ)珠代(たまよ)五輪担当大臣、東京都の小池百合子知事、日本オリンピック委員会(JOC)の山下(やました)泰裕(やすひろ)会長を含む約40人が集うも食事や酒類の提供は無かったとの事だが、電網上では「いったい何回同じことするんだ」「苦しんでいる国民、必死な医療従事者の方への配慮が感じられない」「国民に要請してることと、自分たちがやってることが、まるで矛盾してる」「危険な状態の赤ちゃんの受入先でさえコロナ逼迫で中々決まらず、自宅療養で死亡者がでる中、自分達は不要不急の?パーティー」等と怨嗟(えんさ)の声(しき)り。

 一ヶ月前の五輪開幕時と比較しても事態の悪化は明白だが、昨日に国際五輪委員会(International Olympic Committee; IOC)会長のThomas Bach氏も再来日。国賓(こくひん)級の扱いとして3日間の隔離さえも免除になり、本日のパラリンピック開会式にも出席。新西蘭(ニュージーランド)のパラリンピック委員会は自国代表を感染から守る為に開会式欠席を宣言し、facebookで「チームの安全を可能な限り守るため」と説明。IPC広報部長のCraig Spence氏が本日の定例記者会見で「コロナだけで無く暑さも有る」「状況を踏まえれば()むを得ない」「決定を尊重する」と述べる一幕も経て、今夜にパラリンピック開会式。個人的には何やら地味な上に、「片翼の小さな飛行機の物語」も物理的に飛行不可能な点ばかりが気になってしまい、一瞥のみで視聴を止めた。しかし、公募で選ばれた中学生の和合(わごう)由依(ゆい)氏の演技や空港を主題とした演出が国内外で五輪開会式以上に評価された模様。後で妻から「デコトラから登場した布袋(ほてい)寅泰(ともやす)氏の電気式(エレキ)六絃琴(ギター)演奏」も有ったと教えられ、其れは少し観たかったと思うも正に後の祭り。

 昨日に米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)は、PfizerとBioNTechが共同開発した対COVID-19用ワクチンを正式承認した。米国での正式承認は今回が初めてで、Joe Biden大統領は「正式承認がファイザー製ワクチンの安全性や有効性を巡る信頼感を高める」とtwitterに投稿。其の後の会見でも、正式承認を「世界的大流行(パンデミック)との戦いに於ける大きな節目」と評価し、ワクチン接種に消極的だった国民に対して「ワクチンを接種する時が来た。今日にでも接種しよう。無駄にしている時間はない」と呼び掛けた由。FDA長官代行のJanet Woodcock氏は「既に多くの人がワクチンの接種を受けている」が「FDAの正式承認を受け、接種を受ける事に対する信頼感が増す」と語り、ファイザー社の最高(チーフ)経営(エグゼクティブ)責任者(オフィサー)、Albert Bourla氏は「ワクチンの有効性と安全性が確認された」との声明を出した。正式承認後は使用対象16歳以上、製品名Comirnatyで販売。12歳から15歳の接種に就いては、更なる検討を経て正式承認の是非が決定されるが、ウッドコック長官代行は「12歳以下の接種は現時点で推奨しない」と述べた。また正式承認に際して、FDAはファイザー製ワクチンの有効期限を従来の6ヶ月から9ヶ月に延長。

 感染流行時に中心的な役割を担う人材を育成する為に、政府は「大学医学部の入学定員に感染症科や救急科の優先枠を創設する」方針を決めた模様。27日の厚生労働省の有識者会議で案を示し、了承されれば2023年度入学者から適用。今般のコロナ禍に於いても感染症医は専門知識を生かし、呼吸器や集中治療の担当医らと連携して患者対応に当たり、危険区域と安全区域を分けるzoningや防護(ぼうご)(ふく)取扱(あつかい)の指導等を行い、感染症対応の中心的な立場を占める。しかし、「主たる診療科」別で申告された感染症内科医の人数は、42の診療科別区分で38番目となる531人のみ。地域による偏りも大きく、東京都161人に対して青森、福島、滋賀、山口県には感染症専門医は一人も居ない模様。感染症医が()ぐに増えると云う方策では無く「入学の時点で将来の進路を縛れるのか」との疑問も湧くが、我が国に感染症専門医が足りないのは事実。専門医を増やす為に、早くから打てるだけの手は打って置くべきだろう。


