令和3年5月第4週
5月17日(月曜)
週の初めは、憂鬱な月曜日。出勤前のテレビから聞こえて来た「リモハラ」なる単語が気になり、後で調べてみた。「リモハラ」とはremote workに於ける迷惑行為を指す略語で、COVID-19蔓延を経て在宅勤務が広がる中で増えた遠隔勤務に於けるパワハラやセクハラのことを指す由。或いは和製英語なのかも知れぬが、英語で検索すると"Remote Workplace Harassment"なる大同小異の表現も出て来て、海外でも同様の問題は生じているのかも知れない。早くから遠隔勤務を採用したIT業界では以前から対策が検討されて来た問題の様で、同義語は「テレハラ/テレワーク・ハラスメント」。電網を通して文章だけの遣り取りが増え、意思疎通が不十分な状況で上司から部下への指示が一方的なものに為り易い反面、自宅からの情報送受信で私生活が垣間見えてしまう環境から生まれた問題との事だが、2020年4月の緊急事態宣言直後から、remort workに於ける上司からの迷惑行為を訴える投稿がtwitter等で増加。
某社が2020年5月に実施した調査では、remort work時の上司との遣り取りに精神的苦痛や不快感を覚えた社員は約8割に及び、46%が「常に仕事をしているかの連絡や確認」を、40%が「オンラインでのプライベートに関する内容の質問」を経験していると云う結果になった。自由回答には「矢鱈とWEB会議を遣りたがる」「仕事をサボっていないか、いちいち確認してくる」等の記載有り。上司の側にも遠隔勤務に伴う業務管理への不安が生じている上に、IT機器に不慣れとの事情有り。管理職を対象にした質問票では「5割超の管理職が遠隔環境に於ける部下との意思疎通に悩んでいる」という結果が示され、「会社からは意思疎通を強化しろと言われるが、部下から迷惑行為と思われないか」と板挟みの状況も有ると言われる。また遠隔勤務の環境では録音や録画も可能、即ち被害の立証も容易となる為、会社側も戦々恐々。
現時点では「従業員が企業をリモハラで訴える裁判」は確認されていない様だが、先週14日の定例会見で小池百合子都知事がテレワーク推進を呼び掛けると同時に、「テレワーク環境下でのセクハラやパワハラ」に関しても言及。小池氏は「カメラを常に接続させて管理下に置く」、「部下の服装や化粧」に就いて「不適切な指摘を行う」等の事例が「度々起こっている」と指摘。都の労働相談情報センターで従前から行って来たコロナ禍に於ける解雇や雇い止めの相談に加えて、今月27日と翌28日に「テレワーク環境下のセクハラやパワハラに関する相談」を実施すると発表し、「新しい働き方で生じる様々な課題に対応する策を纏めて行きたい」と語った由。
大規模接種センターの予約は、本日から開始。当面、対象が「東京23区と大阪市内に住む65歳以上の高齢者」に限定されるも、大阪では本日13時の開始から僅か26分で大阪市内の高齢者への2万5000件全ての予約が終了したとの事。「2回目の予約日時は、1回目の接種時に会場で決める」、「予約対象は1週間毎に拡大される」「最終的には東京会場が東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県」「大阪会場は大阪、京都、兵庫の2府1県在住の高齢者が対象になる」等の報道有り。
5月18日(火曜)
厚生労働省の情報を信ずるならば、新型コロナウイルスへの感染が確認された内の重症者は1235人。昨日を8人上回り、過去最多を更新。
長引くコロナ禍で都内5箇所の寄席は昨年4月以降、悉く休業や入場制限が続き、昨年度の売上は前年度から平均で7割減。此の事態に落語協会と落語芸術協会が立ち上がり、「寄席存続の為、5000万円を目標にcrowd-fundingで寄付金を募る」との会見。協会会長の柳亭市馬師が「寄席はただ芸を披露する場では無く、落語家の土台と呼べる場所」だが「其れが今、無くなる事を想像しないといけない程、ギリギリの状況」「此れからの落語家の為にも無くす訳には行きません」と支援を呼び掛ければ、芸術協会会長の春風亭昇太師も「寄席が廃業已む無しと云う声を聞き、何か動かないといけないと思いました」「寄席と云う大衆文化を守る為に是非ご協力頂きたい」と語った由。