8月25日(水曜)

 本日の衆議院厚生労働委員会にて、新型インフルエンザ等対策推進会議内の基本的対処方針分科会会長、尾身(おみ)(しげる)氏が発言。「国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長、再来日」に対して「何で態々(わざわざ)来るのか」、中止すべきなのは「常識で判断出来る筈」で在り、行事参加も「必要なら回線接続(オンライン)で出来るのではないか」と批判。また同じ場で尾身氏は「学校が始まって来る事で、また感染拡大や医療逼迫もあり得る」と述べ、「学校が始まる時期を延ばすことを各自治体の判断で検討して貰いたい」と訴えた。更に感染状況に関する政府の対応に対して「専門家の分析より(やや)楽観的な状況分析をされた」と苦言を呈した由。氏の直言を受け入れる度量を政権が有しているかどうかは不明なれども、各自治体は児童生徒を感染から守る為、既に動き出している模様。

 茨城(いばらき)水戸(みと)市では明後日に二学期が始まる予定だったが、県独自の非常事態宣言を受けて月内は臨時休校。27日及び30日、31日はタブレット端末を用いた自宅学習に切り替えた。市立小中学校では未だ本格的なオンライン授業を導入していなかったが、今回の臨時休校中に各校で取り組みを始め、市教育委員会の担当者は「今後、授業を自宅で受けることがあるかもしれない」「教員のスキルアップを含めて、今回はタブレット端末を使った学習を試す要素もある」と話す。パラリンピックの競技会場を擁する東京都江東(こうとう)区は今月24日の時点で「区立学校と幼稚園を25日から9月3日まで臨時休業する」と発表。遅れ馳せながら、パラリンピック学校連携観戦の参加中止も決定した由。香川(かがわ)県でも同日、県立高校を含む38校に関して「蔓延防止等重点措置の期限とされている9月12日」迄の夏季休業延長を決定。横浜(よこはま)市、川崎(かわさき)市、相模原(さがみはら)市は今月31日迄、兵庫(ひょうご)尼崎(あまがさき)市は29日迄、東京都調布(ちょうふ)市は9月5日迄、臨時休業や休業延長が決定。また、来月から再来月の開催を予定していた「三重とこわか国体」及び「全国障害者スポーツ大会」も開催されない事となり、昨年の鹿児島国体に続いて二年連続の国体中止が決定した由。

 そして本日、政府は新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象に北海(ほっかい)宮城(みやぎ)岐阜(ぎふ)愛知(あいち)三重(みえ)滋賀(しが)岡山(おかやま)広島(ひろしま)の8道県を追加。全て蔓延防止等重点措置からの対応強化となるが、高知(こうち)佐賀(さが)長崎(ながさき)宮崎(みやざき)の4県では新たに重点措置が適用され、いずれも期間は27日から9月12日迄となる予定。今回の追加で宣言は21都道府県、重点措置は12県となり、全国の7割に当たる33都道府県で宣言か重点措置が適用される事態となった。

 8月20日から催されたFUJI ROCK FESTIVALに関して最終日から一夜明けた昨日、主催者が「開催地域のみなさま、出演者、スタッフ、チケットを買ってくださったお客様、関わってくださった全ての方々」に謝辞を述べつつ「現在のところ、会期中の会場においては、ひとりの陽性者も確認されていない」と報告。しかし、一昨日の時点でTwitterに「金曜日のフジロックから帰宅後、一昨日の夕方頃」から「これまでに経験した事のないような倦怠感と38.8℃の発熱」を認めて「昨日PCR検査を受けコロナ陽性が判明しました」、「会場内で誰かに感染させてたらと思うと辛いです」との投稿が有り、其の後に削除されていた等の情報有り。