2019年の参院選で広島選挙区から自民党公認で当選した河井案里氏は其の後、公職選挙法違反で有罪確定と当選無効、自民党から離れたが。選挙時に党本部が提供した1億5千万円の支出に関して、野党等が原資や使途を明らかにする様に求め、自民党内部からも広島県連が「国民の納得、信頼を得る上で、公認した政党の責任を果たす姿勢を持つべきだ」と書面で訴えたのに対し、二階俊博幹事長が昨日の記者会見で「私は関係していない」と発言。同席した側近、「自民党の番頭」とも呼ばれる林幹雄幹事長代理が「当時の選挙対策委員長が広島に関しては担当していた」との注釈を加えるも、当時の選挙対策委員長だった甘利明税制調査会長も「1億5000万円の件について私は1ミリも関与していない」「事件後に新聞報道を見て初めて事実を知った」「党から給付された事実も知らない」と主張。
更に本日会見で二階氏が「党全般の責任は私に在る」が「個別の選挙区の選挙戦略や支援方針に就いては夫々、担当に於いて行っている」との言い回しを用い、改めて自身の関与を否定。相次ぐ質問に、子分の林氏は「幹事長が発言しているんだから、根掘り葉掘り党の内部の事迄、踏み込まないで貰いたい」と報道陣を威圧した由。嘘を吐いているのは誰か、或いは全員か。
参院選当時も候補者公認や資金配分に強い権限を有する現職幹事長だった二階氏の発言に、参院再選挙で敗北したばかりの自民広島県連は怒り心頭。会長代理と県議会議長を兼任する中本隆志氏は本日、記者団に「県民を此れ程、侮辱した言葉は無い」と訴え、発言の撤回を要求。「関係無い訳が無く、無責任で情けない発言だ」「関係無いと言うならば関係有る人と一緒に出て来て説明すれば良い」と語気を強め、県連関係者からも「巫山戯た嘘だ」「選対委員長だけで決められる訳が無い」等の批判が噴出した模様。心情は察するが「長く自民に属した者が今、初めて党の腐敗を知ったかの如き三文芝居か」と苦笑を禁じ得ぬ。
5月19日(水曜)
今月12日の時点でMajor LeagueのNew York Yankeesは、同軍に所属するPhil Nevin三塁助令等の7人がCOVID陽性を呈した事を認め、またGleyber Torres内野手が同日の試合を欠場。翌13日になると、トーレス氏が陽性反応を示した事も公表された。全員が無症状、若しくは軽症で済んだものの、8名全員がワクチン接種を完了していた上、トーレス氏は昨年12月にCOVID感染済で今回は再感染だった模様。
同じく今月13日に米国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)が「新型コロナウイルス用ワクチンの接種を完了すれば、屋内外を問わずマスクを着用しなくとも良い」とする新たな指針を発表。新指針が発表されると、Joe Biden大統領は大統領執務室でマスクを外し、White HouseのRose Gardenで行われた新指針に関する発表式典ではKamala Harris副大統領や官邸職員もマスクを着けずに登場した由。
CDCのRochelle Walensky所長は、書面での発表に於いて「接種を完了した人は誰でも、屋内外を問わず」、また「規模の大小に関わらず」「マスクを着けたり、social distancingに配慮したりする事無く」「諸々の活動への参加が可能になる」と明言している。指針の変更は今もワクチン接種を受けていない者達へ接種を働きかける目的が有ると考えられ、バイデン氏は「一年に渡って懸命な努力と多大な犠牲を払って来た今、規則は単純なものとなった」「ワクチン接種を受ける事、其れ迄はマスクを着用する事だ」とtwitterに投稿。しかし、米国では所謂"vaccine passport"の制度は導入されておらず、「接種完了者と非完了者を如何にして見分けるのか」との問題、そしてヤンキース内部で生じた様な“Breakthrough Infection”の問題。即ちワクチン接種で構築された筈の防御壁を突破して感染が生じてしまう例が発生し、其処から未だ接種を受けていない群に感染が広がる事態も懸念されており、「CDCの指針変更は時期尚早」との声も有ると聞いた。
5月17日に開始された大規模接種センターの電網予約機構に関し、朝日新聞出版が運営するAERA dot.と毎日新聞が「実際に記者が検証する形」で「実際の接種券には無い架空の数字を入力しても予約可能」と報道。此れに対して、昨日に防衛大臣の岸信夫氏が自身のtwitterで「本来のワクチン接種を希望する65歳以上の方の接種機会を奪い、貴重なワクチンそのものが無駄になりかねない極めて悪質な行為」、「本当に希望する方の機会を喪失し、ワクチンが無駄になりかねない」と同時に「国難とも云うべき状況で懸命に対応に当たる部隊の士気を下げ、現場の混乱を招く」、「両社には防衛省から厳重に抗議」すると実名を挙げて批判。岸氏の実兄にして前首相の安倍晋三氏も昨夜に「朝日、毎日は極めて悪質な妨害愉快犯」と呟き、直前に投稿された「満面の笑みで鳳梨を掲げた写真」や「同僚議員と完熟檬果を食して『ジューシー』と喜んでいる写真」との落差と共に多少の話題となった模様。
報道機関側も黙っては居らず、夫々に反論。毎日は昨夜に「防衛省はシステムのそうした欠陥について事前に公表しておらず」、「事実であれば放置することで接種に影響が出る恐れ」も有る為に「公益性の高さから報道する必要があると判断」。「防衛省への取材を進めるとともに、記者が実際に入力して事実であることを確認した」後は「予約をすぐに取り消し」て「接種を受ける人に影響しないよう配慮」した上、「架空の予約をしないよう呼びかける防衛省のコメント」を載せて「紙面でも架空予約防止を呼びかけている」と主張。AERA dot.も今夕、記事は「人の生命・安全に影響を及ぼす」大規模接種に関する予約機制の脆弱性を利用して「重大な不正行為が行われる恐れ」が有る旨を指摘したもので、「事前に防衛省とシステムの委託先の会社に見解を求め」るも明確な回答は得られなかった。取材過程での予約は「情報に基づいて真偽を確かめるために必要不可欠な確認行為」で「確認後にキャンセル」した事は「記事にも書かれている通り」。「65歳以上の接種希望者の接種の機会を奪い、ワクチンを無駄にする」ものでは無く、「政府の施策を検証することは報道機関の使命」で「記事は極めて公益性の高いもの」だと訴えた由。
自分の仕事にケチを付ける様な目障りな記事に岸氏が気分を害した事は想像に難くないが、大臣が名指しで圧力を掛ける程の話でも無い様に感じた。今月7日に放送された民放番組で軍事オタクの芸人、カズレーザー氏を防衛省の自室へ招き、笑顔で感謝状を贈ったのとは大違いの対応だが、「妨害愉快犯」が過言なのは言う迄も無い。
5月20日(木曜)
先週木曜の5月13日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長が都内で記者懇談会に出席。組織委は五輪の延期や中止に備え損害保険に加入しており、一年延期が決まった際に約500億円の保険金が支払われたと言われているが、記者から「仮に大会が中止になった時の為に、組織委として保険は入り直したのか」と質問されると、武藤氏は「詳しく申し上げる訳には行かない」と言いつつ「コロナで延期になった現状」で「保険料が高騰している」故に「従来と同じ様な形で保険に入る事は出来ないと考えている」と回答。中止の場合に国際オリンピック委員会(International Olympic Committee; IOC)から何らかの賠償金が請求される可能性に就いては「最近、然う云う質問が増えているが、考えた事は無い」「有るのかどうか見当が付かない」と明言せず。