 元大阪市長で弁護士の橋下(はしもと)(とおる)氏は本日、フジロック事務局報告を取り上げた報道を引用して「このような感染状況の分析は、本来政府・コロナ対策分科会がやること」「民間にやらせてどうする!」「これまで専門家に一番欠けていたのは実証実験」と批判。しかし、NHKの報道に依ると、経済産業省の設けた「新型コロナで中止や延期になった音楽や演劇」等に関して「公演費用の一部を支払う補助金」、J-LODliveが今回開催に利用されており、3日間で1億5000万円の交付が決定済。「実際にかかった経費に応じて支払われる予定」との事で、経済産業省の担当者が「国としても事業者や自治体との間に立って、関係者の理解を丁寧に得ながら、公演が開催出来る道を探って行きたい」、「感染が収まって行く事」を前提としつつも「屋外、屋内、人数など様々な様式(パターン)毎に、どのような感染対策をすれば安全に開催出来るのか」「実証実験を重ねながら、情報(データ)を採って行きたい」と述べたそうだが、実証実験として十分に計画が練られたと思われる状況では無く、「先ず開催有りきで資金援助」「(ついで)に拾える情報は拾って置く」程度の浅慮かと愚考する。

 一部では「医学界きっての古典(クラシカル)音楽(ミュージック)通」として知られ、音楽催事(イベント)の継続を検討する文化庁会合の委員も勤めた(はやし)淑朗(よしろう)氏曰く「マスクや換気といった従来の対策」は重要だが「これらの徹底だけでは不十分」な反面、「今以上の徹底は困難」。音楽催事では「たくさんの人が密になる事を前提とせねばならず、「相対的にリスクの低い集団で開催する」以外の良策無しとの事。「ワクチン接種完了」「直近のPCRまたは抗原検査陰性」「3か月以内の感染後の治癒」等が催事参加の条件とする諸外国の一角が英国で、此の基準の下に複数の大規模催事が開催されて来た。

 しかし今月20日、英国政府が「大規模催事の開催と感染者数の関連」を示した報告書を発表。「蹴球(サッカー)の欧州選手権、特に準決勝と決勝は感染者数増加に関連した」が「其れ以外は庭球(テニス)の全英オープン、音楽祭等の開催は感染者数増加に関連しなかった」とされた。しかし、感染対策実証実験の一環として開催され、先月21日から24日に一日当たり約3万7000人が訪れたLatitude Festivalの結果に於いて、最新発表では「参加者のうち432人がフェスの時点でおそらく、他人にウイルスをうつし得る状態」で「開催時期に619人が新型ウイルスに感染した」と見られる由。此の結果に関して、Oliver Dowden文化相からは「大規模なスポーツや文化イベントを安全に再開できることが分かった」が「混雑した場所に入る際には、引き続き慎重になってもらうことが重要」。開催地Suffolk州の公衆衛生局局長、Stuart Keeble氏は「都市封鎖(ロックダウン)を解除し、大勢が混雑するイベントや娯楽施設へ行く」様になっても「他人を気づかってマスクを着用したり、適切に距離を取る施策を続ける」事が重要で、大多数が接種を完了した後も「もし感染したならば、重症化しないと保証は無い」と述べた由。


8月26日(木曜)

 本日未明に厚生労働省は「Moderna製の新型コロナウイルスワクチンで異物(いぶつ)混入(こんにゅう)が報告された」為に一部で接種を見合わせる旨を発表。東京(とうきょう)埼玉(さいたま)愛知(あいち)茨城(いばらき)岐阜(ぎふ)の8会場に於いて、自治体の大規模接種会場や職域接種会場で使う予定の390回分で発見されるも、事前に気づいて接種はされていない模様。同一の製造工程で作られた約160万回分は全国863会場に配分されて居り、此れ迄に何人へ接種したかは不明だが、現段階で安全性の懸念に関する報告は無し。混入は8月中旬以降に複数の会場と医療従事者が発見して、輸入、販売を担う武田薬品工業に報告され、厚労省は25日に状況を把握。異物をモデルナ社に送り、成分を調査しているが、日本向けのモデルナ製ワクチンは「全てスペインの同じ企業の工場で製造」されていたとの情報あり。接種を見合わせる対象ロットは約57万回接種分に当たる「3004667」、約52万回の「3004734」、約54万回接種分の「3004956」。厚労省は「仮に異物がゴム片だとしても筋肉注射で在る為、血管に詰まる等の危険性(リスク)は低い」が「気になる症状がある場合は医療関係者に連絡する」様に呼び掛けた模様。

 SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和(ちゅうわ)抗体(こうたい)、カシリビマブ及びイムデビマブを組み合わせたものを点滴で投与し、新型コロナウイルスの働きを抑える抗体カクテル療法。米国では昨年10月にトランプ前大統領が新型コロナウイルスに感染して入院した際に使用されて、翌11月にFDAが緊急の使用許可を出し、海外の臨床治験で「入院や死亡の危険性を凡そ70%減らす」との報告有り。

 本邦でも先月に承認され、軽症から中等症の患者を対象に医療機関や宿泊療養施設で投与が開始。厚生労働省は当初「十分な観察が必要」として使用を入院患者に限定したが、感染急拡大で入院できない患者が増えた事で方針転換。今月13日の時点で「十分に観察できる体制が整っている」事を前提に「宿泊療養施設」「臨時の医療施設として設置された入院待機ステーション」での投与も容認。更に昨日の会見で、菅総理大臣が「中和抗体薬は既に1400の医療機関で1万人に投与され、重症化を防ぐ極めて高い効果が出ていると云う声が現場から寄せられている」「入院せずとも使うことが出来るよう、外来で使うことも可能とする」と宣言。

 更に本日、此のカシリビマブとイムデビマブを「ロナプリーブ点滴静注セット」として国内で販売する中外(ちゅうがい)製薬(せいやく)が、報道機関等に向けた電話会議形式の説明会を開催。奥田(おくだ)(おさむ)社長は「デルタ株が蔓延し、治療薬の需要が世界的に高まっている」「日本政府からの要請に応じて、必要な供給量を確保したい」と述べ、政府が新たに容認した外来診療での投与に対応するためにも必要な量を確保する考えを示しました。新型コロナウイルス対策に当たる政府分科会の一員で、東邦大学の舘田(たてだ)一博(かずひろ)教授も説明会に出席。「軽症から、中等症、重症に向けての薬の選択肢が増えれば、大きな前進になるだろう」と述べた由。奥田氏に依ると、「濃厚接触者に対する予防的な投与」等の適応拡大も申請する方向で国と協議中との事。此れで我が国で承認されたCOVID治療薬はレムデシビル、デキサメタゾン、レムデシビルと併用する事が前提でバリシチニブ、そしてカシリビマブとイムデビマブムデビマブの四種類となった。行き当たりばったりの弥縫策なれども、弾薬が増えて戦況が改善する事を願う。

 女性学やジェンダー研究を専門とする社会学者にして、東京大学名誉教授の上野(うえの)千鶴子(ちづこ)氏が東京五輪を総括して曰く「巨大な負の遺産を残して終わり」、「主催者だった5者に対する信頼はことごとく崩れ」た。「IOCの商業主義があからさまになり」「JOCの無力さがみえすき」、「五輪組織委の寄せ集めと無責任体質がはっきりわかり」、「政府の独善と強引さ、東京都の無策」が露呈した由。寄稿された文章を読んで「精神科系の某学会で市民公開講座とシンポジウムに招かれた上野氏が、真っ赤に染めた頭髪で登壇」、「礼を尽くす座長に対して横柄な態度で話す」様を目の当たりにして不快を覚えた五年程前の記憶が(よみがえ)るも、当時と同じく論旨は明快。医療が崩壊してCOVID陽性と判定されても治療が受けられない「棄民政策」に「国民はもっと怒って当然」、「スポーツ界やアスリートに対する反感すら生まれ」た状況で「アスリート・ファースト」とは「アスリートのエゴイズムか」とすら思える等の主張にも概ね同意する。


8月27日(金曜)

 本日に東京都で4227人の新規感染者を確認。重症者は前日から18人増えて過去最多の294人だが、直近7日間の一日当たり平均は4184.6人で、前週の4721.9人)より減少。年代別では20代が1208人で最多、次いで30代が785人。65歳以上の高齢者は204人となり、30代から90代の男女18人の死亡が確認された由。厚生労働省は「25日午前0時の時点で全国の自宅療養者が11万8035人に達した」と発表。此の値に集計の誤りで精査中の埼玉県は含まれて居らず、実際の人数は更に多くなる模様。