17日放送の民放番組に出演した元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は「賠償金が発生するから遣らなければいけないのではないか、と云う理屈が僕は気に喰わない」、「どんな契約で在ったとしても公序良俗、一方的に物凄い不利益を与える契約は無効になるって云う法理論が有る」事を鑑みれば「別に誰に責任が有る訳でも無い」コロナ禍に因る五輪中止で「掛かった経費の最低限以上に何百億円、何千億円という或る意味、利益分を乗せて来る様な損害賠償なんて通りませんよ」と断言。「徹底的に遣り合ったら良い」、「IOCの酷さと云うのを明らかにすれば、世界各国もオリンピックやろうなんて思いませんよ」と言い放つ一方、IOCも「其処まで馬鹿じゃないし」独自に保険も加入している筈だとの読みが語られた。橋下氏と政治的信条は正反対ながらも同じく弁護士で、五輪中止署名活動を行う宇都宮健児氏も支払い義務を否定しているが、「事前の取り決めが無い限りは文言通りにしなければ契約違反になるのが欧米の契約の原則」、「五輪の場合は、IOCだけが不可抗力条項を行使し、損害から逃れられる内容になっている」との声も多い模様。
開催都市契約の87条に「本契約は瑞西法に準拠する」と明記されているとの情報も有り、東スポWEBが瑞西法の専門家に取材。奧野総合法律事務所・外国法共同事業スイス連邦法弁護士のMichael Mroczek氏に拠ると、先ず瑞西民法第97条1項の定める所では「義務を全く履行しなかった債務者は、自分に過失が無い事を証明出来ない限り、損害を賠償しなければならない」。しかし、第119条1項で「債務者に帰責事由が無い状況に因り、履行が不可能になった場合、履行義務が消滅したと見做される」。即ち不可抗力の場合は支払いが免除される筈だが、ムロチェク氏曰く「パンデミックによる影響は誰にも予測出来なかった」、従って「2020年夏の状況が予測出来ないと仮定し、第119条1項を適用する事は、此の文脈では其れ程、不合理では無いと思われる」。然れども「ウイルス拡散後に五輪が延期され、すぐに中止されなかった」事を考慮すると「2021年夏の状況の予見可能性や回避可能性」が問題とされて「時機を逸した契約の解除は日本側の責任を判断する際に不利になる」可能性が考えられる由。中止の判断もしなければ、早期からワクチン接種を推進する事も、都市封鎖を徹底して感染を強く抑え込む事も出来ぬ儘に一年の猶予を無駄にした。と言われれば、確かに弁解は難しいも知れぬが、此の問題に関し、豊田真由子氏も電網上に寄稿。
東京大学法学部を卒業後に当時の厚生省へ入省すると「国費留学生として ハーバード大学大学院へ入学して公衆衛生を学び、修士(理学)を取得」「在ジュネーブ国際機関日本政府代表部に一等書記官として赴任し、帰国後に厚生労働省の老健局高齢者支援課課長補佐に就任」「政治家に転身して2012年の衆院選に自民公認で初当選」「2014年に再選を果たすも秘書への暴言暴行が報じられ、離党届を提出」との華々しい経歴を有し、政治家時代は「東京五輪・パラリンピック担当」の内閣府大臣政務官も務めた豊田氏の解説に依ると、IOCと東京都及びJOCとの間で締結された開催都市契約の66条「契約の解除」に於いて「戦争状態、内乱、ボイコット等の状況に在る場合」または「本大会参加者の安全が理由の如何を問わず深刻に脅かされる、と信じるに足る合理的な根拠が有る場合」等に「IOC は単独の裁量で本契約を解除し、開催都市に於ける本大会を中止する権利を有する」とされている以外に大会の解除に関する規定は存在せず、此れが「中止の権限はIOCにしか無い」と言われる根拠と考えられる。
また「IOCが契約を解除した場合、開催都市や組織委員会は損害賠償等の権利を放棄する」、即ち「IOCは損害賠償請求をされない」との条文も含めて、契約内容が圧倒的にIOC有利の規定で在るのも事実だが、開催都市契約71条「予測できない、または不当な困難」 の条項で「本契約の締結日には予見できなかった不当な困難が生じた場合」に「組織委員会は、其の状況に於いて合理的な変更を考慮する様に IOC に要求出来る」との記載が有るのを根拠に、「契約を解除し、中止を決定する」のはIOCだとしても、東京都やJOC、組織委員会の側が「開催権を返上する」選択肢は排除されていないと氏は判断する由。
嘗て1940年に開催が予定された東京での夏季五輪が「日中戦争の激化をはじめとする国際情勢の悪化」等の情勢で大会返上と閣議決定され、厚生大臣を通じて組織委員会へ通達。組織委員会がIOC に第12回オリンピック開催権を返上したとの実例も挙げられており、相応の説得力が有る話と感じた。しかし、「日本側で相応の責任者が裁判も辞さぬと云う強い態度を崩さずIOCと交渉出来るか」と云う問題に加えて「政府や組織委、JOC自体が開催に拘り、退際を見失っている」との大問題が在っては、如何なる頭脳明晰な法律家にも解決困難だろう。
5月21日(金曜)
国内のワクチン接種ではPfizerとBioNTechが開発した製品「コミナティ筋注」のみが使用されて来たが、本日に厚生労働省は承認申請が出ていた2社のワクチンに就いて本日に専門家で構成される部会を開催。審議を経て、国内での製造販売が承認される模様。Modernaのワクチンは、来週24日に開設される大規模接種センターで使用される予定だが、政府が6000万人分の供給契約を結んでいるAstraZenecaのワクチンは稀に血栓が生じる危険性があると指摘されている為に「専門家の意見も踏まえながら、リスクと効果を検討」した上で「最終的に判断する」と言われているが、現時点での使用法は未定。
5月14日付で東京保険医協会が内閣総理大臣の菅義偉氏、東京五輪担当大臣の丸川珠代氏、東京都知事の小池百合子氏、東京五輪組織委員会会長の橋本聖子氏に対して「政府と東京都は東京オリンピック・パラリンピックの中止をIOCに打診してください」との声明を出し、5月17日に全文を公開。此の件を米国のWashington Post紙が18日に報じ、「亜細亜第二位の経済大国」の医療制度を以てしても「感染拡大との戦い」と「何千人もの国際的な選手、指導者、報道陣の医療需要」の両方には対応し切れない、との懸念が有る事も説明。先に全国医師ユニオンが政府に要請書を提出し、長崎県民主医療機関連合会が記者会見で中止を訴えた等の状況も踏まえて「式典中止を求める請願書に37万人以上の署名が集まる」等、「日本で大会開催反対の意見が急激に増えている」と指摘したが、同様の内容がReuter通信や米国のCBS Sports、Sporting Newsの豪州版、卡塔爾のAl Jazeera等でも報じられ、「安心安全な方法で行われる」と強調する菅首相と国民の乖離が世界中で印象付けられた模様。
損害賠償金問題に関しても、19日付で米国のYahoo!が「誰が東京五輪を中止に出来るか」との記事を掲載。識者の一人が「理論的には、IOCがテレビ放映権料と出資者契約料から保険適用額を差し引いた訴訟を起こす可能性が有る」、「其の額は恐らく約40億弗から50億弗、即ち4365億円から5456億円に達する」「IOCが賠償金請求の訴訟を起こす場合は、瑞西の国際スポーツ仲裁裁判所( Court of Arbitration for Sport, CAS)に送られる」等の見解を語る一方、匿名の英国人弁護士は「人々が法廷に駆け付けるとは想像出来ない」「沢山の交渉が行われると思う」と言い、法廷闘争には持ち込まれないと予想した由。記事では「保険で損失が軽減される」事に加えて「pandemicで開催国を訴えれば悲惨な印象を世間に与える」「将来の五輪開催地候補を思い留まらせる事になる」、「IOCの一方的な開催都市契約を嫌がり、五輪開催希望都市は既に世界的大流行前から減少している」「更にIOCが東京を訴える事に為れば、将来の開催国に恐怖を伝達する事になる」と言及した。