 都市封鎖(ロックダウン)に消極的な菅総理大臣に対し、今月5日の時点で感染症対策分科会の尾身茂会長が「ロックダウンみたいな事を法制化して下さい」と云う事も「議論して貰わなくちゃいけない」事態に就いて言及。20日に全国知事会のオンライン会合で「ロックダウンのような方策」の検討が国に求められ、テレビ朝日系列の世論調査でも「ロックダウンなど個人の行動を制限できるよう法律を見直す必要があるか」との設問に対し、67%が必要有りと回答した一方、未だ行動制限の他に活路を求めんとする者有り。

 東北大学大学院理学研究科で准教授を務める本堂(ほんどう)(つよし)氏と高エネルギー加速器研究機構の平田(ひらた)光司(こうじ)氏を世話人として、8月18日付で発表。24日時点で国立病院機構仙台医療センターのウイルスセンター長、西村(にしむら)秀一(ひでかず)氏を含む各方面の研究者達36名が賛同者として名を連ねた「最新の知見に基づいたコロナ感染症対策を求める科学者の緊急声明」に関し、本日にオンラインで記者会見。感染拡大に対して「政府や一部医学関係者」が「策が尽きた」と言い、「早期発見と隔離」「ワクチン」「緊急事態宣言」等で用いられてきた対策以外に有効な施策がない」と語る事に、研究者達は「同意できない」。「感染拡大の可能性の指標」とされて来た人流が有っても「人と人の交わりの場」に於いて「実効性のある対策」さえ実行されれば「必ずしも感染は広がらないはずである」と主張する由。

 緊急声明の文面に拠ると、現在では「感染経路への理解が進み,空気感染が主たる経路」と考えられるようになっているが、空気感染が「主に感染者の口腔から空間に放出されるウイルスを含んだエアロゾル」が「空間に滞留する量(濃度)に応じて起こる」事を踏まえれば「エアロゾル滞留濃度を下げる」事に依り、「感染抑止は可能な」筈。具体的対策の一つは、不織布マスクの着用を徹底する事により、「口腔から空間に放出されるエアロゾルの量」及び「他者からのエアロゾル吸入」を抑制する事。「ポリウレタン製のマスクや布製のマスク」が「直接下気道に吸い込まれ肺炎のリスクを高める粒子径5μm以下のエアロゾルの吸入阻止に無力」な事は「すでに広く知られている」事で、感染拡大時の独逸(ドイツ)に於いては「公共の場や交通機関等では一定以上の性能を持つマスク着用」が罰則付きで義務化され、「ウレタンマスクの着用は禁止される」が、我が国では「何の制約もないし,正式な呼びかけすらなされていない」。

 次に提案されるのは「滞留するエアロゾル」の「機械換気による排出」と「エアロゾル濃度抑制」。屋内で感染者から放出され、長時間に渡って空間に滞留するエアロゾルに対しては換気が有用だが「1時間に2回程度の短時間の窓やドアの開閉では必ずしも十分な換気は確保されない」上に、「冷暖房効果が大きく損なわれる危惧」から夏冬は「窓開け換気の実施自体も容易でなく」、此の問題が「今般の感染拡大の一因になっている」可能性大。従って「換気不十分」にして「複数の人が集まる狭い密閉空間」に対しては、「発生するエアロゾルの空間濃度を下げる」為の「熱交換換気や空気清浄機等を含めた機械的換気」を適切に活用すべしとの事。

 科学者達は、不織布マスクや「熱交換換気装置や空気清浄機,フィルター等」の周知及び有効活用に関して「国や自治体が以下の対策を速やかに検討する」事を求め、「私たちの手には現在,感染抑制に活用できる不織布素材,熱交換換気装置,空気清浄機,扇風機やエアコンに付加する形でのフィルター等,科学技術の成果がある」。「室内空気環境を専門とする建築学分野」もシックハウス症候群を端緒とした「医学界との共同研究の歴史」を有して居り、「狭義の医学に留まらない科学知を総合した対策の検討と実施」こそが必要だと主張し、声明は内閣官房、厚労省や文部科学省に送付された。本日会見に同席した、医師で法学者の東京大学教授、米村(よねむら)滋人(しげと)氏は「日本では科学的に合理的な感染症対策が行われているのだろうか」との疑問を投げ掛けた由。