斯様な情勢に於いて、巨額の投資で東京五輪の放映権を占有する米国の放送局、National Broadcasting Company(NBC)の動向に世界の注目が集まるも、現時点で同局に開催中止の意思無し。米国のKansas city star紙は「NBCの五輪部門が東京五輪の解説者の編成を発表」「日中の総合司会はRebecca Loweに決した」と報じた。 またPennsylvania news today紙が「NBCは数週以内に、東京五輪全体の放送日程を正式に発表する」と指摘。以前から「東京五輪の開催可否の鍵を握るのはNBCだ」との声は多く、同局が中止に舵を切る可能性も指摘されていたが、東京五輪の放送体制を次々と正式発表し始めた所を見ると、寧ろ開催強行を決断した可能性大かとの声多し。
そして一昨日、国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会と東京五輪・パラリンピック組織委員会等に依る三日間の合同会議が開始。回線接続会議形式で行われる会議の冒頭で急遽、出席が決まったIOCのトーマス・バッハ会長が「IOCは完全なコミットメントを持って、日本の皆様と共にに五輪・パラリンピックを万全な形で組織したい」と挨拶。選手村や競技会場に追加的な医療スタッフを提供する用意が有り、「現時点で選手村の75%は既にワクチンを接種しているか、ワクチンを確保している」。「大会時には80%を超えるで在ろうと確信して」居り、「選手村は安全な場所になる」と語った。バッハ氏は世界保健機関が東京大会の感染対策を評価している事や現在迄に実施された430以上の国際大会で主催国にウイルスを感染拡大させた例は無かった等と主張し、「厳しい措置が取られる事で安心・安全な大会を開ける」、「世界が日本に感謝し、7月23日の開会式で祝うことになる」「我々を頼りにして下さい」「遅くとも7月23日には東京でお会いしましょう」と発言。同じオンライン会議で、20日にIOC最古参委員のRichard Pound氏は「自分達が見て見ぬ振りをしている大きな問題は無い」「大会は開催される」と語り、「現時点で知っている全ての事を踏まえれば、大会は開催される」、「私はチケットを持っている」と述べた。IOC調整委員長のJohn Coates 氏も本日に「東京が緊急事態宣言下でも今夏の大会を開催する」意向を示し、「宣言が出ていようと出ていまいと、我々が取っている全ての対策で安全な大会は可能だ」と語る一方、「参加予定選手の60%がワクチン接種済みだ」とバッハ発言とは多少異なる表現が用いられた。
IOC側が是が非でも開催したい事は明々白々、此の期に及んで言う迄も無いが、パウンド氏は「開催国が開催したくないなら、開催されない」が「大会を中止する権利は最終的にIOCが保持している」、「IOCを始め出資者や放送局等、世界最高峰の運動式典を開催する上で危険性を負う関係者の大半が不測の事態に備え、保険に加入している」、中止による経済的損失は「膨大なものになる」が「運動界の機構全体や五輪運動が酷い苦境に陥る事は無い筈だ」、「耐える必要は出るだろうが、経済破綻に陥る事が無いのは間違いない」等と漏らしてもいたとの事。氏の発言を虚心坦懐に読めば「我が国も含めて一天四海に生きる全人民の為には、五輪中止が最善の策」としか思えぬ。
5月22日(土曜)
週刊ポスト誌の5月24日発売号に、東京五輪やパラリンピックの出資者で在る71社の企業に関する記事が掲載される模様。出資企業の中には国内で大手と呼ばれる新聞社の全てが名を連ねており、4段階の契約が有る中で約60億円の協賛金に応じ、第3の位階たる「JOCオフィシャルパートナー」を授与されているのが読売新聞グループ本社に朝日新聞社、毎日新聞社、そして日本経済新聞社。約15億円を納めて第4位階「オフィシャルサポーター」を得たのが産業経済新聞社、通称産経と北海道新聞社。各々(おのおの)が系列のテレビ局を所有している為に「事実上、国内すべての全国紙と全国テレビネットワークがスポンサーとして五輪を推進する立場」に在り、「五輪マフィアに取り込まれ」て「五輪ムラの住民」と化し、報道機関としての「牙を抜かれている」との指摘有り。