 今日は其の他に、大阪市福島区で軽症と中等症のCOVID患者を病床で受け入れて来た松本病院を経営する医療法人友愛会が倒産。モデルナとの契約でワクチン製造に関わった西班牙(スペイン)の製薬会社ROVIが「異物混入のロット納入は日本のみ」と声明。渋谷で若者対象のワクチン接種が始まり、朝も早くから大行列。等の報道を目にしたが、朗報と言えるのは鹿児島(かごしま)出水(いずみ)長島(ながしま)獅子島(ししじま)の海岸で「約1億年前の中生代白亜紀を生きた翼竜の脚の一部」と思われる化石が発見され、愛称「薩摩翼竜」と命名された件ぐらいか。


8月28日(土曜)

 感染者が再び増加している米国の羅府(ロサンゼルス)では「演奏会や運動の試合等の一万人超が集う大型催事では、屋外会場で在ろうともマスクを着用する」事が今月19日から義務付けられた由。違反者には最高1000(ドル)、日本円にして(およ)そ11万円の罰金が科せられる可能性が有り、西部の阿里干(オレゴン)州でも昨日から同様に屋外会場でのマスク着用が義務化される等、大勢は規制再強化に向かっている模様。

 我が国では、Moderna製ワクチンの接種後に腕の発赤や掻痒等が生じる一連の副反応、所謂(いわゆる)"Moderna Arm"に関し、東京は大手町の大規模接種センターで当該ワクチンを用いた接種に携わって来た自衛隊中央病院の医師が大規模調査を施行。7月1日からの1週間に接種を完了した高齢者など4万2017人について分析した結果、「接種した腕の部分が赤くなったり腫れたりした」者は2369人で、凡そ18人に1人。全体の5.6%に当たり、此の内の83%が女性。症状は初回接種の4日後から21日後、多くは1週間前後に生じ、大半は4日間から8日間で消失。モデルナ・アーム出現の割合に関しては海外の臨床試験で0.8%、国の研究班が自衛隊員を対象にした調査で3.5%との先行研究が存在するも、一般接種を対象にした今回の調査では幾らか高い結果となった。調査に関わった自衛隊佐世保病院医官の田村格一等海佐は「女性に多く、若い年代だとさらに多い可能性が有る」ものの「症状自体は比較的穏やかなものが多く、2回目を打っても問題はない」「心配し過ぎず、接種できる機会を逃さず打ってもらいたい」と語った由。

 また厚生労働省は、感染者の情報を集約する機制(システム)“HER-SYS”に登録された本年4月以降の3ヶ月間、32万人余りの情報を利用し、「腎臓病や糖尿病などこれまでに知られている9つの重症化のリスク要因があるかどうか記されていた10万人余り」の致死率を分析。 其の結果、重症化の危険因子を持たぬ者が0.41%だったのに対し、危険因子を有する者の致死率は2.28%で5倍以上。要因別に見ると慢性腎臓病が13.95%、慢性閉塞へいそく性肺疾患10.19%、癌8.35%、免疫抑制7.54%、糖尿病4.76%、高血圧4.32%、脂質異常症3.30%、肥満1.55%、そして喫煙0.99%。 単独の危険因子を有する者は1.38%だが、二つ持つ者は3.80%、三つならば5.20%、四つ以上では9.69%と多いほど高くなり、65歳以上の高齢者は一つの危険因子を持たぬとしても4.62%。 高齢で在る事も含めて、危険因子を多く持つ者程、感染時の致死率が高まる事が立証される形となった。

 同じく厚労省が「ワクチン接種後に副反応の疑いがあると報告された事例」に就いて、最新の分析結果を公表。新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた後に死亡が確認された者は今月8日の時点で1002人を数え、ファイザー製の接種で100万人当たり19.6人、モデルナで100万人当たり1.2人となるも 「接種と因果関係がある」と結論づけられた者は居なかった由。心筋炎や心膜炎の疑い有りとの報告はファイザーが55人で、100万人当たり1.1人、モデルナが13人で、100万人当たり1.4人。ファイザー製の接種を受けた80代女性が「血小板減少を伴う血栓症を発症」した件に関しても、情報不足等で因果関係は評価出来なかった模様。