そしてポスト誌が出資企業に「7月開催に賛成か」「開催の場合は無観客にすべきと思うか」「有観客で開催の場合、社員に会場での観戦を推奨するか」との質問票を送付した所、読売新聞グループ本社から「当社は『安全な大会の実現に万全を尽くすことが大切だ』と社説で繰り返し述べています」「ただ、観客の有無については東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の結論が出ていない段階で、お答えしかねます」。朝日新聞社「お答えをいたしかねます」。毎日新聞社から「新型コロナウイルス変異株による感染が拡大する中」での開催に就いては「選手やスタッフ、観客の安全が確保される一方で、医療体制に悪影響を与えることがあってはならない」と考えて「5月1日付社説でも取りあげたところです」。 日本経済新聞社「お答えはしません」 。産業経済新聞社「回答は差し控えさせていただきたいと存じます」 。北海道新聞社「ご回答を控えさせていただきます」 。
以上の回答に関し、記者は「かろうじて回答を寄せた」読売と毎日にも「安全が大事」「医療体制が大事」と云うのは「当たり前すぎて社説に値しない」、「菅首相が壊れたレコードのように繰り返す答弁ペーパーとほとんど同じ文言」だが、「組織委が結論を出していないことには答えない」読売は「もはや組織委の下部組織であることを自任しているのではないか」。更に「これだけの国民の関心事」に「当事者として回答しない」朝日、日経、産経、北海道は今後「どんな理屈で当事者たちを取材するのか不明」で「もはや紙面で何を言っても読者の共感は得られない」等と痛烈に批判されたのを知ってか知らずか、五輪の開催準備は進む。
仏蘭西では、昨日のラジオ番組で同国のスポーツ担当大臣、Roxana Maracineanu氏が「7月23日に予定される東京五輪開会式にMacron大統領が出席する」と公表。次回大会として予定されている巴里五輪の開催国として「聖火を2024年に向けて引き継がねばならぬ」事が理由だと述べ、番組司会者に「日本はワクチンの接種率が低い上、国民の大半が開催を懸念している」事を指摘されても「明日の事は分からないが、良い方向に向かっている」と楽天的な見解を示し、マクロン氏のみならず自身と教育相も開催期間中に訪日する予定と語った由。
現時点では無観客開催すら真剣に討議されて居ない様子で、2018年に都が策定した「学校連携観戦プログラム」に従って都内の公立学校生徒81万人を観戦させるべく、今年度予算にも学校連携観戦の関連事業費に41億円が計上された。此方も中止は考えられておらず、昨年12月に都が参加を希望した学校に新たな日程を示す通知を送り、緊急事態宣言下にも関わらず先月から今月に教員を集めて実地踏査、即ち会場の下見も断行。「5月10~11日に行われた国立競技場の下見だけでも約770人の教員が参加予定」との情報が有り、当日は数十人から百人前後の子供達が公共交通機関で会場まで移動し、トイレに行くのも引率が必要になると考えられる状況。保護者や教師の強い懸念に対し、都の担当者からは「目の前でトップアスリートの活躍」を観た子供達は「心の中に人生の糧となるような、掛け替えの無い遺産を残せる」だろう、と詩的な見解が聞かれた由。
Twitterに於ける『さざ波』発言で物議を醸したばかりの高橋洋一内閣官房参与が昨日、今度は緊急事態宣言に関して「欧米から見れば、戒厳令でもなく『屁みたいな』ものでないのかな」「屁みたいなとは日本の行動制限の弱さとの意味」とtweet。短期間に暴言を繰り返す人間性も然る事ながら、今回は寧ろ政府の弱腰への批判とも取れる内容。高橋氏の暴言に振り回される事が無くなれば、総理が抱える数多の懸案事項のうち少なくとも一つは解決する訳だし、高橋氏も自由に個人的見解を語って信者達を喜ばせる作業に専念出来る。国民の事は措いても、今度こそ罷免で良かろう。
5月23日(日曜)
本日に東京都では新たに535人の感染者を確認。直近7日間の平均は一日当たり649.4人で、前週比80.5%。新規感染者のうち20代が163人、30代が90人、65歳以上は64人。感染経路不明は314人で、入院患者は前日と同じ2273人、うち重症者は1人減の61人。 都の担当者は「感染者数が大きく減っている状況とはまだ言えず、入院患者も2千人を超えていて安心できる状況ではない」と語ったとの事。北海道内では605人と首都を上回る感染者が確認され、11人が死亡。道内の感染者は総計3万4581人、死者は1001人となった由。
競泳日本代表の池江璃花子氏は今週末、茨城県ひたちなか市にて「いきいき茨城ゆめカップ」なる大会に参加。昨日は復帰後初の200米種目となる200米自由形に出場するも16位に終わり、決勝に残れなかったが、本日は専門外の100メートル背泳ぎで1分2秒02の記録を出して優勝。「選手は本番が有ると信じて練習を積んで行くだけ」、「五輪が有る無いに関係なく、自分の中では其の先も見据えての東京五輪」で「其の先ももっと良い結果が出る様な練習をして行きたい」と発言。
同じく今週末、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏が昨日に「今、国民の8割以上が延期か中止を希望しているオリンピック」「誰が何の権利で強行するのだろうか」とtwitterに投稿。本日も「IOCに開催の決定権があるのか」、「違約金が莫大だという話」も有るが「ワクチン遅れの日本」に「世界200ヶ国からオリンピック選手と関係者10万人が来日」して「変異株が蔓延し、失われる命や、緊急事態宣言した場合の補助金、GDPの下落、国民の我慢を考えるともっと大きな物を失うと思う」と呟いた由。個人的な好悪で言えば無論、孫氏よりも池江氏を選ぶが、今回の発言に関して言えば孫氏の方に共感を覚えた。池江氏個人に発言を無理強いする心算は無いが、五輪と云う行事やIOCという団体に対して、出場選手は欠かす事の出来ない利害関係者なのだ。此の状況で何も言わず、嵐が過ぎ去るのを待つ事のみが選手の正しい在り方だとは思えない。
明日からの稼働に備え、本日に防衛省は「大規模接種センターの運営に当たる自衛隊員や民間の看護師に米モデルナ製ワクチンを接種した」と公表したが、此れが国内での同製品初使用かと思われる。大規模センター以外の接種に関しては、読売巨人軍の所有者で読売新聞グループ本社社長の山口寿一氏が本日に菅義偉首相と公邸で面会。文京区の東京ドーム球場を無償提供して、8月を目安にドーム内の売店が並ぶ廊下に接種会場を設け、「文京区と新宿区のお手伝いをして行く」との提案に首相も「是非、進めて欲しい」と応じ、「主に巨人戦が有る日に接種会場を設ける」「待ち時間に選手らの練習風景を見学出来る様にする」等も検討されている模様。
接種推進には諸手を挙げて賛成するが、東京五輪は果たして如何なるか。本日に官房長官の加藤勝信氏はNHKの番組で「緊急事態宣言下でも東京五輪開催は可能と発言したIOCのコーツ調整委員長と同じ認識か」と問われても明確な見解を示さず、「五輪が有るか無いかは別として、感染を徹底的に抑え込み、其れを継続させる努力が大事だ」と煙に巻いて済ませた由。政府のみならずIOCやJOC、組織委にも「過半数が開催反対」との民意に耳を傾ける者は居ない様だが、開催地の首長は今後も彼等に追随して開会式を待つのか。或いは反旗を翻す事で再び国内政治の中心に躍り出る事を狙い、虎視眈々(たんたん)と機を伺っている最中かも知れぬ。信頼に足る政治家と言えるか否かはさて置き、当面は小池百合子の動向を注視せざるを得ない。