 以上を踏まえて、厚生労働省は「現時点で接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」として接種推進を続けると共に、「接種後の死亡」と「接種を原因とする死亡」とが混同される状況に注意喚起を呼び掛けた。厚生労働省の人口動態調査に依れば、日本国内では2019年には凡そ138万1000人、一日平均では3780人程度が亡くなっている。死因の最多は癌で37万6400人内外にして一日平均は凡そ1030人、続く心疾患は20万7700人の一日570人、老衰は12万1900人の330人、脳血管疾患が10万6600人の一日290人。此れ等の要因で死ぬ直前、比較的短時間の裡に状態が急変して死に至る場合も大いにあり得る。厚生労働省の専門家部会に所属する東京医科大学特任教授の濱田篤郎氏は「接種後に起きた死亡の頻度」と「ワクチンを打っていない人で自然に起きる死亡の頻度」を比較検討すると「ワクチンを打った後に起きる死亡の方が頻度が低く、接種によって死亡のリスクが上がっていない」と推定される。米国等でも「現時点ではワクチン接種と死亡の間に関係が認められた症例(ケース)は出ていない」と説明。

 某大手広告会社が日米で1000人ずつを対象に昨春から随時施行して来た調査に依ると、ワクチンの効果や安全性に就いて我が国で「完全に信用する」若しくは「或る程度は信用する」と回答した割合の合計は、接種が始まる前の本年1月の調査で57%と低かったが、接種が進むに伴って上昇傾向。最新版となる7月中旬から同月下旬の結果は68%となり、6月の前回調査より6ポイント上昇して過去最高となった由。(おそ)()きながらも情報公開が進んだ成果が実を結んで来たのか。現状の認識に関しては「感染は次第に落ち着きを取り戻し、対応できている」と答えた割合が、米国で40%を占めたのに対し、日本では7%に留まったそうだが、此れは現実の状況と国民性から導き出された結果で致し方有るまい。(いにしえ)の剣士は「切り結ぶ太刀(たち)の下こそ地獄なれ」「踏み込み行けば後は極楽」と歌ったと聞く。


8月29日(日曜)

 先月16日から17日に掛けて、東京(とうきょう)感染症(かんせんしょう)対策(たいさく)センター(Tokyo Center for Infectious Disease Control and Prevention、東京iCDC)の専門家委員会(ボード)が、都内在住の20~70代の男女1000人を対象に、質問票を用いて調査した結果、「おそらく接種しない」と「絶対に接種しない」を合わせた割合が20代男女で19.0%と18.8%、30代男女は16.7%と19.1%。若年層では2割弱が「接種しない」と回答した事になり、50代男性の12.1%や40代女性の10.5%等に比して幾らか「ワクチンに否定的な傾向」を認めた。此の調査結果が今週26日に発表され、同日の朝日(あさひ)新聞(しんぶん)が「ワクチン、若年層の2割弱『接種しない』 都が調査結果」と報道。

 記事は「感染しても重症化しないと思うから」と語る20代男性や「副反応が心配」と語る30代女性、他にも「感染しないと思う」「効果に疑問がある」「ワクチンは有害」等の回答が存在した事に焦点を当てているが、此れに対して、大阪(おおさか)大学(だいがく)特任教授にして政府分科会の構成員(メンバー)も務める大竹(おおたけ)文雄(ふみお)氏が「この見出しのつけ方が、若者のワクチン接種率に大きな影響を与える可能性」に()いて「報道機関は真剣に考えるべきだ」とTwittterで苦言(くげん)(てい)した由。大竹氏が指摘した通り、問題の記事は間違いなく事実の或る面を伝えている一方で、別の面を十分に伝えていない感が有る。何故(なぜ)ならば「あなたは、新型コロナワクチンの接種を受けようと思いますか」「あてはまるものをひとつ選んでください」との設問に対し、20代男性の60.8%と20代女性の66.4%、30代男性の73.4%と30代女性の64%が「接種した」又は「必ず接種する」「おそらく接種する」と回答しているからだ。

 20代男性の20.3%と20代女性の15%、30代男性の10%と30代女性の16.9%が「わからない」と回答して居り、「接種しない」と答えた人の割合も40代男性の15.3%、40代女性の10.5%、50代男性の12.1%、50代女性の8.7%と比較すると20代と30代では多い。しかし、全ての情報を虚心(きょしん)坦懐(たんかい)に読めば「20代と30代でも接種済に(あら)ずんば接種を希望している者が大勢(たいせい)()める」以外の解釈は有り得ない。東京iCDCも、20代と30代では男女共に他年代と比べると「接種しない」「わからない」とする回答が多いものの、「接種経験と接種意欲の有る人々が60%から75%程度いる」と結論付けているが、朝日新聞の見出しは事実の一部を誇張(こちょう)し、一部を矮小(わいしょう)()していると言わざるを得ない。

 前述の大竹氏は「少しでも接種率を上げる必要があるという状況で、2割弱が接種を希望していないということを問題視する記事」との趣旨に関して理解を示しつつも、接種率を上げる目的から言えば「『接種しない』という人の比率を強調することは逆効果」。我々の意思決定や行動は「社会規範にかなり左右される」もので、氏の研究成果に於いても「自分と同世代で接種を希望する人が多数である」との情報が広まる事に依って「接種を希望する人が増える」傾向が確認されているが、逆に「『接種しない』と答えている人が2割もいる」との情報が強調される事は「自分も不安だから接種はやめておこうという意思決定を強化する方向」に働く危険性を増大させる由。朝日新聞は「末尾の専門家のコメントを含めて記事全体を読んでいただけば、ご理解いただけるのではないかと考えています」との声明を出したそうだが、「現代社会に於いて、特に若者世代で新聞記事の全文を熟読する者は決して多くない」との現実を直視すべきだろう。

 沖縄(おきなわ)県で使用予定だったモデルナ製ワクチンに異物混入が指摘された件に関し、本日に厚生労働省は「注射器の針を瓶に刺した際にゴム栓が削り取られてゴムの破片が混入した可能性が高い」が「ワクチンの品質に問題は無い」との調査結果を発表。同じく本日に群馬(ぐんま)県でもモデルナ製ワクチンから異物が見つかったが、沖縄で問題が指摘された物とは製造番号が異なる模様。発見されたのは「1本の瓶から一つ」で「0.5(ミリメートル)程度」の大きさ、「(あお)()かった黒色の薄片状」、「磁石を近づけても反応しなかった」等の証言有り。太田市の大規模接種会場、東毛ワクチン接種センターでは午前の接種が一時中断するも、別の製造番号のワクチンを用いて午後から再開した。同異物が見つかったのと同じ製造番号のワクチンを計4575人に接種したものの、健康被害の相談は来ていない由。 

 同じく群馬県では一昨日から本日迄、片品(かたしな)村のほたか牧場キャンプ場で“GLOBAL ARK 2021”なる音楽祭が開催されていたが、公式サイトの手作りマスク等の着用を認め、()(しょく)()マスクを禁じた服装(ドレス)規約(コード)に関し、電網上で「不織布が推奨されているこの時期に?」「感染よりオシャレを優先するとは」等と批判が殺到。某紙の取材に対して、主催者は「割と舞踏(ダンス)(パーティ)と云うのはマスク着用率が悪い」「自分で選んだり作ったりしたマスクならば御洒落(おしゃれ)で着けて来て貰えるのではないかと考えました」、不織布マスクの客の来場を断る事はして居らず「NGとしたのは半分ギャグでした」等と弁解するも、片品村の公式サイトで「1カ月前から開催延期や中止の検討を要請して」来たが主催者側が応じなかった事も明らかにされた次第。政権が崩壊して、亜富汗斯坦(アフガニスタン)選手団は参加断念を余儀(よぎ)()くされたと聞いたが、仏蘭西(フランス)に退避した女子跆拳道(テコンドー)のZakia Khudadadi氏、男子陸上のHossain Rasouli氏の二選手が東京パラリンピックへ参加すべく、昨夜に来日して選手村に入った由。喜ばしいが、大会終了後に彼等の身が如何(どう)なる事かと(あや)ぶまずには居られぬ。

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